「どうじゃ、ルー。順調か?」
「なかなか芳しくはないわね。そっちは?」
「こっちもさっぱりじゃな。あまり自由な時間が取れぬとは言え、我らがここまで調べて見つからぬというのはやはりおかしい」
そっか。
やっぱりこのままだと手詰まりね。
うーん。
私やハクレンなんかは自由に出来る時間があまりとれない。
だからヨウコの協力を得られたのは戦力としても人手としてもありがたかったんだけど…。
そう上手くはいかない、か。
「そうね……。 予想はしていたんだけど…、厳しい、か」
「我も色々と時間を作って、お主らに頼まれた書物を取り寄せたり調べたりもしておるのだが、どうにもうまくないわ」
「やっぱり、始祖様はそんなに甘くなかったわね」
「うむ。 恐らくはあ奴が手を回しておるのだろう」
「やっぱり、アプローチ自体を変えるべきなのかも」
「ま、ハクレンの成果も待ちたいところだが……、恐らくその方が良いであろうな」
今、ハクレンにはドラゴンの巣にある蔵書を調べてもらってる。
ただ、時間の都合上、あまり遠くへは向かえないのよね。
ドース様やライメイレン様のところにまで行ければ望みはありそうだけど……。
まあ無理よね。
あまり遠出は出来ないし。
私は、研究や学園への出向って名目があるから、よく連れ出されちゃってるのよね。
ただでさえ不在気味なのに、それ以外で村から居なくなるのは流石に不審がられてしまう。
だから、そんな行動がとれないよう、制約で動けないようになっているわ。
ハクレンは、たまに呼び出しがかかるくらいね。
次の日の昼には帰って来れてるみたいだけど……。
その後は旦那様にベッタリで、中々傍から離れようとしないのよね。
多分、精神の安定を図ってるんだと思う。
過酷なことをさせられてるんだろうけど、それはちょっと羨ましい。
「それで、別のアプローチとはなんぞ? 契約を解除する方法を探すのはやめるのか」
「ううん。そっちはそっちで続けるわ。別のって言うのは…、そうね。先にこのあいだのことを説明するわね」
おっと、思考が横に逸れちゃってた。
私もあとで旦那様や子供達と触れ合うとして…。
うん。
「実は、旦那様が私達の淫紋から、何かモヤのような糸が出てるから切ってもいいかって聞いてきたのよ」
「な……っ!? そ、それでどうしたのだ、切れたのか!?」
「ヨウコ、落ち着いて」
「これが落ち着いていられるかっ! ああ…、だがルーの契約もそのままということは…。そうか、村長のアレでも切れなかったのか……っ」
「落ち着いてって。まだ続きがあるの、しばらく黙って聞いてちょうだい」
「……うむ。 すまぬ、取り乱してしもうた」
「ううん、さっきのだと取り乱すのも当然ね、言葉足らずだったのを謝るわ。ごめんなさい」
「よい。 それで、どうなったのだ?」
あのヨウコがここまで取り乱すなんて…。
まあでも仕方ないわよね。
私だってこんなこと聞かされたら多分もっと驚くでしょうし…。
ぬか喜びでごめんなさい。
でも、ちゃんと朗報だから、楽しみにしてて。
それで、旦那様がそう言い出した後はね……
「なるほど……。千載一遇のチャンスだったとはいえ、その状況でハクレンすら言えぬとは。なんとも…」
「ええ。だから恐らく私達から言い出すのは不可能ね。なんとか違和感を与えて気付いてもらおうにも、今はアンが取り込まれてるから難しいわね」
「まさかあのアンがのう…。契約か?」
「ええ。ただ、こちらは私達とは少し違って、一種の契約魔法らしいんだけど……。特定条件下で認識をズラされるようになってるみたい。確か、それが当たり前なんだと考えるようになるの」
「なんと…。特定条件下というと、村の外ではなどかの?」
「多分、そうじゃないかしら。感知されるリスクを少しでも減らすって理由もあるんでしょうね」
「むぅ……。じゃが神代契約以外ならば、我らで解除は出来ぬか?こういうのは大抵、格上からの干渉でどうにかなると思うのじゃが」
「ええ。だからヨウコやハクレンでもどうにかなると思うんだけど…」
「ああ、そうかそうじゃったな。制約で我らでは動けんか。ならばショック療法ならどうじゃ。一種の洗脳とも言えるのじゃろうし、それでなんとかならぬのか」
「あー」
うん。
それ、絶対やっちゃだめなやつ。
軽度なのだとそれでも大丈夫だったりするけど、今回のはそんなもんじゃないし。
ただでさえ、高度な洗脳なんかやこのレベルの認識ズラしの場合は、強引にやっちゃうと頭がおかしくなるのに、始祖様の使う魔法でしょ?
だから、貴女達と同格以上からの、圧倒的なほどの魔力を使った干渉、
もしくはかけた本人に解除してもらわないとダメなの。
「むう…、それは受け売りかの」
「うん、そうだけど、やっぱり昔、実際にあった症例みたい。一部のことが認識出来なくなったり、自分のことが分からなくなったりとか色々。かなり昔に禁呪指定されたとは言え、使える人はいるからね」
「では、あやつをどうにかするしかないか…。それも村長がなんとか出来れば良いのだがのう」
旦那様が、ね。
うーん、無理とは言い切れないのが凄いわね…。
でも、アン達をそんな博打に使うわけにはいかないし。
何よりどうやって旦那様を動かすかってなっちゃうし…。
「はぁ…。ならばザブトン殿や竜王達が気付くのに期待するしかないかの」
「でも、あの人達って村の外に出ないから……。村では普通だし、私クラスで感知出来ない魔力波動があったとしても、淫紋のせいで分からないと思うわ」
「……ザブトン殿の子達に期待するかの」
「プライベートに当たるから、見られたとしても配慮されて見て見ぬふりされると思うけどね」
「…やはりこちらで動かんとどうにもならんな」
「ええ。ただ、期待だけはしておきましょう」
「うむ。 それで、我ら以外では誰がそうなっておるのだ?」
「私もあまり詳しくは分からないんだけど……」
一応分類わけをすると、
始祖様に契約をさせられたのが契約組。
私、ティア、リア、ハクレン、それにヨウコがそれよね。
多分他にはいないと思うけど…。
まあ、それは置いておきましょう。
情報もないしね。
それで、始祖様の契約魔法によって認識の一部をおかしくされてる人達を淫紋組って呼びましょう。
それで、こっちは私達のフォローを中心に選別されてるみたい。
……
アン……。
巻き込んでしまったのよね。
契約組だけだと、やっぱりおかしなことも周りに感じさせてしまうでしょうし。
特に、私達と接する機会が多かったり、気配りだったり主人に快適に過ごして貰うためだったりで、私達を観察してる鬼人族メイドが数人ターゲットにされているわ。
外部の男が絡まないような、村の中にいる限りはいつも通りなんだけど…。
正直、アンがあんな風にされてるっていうのは、辛い。
――色んな男性のオチンポに奉仕するのは、ご主人さまのためにも必要では…?
真顔でこんなこと言われた時は、泣きそうになってしまったわよ。
そんな彼女達の献身もあって、村の雰囲気は以前と変わらず朗らか。
……有能すぎるっていうのも、考えものよね。
「契約だったら、なんとか私達と同じように、独自に動いて貰って、いつか旦那様や他の住民に…って思ってたんだけどね」
「少数は神代の契約。他数名は洗脳で縛って、フォローに回らせる…。まったく、遥か昔から培ってきた知恵を碌なことに使わんな、あ奴」
「あはは…。でも、今回のことで希望が見えたわ」
「うむ。契約の切断を一度断ってしまったとは言え、村長であれば何かあれば強引にでも動くであろう」
「ええ。だからそこでひとつ考え付いたの」
この契約って、旦那様曰く、悪いものじゃ無さそう。ってことだから、やっぱり祝福みたいなのよ。
だからこそ旦那様も、いきなり切らずに私達に尋ねてきたんだけどね。
それで、呪いなら解除法も探せば見つかるかもしれないけど…。
祝福はそんなもの、恐らく存在しない。
だって祝福だもの。
となると発想の転換。
「……なるほど。つまり、自らに呪いをかけるのだな?」
「ええ、そうすることで、旦那様が言うところのイヤなものを発生させることが出来て」
「―――それで村長に切って貰うってことねー。いいじゃないそれ」
えっ…
ハクレン!?
いつの間に帰ってきたの?
というか、私の部屋の防犯体制って……。
「いや、村長の話をしてる時にそうっと入ってきておったぞ。まさか今まで気付いておらんかったのか」
「そうそう。対策してあるとはいえ密談なんだし、忍び足でね。それで、帰ってきたのはついさっきよ。収穫はゼロ。やっぱり遠出できないとこんなものよねー」
うぅ…。
前もそうだったけど、
やっぱり私の察知力ってダメダメなんじゃあ…。
「それで、落ち込んでるとこ悪いけど、呪いをかけるってどうやってやるの?」
「そうじゃな。 仮にも神代契約、生半可な呪いでは弾かれてしまうぞ」
まあ、そうね。
かなり強力な呪いが必要よ。
それも、この契約に反しないものにしないと、難易度が現実的じゃなくなるし。
契約も絡んでくるとなると…。
まずはかける呪いの選定ね。
こういうことはティアの専門分野でもあるから、協力を得られればかなり話が早くなるんだけど…。
「確かリアとティアは、我らと違って真相を知らぬまま、何も気付かずにおるのだったな。なんとも不甲斐無い」
「そう言わないであげて。ティアは…、ティアは、最初から徹底的に管理されてたみたいなの。外にいる時はずっと塔にいるみたいで…。多分始祖様は、ティアには知られたくないんだと思うわ。それは恐らく…」
「この件なんでしょうね。んー、となるとこの道が正解っぽいわね。 …なんとか出来ない?」
「そう言われても…。彼女、ずっと塔で娼婦やらされてるみたいだし」
「ならば、ルーに情報提供してきおった男をなんとかして動かすのはどうであろう?」
「ま、私達からティアには言えないもんね。それで行ってみる?」
「えぇぇー……。あれに頼むのはちょっと…」
「何を嫌がっておるか。娼婦をさせられておるティアを助けると思えば安いものであろう」
「それに、うまく行けば全部解決するわよねー」
うぅぅ…。
人の気もしらないで…
「ふむ。いい機会じゃ。暗黙の了解で聞かずにおったが、それぞれこれまで何があったか話すとするか」
「……ま、そうすれば意気込みも変わるかもしれないわね」
え、ちょ、ちょっと…
先に、始祖様に連れて行かれてる、旦那様以外との子供達について話したいんだけど…。
「まずは言い出した我から行くか。 今は五村の実力者達の性処理と、あと、魔獣犬の尻穴奴隷をしておる」
は…っ、え、いぬ?
魔獣犬?
尻穴奴隷?
ヨウコが?
ええぇ……。
「じゃあ次は私ねー。 母乳を何リットルも搾られた後に壁尻にされて一晩中アナルもオマンコも使われてるわ」
母乳って…、ぇ、 何リットル?
何それそんなに出るものなの?
あと壁尻ってなに!?
それに使われてるって…。
「ハクレンも相当じゃな……。そうなると経験人数は数え切れんか」
「まあ、同じのがいっぱいいるんだろうけどねー。一回での回数は多分ぶっちぎりだと思うわ。……それで、貴女は犬でアナルって結構壮絶ね」
「うむ。尻穴を限界まで開発された上で、何頭もの犬達と尻での交合よ。最後には奴隷宣言までさせられてしもうたわ。……知っておるか。奴ら、射精しだしたら精液が溢れぬようコブを作って、満足したら引っ張って抜こうとするのだぞ?」
「うん、知りたくなかったわね」
なにそれ。
っていうか二人とも一体なにされてるの。
なんでそれで日常生活送れるのよ。
私なら一日でおかしくなりそうなんだけど…。
「それで、どうじゃ。やってくれる気になったかの?」
「あなたの体験談も聞きたいわねー?」
うぅ…。
こんなの聞かされて、やっぱり嫌ですって言うの無理じゃないの…?
うぅー。
もう、分かったわよ!
私の手であいつを動かして見せるわ!
「うむ。その意気じゃな。それで、ルーはどんなことをされたのであろうか?」
「聞きたいなー」
ああもう!
分かった、分かったわよ!
話すからちょっと離れてってば、もぅ。
「うぅむ…。これは心を徹底的に狙い打ちされておるな。あと、変な魔道具はお主が出所か。後で仕置きじゃ覚悟せよ」
「ご主人様って男に堕とされて別の男に心折られて、出張中は乱交アリって……、なんでそれで無事なの貴女」