「ふう、前情報がなかったら見落としていたよ。すまないけど知られた以上はそのままには出来ないから、縛らせてもらうよ」
「コーリン教の宗主ともあろう人が、何をしているんでしょう。 ……村長は知ってるのですか? 知らないですよね、でしたら」
「時間稼ぎをしようと思ってるんだろうけど、無駄だよ。 どれだけ待っても、キアービットとルィンシァはここには来ないからね」
「えっ? ちょ、ちょっとそれってどういうことですか!? まさか貴方…っ!」
「ご想像にお任せするよ。 ……月並みな表現で悪いけど、彼女達に危害を加えられたくなければ、今回の件……、分かるよね?」
まずい。
まずいわー。
大臣への追及くらい私だけで良いからって執務に戻らせちゃったのが裏目に出たかな?
でも薄々感じてたえっちな気配をキーちゃんに確信させるわけにはいかなかったからなー。
ティアがこんなことになってたなんて知ったら、キーちゃん絶対暴走するだろうし。
……
うん。
キーちゃんが返り討ちにあって同じような境遇に堕とされるのが分かるわー。
これは駄目ね。
と言ってもこのままだと私がその立場になりそう。
……
どうしようかな?
「……それは分かりましたけど、理由くらい聞かせて欲しいです。黒幕は貴方として、ティアをあんな風に扱って何がしたかったのですか? それと、……それはティアだけですか?」
「僕はね、子供が欲しいんだ」
「……? 意味が…」
「それも強ければ強いほど良い。私の力に耐えられるくらいね…。これまで何度も記憶を消して生きてきたけど、それだけはずっと残ってる。残している」
「…なら作ればいいでしょう。 吸血鬼ならば血の契約で今まで通り増やせば」
「分からないかな? 僕は、私は子供が欲しいんだ。血の契約ではない、私自身の子供が。 創造神様には本当に感謝してるんだ。でも、私は、自分の子が欲しいんだよ」
……
なんだろう。
物凄く危ない匂いがするわ。
イっちゃってるというか。
このまま話を続けるのは悪手だと思うけど……
どうせ逃げられそうにないし、今後のためにも聞いておこうかな?
時間を稼げば何か好転するかもしれないし。
「血の契約では駄目なのね? でも貴方達吸血鬼は」
「そう。私達、吸血鬼は子供は出来ない。神代の遺産を持ってきたとしても、それは純粋な意味での子ではない。昔も今も、それを使って作った子は吸血鬼ではなかった。 そう。出来ないはずだったんだよ」
「……色々やって駄目だったのは分かりますけど、あきらめ…、て……、あ」
「ルールーシーに子供が出来た、正真正銘彼女の子だった。 何故出来たのか。相手が村長だったから。 何故村長なら作れたのか。凄まじいほどの神気を持っているから。 ならば村長と交配して出来た子供は、私の子を宿せるのかもしれない。長い間続けてきたこれまでの実らない実験がこれからは必要無くなったんだと安堵した。これは創造神様が私にくれた機会だと思ったよ。だから計画を変更したんだ」
「交配って……。ううん、その、計画ってどういったものですか?」
「ああ…、ずっと誰かに言いたかったんだ。一人で延々と続けていた絶望の日々から抜け出すことが出来た、希望の光のことを。 それを使って立てたこの計画のことを」
うーん。
悪役みたいになってるわ。
自分に酔ってペラペラと計画を喋って後で成敗されるようなの。
これまで何度もそんなの見てきたし、させてきたけど……
今回も同じようになれば良いけど、どうかな?
ルィンシァとキーちゃん、大丈夫よね?
「村長を使うんですか? でも、そんなことをすれば、私達はどうにか出来ても、竜族…、それも神代竜族達が激怒しますよ。 流石の貴方でもそれはどうしようもないでしょう?」
「そうだね、だから村長には知られないように動いたさ。待つことには慣れてるからね。 チャンスを待って、契約で縛って、子供を産ませて……。母体が強いと、出来る子供も強くなる。その子供達を急成長させて、交配と出産が可能になるまで待ったよ。数が増えるとそれだけ孕ませられる機会が増えるから、色んな子達に産ませたんだ」
「……村長の周りの女性達を狙ったのね。 強い子供をというのは急成長させるため? それとも少し前に言ってたように、貴方の力に耐えられるようにってこと?」
「両方だよ。そしてその子供を村長と交配させて、娘が出来たら私との子を産んでもらう。 息子なら、他の子供を使って、娘を産ませてそれを私がということだね。この場合だと一世代待つ必要があるけど、私の子が出来るのなら構わない」
「つまり、村長に女の子をあてがって、その子供を自分が貰うってことね。 ……破滅するから、今いる村長の子を狙わない分別はあるとしても、酷い計画よ、それ。 それに、今まで作ってきた子供がいるわよね? それも出産が可能な年齢の。 なら、リスクを冒してティア達を使う必要ある?」
「あるさ。だって、自分の子が出来るかもしれないんだよ、本当の夢だった自分の子が。 それなら、より強い子供を使いたいだろう?」
「……おぞましい」
「うん。理解されようとは思ってないよ。ただ、私の希望はそれだったというだけだからね。 話せて良かった、本当に清清しい気分だよ。 じゃあ、そろそろいいかな。 君も、本当に誰も来ないってしっかり理解出来ただろうし」
「待って。 ルィンシァとキーちゃん…、キアービットはどうしたの? それを教えてくれないなら、例え勝てなくても最後まで足掻くわよ」
「……まだ彼女達には何もしていないよ。 だから、君に暴れられると困ったことになる。 その時は、こっちもなりふり構わず収拾つけることにするかな? 例えばこの国や天使族―――」
「あー…、もういいわー。はぁ…、言わなくていいです。 ルィンシァとキーちゃんは無事なのよね? 何もしていないのよね?」
「何もしていないし、君さえ口裏を合わせてくれるのなら、今後手出しすることもないよ」
はぁ…。
まさか自分がこんなことになるなんて。
いいなりになっても、絶対好転しないやつじゃない。
散々えっちなことされた後に、実はキーちゃん達も裏でされてましたーっていうやつ。
これまで、権力とか持った色んな悪人がやってきた手口。
被害者も加害者も沢山見てきて、自分は絶対こんなこと頷かないって思ってたのに。
「じゃあ、さっき君が痛めつけた大臣にも働いてもらうことにしようか。実はもう回復させていてね、精力剤も飲んでもらっているんだよ」
分かる。
歯向かっても絶対に勝てない。
だからって私が廊下や壁なんかを壊して暴れても、逃げに徹したとしても、万が一にも逃げ切れる気がしないし。
例え本当に色々壊したり爆発させたりしても……
痕跡を消すためって理由で、ルィンシァ達どころか、他の天使族まで隷属させたり、この国ごとどうにかするはずよね。
「淫紋を刻んだら君も楽しめるようになるから、心はともかく身体だけでも気持ちよくなるといいよ」
分かる。
普通ならそこまでしない。
でも自白したことを聞く限り、絶対にやるわね。
それを悟らせるためにも言ったのかな?
「君はガチガチに縛っておかないと怖いからね。じっくり楽しんでもらって、消耗し切った後で頼みごとをする予定だよ」
ほんとに来ない、かー。
もう、詰んでるかな?
詰んでる、わね。
「彼の方も待ちきれないようだし、淫紋を刻むためにも服を脱いでもらおうかな」
ごめんね、キーちゃん。
……
あー。
怖いなぁ。
「ん……っ。 やっ…、さわ、触ら、ないで……っ! ん…っ、ぁあっ、あんっ、駄目っ。 全部気持ち、良く…っ、なって、て…っ! こんな、こんなの知らな、知らないっ。 キーちゃんっ、キーちゃんたすけてっ、たすけてっ……、ぁっ、ぁぁ…、ぃ、ぃや……あっ!」