最近、始祖さんの姿をみない。
やはり空を飛ぶクジラの影響で起きた災害の件で忙しいようだ。
といっても、仕事での送迎のために村には来ているようなんだが。
俺とはなかなか会えてない。
なんでも、来たらすぐに転移して、仕事が終わって連絡したらすぐに村に送り届けて消えるらしい。
セナが言っていた。
……
セナか。
どこで覚えてきたのか分からないが、身体を縛るプレイをしたがる。
強引にラムリアスを縛るのは個人の性癖だし、本人も実は悦んでいるから、いい。
自分だけじゃなく、ほかの人にも勧めようとするのも、……まあいいとしよう。
だが、夜の時以外で身体を縄で縛るのはやめて欲しい。
さっき、チラっと見せられて驚いたから。
そういうのは夜だけ。
夜だけにして。
俺に見せてすぐ、きゃーと言って逃げていってしまったから、驚いて注意出来なかった。
次に会ったら、そう説得しよう。
……
出来るかな?
うん。
頑張ろう。
よし。
切り替える。
とりあえず、始祖さんは忙しくて今はどうしようもない。
村でとは言わないが、温泉地でゆっくり身体を休めて欲しいが……
今は難しそうだ。
時間が出来たら温泉地に誘うくらいにしておこう。
ライオンたちも寂しがっているしな。
「村長、アルフレートたちが行って寂しくないかい?」
おっと。
珍しい。
始祖さんか。
久し振りだ。
アルフレートたちは村から離れて、王都の学園に通うようになったからなぁ。
寂しくないと言えば嘘になるが、どちらかというと心配の方が強いな。
子供たちの手紙を読んでいると余計にそう感じてしまう。
親としては信じるべきなんだろうが……
アース、アサ、メットーラがうまくやってくれることを祈ろう。
村の外の世界を楽しんできて欲しい。
ハクレンも、ウルザからの手紙で復活したしな。
「ははは…、そうだね。彼女はかなり落ち込んでて、仕事に行ってもらうことも出来なかったから。復活したなら何よりだよ」
ああ。
いや、そうか。
仕事があったんだったな。
すっぽかすことになってしまってすまない。
ハクレンの代わりに謝る。
え?
気にするな?
そうか。
ありがとう。
「彼女には、これからまた頑張ってもらえばいいだけだからね。それに、そろそろ良い人数になってきたし、お役御免も近いかもね」
ん、お役御免?
そういえばハクレンが始祖さんからの仕事を始めて、もう結構経つな。
そうか。
終わるのか。
「まあ、まだはっきりとは言えないし、ポーション搾精のために来て貰うことになると思うから、そこは了承して欲しい」
ああ。
それは仕方ない。
その新型のポーションの出来も良いみたいだしな。
凄いなと感心したし、それに関わったアンとハクレンも褒めた。
本人たちは微妙な顔をしていたが……。
やはり自分が作るのと、素材を入手するのとでは感じ方が違うのかな?
俺はどちらも凄いと思う。
素直に喜んで欲しい。
それに、この間ルーがそれを重病人の治療に使ったらしい。
それだけ効果が高いということなんだろう。
「……そうだね、話は聞いているよ。治療にも使うなんて、ルールーシーもよくやったよね。 それで村長、一旦戻って申し訳ないんだけど、本題を言ってもいいかな?」
ん?
俺としてはもう少し話したいが……
ルーの医療技術のこととか。
アンよりハクレンの方が採取が上手なこととか。
まあ、始祖さんならルーたちの凄さも知ってるか。
それに、始祖さんは忙しいしな。
仕方ない。
うん。
本題を聞こう。
「ありがとう。 子供たちがいなくなって、村長が寂しがってるかもって思ってね。そろそろ使える…、じゃなくて、村長に女性たちを紹介したいんだ」
女性たち?
新しい移住者かな。
え、違う?
夜の生活に?
いらない。
本当にいらないから。
バリエーションは揃えてると言われても。
実年齢は少ないけど外見はもう大人って、それはアピールポイントじゃないと思う。
「村長にはそれに相応しい女性が必要だと思うから、村長のために用意したんだ。外見は幼いのから色々といるから、選んで欲しい。もちろん全員でも良いんだよ」
待って。
ノー。
本当にこれ以上は無理だから。
それに、俺に相応しい女性と言われてもな。
ルーやティアたちは俺には勿体ないくらいの嫁だ。
嫌だと言われても、手放すつもりもない。
俺がみんなに相応しくないというのなら、頑張る。
さしあたっては畑を……
え、違う?
……
あっ。
もしかして俺のことを神の使いって言ってた件か?
違うから。
恐れ多い。
「しかし村長はどう見ても……。 ……ふぅ。 そうかい、分かったよ。 まだ時期が早かった、かな。それとも人数……? もっと色んな女性を集めて、村長に相応しい子に育てる…? もしくはこちらの人数を……」
あ……
行ってしまった。
始祖さん、悲しそうだったな。
悩みながら何かぶつぶつ言っていたし。
疲れているんだろう。
忙しい中来てくれたのに。
多分、これを聞くためだったんだろう。
……
うーむ。
受け入れるべきだったかな?
いやいや。
現状を見ても無理だろう。
それに近年、別の意味でルーたちの攻勢が激しい。
昔はそうでもなかったのに、ローテーションに入っていない日になると悲しそうな切なそうな目で見られてしまう。
すまない。
なので始祖さんの用意した女性たちを受け入れるのは無理だろう。
俺の心の棚も悲鳴をあげている。
……
始祖さん、俺のことを本気で神の使いって思ってたんだな。
今度から、スアルロウたちと言い合いしてるのを見たら止めよう。
巻き込まれたくなかったが、流石にこれは放置出来ない。
何度も違うって言ってるのになぁ。
それにしても。
昔のことだけどふと思い出した。
始祖さんってあんなに創造神様たちへの感謝や祈りの念があるのに、どうして像が光らなかったんだろうか。
フーシュが祈った時は光ったのに。