「え、ええと。普通に嫌ですけど」
「まあまあ、ちょっと待って欲しい」
酒スライムを見つけ出した次の日。
五村の教会にコーリン教の一番えらい人が訪ねてきました。
宗主でも始祖でもどちらでも呼んでいいと言っていましたので、宗主様と呼びます。
その宗主様からとんでもないことを提案されました。
思わず必殺の左ショートフックが出てしまうところでした。
危なかった。
よく頑張った私の自制心。
「悪い話じゃないと思うよ。そうすることで君は、子供を産めなくなった身体を治せるんだから」
……
確かに、私の身体はもう子供を産めなくなっています。
何回目でしたか。
確か誘拐三回目あたりで裸にされて触られるようになったのでしたね。
その後くらいから、誘拐される度にどの勢力でも犯されるようになりました。
それが数年続いて、色々な場所で穢されました。
大変でした。
楽な勢力だと、偉い人達の相手をするだけでしたけど、
厳しい勢力になると、拷問官みたいなのも出てきて、徹底的に虐め抜かれました。
何度も自力で逃げることを考えましたが、捕まった時のことも思い浮かぶようになってしまって、諦めました。
その頃は別の勢力に攫われることだけを頼りに生きていましたね。
まあ、次のところも地獄でしたけど。
そこで、子供が産めなくなるようにされて、また何度か攫われて、ようやく今に至ります。
どこの勢力も、君のためとか、躾のためとか、神の声を聞くためとか、色々言い訳をつけて私の身体を好き勝手してきました。
ようやくここでは楽しく平穏に生きられると思っていましたが……
「もし村長と君がそういう関係になったら、例えどんな過去を持とうが、どんな身体であろうが彼は気にしないだろう。でも周りを見たとき、君は子供を欲しがると思うよ」
「私は村長が好きですけど、別に子供がいなくても」
「本当にそうかい? もし子供が産めたらと想像してみるといいよ。それと、彼の寵愛を受けた女性が今後も子供を産む姿を」
「それは……」
「僕は君の意志を尊重する。決して無理強いはしない。後々どんな声を聞いても君が迷うことがないよう、自分で決断して、その決断を受け入れて欲しいんだ」
「決断……」
……
確かに、それを受け入れたら。
私は……。
もう、既に身体は穢れきっています。
ですから、この人の言う治療を受け入れるのは別に構わないはずです。
でも、だからってそんなことをするのは間違っている気がします。
捕まっていた頃のように無理矢理されるのではなく、自分から身体を開くのは、全然、違いますからね。
……
うん。
やっぱりお断りを
「村長と一緒に子供をあやす自分の姿。酒スライムと子供が戯れて、それを見守る君。何の憂いも無くなって幸せになった自分」
それは、とても、惹かれますけど、
でも……。
「大丈夫、村長は何も気にしない。君を受け入れて愛してくれる」
分かり、ますけど…。
……
村長。
「それに、言うならば村長は神の使い。そんな彼に捧げるため、自らの幸せのために身体を治すと考えたら、どうだろうか」
……
村長と私のため……
「僕は色んな事が出来る。でも、神に誓って何もしていない。それは君の判断に任せたいからだ。君が決めたことは、どんな存在にも邪魔してほしくないんだ」
私は。
私は……。
―――決断してくれてありがとう。後悔はしないかい? …そうだね。分かった。それが君の意志なら、僕も受け入れるよ。
―――これから君に淫紋というものを刻み込む。淫紋によって精を吸収して、子を産むための力に変換するんだ。その力を使って、君の身体を治して子を産めるようにするんだよ。
―――初めに言った通り、本当に治ったかどうかは分からない。だから実際に孕んで、別の男の種で出産してもらう。もちろんその子供は僕が引き取って育てるし、誰にも知られないようになってる。
―――ああ、それは大丈夫。村長の種は特別みたいでね、淫紋の出産促成効果は働かないんだ。だから、村長の種で孕んだらすぐに分かるし、それで治療は終了。そうだね、それまではずっと治療は継続だ。
―――うーん。確かに、それもそうだね。じゃあ、村長以外の娘を三人産んだ時点で治療は一度終了しようか。その後は、君が治療を続けて欲しくなった時に、また治療をしよう。それでいいかな?
―――うん。じゃあ施術室に行こうか。そこで淫紋の刻印を始めよう。その間の仕事は別の者に頼んだりと辻褄合わせをしておくよ。二日間、頑張ってね。