知ってる、これは夢だってわかってる……。
アタシの持つ記憶が見せる、何度やっても変える事のできない景色だ。
そしてこの記憶も、この世界のどの時代にも存在しない船のモノだってわかってる。
だって船の名前が変だもの。
この国の船は、海とか水とかの神様から一文字貰って名前を付けるみたいだし、アタシの故郷では、迷ってしまわないように長く航海していられるように、進水の季節と逆の季節の星々から名前を貰う。
欧州の神話なんかに対抗して、それまでになかった星座や伝説が新説されちゃうのが困りものだけど、新しい船のお祝いとして、願いの籠められた物語が贈られるのは素敵だと思う。
でも『アタシ』はそんな名前じゃないし、この夢の中にもそんな名前の船は一隻もいない。
なぜ何回もこの記憶達を見るのか。
強さを実感するたびに鮮明になってゆくこの夢の中で、なぜ何度も変える事のできない景色を見せつけられるのか、そして打ちのめされるのか。
そんなの知ったこっちゃない。
諦めてなんかやらない。
例え変えられないモノだとしても、アタシは何度でもやってやる。
皆を守るために、皆を窮地から救うために、その一分一秒を稼ぎ出すために、アタシは何度だって挑んでやる―
―アレ?
なんで、アタシ抱きかかえられて……?
「ぅうわっ! うっそ? ちょ、暴れるな!」
オカシイ。いつもと違う、景色が影掛かってる。
それにコイツは……誰だっけ?
「何なのアンタ? それにココ…、どこなの!?」
「すげーな、もう気が付くのか。自分で目覚めちゃうタイプだったのかな?」
「答えなさい! アタシは急がないといけないの!」
なんで? 武器が無い……、武器って手に持つんだっけ?
それにコイツ、海の上に立ってる! 夢だから??
海もなんだか……、赤黒い。
「えっと、えぇ~っと。俺は……、んん~っと。ダメだ、まだ深い所に居るから色々思い出せない」
「……敵じゃないみたいね。それなら悪い事は言わないわ、早く逃げた方がいい。アタシは戻って戦わないとならないからっ!」
「あっ! ダメダメっ! 逃げなきゃならないのは……、えーっと、キミの方なの!」
「あなた何ワケのわからない事言ってるの?」
アタシの夢のはずなのに!
会話の仕方も変だ。
伝えるのと同時に相手の返事が頭に響いてくる。
コイツの手……、振りほどけない!
「んと、ココはキミの夢の中なんだけど、そうじゃなくって。えぇ~っと、ヤツラがこの夢を利用してるんだ。キミをココに閉じ込めるために!」
「閉じ込める? ヤツラって誰?」
「ヤツラっていうの……、キタキタきたあああ! 走って!!」
黒い影が襲ってきた! 何なの!?
それを打ち払ったコイツの棒みたいの……、フサフサの付いてるタクト?
「はぁはぁっ! 俺はキミがあの影みたいのに捕まらないようにするために、ココから連れ出しに来たんだ! 罠なんだコレは!!」
「アタシの夢なのに何で? ちょ、わかったから、走るから離して! そっちのが速く走れる」
「ダメだ!! キミは想いの強い子だ。ハァハァッ、そしてココはキミの夢だ、記憶だ! だからキミは引っ張られる。想いが強いから手を放すと一気に距離が開いちゃうんだ!」
ハッ! 雷跡!?
「危ない!!」
「ぬあっ!? 前に出んな!! このっ……、どっこいせっっ!!」
「ちょっと、ねぇ? 大丈夫なの? 脚が……」
足元から伸びてきた黒い影に齧られて、彼の腿のあたりが白い霧みたいな煙をあげてる。
「何でアタシを庇って……」
「ヤツラが捕まえたいのはキミだ。記憶の引力で縛って、その力を封じ込めたいらしい。俺はそれが気に入らない、だから連れ出したい。壁役は俺ね? あ、でも足元から来られるの苦手だから、気付いたら教えてくれる?」
「わかった……」
「おし、走るよ!」
走り辛そう……。
異様な事が起きているのはわかる。
でも、よりにもよって自分の夢から逃げる事になるなんて。
……逃げる? このアタシが?
「やっぱり待って! お願い戻らせて、他にも助けたい仲間がいるの!」
「……ずびっ。わかってる、でもダメ……。ずびぃぃぃじゅるるるぅ~」
「危険なのはなんとなくわかるわ。でもだからこそ戻らないと…って、あなた苦しいの? やっぱりさっきので脚が痛むの?」
「痛くはない、そうじゃないんだ。こーゆートコだと感情のふり幅が激しくなる。俺はこの夢の、記憶の事を少し知ってる。何が起きたか、キミが『誰と』戦ってたのかぼんやりわかるんだ! それで……」
「それなら理解できるでしょ? アタシは戻るから、あなただけ逃げて」
「だ! っから、それが罠に利用されてるんだって!!」
「でもっ!!」
「お願いだ、前にもあったんだ! その人は自分で目覚めていたけど、想いが強すぎて黒い影の檻に自分で捕らわれちゃってた。一緒に居たはずのもう一人を、仲間を探してずっと影の群れの中で戦い続けてた。えーっと…、ダメだ名前になると途端に思い出せない!」
「そんな……」
「想いが強いからこそ引っ張られてしまう、そしてそれを罠に利用される。でもだからって仲間を思う気持ちを捨てろって事じゃない。俺はちゃんとこの記憶を持ち帰って欲しいんだ!」
「どこへ?」
「そりゃ勿論、夢から醒めたキミにだよ」
「あなたがその罠ってことは?」
「……ずひっ。その発想はなかったわ」
「バッカじゃないの!?」
「ねぇ~~頼むよ~、信じてくれよ~~。キミの夢なんだし、連れ出せるのもキミだけなんだよぉ~~。早くしないとキミに気付いたヤツラがもさもさ沸いて来るんだよ~」
「……そうみたい。距離を保って、追跡か包囲しようとしてる」
「それはヤバイっす。早く行こう!」
「わかったけど、どこまで逃げれば良いの? あの数に来られたらやっかいだわ」
「やっかい程度の認識なのが凄いや。やっぱりキミは強い子だと思う。その分ヤツラも必死になりそうで怖いけどまぁ平気だ、たぶん。ほら、水先案内人と心強い味方が来てくれた」
――何なのこの子達。
この白いフワフワが案内人なの? 小枝でフリフリ行先を指してる。
そして白い影のような、アタシと同じ位の背丈の子が二人に、少し背の高い、髪を片側だけ結ってる子が一人。
背の高い子は、上から降って来た影達を軒並み撃ち落としてる。
髪の長い子は、間合いを潰して包囲からの次の一手を与えない。
髪の短い子は、相手の隙を見逃さずに飛び込んで、先手の悉くを乱して戻ってくる。
たった三人で、影の襲い掛かる好機を潰してる。
間合いも計られてるから、足元からの攻撃もバレバレだ。
特に髪の短い子が凄い。
攻守の切り替え、その判断の早さ、機先の制し方がアタシのそれとは感覚がもう違う。
でも数が多い。
アタシが駄々をこねたから、出足が遅れて影が群がってしまっていた。
そのせいで一番身のこなしの悪い彼が、アタシを庇ってもう何度も噛み付かれている。
その箇所が霧のようになって、周りの白い霧に溶けて霧散してしまいそうだ。
―あれ? いつの間にか、周りが黒い霧掛かった景色じゃなくなってる。
海も赤黒くない、青い海だ!
「ぜぇはぁ、ぜぇ~ぜぇ~。向こう…、見える?」
晴れ間が見える。
「あっちに行けばいいのね?」
「……そう。げっほっげほっ! 俺は、逃げることしか出来ないんだけど、これでいいんだ。うぇへっへっ…、これがココでの勝ちなんだ」
「はぁーはぁー。こ、ここらの白い霧が薄くなってるとこ、この辺が境目なんだ。ヤツラも俺たちもココまでしか来れない」
「境目……」
「そう。後ろが夢、記憶、つまり過去側ね。あ~振り返らないで、引っ張られるから。そんでアッチの晴れてる方は……」
「未来側?」
「そうそう! いいかい? これからあの晴れ間のその先へダッシュするんだ。この想いを、記憶を未来側に持って帰る。そっから先はキミ次第、いいね!?」
「わかった。でもあなたは? どうするの?」
「俺はまだやる事がある。今回は少しだけ余裕あるから調べとかないとならないんだ」
「何を調べるの? あなたは逃げなくて平気なの?」
「んとね、なんか他の誰かも、しかも沢山の人がココに来てる形跡がある。それを調べないとならない」
「そんなはずない。アタシ他の誰とも会ったことない」
「だと思う。たぶん失敗してるんだ」
「失敗? 何を?」
「う~ん、確かな事は分からないんだけど。沢山他の誰かがここに来てて、数えきれない程失敗をしてる。俺も実は何度かしくじってるんだけど、予め『失敗のルート』が彼らのおかげでいくつも塗り潰されてたんだ。だからそれよりずっと少ない失敗で、俺はここに来れるルートに辿り着けた…、ような気がする」
「その失敗側は、黒い影の影響が凄く濃いみたいなんだ。だからそこを調べてくる。この夢が醒める瞬間なら、あの影の出所がわかるかもしれない」
「それ絶対に危険だわ! あなたもアタシと一緒に行きましょう!?」
「だいじぶだいじぶ。俺基本臆病だから、ちょっと覗いたらすぐ戻るよ。もうヘトヘトだし、帰って寝たい気分だし。ん? 夢の中だから帰って寝るっておかしいのか?」
「なら、わたしも……」
一緒に付いて行くという提案は、彼の疲労の滲み出ている優しい笑顔に遮られた。
「心配しないで。こーゆートコだと俺ちょっとだけ凄いみたいだし、案外俺のが先に目が覚めてるかもしれない。起きてなかったら引っ叩いて起こしてくれていいから」
「わかった、アタシがすぐに起こしてあげる」
「よし! じゃあジョンは、振り返らずにアッチへ一直線にダッシュ! いくよぉ~?」
彼の手がアタシの両肩に添えられる。
「よぉ~い……、ドン!!」
駆けだしたアタシの後ろで、彼のあのヘンテコな掛け声が聞こえてきた。
ウソツキ、また影が追ってきてたんじゃない!
でも振り返らない。
きっとアタシが夢からキチンと醒めれば、彼も役割を終えられる。
この気持ちを、大事な想いを今の『アタシ』に受け渡す。
全力で駆けるアタシに、景色が加速して歪んでいく。
白い霧を抜け、もう見慣れた青い海とその景色がギューンとズームしたようになる。
目覚めが近いのを理解する。
あの影の出所を調べるような危ない事を、てんで弱い彼が無理に仕出かさないように。
アタシがすぐに、引っ叩いて起こしてあげる。
◆
飛び起きたジョンストンはその勢いのまま、二段ベッドの上からジャンプして猫の様に音もなく床に着地する。
下の段で眠る姉は、気配を殺し切った彼女に気が付いた様子はない。
そのまま駆けだそうとして、ジョンストンは思い直す。
今の自分が負う役目は、いつ何時でも対応できるようでなくてはならないはずだ。
急いでいつもの戦衣に着替えた彼女は、髪を結ぶのは走りながらにして、姉の睡眠を邪魔しないように部屋を出る。
後はもう早かった。
あまり息を乱す事なく夜中の司令官宿舎に辿り着いた彼女は、チャイムを鳴らす前に扉を開けたガンビア・ベイに迎えられる。
涙目のガンビア・ベイと、奥から続いて迎えに出て来たアイオワに抱きしめられ、提督の眠る寝室へ案内された。
明石と大淀、そして榛名に見守られ、うなされて汗をかいている彼にジョンストンは近付くと……。
―ベチンッ!
「危ない事はやめて、もう起きて!」
榛名も面食らった起こし方に、「んぁ~痛いよぉ~」と、呑気な寝起き声と供に目を開けた提督。
その彼を、ジョンストンは抱きしめた。
◆
夢の中での不思議な出来事だったとは言え、自分のために頑張ってくれた彼。
ケッコン式でも晴れ姿に滝の涙を流しながら喜んでくれて、クスクス笑いが聞こえる中、司式を執り行ってくれたサラのウインクの合図で、拭いても拭いても切りのない涙で濡れた頬ではなくて、ちゃんと唇に誓いのキスを送ってあげたのだが……。
今隣で、テントを張る股間に前屈みになりながら、情けない恰好で歩く彼は、果たして彼女が指輪を受け取った相手と同一人物であるのか、もの凄~く疑わしい。
「ねぇ、ソレどうにかならないの?」
「そ~り~ジョン。だがそれは無理ってもんさぁ~。なんせ、ジョンが水着おめかしで仲直りに来てくれて、しかも……うへへ、エッチOKなんて言われたら、そりゃもうハッピーチンポさ! HAHAHA!」
「はぁ…、誤魔化さなくていいわ。もぉ、ちょっとコッチ来て」
ヤシの木が植えられている、浜辺に沿うように舗装された道。
そのうちの一本。幹の太いヤシの木の木陰へ、ジョンストンは彼の手を引く。
「まだ歩くみたいだから…、ここで少しシテあげる」
「ふぁっ!? ここ? 外でなの? ジョン恥ずかしいの苦手なんじゃ……」
「し、仕方ないじゃない、貴方歩き辛そうにしてるし……。それにこの辺は建物が無いから誰も居ないし。それにこれは可及的な…、んっと応急処置。そう! ダメージコントロール!」
「いや、ワカランけども」
「嬉しくない?」
「めちゃくちゃウレシイです!!!」
「えとっ、手でだから! 応急だからね!」
「ジョンの可愛いお手々で……ゴクリ。はい! それでお願いします!!」
日差しが強いので一応木の影に提督を招いたジョンストンは、口を引き結んだ少し困ったような顔をしつつも彼の履いている水着に手を掛け、テントとなっている原因、ハッピーチンポを取り出した。
「なんかヌメヌメしてる……。キモイ」
「どうやら俺は、鈴谷に教育的指導をしないとならんらしいな。このハッピーチンポで!」
サブ島沖の南方棲戦姫を叩く時、共に出撃した航空巡洋艦の鈴谷。
敵の哨戒部隊との夜間戦闘で、敵駆逐があろうことかこちらの旗艦である金剛を狙っていたのを気に入らなかったジョンストンは、少々強引に割って入って敵の狙いを攪乱した。
その目論見は成功したのだが、余計なダメージを負って小破となってしまい、
「ヘーイ、John。そのくらい任せてくれて構わないネー!」
と金剛に注意されてしまう。
もっぱら『硬い』とされる南方棲戦姫に対し、魚雷でキッチリ仕留めてこいとフィニッシャーを任されていた手前、この余計なダメージは後の戦闘の不安要素になり兼ねなかった。
それは自分でも理解できたため若干気落ちしたのだが、そこを「いいねぇ、ヤル気満々じゃん?」と励ましてくれたのが鈴谷だった。
敵旗艦艦隊との戦いは南方棲戦姫が夜戦まで食い下がってきたが、金剛があっさりと沈めて危なげなく勝利となり、反省点を残してしまう結果となったジョンをその後も鈴谷は何かと気遣った。
ヨメ入りが決まってからもアドバイスを、特に変態提督のあしらい方などを教えてくれる先輩ヨメ艦でもあるので仲良くなれたが、その分少し口調が移っていたようだ。
ひょんな所でそれが表に出てしまい、とばっちりが鈴谷に行きそうになった事に「しまった」と思わなくもなかったが、変態提督の今のおかしなテンションは自分に対してはしゃいでいるためだろうと判断して、ジョンストンは彼の宣言をスルーした。
「えと……、これでいい? ちゃんと出来てる?」
榛名から研修を受けているとは言え、初めての夜はほぼ彼任せであったのでまだまだ一物の扱いに慣れてないのと、なんだかはち切れそうになっているのが不憫なので、ジョンストンは遠慮がちに、触れるか触れないかといった具合にシコシコと撫で始めた。
「ジョン優しい…、カワイイ。もちょっと強く扱いてイイヨ。あっ、そうそう、そんな感じで!」
ムフムフ、はぁはぁと変態顔で息を乱し始めた彼を見上げながら、既に先走りでヌメヌメの一物にも目を配せながら、ジョンストンはドキドキと顔を赤らめつつ、初めての手での奉仕を続ける。
(えと…、榛名はどう言っていたっけ? このヌメヌメで優しく滑らせてあげるんだっけ?)
「んあぁ~ジョン上手だよ~、きもてぃー。でも前に立たない方が良いかも」
「そうなの?」
「はぁ…はぁ…、う、うん。このまま出ちゃうと、ジョンにモロにかかっちゃうし」
「あっ! そ、そうね。わかった」
ハッっとしたように提督の右隣に移動したジョンストンは、不規則なメトロノームのようにビクビクと彼の腹を叩こうとする一物に驚きながら、こんな大きな物が一度は自分の内に入ってしまっていた事実を思い出して顔が火照っていくのを自覚する。
どんどん跳ねたがる一物と息を乱していく提督に少し心配になりながら、本当に応急手当をしているような気持ちで、なるべく優しくヌメリを滑らせていく。
「だ、大丈夫? なんだか苦しそう……」
「だいじぶ。気持ち良くてこうなってるだけだから。もっと続けてもらっていい?」
「うん……。いいよ?」
これは気持ちいい顔なんだと、ちゃんと自分はできている事にほっとしつつ、彼の表情を見上げて確かめながら、芯が備わって先ほどより硬度を増した勃起の熱に手当てを続ける。
眉をしかめる彼が目を瞑って身悶え、右側にいるジョンストンの腰に腕を回し、何かを堪える様に抱き寄せる。
その様子にジョンストンはまた少し心配になりながら、抱き寄せられるまま彼に寄り添い、自分の手で覆い切れない勃起の脈に戸惑いながら、彼の眉間の皺を取り除くにはどうしたら良いか、手当てをしながら勃起の様子を探っていく。
(この出っ張ってる所を優しくしてあげると、気持ちよさそう……)
思った通りだった。亀頭部分にヌメリを纏わせるようにすると、ビクビクと勃起が喜び、彼も濃い吐息を漏らす。
少しずつ扱いを理解し始めた彼女は、こういった行為にもその優秀さを垣間見せていく。
なるべく優しく根本から先へ、脈に跳ねる勃起の具合からリズムを察して扱き、エラの張る先っぽは感度が良さそうなので、ヌメリをより纏わせて手の平で包んで撫でてみる。
「あっ、ジョン。それ凄いっ」
「ん……。じゃあ、もっとしてあげるね?」
彼を自分が昂らせている事に自信が伴ってきたジョンストンは、勃起を優し気にヌメらせながら一定のリズムで先を撫でくるむ。
やがて腰を抱く提督の腕に力が籠り密着する形になった彼女は、恥じらいにフードコートのテラスでは前を合わせて隠してしまったパーカーを少しはだけさせ、何度も覗き込まれはしたが、ケッコンまではとうとう触れて来る事は無かった、自分でも少し形に自信のある青の水着のトップスに包まれた胸を、ちょっとだけ大げさに彼へ押し当てた。
彼はすぐに勃起を脈打たせ、喜びの反応を示す。
「あぁっ! ジョンのおっぱい柔っこい。はぁ…はぁっ。もう、出ちゃうかも!」
「ちゃんと気持ちいい? いいよ…、出していいよ?」
「うんっ。出る…、出ちゃう! はぁはぁ! ジョン、ほっぺ……。ちゅ~していい?」
堪えられないといったようにビクつく勃起から提督へと視線を移すと、眉間に皺を寄せた彼が切な気に見つめていた。
その許しを乞うような表情に、ドキドキと弾んでいた胸がきゅぅ~っとなったジョンストンは、連られた様に自分も眉毛を少し八の字にしながら、彼の願いに応えるため頬へ口付けしやすいようにつま先立ちになる。
もうすぐソコなのを知らせてくる勃起に合わせ少し強くリズミカルに扱きながら、また胸を、今度はそれと分かり易いように押し当ててやる。
そうして、口付けのために顔を寄せて目を瞑った彼の顔が自分の頬へと照準を逸らす前に、指輪を受け取った日から増える事になるだろうと思っていた、唇へのキスをした。
ビュククッ、ビュクッ!
ドビュッ! ドビュブッ!!
これまでにない脈動が掌で感じられ、驚いたジョンストンは目を見開いてそちらへ視線を移す。
遠く撃ち放つための脈動であったのがすぐに理解できるほど暴れ跳ねる勃起が、何歩も先へ白濃い体液を斉射しており、初めての夜は暴き過ぎてしまわないように抑えられた照明ではっきりと観測できなかったその様子を、今度はしっかりと目にした彼女は思わず声を漏らした。
「わぁ……ぉ。こんなに…、出てたんだ」
はぁはぁと息をこれまで以上に乱して身体までビクつかせて体液を放つ提督が、また腕に力を込めて別離を拒むかのようにジョンストンを抱き寄せるので、彼女は慌てて彼へ向き直る。
更に切な気になってしまっていた彼の表情に、きゅぅ~っとなった胸が焦燥に駆られて『彼を助けてあげたい』と思ってしまったジョンストンは、再び唇を合わせると、安心したように勃起が脈づいて勢いを増し、彼女の手の中で唸りをあげる。
もう探らなくても分かる彼女は、飛び跳ねる勃起を妨げない様に体液の斉射を優しく導いて、熱の籠った彼の手が自分の尻の弾力を捕らえると、ジョンストンはまた恥じらいが込み上げてしまったが、今はそれを受け入れる事にした。
飛び跳ねる脈動は治まらず、この熱があの晩自分の体表を何度も染め上げていた事を思い出した彼女は、顔の火照りが増してしまい、それに思わず身体を捩らせた時、自分の股の奥の方も火照っていて、また湿り気を帯びているのを自覚してしまった。
しかし、この誰かに見られてしまいたくない、恥じらいの伴う彼との行為を受け入れつつあるジョンストンは、それにより、指輪を受け取った時とはまた違う繋がり、内緒の秘密を共有したような、どこかくずぐったいような、恥じらいも受け入れ合うという安心できる心地が、身を預けてみても良いかなと思わせるのだった。
きっと仲直り以上に、彼との距離を縮める事ができるだろう。
おそらくこの後、道を歩いていった先で、彼のこの熱を今度は自分の内で受け入れるだろう事を想像しながら、また少しを身を捩らせ、自分の熱も伝える様に胸を押し当て鼻息荒く口付ける彼に舌を絡めてみる。
そうしてジョンストンは、射精が終わっても脈づく勃起へ手当てを続け、彼とそして自分の熱を受け入れる事で、段々と心と身体が火照り開いていく感覚に自らを潤わせていった。
◆
「うぇ~、オイシクナイ」
「舐めちゃったの!?」
提督が身を震わせるのを終えて、ヤシの木に寄りかかって呼吸を整え始めたのを確認すると、ジョンストンは手に付着していた『彼を導いた証』の余熱をまじまじと見つめた。
先任ヨメ艦達の影響でなんとなく興味を抱いていた彼女は、それを確認してみたくてペロっとしたのだが……。
(ガンビーは美味しいって言ってたのに……)
「いきなり口にするモンじゃないよ、マズイでしょ?」
「拭くもの拭くもの」と呟きながら、肩から斜め掛けにしているボディバッグを漁り始めた提督は、中から陸奥に持たされていたタオル地のハンカチを取り出して渡そうとする。
それを一瞥したジョンストンは、首をフルフルと振りながら「まだいい」と答えた。
ビーチを望めるウッドテラスから離れ、浜辺沿いを自然公園方面へと続くこの道の周囲には、建物自体がないため手を洗ったり口を漱げるような水道設備もない。
やはり陸奥に持たされていたミネラルウオーターのペットボトルもバッグから取り出そうとアセアセしていた提督は、彼女の返事に「どうして?」と動きが止まった。
それに「ん~ん」と首をフリフリするジョンストンはスっとしゃがむと、前触れもなく、露出したままになっていた彼の、射精を終えたばかりの一物にペロっと舌を這わせ始めてしまった。
「あふんっ。きもてぃ……って、ペロペロジョン可愛いすぎんだろ! 出したばっかだよ? 舐めたら美味しくないよ!」
「ダメなの? シた後は口で綺麗にするんだって、前に貴方がやらせたんじゃない。榛名もそう言ってたわ」
眉を少し困らせたしかめっ面のまま、しゃがんでペロ~っと美味しくないソレを味わい続けるジョンストンは、榛名の講義の影響とケッコン初夜での彼との行為で、優秀さを少し拗らせた理解をしてしまったようだ。
「そうしてくれたら超嬉しいんだけど、別に決まり事になってるわけじゃないよ? 苦手なら無理にしなくて良いんだよ? あぁ! でもジョンのフェラたまんねぇ!」
「ふ~ん……」
カポッ……、ぺろぉ~、ちゅっぽっ…カポっ……
まるで「無理じゃない」と抗議するかのように、他のヨメ艦がやってるなら自分も出来ると言いたげに、しかめ顔を少しムスっとさせて、彼女は旺盛な精力にまだ空を見上げようとする彼の一物を口に含み始める。
応急の『手当て』だけのはずだったのに、先ほど提督を自分主導でお世話できた自信とちょっとした満足感、話でしか知らなかった行為への興味と、自分の優秀さであればもっと効果的にできるのではないかという好奇心が、はしゃいだ状態のままの一物をどうにも構いたくなってしまう。
しかし慣れていないのと、彼女は口内の容積がそれほど大きい訳でもないので、榛名の教え通りに気を付けてはいても、先を口に含んでいるだけで時々歯が当たる。
その辿々しさと、興味津々に見開かれているジョンストンの瞳、美味しくないはずなのに「どうやったら上手くできるだろう?」と探りながら舌を這わせて口に含む姿。
提督でなくても、頬へのキスで挨拶をしたがる者が少なくないほど愛らしい彼女であるのに。その彼女がこうして水着を露わにしながら男性器を淫らに頬張る様子は、すぐに再装填の準備に取り掛かってしまえる程にぞわぞわと背徳的で。その欲望を優秀な成績で叶えるつもりを示すジョンストンの可憐な意志は、このまま小さな頭を掴んで解き放ち、彼女がどれほど欲望を昂らせる存在なのかを証明したくなる。
しゃがむ格好に、どうしても青の水着で飾られた二房が谷間を強調し、クポクポと可愛らしい淫音を鳴らしながら、「これはどう?」と見上げて尋ねてくる瞳が思わず彼女の頬へ手を添わせる。
「ん?」とそれにも瞳で返しながら、先ほどと同じくらいに硬度を復活させた勃起を口から離す事はせずに、徐々に含みながらでも舌をこね回して裏側を刺激し始めるジョンストンに、提督の息も腰も跳ね始める。
「ちゃんと出来てる?」
美味しくない主張をしていた眉は、彼が再び昂り始めた様子に満足気に変わり、好奇心と向上心と純真の混ざった問いかけは、勃起と唇の間で少しだけ糸を引いた。
「できてる、できてる! また上って来ちゃってる!」
ニマリと笑ったジョンストンは「お次はどうしてやろうか」といった具合に、再び「あむっ」と勃起を咥えると、一度奥まで頬張ろうとしたが半分ほどまでしか叶わずに、代わりに添えるだけだった手が残りを扱き始める。
頬を窄ませながら頭を前後させ、手でも刺激を送りはじめた彼女が卑猥に鳴らす。
ちゅっぽ…、ちゅっぽ…、はぁ~む、べろぉ~~
「こんな可愛いジョンが……、フェラ顔! はぁはぁっ!」
「見ないで」
「それっ! 目だけ隠すと余計にエロイ!」
提督からの下卑た視線を遮った手の指間から彼の息がより乱れるのを確認した彼女は、今度は勃起の先を内頬に当て、大きな飴玉でも頬張るかのようにモゴモゴと口内をうごめかせる。
亀頭を頬の内側で擦りながら舌で含まれている竿の下側を舐め回し、飴玉ほっぺとなって膨らむ頬を外側から、五指を使ってふわさふわさと撫で摘まむ。
口内にある裏筋を涎でレロレロとされ、はみ出る竿の根本はシコシコで、亀頭は内と外から頬の粘膜を挟んだ五本指での刺激でくずぐられ、提督は腰を跳ねさせながら声を上げる。
「ふあぁぁっ? 何それヤバイ! いつの間にそんなの教わったの? 榛名??」
「んぷぁ……。これは鈴谷が教えてくれた」
「鈴谷グッジョブ! 今度間宮おごらないとだ!!」
「アタシには奢ってくれないの?」
「奢るおごる! よろこんで!! 何ならジョンには今日おごる!」
「でもその前に、美味しくないの食べちゃいそう」
「あっ! あっ! 待ってもうダメ。出ちゃうから、それ一旦ストップ!」
「あん、何で? 気持ち良かったんでしょ? 出したくないの?」
ジョンストンを困らせたくないと辛うじて理性を働かせた提督は、必死の思いで彼女の口からゆっくり勃起を引き抜くと、甚大な被害となってしまわないように、しゃがんだまま「最後まで面倒を見たい」と視線で問いかけて来る彼女を立ち上がらせた。
「たぶんさっきよりいっぱい出ちゃうから、そしたら絶対ジョンが大変な事になる。溢れてぶっ掛ける事になっちゃいそう」
「それは困っちゃうかも。どうしよう、また手でしてあげようか?」
「それも良いんだけど、ちょっと別なのお願いしてもいい?」
「別なのってどんなの?」
「ジョンの太ももお借りします!!」
「へ? わわっ…、何?」
立ち上がらせたジョンストンを正面から抱きしめた提督は、彼女の背丈に合わせて少し腰を落とし、すぐにでも解放できる勃起を青い水着のボトム、その股間と両太腿の間にできる魅惑の隙間へと差し込んだ。
「えぇ? ヤダ、これでどうするの?」
「太ももちょっと閉じる感じで挟んで……」
「こ、これでいいの?」
「うん、そう。ジョンの太ももスベスベだぁ……」
キュっと引き締まる彼女の腰、その鼠径部辺りから下腹部を包む青のボトム。その股下としなやかな細身の弾力の太腿が織りなす禁断デルタ。
そこに侵入を果たした勃起は、水着越しにジョンストンの秘所の感触を満喫しながら、ぷるりんとするお尻の弾力の内下までもを利用して、少し内腿を閉じるように挟んで貰ってさらなるスベスベ弾力をプラスし、ヘコヘコと腰を前後に揺らして彼女のお口の奉仕の仕上げを引き継ぐ。
「ん、ねぇ? これ痛くないの?」
「だいじぶ! はぁ~~はぁ~~、出る時またちゅ~していい?」
「いいけど……、これ凄く恥ずかしい!」
手で彼を導いた時、湿り気を自覚してしまっていた大事な所がビクビクと喜び跳ねる勃起で擦り上げられて、先ほどよりも密着度のある体勢といまいち主導権に欠ける状態が、ジョンストンの恥じらいを浮き上がらせる。
自分の奥底も火照っているのがバレてしまいそうで、腰を落として秘部で腰を振る彼の肩口で顔を隠す様に密着するが、却ってそれが彼の鼓動を水着越しの胸に感じさせ、より直接の行為を連想してしまう。
「ごめん、でも照れてるジョン可愛い! このままイキたい!」
「ちゃんときもちい~い? アタシの……、太もも嬉しい?」
「嬉しい! スベスベぷるぷるで気持ちイイヨ! あぁっ! もう出るっ出る! ジョン、ちゅ~しよ? ほっぺちゅう~!」
「んもぉぅ、仕方ないなぁ。―口にキスで……いいよ?」
再び彼の切な気な顔が迫ってきて、またそれを許してあげたくなってしまったジョンストンは、自分に欲望全開で喜びを示す彼に先ほどもしたように、ちゃんと伝わるように、恥ずかしいけどもっと喜んで貰えるように胸を押し当てる。
でも今度は彼の勃起を太ももで挟んでいてあげないとなので、つま先立ちにはならずに、顔が火照ってるのを早く目を瞑って見ないで欲しいと思いながら、彼女は鼻息の荒い彼の口付けを待ってやる。
興奮してはしゃいでいる彼のスタンプするようなキスが、なんだか『世話の焼ける弟』のように思えてしまい、ジョンストンは恥じらいが少し和らいだ。
それでもくすぐったいような居心地までは対処しきれずに、そこから逃れたいと身を捩らせてしまいたくなるが、ムフムフと鼻息荒くはしゃぐ彼をちゃんと構ってやるために、彼女は自分から舌を絡めてあげた。
ビュクンッ! ビュクンッ!!
ドビュッ…、ドビュビュウゥー!!
股下を尻側の先へ抜けるように、勃起が禁断デルタトンネルの奥へ押し込まれ、根本側でジョンストンの秘所を持ち上げるように、ドクンドクンと脈動で刺激しながらの射精が始まった。
「んむ!?」
尻の弾力を鷲掴みにされ、左右に開くように揉みしだかれたのと、手の平の時よりも具体的な想像に繋がってしまう感触がジョンストンを驚かせた。
彼女は思わず後方を振り返るが、提督と向かい合っている状態では精を撃ち放つ脈動の弾着は観測できずに、力強く股下に腰を押し付けて来る彼へ向き直る。
呻くような吐息を漏らしながら、何かを探し求めて彷徨っているような顔になっていた彼を見て「助けてあげなきゃ」と思ったジョンストンは、急いで彼の首へ腕を回して抱き寄せて、再び舌を絡める口付けを送ると……。
「大丈夫、安心して? そばに居てあげる」
一際大きく脈動した勃起は、ジョンストンの後方でこの時最大の放物線を描いた。
(この熱いのが、後でアタシの……)
頬と、自分の奥底の方でもきゅぅ~っとする火照りが増したのを自覚したジョンストンは、既に仲直り以上を求め始めている事が彼にバレてしまわないように、股下から身体ごと持ち上げるかのような脈動に合わせ、「大丈夫」と口付けで伝え続けた―
つづく
追記
『新説されてしまう星座の物語』と勝手な設定くっつけてますが、せっかくなので考えてみました。どっかで聞いたことある内容かもですが、一応載せてみます。
義足犬の首輪
開拓時代、生後半年の子供のいる若い夫婦の家に、三人組の強盗が押し入る。
応戦した夫によって強盗の一人は撃ち殺されたが、強盗の反撃によって夫も重傷となってしまう。
強盗はまだ息のある夫に銃口を向けて妻へ金品の全てを要求するが、夫婦の暮らしは元より裕福ではなかったため「渡せるような物はない」と告げられる。
仲間を殺されて苛立っていた強盗は、夫を見せしめに殺してしまう。
妻の口答えが気に入らず、彼女を従順にさせて人買いに売り飛ばす事に決めた強盗は、お次はとばかりに泣き叫んで煩い赤ん坊に銃口を向けた。
その時、この家族と共に暮らしていた一匹の犬が遠吠えを上げ、そして飛び掛かる。
強盗が押し入ってきたこの緊急事態をいち早く察知した彼は、酔っぱらって寝ているこの町の保安官の下へ走り、喚き散らして起こした後に、保安官バッジを盗んで追いかけさせて家に戻ってきたのだ。
主人が血だらけで倒れ伏し、新しい命の危機を理解した彼は、遠吠えで銃口を自分に向けさせた後、赤子の一番傍にいた強盗の股間を食いちぎる。
男の急所を食いちぎられ、泡を吹いてもんどり打って転げまわる強盗の一人を余所に、彼は残る一人にも飛び掛かる。
予想外の反撃に焦った最後の一人は、銃弾で迎撃を試みたのだが、人より遙かに低い位置で俊敏に距離を詰めきた彼を捕らえる事はできずに、喉笛に噛み付かれる。
首に牙を立て、より喰い込むように頭をゆする彼に、絶命前の最後の抵抗が轟く。
その銃声を聞き、夫婦の家に踏み込んできたバッジを盗まれた保安官は、泡を吹きながら怒りの形相で銃を構えた、股間を食いちぎられた強盗にトドメを撃ち込んだ。
この短い間に強盗の一人を絶命させ、もう一人に致命傷を負わせて幼い命とその母を守った賢く勇敢な彼は、最後の抵抗の銃声で前足を一つ失う事となってしまった。
彼の負った怪我は命の危ぶまれる程のものだったが、夫を失った妻が必死に介抱し、また彼の勇敢さを称えた保安官によって町の人間も協力し、奇跡的に彼は一命を取り留める事ができた。
後に町の英雄となる若いガンマン。
ガンマンの物語、小さな町の英雄譚の前半では、必ず木彫り義足をつけた老犬が登場する。
その老犬の首輪には、綺麗に磨かれたあの時の保安官バッジが誇らし気にぶら下がっており、若いガンマンのお目付け役の彼が吠え鳴らす義足とバッチの不規則な擦過音は、『勇気の駆ける音』として、常に住人達から声援を送られるのだった。