「村長、酒スライムがどこにいったか分かります?」
「ん? お、セレスか。酒スライムなら酒を置いておくと来るんじゃないか?」
「もちろんそうしたのですが、来る気配がないので探し回ってるんです」
「うーむ。そういえば昨日辺りから見かけないな」
「ええっ!? そ、村長、捜索隊を組みましょう! きっとどこかで助けを求めてるはずです!」
「いやいや、まずは落ち着け。その前にみんなに聞き込みだ、まずは……、ドノバンたちからだな」
「なるほどっ、では行きましょう!」
おっと。
走っていきたいところですが、村長を置いていくのはいけませんね。
村長は慌ててないみたいです。
歩いて向かうようですし。
……
うーん。
それにしても、ドノバンさんのところですか。
盲点でした。
酒のあるところ酒スライムありです。
ちょっと焦ってしまいましたが、村長のおかげでクールダウン。
淑女たるもの、慌ててはいけません。
でも村長。
酒スライムのことですから、ちょっとくらいは取り乱しても仕方ないですよね。
「む、酒スライムか。うーむ、そういえばこの頃見ておらんな。おーい、お前たちはどうだ?」
「いや、確かに見ておらん」
「そ、そんな…!」
「むぅ、これはちょっと心配になってきたなぁ。マルビットたちにも聞いてみよう」
「村長、こちらでも聞いて回ってこよう。ワシらにとっても大事な仲間だからな」
ありがとうございます。
こっちにもいないとなると、本格的に心配です。
早くマルビットさんのところに行きましょう、村長。
はいっ、急ぎましょう!
あ、ちょっと村長。
ごめんなさい早いです。
追いつけないのでもう少し……
えっ?
あ、はい、じゃあ手を握って…、ええと。
……
不意打ちです。
こんな事態ですけどちょっと照れます。
なんだかこういう時は男の人って感じがしてずるいと思います。
うぅ…。
ちょっと頬が、熱いです。
マルビットさんやほかの人に会う前に冷まさないと。
……よし。
違うことを考えましょう。
そうですね、酒スライムのことが良いです。
ドノバンさんたちにも大事な仲間と思われてるのはちょっと意外でした。
試飲などで貢献してるからでしょうか。
それなら私もお付き合い出来ますよ。
今度提案してみましょう。
おっと鬼人族メイドたちに見られてますね。
頬のほてりは……
セーフ。
危ないところでした。
ありがとう酒スライム。
あ、でもこんな状態になったのは酒スライムのせいでは?
……
まあ、役得でもありますから相殺としましょう。
ふふ。
早く見つけてあげて安心したいところです。
まったく、どこにいるんですかね、酒スライムは。
このまま心配させ続けるなら一晩中抱き枕の刑ですよ!
「あれ、村長どうしたの? 飲む?」
「やっぱりここか……。またルィンシアに引きずり出されるぞ」
「オーロラの世話に行ってるから大丈夫よ。それより村長、おかき食べたい」
「俺にねだらなくてもアンたちに言えば持って来てくれると思うが…」
「理由は分からないけど、村長が焼いたおかきの方が美味しいのよね」
「むぅ…、そう言われると断れないな。よし」
「いやいや村長、本題。本題をお願いします」
私もこたつでお酒を飲みたいところですけど、いまは酒スライムです。
村長の焼いたおかきには心惹かれますが……
何故かマルビットさんに話しかけられるとコタツに入ってまったりしたくなるんですよね。
ですが流石にこのままだとコタツに居座ることになりそうなのでブロック。
マルビットさんに酒スライムの行方を聞いてみます。
「んー、どこだったかしら。……あ、思い出した。昨日温泉地で見たわよ。それがどうしたの?」
「おおっ。そこだったかぁ…。実は酒スライムの行方が昨日から分からなくてな。探してたんだ」
「確かコーリン教の宗主と一緒に居たはずだけど…。こっちに居ないってことは戻ってないのかしらね。いつもならココに居るはずだし」
やった。
とうとう目撃証言を得られました。
よく考えれば確かにマルビットさんの言う通りでした。
この村に居るのならお酒のあるところに酒スライムありです。
それがないということは村以外にいるということ。
むう……
気付かなかった。
村長の方は…。
あっ、気付いてなかったみたいです。
ふふ。
お揃いです。
二人とも焦っていたから仕方ないですよね。
では温泉地に迎えに行きましょう。
コーリン教の一番偉い人がいたら村長に任せますからね。
えっ。
どうしましたマルビットさん。
手、ですか?
手……
あ。
いえこれはそのべつにあれというわけでは
「はいはい、分かったから行ってきなさい。酒スライムが見つかったらみんなで一緒に呑みましょう。ね?」
うぅ…
あれは絶対にわかってません。
ニヤニヤして私と村長の手を見てます。
なんだかまた顔が熱くなってきました。
追及されないうちにはやく行き、
……
そうですね。
はい。
見つかったらみんなで飲みましょう。
でもその時はからかうのはやめてくださいね。
約束ですよ!
「ああっ、いました!」
「おお、ほんとだ。始祖さんも一緒みたいだな。ずっとここに居たのかな?」
「おーい、こっちですよー!」
「おや、村長。それに……。どうしたんだい?」
ふふ。
発見です!
酒スライムも、私の呼びかけに応えてぴょんぴょん跳ねてこっちに来ました。
まったくもう。
心配したんですよ!
え、お酒ですか?
残念ながら私も村長もここには持って来てません。
というか少しは反省をですね。
……
まったく。
抱きしめの刑です。
もうこんな心配かけちゃだめですからね。
うーん。
抱きしめてるとお酒が飲みたくなってきました。
酒スライムも飲みたそうですし、村長に言って帰りましょうか。
でもまだお話中みたいですからもうちょっとこのままでいましょう。
苦しい?
心配させた罰なんですから我慢です。
ほんとに。
ほんとに、心配したんですからね。
もう、勝手に出て行っちゃだめですよ。
「それでね、セレスちゃんは村長とずっと手を繋いでてねー」
ああもうマルビットさんっ。
その話はダメって言いましたよね!
ドノバンさんも聞きたがらないっ!
村長は反省しないで良いですから、そっちでおかき焼いていてくださいっ。
酒スライムはお酒あげるからこっちに戻ってきてっ!