うーむ。
壮観。
冬がそろそろ近づいてくる頃。
収穫が終わった畑を見るのは、とても達成感があって良い。
近くにいる鬼人族メイドも頷いてくれている。
今回も豊作。
うれしいことだ。
文官娘衆が張り切って帳簿をつけている。
大変だろうが、そっちも頑張ってほしい。
皆で頑張って収穫した作物だ。
大切にしたい。
年を追うごとに、畑の面積を広げている畑ので、余剰在庫もそろそろ増えて……。
えっ。
増えてない?
余ったとしても、魔王やビーゼルたちがすぐに買い取ってくる?
なるほど。
あ、始祖さんとドースたちもなのね。
「ですから、どれだけ畑を広げられても構わないそうです。いえ、むしろ、もっとやってくれと」
そ、そっか…。
うーん。
ルィンシアからも同じようなことを言われたんだよな。
もっと広げて、国を作りましょうって。
「あはは…。でも、本当にそれくらいやっても良いと思います。多分、みんな賛成するんじゃないでしょうか」
国。
国かあ。
子供たちのためになら…。
いや。
俺にはちょっと大きすぎる。
住人もそんなにいないしな。
それに、そうなると畑ももっと広げないといけなくなる。
人手不足も解消しないうちにそんなことをしたら、収穫が間に合わなくなってしまうかもしれない。
今回はちゃんと間に合ったが…。
また文官娘衆たちが死んだ目で収穫の様子を見るようになるのは辛い。
何事も急は良くない。
一歩づつ。
一歩づつだ。
話は変わるが、最近、ルー達の攻勢が激しい。
冬になったらまた忙しくなるようで、その前にということらしい。
……
うーむ。
人を増やすためには子供を産むというのは分かるが…。
こういうのは授かりものだ。
長い目で見て欲しい。
そう。
こちらも一歩づつだ。
だから昼間から寝室に連れ込もうとするのはやめてくれないかな。
いや。
決して愛情がなくなったというわけでは…。
わかった。
うん。
だからその泣き顔はやめようか。
心にクるから。
しばらくして部屋を出ると、アンが仁王立ちで待っていた。
ごめんなさい。
開口一番に謝ってしまったが、アンが怒るととても怖い。
にらめっこ無敗の座はダテじゃない。
どうやら晩御飯の時間を忘れてしまっていたようだ。
子供たちは…。
そっか。
もう食べちゃったか。
いや、どう考えてもこっちが悪い。
みんなには悪いことをしてしまった。
ただ、言い訳させてもらえるなら…。
あ、はい。
そうですね。
ごめんなさい。
ルーたちも怒られているが、内容はローテーションが狂うとかで反省させられている。
え、そっち?
……
このままだと巻き込まれそうなので、俺も晩御飯をもらいに行こう。
昼からずっとだったので、かなりお腹が減っている。
手間をかけさせて申し訳ない。
今日も美味しいです。
さて。
お腹もふくれたし、子供たちに会いにいこう。
え、ダメ?
そろそろお風呂に入らないと、予定が詰まってる?
いや、だが、子供たちが寂しがってるだろうし…。
あ、妖精女王たちが相手してるから大丈夫なのね。
だが俺も父親として子供たちと遊びたい。
その辺も考慮してもらえると…。
あ、はい。
そうですね。
夫の勤めも果たすべきですね。
……
アルフレート。
お父さんも頑張っているからな。
朝日がまぶしい。
結局あの後からずっと続いてしまった。
そうなると、晩御飯や移動時を除いて、収穫を終えてから一日中してたということになる。
こんなにも求めてくれるというのは、男としても夫としても嬉しいが…。
この数は体力的にツラい。
周りを見渡すと、みんなスヤスヤと眠っている。
うーむ。
なんだか、このところ毎晩こんな感じな気がする。
いくら【健康な肉体】があるとはいえ…。
がんばろう。
それよりも、問題はここ数年。
こんなことが続いてるからか、回数を重ねることでルーやティアたちの技量があがってきた。
いや、それ自体は良いんだが、周りも対抗して色々と工夫するようになってきてしまった。
普通でいいのに。
普通でいいのに、騎乗位からの腰をグラインドさせて搾り取ってきたり、他の子としてる時にお尻の穴に舌を入れてきたり…。
うん。
みんなも対抗しようとしたりしない。
あれは特殊。
特殊なやつだから。
うん。
それと、ルーたちがしている子宝に恵まれるというお呪いペイントなんだが…。
あれはちょっと絵的にエッチなので真似をするのはやめてほしい。
どうやらルーが発見したお呪いだそうで、一度付けると消えないらしい。
あと、施術が難しく、なかなかすぐには無理とのこと。
それなら諦めればと思うのだが。
やはり子宝に恵まれるというのはかなり垂涎もののようだ。
既にルー、ティア、リア、ハクレンの初期組のほか、数人がご利益目当てに付けていて、他のみんなも付けたがっている。
それをつけたみんなが並んでいるのを見ると、なんだかこっちも滾ってきてしまう。
やはりご利益はあるのかもしれない。
俺が新しい何かに目覚めたわけではないはず。
ご利益ということにしておこう。
ただ、ひとつだけ。
このお呪いをつけたルーたちなのだが…。
そのペイント付近から、なんだか白いモヤのような薄い糸が出ていて、ちょっと気になっている。
モヤのような糸と言えば、どうしてもウルザを助け出した時の黒いモヤの糸を思い出してしまう。
あっちは、なんだか良くないもののようだったから、ウルザに繋がっていて嫌な感じがしたので、【万能農具】でザクっとやってみた。
そうすると、モヤが霧散して、気持ち悪い雰囲気もなくなり、すっきりした感じになったんだよな。
うーん。
こっちの白いモヤは黒いのと違って悪いものじゃないような気がするが…。
ただ、この白モヤ糸を切ってしまうと、おまじない自体が消えそうな気がする。
勝手にやっていいものだろうか。
良くないものは感じない。
むしろ、良いもののような感じもするが…。
……
やっぱりちょっと気になる。
気になったのでルーたちに聞いてみた。
「え、これ? ……昔、屋敷にあった古文書を解読したら書いてあったのよ。……みんなが消しても良いって言うなら、私は」
「ルーさん…? どうしましたか、ちょっと顔色が――」
「そうですね。これがあったおかげで、村長の子を身篭れたと思っています。なので、消すのはちょっと…」
「……消すのですか?」
「私、村長の子供が欲しいです」
おっと。
怒涛の消さないでコール。
うーむ。
ダメか。
む、どうしたハクレン、そんな顔をして。
「村長、私はこれ……。 っ…、ぁ、ぁくっ…、んんぅっ!」
「ハクレンッ!?」
え。
お、おいっ!
どうしたハクレン!
ルー、診てあげてくれっ!
アンはフローラを!
「ま、待って…っ。大丈夫、ちょっとお腹が痛くなっただけだから…。フローラも、呼ばなくていいから…」
「ハクレン、貴女…」
だが…。
いや、分かった。
辛くなったらすぐに言うんだぞ。
「フローラ様を連れてきましたっ!」
「大丈夫ですかハクレンさんっ!?」
おおっ、早い。
流石アンだ。
フローラも、寝ているところすまない。
「うーん…、特にどこか悪いって感じはしませんね。ハクレンさんは神代竜族ですし、よっぽどのことがない限り、身体がおかしくなることなんて無いと思いますが…。」
そうなのか。
ふう。
これで一安心…。
いや。
竜族にだけある何かが起こったのかもしれん。
「そうですね。あとでライメイレン様やドース様にちょっと聞いて――」
「ダメよ!!!」
「ひゃわっ!」
「あ…。ご、ごめんね。えーっと、お母様たちにこんなおまじないを見せるのは流石にちょっと恥ずかしいし、今は特に何も感じないから大丈夫よ。あははは…」
そうか?
だが、万一のことがあれば…。
「その時はちゃんと言うわよ。…ほら、子宝効果のせいかコレ、ちょっと卑猥な形じゃない。なるべくお母様たちには恥ずかしいから見せたくないってだけだから、ね?」
ううむ…。
まあ確かに、ソレを母親たちに見られると考えると…。
恥ずかしいかもしれない。
だが、身体のことだ。
不調を感じればちゃんと言うんだぞ。
「ええ、分かってるわよ。 ……ルー、そんな泣きそうな顔しないの。あなたが悪いわけじゃないんだから」
「ハクレン……っ。ぅ、ぅぅ…っ」
ルー…。
多分、おまじないのことで責任を感じてるのだろう。
この二人も、このところずっと仲が良い。
夜にヨウコも交えてルーの部屋で色々研究をしているようだ。
何かあったら力になってあげてほしい。
ルーが泣きやむまで、俺もここで一緒にいる。
それに、ハクレンもこう言ってる。
だからルー、そんなに気に病むな。
落ち着くまで俺の胸の中で休むと良い。
「旦那様…。ありがとう。 ……、それと、ごめんなさい」
いいんだ。
こういう時くらい、格好付けさせてくれ。
みんなもありがとう。
フローラもやはり眠そうだな。
「ぁ、ご、ごめんなさい…。ちょっと寝不足で…ふわぁぁぁぁ…」
「あら。ふふっ、また研究で夜更かしー?ここは良いから、もう少し寝てきていいわよ」
「ぁふぅ…、ありがとうございます。ではもう戻ります」
よし、じゃあこれで終わろう。
ハクレンは不調を感じたらすぐに言うこと。
それと、その時は恥ずかしいとか関係なく、ライメイレンに見せるからな。
ルーもアンも、注意して見てやっていてほしい。
じゃあ、支度をして今日も一日がんばろう。
「はーい」
あ。
そういえばモヤの件はうやむやの内に終わってしまったな。
まあ、何か異常が起きそうに感じたら、もう構わずにやってしまおう。
その結果、子宝の恵みがなくなってしまったら…。
うん。
その時は俺が頑張ればいい。
少し大変になるかもしれないが…。
神様から貰った【健康な肉体】もある。
なんとかなるはずだ。
そう。
何事も、一歩づつだ。
「それにしてもあの印、どこかで見たことがあるような…。うーん。どこだったかなぁ……、ぁふ。 うー、ねむい……。もうだめ、寝よう」