※この作品はR-18です。

戦国†恋姫〜巻き込まれた保護者たち〜   作:やまかっちゃん

8 / 8
今回は短めです。


8話

「ふむ……五割の力でのびてしまうとは情けない」

 

「阿保。貴様の一撃を受けて、五体満足でいるだけマシであろうが」

 

「確かにそうかもしれませんな。……攻撃の瞬間、地面を蹴って飛び退がりながら、身体の中心線を刀でしっかり守っておりました。なかなかに、やる」

 

「うむ。なかなかの腕前であろう?」

 

「認めましょう。……他の者はどうだ?」

 

「私はもともと認めておりますから」

 

「雛も異議なーし」

 

「ちぇーっ。壬月さまがそう仰るなら、ボクも納得さてやりますよ」

 

犬子はねー、立ち合ってみて、この人、結構優しい人だなーって分かったから賛成ー!」

 

「なんだよそれ。嗅覚かよ」

 

「そうだよ。犬子の嗅覚は確かだよー」

 

「……だそうです」

 

「よし。ならば決まりだな。……結菜も良いな?」

 

「……………」

 

「結菜」

 

「まだ……認めてあげない」

 

「そうか。……ならば仕方ない。もともと、お前は自身の目で見て確かめるという約束だったからな。好きにせい」

 

「……(コクッ)」

 

「でも殿ー。こいつを夫にするって本気なんです?」

 

「本気だ。……が、何か懸念でもあるのか?」

 

「いや、いくら他家からの政略結婚の申し込みを袖にするための道具とはいえ、殿、可愛いから、こいつが変な気を起こすじゃないかなーって」

 

「我の相手が、こやつに務まるとは思えんが」

 

「そこはほら、若い男女ってこともあるし」

 

「そうなればなったで、本当の意味で夫にしてやっても良い。その覚悟はあるぞ」

 

「なっ!?」

 

「なんだ?」

 

「べ、別に。……ふんっ!」

 

「……??」

 

「まぁ結菜さまのおむずがりは置いておきましょう」

 

「こら壬月!」

 

「おけぃ」

 

「むーっ……」

 

「あー、すまん話し合いの中を遮って悪いが、この後の俺らの相手はどうするつもりだ?」

 

「……すまん、忘れてた。そうだったな。……どうするか」

 

「なんなら殿、このまま私が相手をします」

 

「そうか。好恋もそれで良いか?」

 

「もちろん大丈夫だ。ただ、そろそろ恋の我慢が限界っぽいから最初は恋が相手をするよ。俺としては剣丞のお詫びに麦穂さんの相手をするよ」

 

「そうですか?……ならお願いいたします」

 

「なら決まりだな!そちらは武器はどうする?」

 

「あるから問題ない」

 

そう言った恋は、自分の背の中に手を入れると、物理的に無理があるはずの方天画戟を取り出した。

 

「「「「「「「なっ!?」」」」」」」

 

俺と恋の方天画戟は真桜のやつに改造してもらっていつでも取り出せるようにしてもらっていた。俺ももう出しておこう。

 

「貴様らはなんというか……やはりどこかおかしいな」

 

「そうか?」

 

「まぁ、良い。……では試合を始めるとしよう」

 

こうして、恋と勝家による試合が始まった。

 

 

「ふむ……儒子よりはどうやら強いようだな」

 

「…………全力でかかってこい」

 

「その意気やよし!いくぞぉぉぉぉぉ!!!」

 

勝家は、先ほどの剣丞との戦いよりもより濃い氣を纏っていた。

 

「…………この、程度?」

 

「なっ!?」

 

勝家の全力の振り下ろされた斧を、方天画戟を片手で持って受け止めていた。

 

「ほぉ!あの壬月の一撃を難なく受け止めるか!なかなかやるではないか!」

 

「……これだけでも他国に手放さくて良かったと思いましたよ」

 

「…………」

 

「「「」」」

 

久遠と麦穂さんはそれぞれ今の感想を述べ、結菜はただ、ひたすらその戦いを眺め、三若の三人はポカーンとした顔で驚きを隠せていなかった。

 

「……耐えてね」

 

「ぐっ!?」

 

恋は、受け止めていた斧を上にはねあげ、すかさず一気になぎ払う。

 

勝家はどうにかはねあげられた斧を戻し、恋の攻撃を受け止められたが、あまり衝撃を逃がすことができず、片足をついてしまった。

 

「……どうする?」

 

「くっ!まだまだぁぁぁ!」

 

「うん、ならこれで最後」

 

「ぐはっ!」

 

そう言った恋は、方天画戟を勝家に投げつけ、勝家が方天画戟に気を配っていた間に懐に入り、みぞおちにおもいっきり殴り勝家を気絶させた。

 

「……見事なり!和奏!壬月を介抱してやれ」

 

「は、はい!」

 

「まさか壬月さまがやられるとは、剣丞どのといい、好恋どのたちといい、久遠さまは良い者たちを拾われました」

 

「ふっふっふっ!そうだろそうだろ。……よし!次の試合を始めよう」

 

「先ほどは剣丞のやつがすみませんでした」

 

「いえ、剣丞どのにももう謝ってもらいましたからお気になさらず」

 

「いや、これは保護者としてきっちり謝罪させて頂きます」

 

「そうですか、ならその謝罪、今の試合で全力でお相手いただければ、それでとんとんとしましょう」

 

「ありがとうございます」

 

「ふむ。では両者構え!」

 

「始め!」

 

「…………」

 

「…………」

 

「…ふっ!」

 

「くぅっ!」

 

最初は、剣丞の時と同じように睨み合いをして相手の出方を見ていたが、こちらから仕掛けることにした。

 

麦穂さんもこの攻撃をやはり読んではいたようだが、衝撃の大きさまでは読み切ることができずにいたのか、先ほどの勝家のよりも大きくぶっ飛ばされていた。

 

「ぅぅ、まさかここまで力が強いとは……」

 

「どうした?もう終わりか?」

 

「いえ、まだやれます!」

 

「そうか……恋!頼んだぞ!」

 

「………(コクッ)」

 

麦穂さんの方向を見ながら恋に対してそう告げた。

 

「よそ見とは、余程余裕なのです、ね!」

 

俺が恋に告げた瞬間、麦穂さんは舐められたと思ったのか、激昂しながら俺に斬りかかってきた。

 

「おお!いいねいいね。だけどまだまだ甘いぞぉぉぉ!」

 

麦穂さんの攻撃を受け止め、それをまた振り払った。

 

「今度はこっちからいくぞぉぉぉぉ!!!」

 

「ひっ!」

 

俺の迫力に負けたのか、麦穂さんは小さな悲鳴をあげた。

 

(うーん、この試合はここまでかな?)

 

「せやぁぁぁぁ!!」

 

「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「……大丈夫?」

 

俺はまた方天画戟を横になぎ払い麦穂さんをぶっ飛ばし、ぶっ飛ばした麦穂さんは恋に受け止めてもらった。

 

「勝負あり!我の家老がことごとくやられてしまうとは驚いた。好恋たちも力は申し分なし!」

 

「はぁ、はぁ、はぁ。私は負けたのですね」

 

「……ところで、剣丞どのの扱い、どうされるのです?夫という形で傍に置くのは構いませんが、働かざる者、食うべからずとも言います」

 

「何らかの役をお与えになった方がよろしいかと」

 

「一応、服案はあるのだが……」

 

「殿ぉー!たった今、佐久間様の部隊が墨俣よりご帰還されましたー!」

 

「デアルカ。……おい猿!」

 

「は、はひっ!?」

 

「貴様もそろそろ武士として名乗りをあげても良い頃合いであろう、剣丞の下に付き、功をあげよ」

 

「えっ!?あ、あの、じゃあ私……」

 

「うむ。小人頭を免じ、今日より武士となれ」

 

「あ、あ、ありがとうございましゅ!」

 

「うむ。剣丞隊第三号として励むが良い。まずは剣丞を介抱せい。目覚め次第、四人で城に来い。沙汰をあたえる」

 

「はいっ!」

 

「悪いな、お嬢さん。剣丞のことを頼む」

 

「……お願い」

 

「はいっ!任せて下さい!」

 

「「ありがとう」」

 

「これにて剣丞、好恋、恋の検分を終える!皆は評定の間に場に移し、墨俣よりの報せを聞け」

 

「「「御意!」」」

 

 

 

 

 

 

 

「ん……?なんだ……?」

 

「地面が揺れて……」

 

「地震!地震だぁーっ!」

 

「揺れが止まった……。ふぅ……急になんだってんだ、全く……」

 

「一葉さま!」

 

「騒ぐな。地震であろう。気付いておる」

 

「御身にお変わりは?」

 

「死んでしまいたくならほど無聊であるが、その他は特に何もない。……おまえはどうだ?」

 

「はい。私も特に変わりはございませんが……町は大丈夫なのでしょうか……?」

 

「当地では大きな混乱はござらん。しかし噂では大和辺りの被害がひどいとのこと……調べますか?」

 

「ふむ……地、揺れるは凶兆とも言うが。……手空きはおるのか?」

 

「釣り好きの古狸の他、腐れ坊主に主税助が妙な動きをしておりますれば、あまり空いている者は居らず。ご所望あらばそれがしが赴きますが……?」

 

「……いや、良い。貴様には魍魎の巣を見張って貰わねばならん」

 

「御意。引き続き身張り番をしておきましょう」

 

「それではそれがし、これにて失礼致しまする」

 

「…………………」

 

「お姉さま……?」

 

「……凶兆であれ、吉兆であれ。憂き世より投げ出され、置物となった余には、もはや是非もない」

 

「そんな悲しいことを仰いますな」

 

「悲しい、か。そのような心さえも、どこかに置き忘れてしもうたわ」

 

「……余を二畳の屋敷より連れ出してくれる者が、この天地のどこかに居てくれることを切に切に願う」

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