※この作品はR-18です。

重婚提督はハーレムの夢を見るか   作:@新十二

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なんだか2020夏イベはE-4攻略沼でレ級とナ級に泣かされたり、やっとの思いでE-7まで甲クリアしても掘りでまたレ級に泣かされたり、結局E-4甲掘り100Sしたあたりで尿管結石とかになって痛い思いして四号ちゃん諦めました。
今回、想定の倍以上の文字数となってヘロヘロですが私は元気じゃないかもです!

後書き部分に自作のイメージ絵みたいのを付けてみました。
お絵描きちょっと楽しくなってきたんで、もっと練習してみます。


大規模演習 水着模様 その八ノ三

 [水着な瑞鶴]

 

 

 

 

 

 

 夜の清涼が去ってゆく夏の朝焼けの浜辺を、二列縦隊の規則正しい駆け足が砂を踏みしめる。その複縦陣から少し外れて、だが同じ足並みで砂を蹴上げるのは、スポーツウェア姿の大戦艦 武蔵だ。

 

「いっち、にい。いっち、にい。いっち、にい、さんしーっ!」

『いっち、にい。いっち、にい。いっち、にい、さんしーっ!』

 

 二列の先頭で武蔵の掛け声に大きく応えるのは、彼女によくなついている夕雲型駆逐艦 清霜だ。そのすぐ後ろには、高練度ケッコン艦である潮・朝潮を主軸とする、第七駆逐隊と第八駆逐隊が続く。

 

「みぎっ、ひだりっ。みぎっ、ひだりっ。みぎっ、ひだりっ、みぎーっ!」

『みぎっ、ひだりっ。みぎっ、ひだりっ。みぎっ、ひだりっ、みぎーっ!』

 

 武蔵の足並み揃えよの要請に応えながら、演習祭実況応援会場で臨時販売スタッフを務める事となっている七駆・八駆の面々が、互いにどこかライバル意識のようなものを持ちながら、舗装された地面でのランニングとは違う、踏みしめる砂に足を取られる負荷を足腰の鍛錬と課して、乱れのない連帯行軍に励む。

 

「エルッ、アールッ。エル、アールッ。エルッ、アールッ、エルッ!」

『エルッ、アールッ。エル、アールッ。エルッ、アールッ、エルッ!』

 

 あまりいくつもあると混乱しかねないのだが、所属する海外艦もこの朝練に参加する事があるため、協調の意味も込めてLとRでの掛け声も採用されている。

 武蔵が毎朝行っているトレーニングは、大戦艦大和型として鎮守府の守護神と謳われはするものの、火力も耐久も消費も抜きん出た力のせいで、他の艦よりも前線に赴く機会の少ない・鎮守府の切り札とされてしまっている彼女が、感覚を鈍らせる事のないように、いつでも戦場でその力を存分に発揮するために個人的に行っていたものだ。

 もちろん大戦艦 武蔵もまた、他に恥じる事ない錬度を持ち合わせており、切り札として幾度も艦隊に勝利を齎したその活躍から、姉の大和に続いて提督から指輪を送られている。

 ケッコン艦にはあくまで任意であるとして、精力旺盛な提督の『お世話係り』を務めるか否かが問われるのだが、それに対しても武蔵は、「ハッハッハッ、仕方のない奴め」と懐の深さを見せて応じた。

 だがいざ挑んでみると、想定外の彼の変態っぷりに意識を彼方まで飛ばされてしまい、敵である深海棲艦を相手にした時ですら一切したことのない狼狽を見せ、また思ってもみなかった痴態を晒してしまった事に動揺してしまった。

 戸惑いを見せつつも「さすが相棒と見込んだ男」と取り繕いはしたが、何度挑んでも変態提督との真っ向勝負で一方的な敗北を喫するどころか、徐々に劣勢になっていってしまっている状態であるのを打破するべく、武蔵は筆頭嫁艦である榛名に頭を垂れて教えを乞うたのだ。

 

——「お世話は勝負ではありません! 瑞鶴さんを見習ってください。必要なのはそう…、愛情です!! バーニング ラ~ヴでぇ~っっっす!!!」

 

 両手を組んでキラキラと目を輝かせ、何かに祈りを捧げるように語った榛名に、いくつか日付が変わっても惚気を聞かされ続けてフラッフラにされた武蔵は、一先ずあの変態と渡り合えるようになるための鍛錬を積む事にして、それまで以上に日々のトレーニングに取り組んでいる。

 そして榛名もまた、そんな武蔵の意を汲んでというか都合良しとばかりに、向上心ある艦娘達の早朝トレーニングの面倒を見るように彼女に要請したのだ。

 そのため、ケッコンを控えたヨメ艦研修中の艦娘も早朝トレーニングに顔を出す事があり、色どり豊かな出身国の面子が並ぶ事があるので、武蔵も若干の配慮をしている。

 LとRなどの掛け声は、以前ヨメ艦研修中だったアイオワが定着させたものだ。

 そして、この歩調を整える掛け声がしばらく続くと、一際気合の乗った歌が始まる。

 

「てーとくっ! チンポにっ! 敗っけないぞぉーっ!!」

『てーとくっ! チンポにっ! 敗っけないぞぉーっ!!』

 

 ……ダメだこの鎮守府。

 深海棲艦っつーよりも、『全艦ケッコンでハーレム計画 ぐへへっ』を企む変態提督による被害と、その信奉者・狂信者である筆頭嫁艦 榛名による汚染がひっどい。

「武蔵さんのする事に間違いない」無邪気な表情で、一番大きな声で応えているのが清霜ちゃんっトコが尚更タチが悪い。

 面白半分に裏でハーレム計画に便乗しているヨメ艦、夕雲姉さんの入れ知恵も効いていそうだ。そしてそれも榛名に利用されていそうだ。

 

(ねぇ、なんなの? 何であたし達こんな事叫ばないといけないの? クソ提督の仕業にしても、なんで皆なにも言わないの?)

(わっかんないわ! でも朝潮姉さんも、すっごく真面目にやってるし……)

 

 大規模演習の実況応援会場で、臨時販売員を鳳翔さんからお願いされてしまった七駆・八駆のメンバーは、「互いの連携が重要です♪」と榛名にそそのかされて、この早朝トレーニング集合時に顔を付き合わせた。

 

——「なに? あんた達も朝練?」

——「そうよ、秋刀魚祭りも見越してのねっ」

 

 秋になると、艦隊のおかんこと鳳翔さんのお店で勃発してしまう『秋刀魚定食 争奪戦』のお手伝いに勤しむ第七駆逐隊と第八駆逐隊。若干血の気の多い曙と満潮が、『どちらの駆逐隊がより多くの客を捌けるか』バチバチとライバル意識を剥き出したのだが、これも榛名が意図したものであった。

 

「いっつかは! じゅっくれんっ! 超えて~やるぅ~っ!!!」

『いっつかは! じゅっくれんっ! 超えて~やるぅ~っ!!!』

 

 変態な汚染による、ひっどい歌が続いてしまう……。

 そう…。この早朝トレーニングの参加者は、新たな熟練嫁艦・若しくは新たなケッコン艦を育むべく、ハレーム計画推進派の榛名に目星を付けられてしまっている艦娘達だった。

 

「てーとくとっ ヨーメ艦はっ、寝んごろでぇーっ!!」

『てーとくとっ ヨーメ艦はっ、寝んごろでぇーっ!!』

 

「おーまたーを、ひーろげーて、こう言ったーっ!!」

『おーまたーを、ひーろげーて、こう言ったーっ!!』

 

「おねーがいっ!!」

『おねーがいっ!!』

 

「欲しいのっ!!」

『欲しいのっ!!』

 

「TNPッ!!!」

『TNPッ!!!』

 

(言ってないっ! あたしまだそんな事言ってないっ!!)

(私だって言ってないわよっ! もう何なの!? この掛け声!!???)

 

(うぅ…。清霜ちゃんが、あんな無垢な顔で叫んでるデース……)

(お姉様、泣かないでください。気持ちはわかります……)

 

 最後尾に続く、榛名のやらかす事に何故か付き合いの良い、金剛型の三人が嘆き悲しむ。

 

(お姉様は鎮守府組なのに、毎朝この島に通ってまで……)

(そう言う比叡こそ。最初はケッコンすら断るつもりだったのに、今では提督のチントレーナーまで勤め上げテ……。ワタシは貴女を誇りに思いマース)

 

(はい、断るつもりでした。でも榛名があんまりにも悲しそうにするもんだから……)

(あのしょんぼり榛名は反則デース。霧島だってそれで…。霧島? キリシマー?)

(……ダメですお姉様。既にメガネがひび割れてます)

 

「おいっ金剛型! 声が出てないぞーっ!」

「HEY むさーし! 霧島が…、もうメガネが砕けそうネーッ!」

 

「そんなワケあるかぁ! 戦闘でも割れない眼鏡だろーが! 駆逐艦が張り切ってるんだ、戦艦が気合を出さなくてどーする! そらっ、いくぞぉー!」

 

 更に気合の乗った、これだけは連帯のピタリと一致する唄が叫ばれる。

 

「しーんかーいっ! せーかんっ!! サーノバビッチッッッ!!!」

『しーんかーいっ! せーかんっ!! サーノバビッチッッッ!!!』

 

「レ級もっ ナ級もっ、ゆーるさーねぇーーっっ!!!」

『レ級もっ ナ級もっ、ゆーるさーねぇーーっっ!!!』

 

「ワン、ツー、スリー、フォーッ! We are fleet girls !!」

『ワン、ツー、スリー、フォーッ! We are fleet girls !!』

 

「ワン、ツー、スリー、フォーッ! I love fleet girls !!!」

『ワン、ツー、スリー、フォーッ! I love fleet girls !!!』

 

「My fleet !!」

『My fleet !!』

 

「Your fleet !!」

『Your fleet !!』

 

「Our Admiral !!」

『Our Admiral !!』

 

「Admirals fleet !!!!」

『Admirals fleet !!!!』

 

「……くっ、うおおおおおおぉぉぉぉっっっ!!」

「霧島!? きりしまーっっ!!?」

「Oh……」

 

 増えたり減ったりする鎮守府七不思議が一つ、『霧島メガネ』。

 目に見えない不可思議な現象も時々数値化できてしまうために、提督ごん太主砲フィットボーナス係数などの測定で榛名にこき使われる金剛型の末妹は、よくわからん理由で砕け散ったメガネの破片達を夏の朝陽にキラめかせながら、ダッシュで先頭に躍り出るとその勢いのまま、何かを振り払うように砂を蹴り上げ猛烈に駆けだした。

 

「おーしいいぞっ! 総員、霧島に続けええぇぇっっっ!!!」

 

 鎮守府参謀である陸奥と大淀によって、既に阻止されつつあるこの島の移動要塞化計画というロマン溢れる企みは、以前に頓挫した『鎮守府オーシャンビュー リゾート計画』だけは叶えるに至ったようだ。

 その一環で、妖精さん達が遊泳もできるように綺麗に整えてしまったビーチでの出来事。

 提督と瑞鶴がデートにやって来る、数時間前のことだった——

 

 

 

 

          ◆

 

 

 

 

 そんなヘンテコな朝練が行われていたとはつゆ知らず、瑞鶴は大規模演習祭の準備で宿泊しているこの島のホテルから程近い、浜辺に降りられる階段脇のレンガ塀に肘を付きつつ、夏の日差しに光る海を眺めていた。

 時刻は0620。待ち合わせの時刻よりも四十分ほど早いが、昨夜強調した『デート』の言葉に落ち着きのなくなっている提督が、おそらく約束した時間よりも早くやって来るだろう事を見越して、瑞鶴は一足先にこの場で待ち構える事にした。

 彼を『待つ』事をしたかった。

『待ってる時間もデートの内』と言った、しおらしい理由とは少し違う。

 日頃、出撃する自分達を見送り、そしてその帰投を小心者の心臓で待つ事を生業としてしまっている彼に対し、今日のようなオフの日くらいは逆の立場・自分が待つ側になって迎えてあげようと考えていたからだ。

 様々な任務、海に蔓延る深海棲艦との戦いに赴く艦娘達。

 瑞鶴自身も、特に秘書艦を務める時などは、彼と共に見送り・迎える立場になる時がある。

 だがそれは一時的なものであり、既に姉と並んで艦隊の『エース空母』とまで呼ばれている彼女にとっては、やはり自分の身の置き所は戦場にあると刻まれている。

 ただ待ち続けるしかない彼は、いつもどんな気分でいるのだろうか?

 臆病者で小心者で、だからこそ事前の準備は入念で、何だかんだとしつこい位に煩いしそれが鬱陶しい程だ。

 敬愛している『艦隊のおかん』こと鳳翔も、美味しいご飯を活力にと、どちらかと言えば後方で備える立ち位置にいるが、その彼女だって任務で戦場に赴くのだ。

 メカニックの明石ですら、時には前線に出張る時があるし、提督とはヒトと艦娘と云うれっきとした、そして大きく隔たるほどの決定的違いがある。

 長期に渡るこの戦いの中で、それを担う艦娘達のすぐ傍に居ながら、唯々待ち続ける日々を送らざるを得ないのは彼だけだ。

 その歯がゆさに、少女のような出で立ちの艦娘に託すしかない事に、鎮守府創設初期の頃はひどく取り乱した事もあったようで、提督は危うく溺死しかける事態にもなった。

 自分には到底できない事だろう、と瑞鶴は思ってしまう。

 今やエース空母として戦場に身を置く自分は、一時的にならまだしも、ひたすら待つだけの日々を過ごすなんて絶対に無理だ。

 我慢が効かずに、きっと勇んで出撃してしまうに違いない。

 それを思うと、鳳翔や明石、そして何よりも愛するようになってしまった提督の事を待っていてあげたい、そういった機会にはしっかりと迎えたいと考えるようになった。

 

 瑞鶴は階段のレンガ塀に頬杖を付きながら、本日のデートのため、昨夜一緒に過ごした彼の部屋を朝早くにお暇し、そうして準備したお弁当の入った保冷バッグは肩掛けに、その他飲み物や着替え・タオルなどの入った荷物は地面に置きながら提督を待つ。

 数日前に島の様子見がてら、宿泊中のホテルの部屋を訪れた姉の翔鶴が気を利かせて、普段使いする着替えの他にも『彼向け』のための衣類もバッグいっぱいに持って来てくれた。

「瑞鶴はスタイル良いんだから、アピールしなきゃ!」と嬉しそうに妹を着せ替え人形にする姉に付き合ったのだが、あんまり気取った服だと彼が身構えるだろうからと、今日は水着になる事もあって、あれこれ散らかし悩んではみたが結局ラフな物を選んだ。

 既に水着は下に着込んで、エリと袖口にラインの入った白い薄手の半袖パーカー。

 脱ぎ着するにはパンツよりもスカートのが楽そうだけど、あんまりヒラヒラした物はらしくないなぁと、でも一応は彼を喜ばせてやろうと、ダークグレーのチェックでスリット入りのタイト気味なミニスカートを選んで脚を強調する事にした。

 浜辺を歩きやすいように素足のままスポーツサンダルを履いているので、露出度の高い脚に鼻の下を伸ばした彼がちょっかいを掛けてきても、まぁ少しだけ大目にみてあげよう。

(これで少しは、デートっぽくできてるかなぁ?)

 なんて瑞鶴は考えながら、駆逐艦ビーチバレー大会のため、すっかり浜辺でライフセーバーを決め込んでいる長門の上げた観測機の舞う高い空へ目を向ける。

 いい天気になりそうだ。

 若干艦娘としての力をオン状態にして、ホテル近辺の気配を探れるようにしている所、もう傍に感じられる事の方が自然となってしまうほど慣れ親しんだ、艦娘とは別種の気配を察知する。

(時間までロビーで涼んでいるように言ったのに、やっぱり早めに来ちゃうんだね)

 若干呆れつつも、上ずってしまった頬を手でマッサージして誤魔化しながら、瑞鶴は荷物をすぐに持ち運べるよう準備する。

 0630、気配を察知してから五分も掛からず、提督の姿が見えてきた。

 

「っぷ、なにあれ?」

 

 洋上で戦う事に慣れた瑞鶴の目が捉えた提督のシルエットは、夏の熱いさなか演習祭の準備に勤しむリゾートシャツとハーフパンツ姿はここ最近と同じであったが、一部だけは大きく違っていた。

 

「写メって後で翔鶴ねぇに送っとこ」

 

 瑞鶴からかなり遅れて彼女の姿を視界に収めた提督は、いつもと違うシルエット部を手で押さえながら小走り具合で近付いて来る。

 

(あっついんだから、走らないでもいいのに)

 

 もうバッグから取り出した携帯端末で画面照準しながら、再び吹き出しそうになるのを堪えつつ、駆け寄る彼に声を掛けた。

 

「おっはよ、提督さん。……っぷふ」

「……オハヨウゴザイマス」

 

 待ち合わせ場所にやって来た提督は、誰に借りたのか大きな麦わら帽子を被っていた。

 しかもリゾート向けな女性用、ご丁寧に向日葵の装飾まで施されている。ウォースパイトかジャーヴィスやジェーナス、雪風あたりに似合いそうな品だった。

 

「…っくく、あっはははははっ。ねぇ~ちょっと何ソレ? 誰に借りたの? 鹿島??」

「そうだよ、ロビーで帽子ないか聞いたらコレ貸してくれたんだよ! 似合わないのはわかってるから撮るなよぉ~。鹿島と同じことすんな」

 

「うん~ん? 結構似合ってて可笑しい、夏休みの子供みたい。虫取り網も持って来ればよかったね!」

「海で泳いだりして遊ぶんじゃねーのかよ…。コレ被ったら香取さんが吹き出してさ~、受付カウンターの下に隠れちゃってたよ」

 

(ツボったんだろうな)と笑いを堪えられなかったらしい香取に賛同しつつ、端末カメラを向ける瑞鶴に、提督はウケたのが満更でもないのか、渋々顔ながらも素直に虫取り小僧なスナップ写真の撮影に応じていた。

 

「ちゃんと着替えとか持ってきた?」

「ん? うん。タオルと着替えといつもの水二本と~。あ、鹿島にコレも渡されたわ」

 

 提督はこの頃利用しているボディバッグより少し大きめなスポーツバッグから、携帯サイズのスプレーボトルを取り出して見せた。

 瑞鶴は日焼け止めかとも思ったが、どうやら化粧水のようだった。

 

「遊び終わって帰る前にシャワーしたら、顔にコレ塗っとけってさ」

「ほ~い」

 

 日々洋上で任務に挑む艦娘達には、『記憶の力の加護』が働くため、そこまで過度なお肌ケアは必要ないのだが、今日は一緒に遊ぶ提督もいるので、その彼のために瑞鶴も日焼け止めやボディオイルを準備してきた。

 ボディオイルと化粧水。二人の気の使い方の差に、瑞鶴は(女子力の違いかな?)とも思ったが、まぁ気にするほどの物でもないと、鹿島の気遣いを有難く受け取る。

 

「んじゃ、いこっか? 長門がパラソルとかで拠点作っといてくれるってさ」

「お~う。ってちょい待ちー」

 

 瑞鶴は地面に置いてあったクーラーボックスやら着替えの入ったドラムバッグやらのショルダーベルトを担いで、浜辺へ降りる階段に向かおうとした時、やっぱりというか案の定というか、提督がちょっかいを掛けてきた。

 

「な~んでいつも提督さんは、上着じゃなくてスカートを引っ張るんだね?」

「え? だってそのスカート、何かスリットがエロイし。瑞鶴の生脚だし?」

 

「もぉ~。すぐ水着になるんだから、いっくらでも見れるでしょ?」

「ぐふふ…、水着期待してる! って、俺も持つからどれかちょーだい?」

 

「ん? 提督さんよりわたしのが力持ちだよ?」

「そりゃ知ってるけど、そんだけ荷物あると歩きにくそうじゃん?」

 

「あー、そゆこと」

「うん、そゆこと」

 

 せっかくの申し出なので瑞鶴は荷物を渡すのだが、角張るクーラーボックスと自作のお弁当の入ったクーラーバッグは自分で持つことにして、軽めで彼も歩きにくくならなそうな着替え類の入ったドラムバッグを手渡した。

 どうも意味深な様子で受け取った提督は、瑞鶴の着替えの入ったバッグを大事そうに抱きかかえて持ち運ぶつもりのようだ。

 バッグの形状とそれらの役割から、中に何が入っているか察しての事だろう。

 それにジトっとした目になった瑞鶴だったが。

 

「まぁ一応…、ありがと」

「こちらこそ!」

(そんなにわたしの着替えが大事か! ったく、スケベだなぁ)

 

 艦娘ならこの程度の荷物運びは苦も無くできるが、それでも歩きやすくはなり、若干の身軽さを感じながら瑞鶴は階段を降り始める。

 その途中、(せっかくだし、一応こーゆーのもやっとこうかな?)と思い至った彼女は、受け取ったバッグを抱きかかえながら後に続く提督に振り返る。

 

「手、つなぐ?」

「ふひぇっ? あ、はいっ! 繋ぎます!」

 

 若干キョドり始めた提督は、いそいそと抱きかかえていた瑞鶴のドラムバッグを肩掛けに直すと、戸惑ったように手を差し出す。

 彼に比べ彼女はあっけらかんとした様子でその手を取り、妙な動揺を見せる提督に瑞鶴はわざと恋人繋ぎで指を絡めた。

 

「……何で今更このくらいで照れてんの?」

「だって改まって言われると、なんだか意識しちゃうじゃん!?」

 

「ふーん…、ちゅっ」

「おわぁっ!? おま…。瑞鶴っ、やっぱアタシにトドメをさすつもりであらせられりゅ?」

 

「はいはい、照れ隠しで変なテンションにしなくていいから、素直に喜んでよ。普段はすーぐセクハラする癖に、こーゆーストレートなのに弱いんだから。チョロイなぁ~」

「でもでもだってだよ? 瑞鶴に不意打ちチュ~されたらだよ? そりゃもうドッキドキにチョロくなること請け合いってなもんでしょ!? だって瑞鶴だよ??」

 

 意味不明な理屈で抗議し始める提督の言葉を聞き流しながら、それでも彼としっかりと指を絡め、瑞鶴は浜辺を先導する。

 

(う~ん、弱ったなぁ。提督さん今は別にスケベテンションって感じじゃないのに、何だかお腹が熱いままだ……)

 

 既に汗ばむ瑞鶴の下腹部は、昨夜から火照り続けたままだった——。

 

 

 

「なぁ、どう見てもコレが拠点だよな」

「だよねぇ~。二人なんだし、もっと小じんまりしたビーチパラソルとかだと思ってた」

 

 自ら進んでビーチの管理・監督を請け負っている長門が準備してくれたらしい、本日提督と瑞鶴の海デートのための拠点。

 いくら艦隊司令がオフを過ごすからとは言え、使用するのは二名だけであるのに、ちょっとしたパーティーでも開けそうなサイズのキャンプ向けタープがどーんと構えていた。

 テントがある訳ではないので、日陰を作るのは風通し良い吹き抜けのタープ屋根だ。

 その下でしっかり端止めされたレジャーシートは、風で入り込む事のないように、端が折れる形で砂避けできる物が準備されている。更にその上に、涼し気な色のラウンドタオルマットが敷かれ、ご丁寧にクーラーボックスまであるのは長門からの差し入れといった所か。

 タープの高さも、座ったり寝そべったりして丁度日陰で寛げる調整具合。それも見越してのクッションが二つと、折り畳めるレジャーテーブルも備えてあった。

 バッチリ過ぎた。提督に対し、どうした長門? と言える程の気遣いだ。

 どうやら長門は、この演習祭開催期間中、浜辺の管理を徹底してやるつもりらしい。

 

「提督さん、荷物置いたら水着になる前に長門に挨拶しに行っとく?」

「んだなぁ~、何か差し入れでも買ってくか。あ、まだお店開いてないな」

 

「それならだいじょぶ。お弁当の余り包んだの持ってきてるから」

「今日は瑞鶴も抜かりなしだな!」

 

 

 浜辺に沿って設けられている、ウッドデッキテラスのあるフードコート。その景観に合わせた二階建てのログハウスがビーチに突出している。

 ひらけた一階はテーブル席などが設けられ、ちょっとした休憩所として使用できる。

 二階は浜辺の管理・監督のための詰め所となっており、ベランダ伝いに監視塔へ昇れる造りになっている。現在長門は宿泊施設ではなくこちらで寝泊まりしていた。

 このログハウスをやはり手を繋いで訪れた二人は、二階への階段を上る前に詰め所の扉から出てきた長門に出くわした。

 長門は監視員の務めを果たすためか、既に競泳用のようなセパレート水着でライフジャケットを羽織り、サンバイザーにゴーグルまで掛けていた。

 

「ぶわっはっはっはっは! ……っくくく。あーっはっはっはっ!!」

「長門にも大ウケじゃん、よかったね!」

「……オハヨウゴザイマス」

 

「いやぁ~提督、よくに…似合って…くくっ。ダメだ、ぶはぁっはははははははっ!!」

「キニイッテモラエテ ウレシイヨ」

 

「写メったけど、長門も画像いる?」

「断固拒否する」

「送ったれ! 瑞鶴、もう送っちゃえ!」

 

「いらん、明日には全艦隊に出回っているだろうしな。しかし瑞鶴、中々しおらしい事をしてるじゃないか」

「ん? あ~これ? 今日は提督さんとデートごっこなのよ。ほら、提督さんってわたしの好みのタイプじゃないでしょ? 変態だし。でもケッコンして結構経ってるし、それっぽい事してあげようかなぁ~って思ってさ」

 

 恋人繋ぎした手を持ち上げて見せる瑞鶴を、長門はログハウス二階詰め所、その入り口前の木製欄干に両腕を付きながら見下ろす。たった今、麦わら小僧になっている提督の装いに爆笑したが、二人の繋がれた手を見つめるゴーグル越しの瞳は優し気だった。

 

「瑞鶴さん。改まってタイプじゃないって言われると、なんか俺悲しくなるんスけども…」

「えー、それも今更じゃん」

 

「上辺の好みとは別な所で、おまえを見込んでいるという事だろう。愛されているじゃないか、喜んでやれ」

「ふーんだ、長門に言われなくたって喜んでますぅ~。チョロっチョロでドッキドキになってますぅ~~」

 

 張れてもいない意地を振りかざし、なり切れていないムキで言い返してきた提督に、長門は片眉だけを上げて「どうしたんだコイツ?」と瑞鶴に表情と仕種で尋ねる。

 

「なんかデートにはしゃいでるみたい、照れくさいの誤魔化してんだよ」

「あの、瑞鶴さん。詳しく説明しないで貰えませんか? 余計に恥ずかしいんスけども…」

「ふはっ、普段の助兵衛よりは随分と可愛気があるじゃないか。いつもそれ位だとこちらとしてもありがたいのだが?」

 

「なにおう? 長門、ちゅーしてやろうか? 助兵衛なちゅーだ!」

「いらんわ。ごっこでもデートだっていうなら、隣の瑞鶴にしてやれ」

 

「そうだよ、またしてあげよっか? ほら……っちゅ」

「んひゃあっ? なんか今日は瑞鶴もはしゃいでない?」

「はぁ~、まったく二人揃って熱苦しい。向こうに日陰を作っておいたのだから、そっちでやってくれ。…あぁ、少し待て」

 

 溜息をつきながら階段を下りてきた長門は、そのまま一階の休憩所奥へと入って行く。

 ついでにラジオを付けたのか、軽快な音楽をBGMに、鎮守府組として演習祭準備期間中、提督に代わり艦隊指揮を執っている筆頭ヨメ艦 榛名の声が聞こえてくる。

 

『皆さんおはようございます。今朝の提督おチンポニュースの時間です。さくじつ提督は、ケッコン初夜の初おチンポ以降、恥ずかしくてすっかり女の子になってしまっていたジョンストンさんと、無事に仲直りをされたようです、パチパチパチ~~。その際なんと! ジョンストンさんは、仲直りのために可愛らしい水着を披露されたようで、提督はジョンストンさんと二人きりのテントで四発のお射精をもって——』

 

 ブツっと音声が途切れ、休憩所奥から先ほどより深い溜息も聞こえてきた。

 この後しばらく続いてしまうだろうどうでもいいニュースは、もう何名か提督の変態なオイタの被害者の名前が連なる。その内、小さな護衛を務めた一名は、今頃顔を赤くしてぴゃぁぴゃぁ恥ずかしがってそうだ。もう二名は在籍歴も長いので、きっとどこ吹く風だろう。

 今ココにいる当事者の彼と、残りの一名。自ら率先して毎日のようにこのニュースに名の出てくる彼女は、コレが日常といった様子で平気な顔をしている。

 ちなみに、このニュースはメルマガで各艦の携帯端末に配信されてもいるのだ。

 ……もう手遅れなのかもしれない、この鎮守府。

 

 休憩所奥から若干の疲れ眼で戻った長門は、大人が寝そべっても使えそうな紐付き浮き輪と、ビーチバレー用のボールを持ってきていた。

 

「貸し出し用だと他に釣り道具なんかもあるが、普段が座り仕事だ、コイツは体を動かす方がいいだろう。ビニールボートもあるが、そっちはどうする?」

「それは提督さん酔っちゃうんじゃない?」

「たぶん…」

「なら、こんなところだな。ほれっ」

 

 受け取った浮き輪を肩掛けに、更に両手でボールを持った提督は、麦わら帽子がいっそう際立ち、いよいよ夏の海にはしゃぐ小僧な出で立ちだ。

 彼のその姿に、口をむず痒そうに歪めて笑う長門へ、瑞鶴は小さな弁当包みを手渡した。

 

「これ差し入れ。準備して貰ったからそのお礼ね、おべんとの余りで悪いけど」

「ほぉ…、もしかして瑞鶴の手製か?」

「そだよ?」

「気を使わせたな、後で陸奥といただく事にしよう」

 

「んじゃ戻るね」

「長門、ありがとな」

「あぁ」

 

 また手を繋いで拠点へと戻る二人、その去り際に長門は少し声を掛けた。

 

「……少し変わったな、瑞鶴」

「ん~そう? 誰かさんのおかげかな? でもお互い様でしょ?」

「かもしれないな。甚だ不本意ではあるが……」

 

 冷やかし半分でありながら満足気。少し達観も込めた笑みを返した瑞鶴は、長門へ軽く手を上げる。

 提督も倣って挨拶に手を上げたが、「なんか俺のせいみたいな話になってなかった?」とブツクサ呟き、「そりゃね? だってハーレム艦隊にしよってんだし」と会話が続く。

 長門は「ふぅ~」やれやれと深く息を吐きながら、それでも優し気な眼差しでその二人を見送る。

 そうして彼女は、鎮守府組の翔鶴・演習準備組の秋津州等と連携して、普段よりも入念に取り組んでいる哨戒作業。その観測機の回収へと向かって行った。

 

 

 タープの張られた拠点へと戻った二人は、さっそく水着へ様変わりする。

 早くじゃれ合いたいためか、ポイポイと着ていた衣服を放る瑞鶴に、提督は少々悲し気に「あぁ…」とこぼしたのだが、すぐにそれは「おぉ…」と感嘆へと変わる。

 

「どう? コレ」

 

 スポーツ系の伸び縮みしやすそうな材質でありながら、深い色のダメージ装飾なデニム地。上下に分かれたセパレートで、肩ではなくクロスホルターな首紐止め。

 トップもボトムも各所のラインがかなり際どく胸元や臀部まで露出度が高めであるのに、瑞鶴のスレンダーな体形のせいか、腰に手を当てポーズを取る彼女は、セクシーというよりもスタイリッシュさが際立っていた。

 

「何でだ? エロイのにかっけぇ…、チンポいてぇ……」

 

 既に股間を抑えて前屈みな提督は、ぐっと腰に手を当てキメ顔でポーズを取ってくれた瑞鶴をしっかりジト目らせた。

 

「もうちょっとマシな言い方できないの?」

「なんか瑞鶴って、羨ましいってかズルイよな。何着ても様になるし、男物の俺の服着ても、俺より似合っちゃうし恰好良くなるしさ~」

 

「そうでもないけどなぁ~。提督さんも、下のヤツ水着でしょ? 早く上脱いじゃいなよ。日焼け止め塗ったげるから」

「あっ! 俺も瑞鶴に日焼け止め塗りたいです!」

 

 リゾートシャツを脱いだ提督を後ろ向きにし、瑞鶴は持参した日焼け止めを彼の背中に塗り始める。

 

「わたしは来る前に塗ってきてるからへーき、残念でした」

「えぇぇ~、背中も?」

 

「うん。わたし提督さんみたく体固くないから、背中にも手届くし」

「そうだった。くっそぉ~、日焼け止めプレイ楽しみにしてたのに……」

 

「今まで似たようなこと散々やってるから別にいいんだけどさ~、それだとデートに来たのにいきなりエッチになっちゃうじゃん」

「今日はいっぱいして良いって、夕べ言ってたじゃんかよ」

 

「そうだけどぉ。提督さんに色んなトコ触られたら、多分わたしも止まんなくなっちゃうからまだダメ~。先にデートっぽい事してからにしよ?」

 

 背中側で彼に日焼け止めを塗る瑞鶴が、後ろからぴったり身体を張りつかせて提督の首に腕を回す。

 

「もうちょっと、いいコにしててね?」

 

 後から抱き着き、頬を触れ合わせて耳元で呟くと、彼女は股間でハーフパンツな水着をテントにしている彼の一物を撫でながら言い聞かせた。

 

「はい! いいコにします! してますっっ!!」

「提督さんチョロ~い」

 

「うっせうっせ! いいだろ? 別に~」

「うん、むへへっ…」

 

 結局瑞鶴は提督の後ろ側だけでなく、体の前側も日焼け止めをしっかり塗ってやり、さっそくとじゃれ合いながらデートごっこが開始された。

 

 本日の瑞鶴は建前上、提督の護衛兼傍付であるため、もしもが発生する事のないように彼を入念にストレッチさせる。

 いきなり海水に浸からせる事もなく、まずは打ち寄せる波を足で蹴上げて提督に波飛沫で攻撃し、やり返す彼とじゃれ合いながら徐々に水に慣れさせていった。

 紐付き浮き輪を使っていよいよ泳ぎに行こうとするのだが、その時に若干彼の表情が強張ったので、遠慮なく瑞鶴は尋ねてみる。

 

「やっぱまだ怖い?」

「あ~うん。プールなら大分平気なんだけど、海だと足が着かないトコはちょっとなぁ」

「そんな所まで行かないから大丈夫。わたしも居るんだし、リハビリ、リハビリ」

 

 彼よりもずっと強靭であった精鋭達が、軒並み帰らぬ人となった深海棲艦との遭遇戦。

 二度もそんな絶望的状況から生還してしまった経験を持つ提督は、水というよりも海に対してトラウマを抱えるようになってしまった。

 大海原と言う、大自然が内包する脅威とはまた違うだろう。

 そこに巣食い蔓延っている深海棲艦への恐怖とその記憶が、二足歩行ができない・自身のコントロールが簡単に奪われる程の絶対的質量を持つ海を、より過度に恐れを呼び覚ます対象としてしまっているためだ。

 艦娘達と過ごすうちに、もう多くなってきたヨメ艦達、中でも熟練と呼ばれる五人の嫁艦達が彼を癒していく事で、現在はかなり症状が緩和されてきているが、まだまだ時間が必要とされるものだった。

 間接的とは言え、二人の時間を深海棲艦に邪魔されるのが癪に障る瑞鶴は、無理強いはしないが、それでも楽しめるようにじゃれ合いながら彼を泳ぎへと招く。

 一応志願兵として訓練を積んだ経験があるので、提督は泳げない訳ではない。

 それでも浮き輪をビート板よろしく紐で引いてやりながら、バタ足練習みたいな彼を彼女は茶化しつつあやしながら、徐々に体を水に浸らせていった。

 浮き輪に体を通すと、逆に波に揺られて彼は酔いやすいかもしれないと、瑞鶴は提督に浮き輪をビート板使いのままで遊ばせる。

 腰上くらいまでの深さにも慣れて、彼の顔の強張りも動きの固さもほぐれてきた頃合いを彼女は見て取ると。

 

「この辺なら大丈夫そう?」

「うん、久しぶりに泳ぐのちょっと楽しい」

 

「んじゃ、浮き輪に腕で捕まってみて」

「んん?」

 

 瑞鶴は浮き輪の紐を肩掛けにすると、「よっ!」と合図も含んだ声をあげ、勢いよく平泳ぎで浮き輪に捕まる彼を牽引し始める。沖へと目指して進むのではなく、彼が強張らずに済みそうな浅瀬の範囲でグイグイと曳航していく。

 不思議な感覚だった。

 顔を水面に出したまま、グングンと泳ぐ瑞鶴に浮き輪で引かれる提督は、飛沫が上がるほどの引き波が立つ速度でもないのに、また艦娘から見れば浅瀬もいいとこなはずなのに、打ち寄せる波も軽~く往なせる様な、ヒトが泳いだのでは発生し得ない不思議な『浮力』の感覚に、彼は気持ちも浮かれた声を上げる。

 

「おおおおっ!? なんだコレ? すっげぇ!」

 

 提督の感嘆に振り向いた瑞鶴は、今度は背泳ぎの要領でやはり顔を出したまま、浮き輪に捕まり驚きの表情の彼を確かめながら曳航する。

 

「ど~お~? おもしろい?」

「俺いま『浮いてる』! どうやったらそんな風に泳げんの!?」

「なーに言ってんのー? わたし艦娘だよー!?」

 

 テンションの上がってきた提督に、瑞鶴も自慢げに笑顔を見せながら、少し大きめな波がやってくるの見計らって彼女は彼の隣で浮き輪に捕まる。

 すぐ隣にやって来た瑞鶴の、少しイタズラっぽい目配せが物語っていた。

 

『あの波を、一緒にざぶ~んと浴びよう』

 

 二人は敢えて、押し流されるように大きめの波を頭から被った。

 若干浜辺へと揺り戻されて、もう自然と泳ぎ始めている提督は「ぷぁっ!」っとした声を出しながら、頭から被った海水を両手でゴシゴシ拭いていた。

 同じく一緒に頭から波を被った瑞鶴は、一応彼が不安がらないように安心毛布となっていそうな浮き輪を傍に寄せてやる。

 なんとなくで自然と浮き輪に捕まりなおす提督の表情は、際どい水着姿の熟練嫁艦がすぐ隣にいるのに普段のスケベは何処へやら、歯を見せるほどの晴れやかな笑顔だった。

 おそらく、こういった表情こそが彼の元来のものなのだろう。

 深海棲艦によって心に刻みつけられてしまった恐怖が無ければ、もっと自然にこうした感情の発露ができたのだろう。

 それが阻害されている、しかも彼だけでなくそこら中に蔓延してしまってる情勢は物悲しいが、瑞鶴は改めて自分が目指すべき未来がどちらにあるのかを確認する。

 それと共に、彼の新たな一面ではなくて、内側で蓋をされてしまっていたモノをまた一つ引き出せた事に、もう既に今日のこの日が満たされてゆく。

 心地よさげに爽快に、無邪気さも含まれた提督の表情を見て、瑞鶴は日頃洋上で任務に励む自分達。『波を被っている』状況が常である艦娘が、元来の彼にも自然と受け入れられている気がして、浮足立ってしまうドキドキではなく、いつも彼から感じられる穏やかで温かい心地に胸が弾んだ。

 

(提督さんのこの顔は、ちょっとだけわたし好みかな)

 

 瑞鶴は彼のその顔に向け、口角が上ずっているのを自覚しながらそのままに、大げさに「んむぅ~」とした声を上げて唇を尖らせたみた。

 無邪気に眉を上げたまま、彼もはしゃいだ様子で唇を合わせてくる。

 短い時間のちょっとだけ、未だスケベはすっかり鳴りを潜めたままのキスだった。

 楽しさを共有する短い合図、挨拶のキスをした彼の表情が物語る。

 

『次の波も、一緒に被りにいこう』

 

 少し大きめの波が来る度、二人は浮き輪に捕まる互いを引っ張り合い、そうして頭からざぶ~んと波飛沫を浴びると、彼女は「んむぅ~」と唇を尖らせて要求し、彼はそれに嬉し気に応えてから、再び次の波へキスをねだりに行った。

 

(ちょっと子供っぽいけど、結構デートできてるかも)

 

 スケベを忘れた提督の、打ち寄せる波に無邪気ではしゃぐ表情は、より瑞鶴の下腹部を火照らせてしまっていた——

 

 互いに飽きる事なく頭から波を被り続けていたのだが、チョロくもテンション高めになった提督がボール遊びを要請してきたので、瑞鶴は浜辺の監視員 長門から貸し出されたビーチバレー用ボールでキャッチボールに応じる。

 波打ち際で二人の間をボールが飛び交うが、宙に浮いてる間に水を掛けあう悪戯なフェイントを挟みつつ、やがてどう相手のキャッチを妨害するかの競い合いに変化する。

 まもなくキャッチボールはドッジボールへと進化して、上手投げをフェイクに横投げで回転と重さを加えた瑞鶴の投球を、「ドムッ」とした音で腹部で受けた提督は、そういえばと思い至った。

 

「瑞鶴~、バレーボールおせーてくんない?」

「おっ?」

 

 彼を強引に艦隊司令に担ぎ上げた、大淀による身元調査資料。現在では主に指輪を受け取ったケッコン艦達へ公開されており、その内容は最初のケッコン艦である榛名が始めた提督備忘録の先頭に、後から付け足されている。

 その資料によれば、身寄りのない施設育ちの彼は、食いっ逸れなさそうだからと軍に志願した経緯が読み取れる。そこでの基本的な訓練経験はあるだろうが、恐らくこれまで球技などにあまり縁が無かったのだろうと察する瑞鶴は、大規模な演習が行われた後、この浜辺で開催予定の駆逐艦ビーチバレー大会が控えていることもあり、(ちょっと興味あんのかな?)と、教えてあげることにした。

 

「提督さんは、ビーチバレーのルール知ってんのー?」

「陸っちゃんが映像見せながら教えてくれたから何となく? あれだろ? 下に落とさないように、ボールを相手チームのコートに打ち返すんだろ?」

 

「ん~まぁ、そんな感じ。3プレイ…、ボールタッチは三回までだけどね」

「大会の前に、どんなもんか俺もやってみたい」

 

「じゃあまずはレシーブからかな? 提督さん構えてみ~?」

「……こうか?」

 

「そうそう、そんな感じ。陸っちゃん結構教えてくれてんだね。かる~く投げるから、わたしに弾き返してみて」

 

 ぎこちない構えの彼の中心軸にしっかりコントロールされた、両手で下投げの山なりボールを瑞鶴は放るが、「ベチッ」っと提督の手首辺りで鳴った音ともに、ボールは浜の方へと転がっていった。

 

「あれ? 結構ムズいな」

 

 転がっていったボールを追いかけ、足首を使ってひょいっと跳ね上げて回収した瑞鶴は、また彼の正面、先ほどより若干距離を詰めた位置に戻る。

 

「構えはそれっぽいんだけど、動きが硬いんだよ。肘そんなに伸ばさないで、もっと肩から楽~にしみて? 膝も柔らかく…、う~んそうだな。もちょっと足広げて前屈みになる感じ。前屈みは得意でしょ? おっきくなっちゃった時みたいなの」

「コウデスカ?」

 

「ソコ手で押さえなくていいから…。腰も落として、ほらっ、肩からだら~ん。いくよー?」

「……先生! 上手くできません!!」

「最初から上手く出来るわけないじゃん。う~ん、構えた腕をラケットだと思って…(って、提督さんテニスもバドも下手っぺだな)」

 

「提督さんはさ~? フライパンでオムレツひっくり返す時、どうしてる?」

「んぇ? オムレツ? そりゃこう、トントンして端に寄せたらこう…、手前にクルっと」

 

「ソレです。『前』にじゃなくて、手前に『上』を意識してひっくり返すでしょ?」

「んだな、前にやったらこぼれちゃう」

 

「じゃ、もっかい構えてみて」

「???」

「今から提督さんの腕はフライパンです。ほら、もう前向いてるでしょ? ってことは~?」

 

 次に瑞鶴が放ったボールは、提督の不器用なレシーブで彼女に戻って来ることはなかったが、今度は横に逸れずに上に跳ね上げる事はできた。

 

「おおおっ?」

「さっきよりいい感じじゃん。今の要領でわたしに返してみ?」

 

 ボールを放る瑞鶴の正確無比なコントロールもあり、真っ直ぐとはいかないまでも、提督は徐々にレシーブで返せるようになっていく。

 思ったより真剣で、そして意外と教え甲斐のありそうな生徒の出現に、雲龍型であったり他の艦にも対空戦の教官を務めるようになっている瑞鶴に、指導熱が沸いてくる。

 

「おしっ提督さん、今度は高めのボールをトスで返してみよっか。構えてみて」

「こうですか? コーチ!」

 

「もっとこう、人差し指と親指で三角つくるように…、肩張らないのっ、肘もリラックス!んで、こうボールが来るでしょ? そしたらこの三角で照準して、手首と膝をクッションみたいに使って、ボールを弾ませる感じ」

「よくわからん」

 

「こう…、ポーンってすんの。たぶん提督さんはやってみた方が早いよ。はい、いくよ~?」

 

 瑞鶴は実際に自分でトスを上げてみせ、正解のイメージを持たせたから練習させる。

 

「……あれっ? 弾ませるってのがよく分りません、コーチ!」

 

「う~ん、提督さん的にわかり易く言うと……。あれだ、このボールが雲龍のおっぱいとします。どうしますか?」

「揉みます!!!」

 

「両手で優しく揉んであげてください、形が崩れないように! ……ってキャッチしちゃだめでしょ? わたしに向けて返さないと!」

「おっぱいずっと揉んでたい、顔から埋もれてたい」

 

「大っきなおっぱいを扱うつもりでって事でしょ? ちゃんとビーチバレーに変換して! まぁ丁度いいや、トスの構えで持ったまま、わたしに返してみ?」

「こう?」

 

「そう。はい、もっかい投げるよ?」

「また取っていいの?」

「うん、取ったらトスの構えのまますぐ投げ返して」

「お、おう?」

 

「はい、取ったらすぐ投げる」

「はい、コーチ!」

「どんどん、リズミカルにしてくよ? はいっ!」

「ほいっ」

 

「キャッチしたらすぐ返す!」

「はいっ」

「キャッチで返すっ、キャッチで返す! はいっ、はいっ、はいっ!」

「おっ? おっ? こうか、こうかっ?」

 

「そうっ、そうっ! リズミカルに~、はいっ、はいっ、はいっ! ボールをタップ、タップの感覚わかる?」

「両手で弾ませるんだな!」

 

「そうっ ソレ! はいっ、はいっ、はいっ!」

「おし、おし! どんどんこい!」

 

「山なりボールがいくよ~~? 提督さんも山なりで返してね! はいっ!」

「両手の三角で…、はずませる……」

「おっぱいをプルンって感じに!」

「こうか!!?」

 

「ほらできたっ」

「……コーチ、俺ちょっと感動してます!」

「まだまだだよ。今度は高さに応じて、トスとレシーブを使い分けてみて!」

「バッチこい!」

 

 いつの間にかバレー教官になった瑞鶴は、ド素人の提督から先ほどよりも距離を離してボールを放る。綺麗にボールが返ってくる度少しずつ距離を取り、やがて左右にも振って難易度を上げていく。

 

「くあっ!」

「ダメダメ、腕だけで返そうとしない! ちゃんと落下地点に体ごと入る! 膝も使う!」

 

「こうですか? コーチ!」

「あまい! 体を入れてもわたしの方に向いてないから、アッチ行っちゃったじゃん!」

 

「くっそ瑞鶴、結構きびしいじゃねーか!」

「ほーら、今度はトスかレシーブで迷った! 胸より上はトスで返す! 提督さんはおっぱいをそんな適当に扱うの!? もう触らせてあげないよ!?」

 

「お前のはこんなにデカくねぇじゃ…、げふぅっ!」

「提督さん…、今度はサーブレシーブね!」

 

「今ライナーで飛んできたぞ! 打ってから言うなぁ!」

「ほーん、生意気いうじゃない。……そらっ!」

 

「ゲフャッハー!?」

 

 妙に熱の入った教官にしごかれる提督は、瑞鶴のしなる腕から繰り出されるサーブでボッコボコにされつつも、左右に振られて砂に前傾スライディングしながら何度か好レシーブをして見せた。

 若干ムキになりつつ、綺麗なレシーブをできた事に自分でドヤ顔をする彼に、彼女はジャンプサーブの弾丸軌道をお見舞いし、ヘトヘトになった提督が怪我をする前に切り上げた。

 

「提督さーん、そろそろお昼にしよー? 一回シャワー浴びとこ~?」

「はいコーチ、……ぐふっ」

 

 

 フードコートのある通りへ戻れる、階段付近に備えられた簡易屋外シャワー。着替えも踏まえてロッカールームに併設されている室内シャワー施設ではなく、より浜辺に近いこちらの屋外シャワーで二人は砂と汗を洗い流していた。

 

 ヘッドスライディングの影響で侵入してそうな砂を流すため、提督は水着の内側へもシャワーの水をジャブジャブさせていた。

 彼と違って全身砂まみれにならずに教官となっていた瑞鶴は、一応ボールも洗ってやると、早く乾かすためか、人差し指の先でボールをぐるんぐるん回転させて水気を切っていた。

 

「瑞鶴って何でも出来るよなぁ~。そんな器用なこと俺できねーわ」

「んー? 体動かすのは結構得意かも」

 

 瑞鶴は言いながら、指先で回していたボールを手の甲に乗せると、そこから腕をウェイブさせてボールを逆の手まで移動させる。そこから今度は肩でボール跳ね上げてヘディングし、ポンポンと軽快に胸・膝・足首を使ってのリフティング。

 最後に人差し指の先で受け止めクルクル回転させてから、ぽーんとヘディングで提督の胸元へ放ってキャッチさせた。

 

「翔鶴もそんくらい出来たりすんの?」

「ん~、翔鶴ねぇはスポーツあんまり本気でやらないかなぁ。新体操みたいのは得意だよ?柔軟すごいし、なんか動作が一つ一つ綺麗なんだよねぇ。バレエなんかも上手そう」

 

「ほえ~~」

「球技とかならわたしの方が上手いかな。あっでも、テニスだとあんまり勝てないな」

 

「前にテニスで遊んでくれた時は、そんな感じしなかったぞ?」

「そりゃ相手が提督さんだからだよ、合わせてくれたんでしょ」

 

 シャワーを終えた二人は、タープ拠点への道を戻りながら会話する。

 

「テニスって個人競技だったりもするじゃない? そーゆーので間宮の奢り賭けたりしちゃうと、翔鶴ねぇってけっこう容赦ないんだよねぇ。あんまり表情変えないし、ラリーになるとしぶといし、わたしの方がじれったくなって押されちゃう」

 

「あー、何かワカルわ」

「奢り賭けて加賀さんと翔鶴ねぇがテニス勝負した時、すんごかったよ」

 

「その勝負、想像するだけで胃が痛くなりそうなんですけど?」

「どっちも譲らなくて長引いたから、結局ダブルスで決着付ける事にしたんだけど…」

 

「負けたんか」

「うん…。何で一航戦ってここぞって時に手堅いの!? 奢りって金額じゃなかったよ!」

「えっと、うん。それはそれは…、ご愁傷さまでした」

 

 拠点へ戻る途中、袋を持って浜辺を歩く長門の姿が見えた。

砂に隠れた鋭利な形の石なり貝殻なりが無いか確かめつつ、漂着したゴミなども拾っているようで、二人に気が付くと軽く手で挨拶を送ってきた。

 タープ拠点から更に先、バレー大会で会場となる予定の場所では、先ほどは無かったスポーツ用の簡易フェンスが囲いを作っており、内側にはネットの張られたビーチバレーのコートが出現していた。

 これの設置・戻りついでに長門は浜辺の掃除をしていたようで、既にコートの利用者たちがワイワイと姦しい声を上げていた。

 

「お、白露達が練習してるな」

「あの子達、どっちのペアも優勝候補みたいよ?」

「マジか!」

 

 コートを利用している、白露型のイッチバ~ン艦から四番艦の指輪戦隊。

 白露・時雨ペアと村雨・夕立ペアが、互いにネットを挟んで元気良くはしゃぐ様子が、若干やかましい白露の声と共に窺える。

 四人とも提督が涎を垂らしそうな水着姿で軽快に飛んだり跳ねたりしているが、先ほど瑞鶴からバレーの指導を受けたせいか、今の彼はスケベ目線ではなく、どこか真剣に彼女達のプレーを目で追っていた。

 

「やっぱすげー上手いんだな。俺みたいなド素人でもパっと見でわかる感じする」

「まぁわたし等艦娘は、大体何でも提督さんより上手にできるよ」

 

「言われなくても知ってるよ!」

「ほら座って座って、お昼食べよ?」

 

 タープ日陰内、清涼色のラウンドマットの上に提督を座らせた瑞鶴は、長門の準備してくれた簡易テーブルを自分との間に持ってくると、持参したクーラーボックスの中から大きくはない魔法瓶を取り出し、続いてビニールに包まれたグリーンストライプ柄の平べったい物を取り出した。その平べったい厚紙めいた物を山折り谷折りしていくと、取っ手付きの簡易紙カップとなる。

 

「こんなのあんだ?」

「うん、便利だよねー」

 

 瑞鶴はその紙カップへ魔法瓶から橙色の液体をトクトクと注ぎ、小さなプラスチック容器から細かく刻まれたパセリらしき物をふりかける。使い捨てスプーンも添えると、紙カップの取っ手を提督の方へと向けて差し出した。

 

「初手、冷製スープ…だと?」

「うーん」

 

 聞き流し気味に彼のリアクションに相槌を打ったのだが、どうも提督はこの後のお弁当の披露を待っている様子で、何故か正座のまま簡易テーブル上のカップを眺め続けている。

 

「……もうスープ飲んでていいよ?」

「そか、いただきます!」

 

 提督は冷んやり湯気の出ているスープを、スプーンですくって口に運ぶ。

 

「うまっ、かぼちゃのポタージュか!」

「え? うん。この前、初月がノイローゼ気味になっててさ~」

 

 瑞鶴は自分の分を準備しながら、彼の問いに答える。

 

「初月が? なんで?」

「それが、一人で変な事ブツブツ呟いててね?」

 

 

——「ボクは後どれくらい南瓜のお裾分けをすればいい…? そして後何人がコレを受け取ってくれるだろう…? あぁそうさ、南瓜は美味しいし栄養価も高い。甘い煮付けもいいし、大学芋風も捨てがたい、玉ねぎと一緒に味噌汁にしても良さそうだな。ハッ! イタリア艦達ならハロウィンに料理以外でも使ってくれるかもしれない。だけどだ…、業務用冷蔵室で雪崩を起こす量の南瓜を、一体どう処理したらいいんだ!? 保存するにしても、とてもじゃないけど食べ切れない!!」

 

 

「——だってさ?」

「涼月のせいか…、もう南瓜の錬金術師だもんな。そんで初月が苦労してたんか」

 

「だからわたしが、演習祭で使われる宿泊ホテルに持ってけば~? って」

「比叡ちゃんが何かと南瓜使った料理出してたのはそれでか! スープに味噌汁、天ぷらときんぴらとか、カボマヨポテサラも毎朝ビュッフェに並んでるもんな」

 

「南瓜プリンとシフォンケーキは大人気でいつも品切れになってるから、初月に泣いて感謝されちゃったよ。比叡ちゃんはもうプロのシェフだよね」

「金剛も『どこに出しても恥ずかしくない自慢の妹』って言ってるくらいだしな。何でも格式高い英才教育受けてんだって、芸事とか三道とかもいっぱい修めてるらしい」

 

「それ、ぜっ…たいに武道もだよね。夜戦になると探照灯照射してんのに霧島と突っ込んでくから、いつもこっちがハラハラしちゃうよ」

「ソロモン組はまぁ…ソウデスネ。夕立が尊敬してるって自分から言っちゃうくらいダモンネ…。俺も胃が痛いんダケドネ…、神通さんも程ほどにしてホシイネ」

 

「このスープも、その比叡ちゃんに教えて貰ってるから美味しいでしょ?」

「うん美味いわ。だが瑞鶴、俺を見縊るなよ? ホテルで比叡ちゃんが出してる南瓜スープはブイヨンベースだが、これはコンソメと生クリーム仕立てのポタージュだ! コクと舌のなめら感が違うのを見逃さないぜ! いや? 舐め逃さないぜ!?」

 

「別にそんな細かいトコでドヤられても…。んじゃまぁ、コッチもどうぞ」

「ほう…、サンドイッチときたか。しかもこの種類、やるな瑞鶴!」

 

「何で偉そうなのよ…。海で遊ぶのにあんまりガッツリした物も重たいだろうし、でも色んな味楽しみたいと思ってさ~」

「くっ! 瑞鶴、いつの間にこんなに作れるようになったんだ? いただきます!」

「めしあがれ~」

 

 真新しいランチバスケットの中で、お行儀よく綺麗に並ぶサンドイッチ群。

 見た目と厚みでわかる、具材たっぷりなタマゴサンドとツナサンドは耳なしパン。それとは別に耳付きライ麦パンを使用した、レタスでヒラヒラ窮屈ぎゅう詰めなエビシュリンプとアボガドのサンド。更には、こちらも耳付きライ麦パンのBLTサンドが並んでいる。

 端角にはマスカットの大粒が隙間を埋めて、どれもこれも手軽に気軽に口に運べる物で統一されていながらも、食欲の他に楽し気で清涼な彩りが詰め込まれていた。

 さっそく提督は、端に整列していたBLTサンドを大口を開けてかぶりつくと、カッっと目を見開き眉を上げ、瑞鶴に向けてモゴモガし始める。

 

「……んと、美味しそうに喜んでくれてるのはワカルから嬉しいんだけど、もうちょっと落ち着いて食べてよ」

「ふぐ…むぐ…、ゴクッ! ズイ…瑞鶴! 美味い、そして上手いっ、すげーなコレ!」

 

「あ、うん。ありがと」

「ベーコンレタスかと思ったら、ローストビーフじゃねーか! コレ朝に作ったん?」

「そうだよ?」

「おま、朝からこんな手間のかかる物…。ガブッ… シャク…むぐ…。フムゴガガゴ!」

 

 瑞鶴は別の魔法瓶からジュースを注いで、その蓋コップを渡す。

 それを飲み込む提督は、また目をカッと見開き驚愕を伝えてくる。

 

「このジュースもこんな…。いや、まずこのローストビーフサンドだ!」

「大げさだから、別に美味しいだけでいいから~」

 

「いいや、いいや瑞鶴! 朝からローストビーフってのが面倒だろうに、さらにこのレタス! 朝作ってクーラーバッグに入れてたとは言え、昼の時間にこのシャクシャキ感! これはしっかり冷水に付けてから水気をふき取り、更に冷蔵庫などで冷やしてないとこの食感を保てないはずだ!」

「冷凍庫なら短時間で済むけど…」

 

「ローストビーフのソースも手製だな? 俺好みな和風仕立てで若干甘味もある、これに合わせてサニーレタスの芯部分でなく、葉部分の苦みを合わせてきているんだな! そしてこのトマトもだ!」

 

 彼はサンドしているライ麦パンを蓋のように開けると、お手軽に食べられそうでありながら、手間の掛かっただろうお弁当製作者である彼女に、トマトの状態を見せつけてくる。

 

「ほれみろ! 具材が水気でしなしなにならないように、トマトの粒々ドロドロのとこをより分けて使ってるじゃねーか。あ、それを利用してこのソースの酸味に…?」

「なんか解説されると痒い! 背中かゆくなってきたじゃん~~!」

 

「なんだ? もう日焼けで皮むけてんのか? だが俺はとまらねぇ 次はタマゴサンドだ!」

 

 提督はたっぷりタマゴサンドを一気に半分ほど口に頬張り、口をへの字にしてジト目った瑞鶴をカッっと見開く目で凝視したまま、むぐむぐモグモグしっかり噛みしめてから、冷静スープをスプーンで少量啜って唇の滑りを整える。

 

「食感、これを重視し統一しているのがよくわかる…。わざとタマゴの形状が残るような混ぜ加減に、このマヨネーズも手製だな? あらびき胡椒のチョイスもその為だな?」

「あ、そんなのもわかるんだ?」

 

「あぁ、わかるとも! 市販のマヨネーズも十分美味しいが、大量生産で品質を保とうとすると、どっかしら味が均一で平べったい感じが出てしまうんだ。しかーし、このタマゴサンドのマヨネーズはそう! 自家製ならではの味のムラ、舌での味わいに層が感じられる!」

「なにその顔っ、上手い事言ったみたいにドヤってる」

 

「フッフッフ、ツナサンドはもう見た目でわかるぜ? こっちも手製マヨなのは勿論、歯ごたえを残すために玉ねぎのみじん切りを敢えて若干大き目にしてある。逆にキュウリは細かくしてあるのがポイントだな? そしてエビとアボガドの方は、エビシュリンプのプリップリを押すために、アボガドをスライス気味にしている。ソースもレタス側に垂らす事で…」

「もういいからっ! なんかハズイから~~。普通に食べよ? ね? わかったから!」

 

「バカヤロウ! 瑞鶴が俺のために朝から手間暇掛けて作ってくれてんだぞ? 余さず残さずいただかなければ、バチが当たるってもんだ! 続いてこちらのジュースですがっ!」

「まだ続くの!?」

 

「そうだとも! このグレープフルーツジュース、ただ市販の物を冷やしただけでは決してない! わざわざ絞った後にこれは…ゴクっ。レモン汁を若干とハチミツか! 夏場の海水浴を見越してのこの気配り、しかも一度加熱してからシャーベット状にしたものを砕いてミキサーしたな?」

 

「瑞鶴、満点だ。百二十点だ、完敗だ…。俺は朝からこんなんできねーわ」

「色々解説されちゃって、なんかわたしは全然勝った気になれないんですけどぉ~? 提督さんだってバシー部隊に差し入れ弁当作ったりする事あるじゃ~ん」

 

「このサンドイッチ一口だけで思い知らされたわ…。所詮俺のは付け焼刃だ…。鳳翔さんにもたった半年で卒業にされちゃったし、『提督には提督にしかできない事がある』って……ぐじゅ、すぴぃ~~」

「え? 泣くとこなの? あぁ~もう、大丈夫だいじょぶ。わたし達に何か自分でも出来る事したいんだよね? 夜番のヨメ艦に毎朝ご飯作ってくれるのも、それでだよね? ちゃんと皆わかってるから~~」

 

「ゔん…、ずぴぃ~。じゅいかくぅ~、俺愛されてるっ。ねぇちゅ~していい? じゅいかくにこんなに愛されてるから、ちゅ~していい?」

「はいはい、ちゃんと愛してるから、お昼食べてからね? ほら、長門の差し入れにラムネあるよ、こっちも飲む?」

 

「ゔん…、いただきまぁす」

「はーい」

 

 勝手に騒いで泣き始めた提督をなだめつつ、もう瑞鶴は上ずった口角を頬のマッサージで誤魔化す事もせずに、ニヤけたままの表情で二人での昼食を過ごした……。

 

 

 熟練嫁艦 瑞鶴による、デートを意識しての愛情ぎゅう詰めなサンドイッチで、腹いっぱい胸いっぱいになった提督は、長門の準備してくれたクッションに頭を預けて、寝転びながら食休みする。

 同じく差し入れとして準備されていたラムネの他に、二つ折りに出来る容器に入ったアイスキャンデーの幾つかのうちの一つを二人で分け合って、片方をチューチュー啜りながら姦しくビーチバレーの練習をする白露達を眺めていた。

 騒がしくもぐずり泣いた昼食を終え、二人はなんとなしの無言の静けさに心地を預け、その時間をゆっくりと謳歌する。

 

 浜辺の潮騒の音色に紛れ、時々やかましい声が向こうのバレーコートから聞こえてくる。

 瑞鶴は、食後でぽけ~っとビーチバレーの練習模様を眺める彼を横目に、バッグから取り出したメモ帳に、サラサラと本日の提督の行動内容と摂取した飲食物を書き記してゆく。

 普段秘書艦を務める艦娘が行っているこれ等のメモ書きは、提督健康管理担当である、チントレーナーも務めている比叡、そして萩風、速吸マネなどが目を通した後、榛名に報告として上げられて、変態提督備忘録に記帳される。

 艦娘の夢と繋がれてしまう症状を持つ彼に関するバイタル情報は、複写も電子化も厳禁とされているので、このメモ書きは榛名に報告が行った後に焼却処分される。

 それでも瑞鶴は、健康管理担当艦達が彼が摂取・または消費したカロリーや栄養素を計算し、メモ書きに付け加えるのを踏まえて、本日彼に振る舞った手製の昼食に使った材料や、彼とどのような運動を行ったかを備考として細かく記していく。

 ケッコン間もない頃は面倒に感じていたのだが、変態とは言え艦隊司令が健康を害して不在となると士気に影響が出る場合もあるのと、まして彼は艦娘の夢との繋がりで身体に影響を及ぼす事があるため、熟練と呼ばれる程にまでなったヨメ艦の瑞鶴は、現在では決して疎かにしないよう努めている。

 加えて、『榛名ピコ電』変換された文言にはなってしまうのだが、自分と彼が過ごした時間が記録として刻まれる事は嬉しく感じられるのもあり、瑞鶴はこれにも率先した姿勢を見せている。

 

 まだ本気を出していない、遊び半分な白露達のプレーをかろうじて目で追えてる提督から、「おお?」や「すっげ!」などの声が聞こえてこなくなったので、(お昼寝しちゃったかな?)と瑞鶴は彼に目を向ける。

 

 彼は居眠りはしてなかった。

 が、瑞鶴は少しだけ眉を顰めた。

 彼女の嫌いな顔だった。

 

 白露達を眺めるその表情は、静かではあったが先程とはうって変わっていた。

 どこか遠くをただ視界にだけ入れている様な、目に映るその情景を儚んでいる様な。

 自身を置き去りにしてしまった、その光景が決して自分では手に入れられないモノとしてしまっている、明日の自分に重きを置いていない、己を捨て去ってしまっている顔つきだったからだ。

 

 ケッコン艦が増えてきた事で、備忘録の先頭に後から付け加えられる形になった、大淀による彼の身元調査の記録資料。

 それによると、彼は二度も軍務中に深海棲艦と出くわし、そして奇跡的に生還している。

 

 一度目の生還は労われた。

 気遣われ、喜ばれ、凄惨悲惨を体験してしまった事へ、慰めの言葉もあった。

 だが二度目の生還は…、罵られた。

 蔑まされ、気味悪がられ、疫病神として誹られた。 

 

 生還した経験を買い、自ら乞うて彼を精鋭部隊へと望んだ上官、海軍の語り草となっていた勇猛を誇る佐官ですら…、

 

「どうしてオメオメと逃げ帰ってきた、どうしてあれほどの仲間を置いてきた。何故最期のその時まで供に戦ってやらなかった……」

 

 信頼を預けてくれた上官に涙ぐみながらの言葉をぶつけられ、二度目の彼の生還は、ついぞ呪われてしまった。

 その佐官も遺族への手続きを済ませた後、自ら手塩に掛けた精鋭部隊を喪失した責任を割腹を持って示してしまった。

 以来彼は、船酔い役立たず以上に爪弾かれ、疎まれ貶されて、たまに傍に寄って来る輩は給金目当てに酒を集る連中だけだった。

 それでも彼は、気の良い海の精鋭達とは段違いに意地汚い彼らに酒を奢り続けていた。

 支払いを押し付けるために、下戸の彼は酩酊するほど酒を浴びせ掛けられるのだが、それでも誰かに僅かでも頼られること、誰かと共に過ごせる時間に縋り、断れないでいた。

 自分は必要とされない人間である。

 疎まれ、遠ざけられる存在である。

 そしてそれ以上に、役立たずを他にないほど大切な仲間として扱ってくれた、そんな士気旺盛に熱苦しかった精鋭達を目の前で無残に屠り、海の藻屑としてミナゾコへ引っ張りこんでいった深海棲艦への恐怖が、明日は我が身、それが何時起きてもおかしくないと、『三度目は決して無いだろう』と、『次こそ自分の番だろう』と諦めの境地へ誘うのだ。

 

 愛する様になってしまった彼に刻み付けられ、未だ捕らわれとして縛り続けている深い傷跡、と言えるだろう。

 それが癒されていない現状こそ、深海棲艦から平穏を取り戻せていない証拠でもある。

 故に艦娘 瑞鶴は益々と情熱に猛るのだが、それでもふとした時に出てきてしまう今のこの表情をする彼に、嫁艦 瑞鶴としては一言文句をいいたい気分にもなる。

 正直、気に入らない

 未だ海に蔓延る脅威が取り除けていない現状は判る。自分の責任、力及ばずでもある。

 彼の心情も、記録で見る頭だけでの理解かもしれないが、慮る事は愛情いっぱいにしてみせよう、これからも情愛注ぎ続けて見せつけてやろうと自然に思える。

 だがそれでも、今彼が儚げに見つめる光景は、その彼のすぐ目の前にあるのだ。

 少なくとも現在・この時点においては、『三度目の自分の番』が来るよりもよほど近くに、手の届くすぐソコに実在しているのだ。

 こんな表情をする位であるなら、いつものスケベな顔のがまだマシだ。

 変態的欲望とはいえ、自分の望みを叶えようと心も体も動かす分、まだ能動的で『今を生きよう』としている。

 そうだ、彼のスケベも、元来から持ち合わせている部分を含んでいるだろうに。恐怖に阻害されずに素直な感情の発露ができるのなら、晴れやかに歯を見せて笑えるだろうに。

 少しずつちょっとずつ、もうそれが出来ているだろうにまだこんな顔をする。

 儚げに見つめる彼女達・白露達も彼から指輪受け取り、夜番にもガヤガヤと姦しくやって来てくれる、れっきとしたヨメ艦達だ。

 いつものスケベ混じりでも、少し望めばあの光景へ、あの姦しい輪の中へ、彼女達はワイワイと受け入れてくれるのが手に取る様にわかる。

 ちょっと手を伸ばせばすぐ叶えられるのに、それを得てしまう事で、『明日は我が身』が全て失う事を恐れて、怖気づいてたじろんでいるから気に入らない。

 だが瑞鶴は、決してこれを口には出さない。

 今急いでしまってはいけない。自分が押しつけ、強制してはいけない。

 そして今後の彼が、未来において本当の意味で晴れやかに笑えるだろう、その光景を齎すのが自分と姉と仲間達である、その自信も微塵も揺るがない。

 だから今の彼のこの気に入らない顔つきも、瑞鶴は静かに受け入れる。

 まごう事なき、現時点での等身大の彼であることも、また事実であるためだ。

 明日はもう少し笑えるようしてみせよう。

 それを繰り返し続けて、望む未来を手繰り寄せて見せつけてやろう。

 誰よりも自分がそうしてあげよう。

 

(提督さんはこれからも沢山、自分でいっくらでも嬉しい事を手に入れられるよ。わたしだってその一つだよ。ちゃんと約束してくれたじゃん、「うん」って言ったらいつも喜んでくれるじゃん)

 

 彼女は気持ちをぶつける時、情けなくも涙ぐんで応えてくれる、そんな彼を信じている。

 自分と交わした、未来においての約束にはしゃぐ彼を愛しんでいる。

 だから今のこの彼を目に焼き付けた上で、静かに見守りそっとしておける。

 その気になれば、いつでも彼の気に入らないこの表情から、普段のスケベでだらしないブサ顔に変えてやる事もできる。

 だが敢えてその手段は取らない。時間も必要だし、何より彼の能動性が大切だった。

 

 提督の今の時間を慮った瑞鶴は、覚られない様しっかりと見つめてから、潮騒と姦しい音色の流れに彼を預ける。

 そうしてしばらくの間、少しヒートアップしてきたビーチバレーを眺めていると、

 

「瑞鶴~」

 

 彼の儚げとは違う、どこか呑気な声に呼ばれた。

 

「んー?」

「今日誘ってくれてありがとなぁ~。お昼も美味しかったし」

 

「なーに言ってんの~? まだ今日のデート終わってないでしょ~?」

「おお、そうか。すっかり寛ぎモードだったわ」

 

「むへへっ…。じゃあ、またデートごっこやる~? おべんと作ってさ~?」

「おっ? やろうやろう、次は俺も作るの手伝うわ」

 

 

『今度は翔鶴も呼んで一緒にデートしよう

 今度は翔鶴ねぇも誘って一緒にデートしよっか』

 

 

「……おい瑞鶴、何だその顔は。苦虫噛み潰したってソレの事だって実感するわ!」

「うっへぇぇ~、提督さんとハモっちゃったよ。なんか寒気がする」

 

「んだよ! 息ピッタリでいいじゃねーか! マジで俺はお前の好みじゃないのな! ちゅぅ~してやるわっ、むっちゅううううううう~~~~」

「その顔ヤメテ、なんか汚い」

 

「きたなっ!? このっ、むっちゅうううううう~~」

「随分はしゃいでいい御身分ね、このクソ提督」

 

 迫る提督のタコ顔を、瑞鶴が顎を掴んで押し退けていると、鍔付き帽子にベスト、ワークショップで売っていそうなポケットの沢山ついたボトムス。飲食物用ではないクーラーボックスと長物が折りたたまれて入ってそうなケースを担ぎ、何かやらガラガラ音のする収納ボックスを手に持った、綾波型駆逐艦 曙がすぐ近くで声を掛けてきた。

 いつもの如く、変態提督に対しての仏頂面はご愛敬だった。

 

「ぬお? ボノたんいつの間に? 俺ってばこれでも司令官よ? いい御身分ではあるよ?」

「どしたのボノ~? 釣り行くの?」

 

「この装備見ればわかるでしょ? いい御身分ってのは、ウチのエース空母にこんなカッコさせてじゃれてるからよっ。ったくいつまで経っても変態が治りゃしない!」

「えぇー? この水着わたしに似合ってない?」

 

「似合ってるから言ってんの! 熟練嫁艦とかって言われてるなら、ちゃんとコイツ躾けなさいよ! コッチが迷惑っ!」

「もぉ~、ボノってばプリプリしちゃって可愛いやつめ~。水着褒めてくれてありがとっ」

「この水着エロかっこいいよな! ボノたんもそう思うよな?」

 

「あーもう帽子! 脱げちゃうでしょ? グシグシ混ぜないで髪も乱れるから! この惚気空母!!」

「ねぇねぇ、ボノたんボノたん。この辺でなんかいいの釣れんの?」

「長門がアイスくれたけど、ボノも食べるー?」

 

「いっぺんに話かけないで! どんなのが釣れるか確かめに行くとこなの! いいのが釣れたら鳳翔さんのお店に持ってくんだからっ、フン!」

「ほら、アイス食べなよー」

 

「いーらーなーいっ! 後で潮達と評判のお店見て回るからっ。ちょっと開けないでよ、それは釣り竿しか入ってないっ! あーもうっ、そっちはリールとかワームとかだから! 何で二人して漁るの!? こんのっっっっ、クソ提督っ!! エロ空母っ!!」

 

『俺、釣りってしたことないもん

 だって、釣りはやったことないし』

 

 青ざめたドン引き顔で撤退を決めた曙に、「秋になったら頼むなー」と提督は声を掛け、再び苦虫顔の瑞鶴は手持無沙汰になったアイスを振って見送った。

 

「ボノに褒めて貰っちゃったー」

「エロ空母って言われてましたけど?」

 

「……そこはもう否定しない。クソ提督よりマシじゃない?」

「あれはボノたんの愛情表現だから! 嫌われてるわけじゃないから!!」

 

「ほんとぉ~? どうだろね??」

「おいヤメロ、不安になるだろ!」

 

「まぁ心配ないよ、わざわざ挨拶に来てくれてたから」

「そう思いたい……」

 

 その後、行き場を失ったアイスをまた分け合いながら、二人はごろりと寝転がったリラックス姿勢で、ビーチバレー大会その優勝候補達の練習試合を眺める。

 ペア同士の実力が拮抗するためか、徐々に本気を見せ始めた白露型の動きを提督は目で追い切れなくなってきており、妖精さん製の摩訶不思議ボールが優秀な選手たちのアタックというよりも打撃で、尋常ではない音を出すのに驚きの顔を見せつつ、瑞鶴にプレイの解説をしきりに尋ね始める。

 瑞鶴はそれに答えてやるため、彼が頭を預けているクッションの下に着替え類が入ったバッグを敷いて目線を少し高くしてやると、自分はその彼のお腹を枕にT字で寝そべって、白露達のプレーするコートに頭を横向けた。

 

「えっ、今の何アレ。夕立がジャンプしたのはわかったけど、アタックの動作見えなかったぞ? で、何で時雨は消える弾丸ボールを、あんな綺麗にレシーブできるんだ?」

「んー? 提督さん…ってか、ニンゲンには見えないかもだし仕方ないよ。でも少し見えてるんだね、凄いじゃん。まだあの子達本気は出してないっぽいけどね」

 

「マジで!? アレで!?」

「うーん。本番じゃないし、手の内は隠してる感じする。そもそも、わたし等が本気の本気でやったらバレーじゃなくなっちゃうしね。あくまであの枠の中、練習のプレイだね」

 

「うっへぇ~。??? 今の夕立は何でコケたの? 足で上げるのにワザとコケたの?」

「んぁ~違う違う。白露がアタックの瞬間に…、ん~目線でもやってたろうし、たぶん五個くらい? フェイントしてたからだよ」

 

「はい!? 五個も??」

「ついでに時雨も位置取り変える動きでフェイクしてたから、動物みたいな反射しちゃう夕立は頭より先に体が反応しちゃったわけ。それでギリギリ足使ってボール上げたの。村雨がしっかりラインギリで返してフォローしてたでしょ?」

 

「いやもう展開早すぎて訳わかんねー。ってどわぁ!? 村雨ちゃんもすげーの撃ってる? なんか空中で泳いだ? アレは何??」

「性格のせいで大人しく見えるけど、村雨も夕立に引けは取らないは言い過ぎかな? 夕立は身体能力は頭一つ抜けてるしなぁ。まぁ村雨もバネは凄いよ、滞空時間長いからブロックアウト狙ってるように見せかけて、全然違うコースに腕振り抜いたから空中で泳いでるように見えたの」

 

「時雨が反応できてなかったよな!」

「あぁ~、それは村雨の性格だろうねぇ。ブロックに飛んだ白露を壁にしてフェイント混ぜてやっかいなコースに打ってたから、予想の範疇に入れてたけど時雨は見送るしかなかった感じ。敢えて捨てる選択してる分、時雨も相当だよ?」

 

「時雨がまた上げたぁ!? すっげ…、白露はなんかうるせーな」

「それも作戦だね、あの中じゃ一番テクニックあるのは白露だよ。夕立のアタックを時雨が拾えるから、それで煽ってんの。ほら、夕立がムスっとした顔してるでしょ?」

 

「おおぅ…、夕立も喚きだしてんな」

「白露がおちょくるし、徹底してフェイクしながら夕立に打ち込んで左右に揺さぶるプレッシャー掛けてて、アタックは時雨が拾いまくるから、夕立は気持ち良くプレイさせて貰えなくなってるね」

 

「何その心理戦。あとで喧嘩にならない?」

「大丈夫でしょ、いつもの事だし。その辺は白露が上手くやるんだけど…、ってほら! 村雨もしっかりしてるねぇ~。ある意味白露よりニクイ心理戦してるのは村雨だね」

 

「白露が顔面に喰らったな…。でも自陣コートに落ちたら点にはならないよな?」

「ポイント渡してでも、仕掛けるぞって村雨の宣言だね。白露の喧嘩を夕立じゃなくて村雨が買って出た感じ。ほら、白露がプリプリしてるっ」

 

「お姉ちゃんの威厳がどうとかって聞こえるぞ。……ファッッッ!?!?」

「時雨は冷静だね~、あんなサーブわたしも取れるかわかんない。くだらない喧嘩には付き合わないよ、って事だね今の」

 

『うわぁぁっ!?

 うわぁぃっ!!』

 

「ひぇっ、なになに? 今の瑞鶴でもびびるレベル??」

「んとね……」

 

「今イラ立って逆に集中し始めた夕立が全力で振り抜いたアタックを、敢えて白露はブロックに飛ばなかったのね? 反応しちゃう夕立に、動きだけのフェイクでコース少しだけ塞いで時雨に任せてたの。それを時雨は上じゃなくて、ネット側に寄せる低めの軌道のレシーブしたかったんだけどブレちゃってたのね? でも白露もしっかりツーアタックでコースギリに打ち切ったのを、反応した夕立が飛びついて上げて…、ってここで完全に夕立が反応できるのを解ってた村雨がすっごいんだけど、夕立もその前に時雨がやりたかった軌道のレシーブで上げてるわけよ。ん~でっ、読み切ってた村雨が相手のツーをもっとコンビネーション決まったツーで、しっかも白露の顔面に打ち込んでポイントにしてたの!」

 

「早口過ぎてわっかんねーッス瑞鶴コーチ! でも今の一瞬で、色々ひっくり返ったりどんでん返した感じっぽいのは伝わりましたぁ!」

「う~ん、ギリギリのコンビネーションってなると村雨と夕立のが上なのかぁ、意外」

 

「そうなの? 一番テクニックあんのは白露で、相手おちょくったりも得意なんだろ? やたらうるせーし。そんで時雨は冷静で夕立の撃つ弾丸上げられるし、結構えぐいサーブ出来るみたいだし、コンビネーション上手そうなイメージなのは白露と時雨ペアだったけど?」

「うぅ~ん。わたしもそう思ったんだけど、爆発力あって野生の感で反応する夕立の動きを見切ってる村雨が、かな~り曲者だった。白露プリプリさせてるのはその村雨だし、心理戦上手いのかもね」

 

「あっ! そうでもないわ。白露も曲者だったよ提督さん! 今、村雨と夕立が完全にお見合いしちゃうトコに、へなちょこアタックでやり返してたわ」

「あの…瑞鶴コーチ。もう今の時雨のサーブから何が起きたのか見えません、ワカリマセン。一瞬四人とも飛んでたように見えたんスけど、そんな事ある?」

 

「あーうん、そう。そこは一瞬でも見えたんだ、凄いね。電ちゃんパンチたまに避けられるだけあるね。でも、もう四人とも本気出し始めちゃってるから、あんまり提督さんには何してるか分からないかもね」

「くっそう、いいトコっぽいのに知覚限界の外なのかよ…。大会の時は青葉に映像記録させて、後から全部スロー再生で見るぞ!」

 

 ヒートアップし始めた白露型達のプレーは、提督が陸奥に見せられた映像を遥かに凌駕する領域へと突入していく。

 苛立ちを抉じ開け集中を研ぎ澄ます夕立は、予備動作・タメの動きが四肢を這わせる四つん這いとなり、そこから砂飛沫を蹴上げて獣王無尽にコート内の縦・横・奥行を支配する。

 姉達より頭一つ抜きん出た夕立の動きに呼応するように反応するのは、クラウチングスタート姿勢を取り出した時雨だ。

 臨戦態勢となった時雨に対し村雨はしなやかに飛び上がり、さらに長い滞空時間を利用して宙を舞い泳ぐ。これまで散々見せていた右腕での振り抜きをフェイントに腕をクロールさせ、そこから逆の左腕、それまで以上のアタックを炸裂させて完全に時雨の裏をかく。

 調子を上げてきた村雨・夕立ペアに長姉白露が黙っているはずもなく。次の夕立による高い打点からのアタックに白露は、『ブロックに遅れたように見せかけ』てわざと後から飛び上がると、アタック直後の夕立の弾丸を刹那でアタックでねじ伏せ返す離れ技をあっけなくやってのける。

 これまで小手先おちょくりしていた長姉の見せたパワープレイに、夕立は牙を覗かせて『全力を出して良い相手』の出現に嬉し気に笑みを零すが、その上昇ボルテージに水を差したのが時雨のサーブだった。

 まるで明後日の方向、コート外へ高く大きな弧を描いて放たれたそのサーブは、山なりの頂点でフラフラと軌道を変えて、相手のコート内の逆サイドへゆらゆら吸い込まれてゆくと、一応構えていた村雨のすぐ足元でライン上の角ピッタリに落下した。

「あの子今、風を読んだの!?」と空母瑞鶴を驚かせる程の、『自然環境』すら味方にし始めた「点の取り方はまだまだあるよ」と言いたげな時雨に、勝つためにはまず誰を潰すべきだったのかを理解した村雨が、瞳をキュッと照準させる。

 だがこれ等全ては提督の知覚の外。寝そべっていた瑞鶴すら体を起こして目を見張るほどの艦娘ビーチバレー好プレー集に、彼はしきりにコーチへ解説をねだるのだが、「ちょっと黙ってて」と彼女の方がのめり込んでいた。

 少しだけ不貞腐れた提督だったが、ヒートアップし過ぎたプレーで艦娘用妖精さん製バレーボールが砲声のような音と共にコートにクレーターを造り続け、とうとうネットを吹き飛ばす事態となって、白露達は渋々とコートの整備にトンボ掛けをし始めるのだった。

 

「ふぅ~~」と大きく一息付いた瑞鶴は、胡坐をかいて成り行きに驚きっぱなしだった提督をグイグイ押して再びクッションを枕に横たわらせると、自分は彼のお腹に今度はうつ伏せで腕と顎を預ける形で寝そべった。

 彼は頭の後ろで両手を組んで、自分の腹枕へ戻ってきた彼女になんとなくの声を掛ける。

 

「……おかえり」

「うん。むへへっ、ただいまっ」

 

 先ほどちょっと不貞腐れたかなぁと思ったのだが、「見えんモノは仕方ない」と機嫌は損ねていなかった提督のなんとなくの一言に、瑞鶴はパっと顔を明るく咲かせて、ニンマリしながら応えるのだった。

 そのまま彼は腕を頭の後ろで組みながら、彼女は腹枕に腕と顔を乗せたうつ伏せで、足はゆらゆらとバタ足で漕ぎながら、コート整備も姦しい選手たちを眺める。

 一通り整備を終えた彼女達は、今度はペアを変えて練習試合をする様子だ。

 白露・村雨の曲者ペア VS 時雨・夕立の環境制圧ペア

 

「この分だと、ビーチバレー大会も盛り上がっちゃいそうだね」

「瑞鶴が目を凝らす位だったもんな。俺は全然構わないぞ、長門も力入れてるし、盛り上がってくれた方が開催した甲斐があるってもんだ」

 

 嬉しそうな声に瑞鶴は彼に向き直り…、そしてハッっとした。

 また遠い目をしているのだが、今度は穏やかな顔だった。

 本番での白露達含む選手たち皆の活躍を期待している、それでいてどこか、その後もそのずっと先の未来も、彼女達の成長を楽しみに思いを馳せている、そんな表情だった。

 たっぷり時間を掛ければ、思ったより優れた司令官に成れるのかもしれない。

 その表情に一瞬見惚れた事を、もう瑞鶴は誤魔化さなかった。

 胸にまた温かい気持ちが込み上げる。そして下腹部はもう熱くて堪らなかった。

 

(今日はわたしの方がダメだなぁ~)

 

「んねぇ~、提督さん」

「んー?」

 

 返事をした時にはもう、彼女の顔が目の前だった。

 彼をキョドらせるためでもなく、波との戯れにはしゃぐでもない、しっとりと唇を押し付けるだけの、いつもの合図のキスだった。

 すぐに意味を理解した彼は、本日これまで珍しく忘れていた股間を滾らせる。

 その熱は、ケッコンで不思議な絆を強く縁繋ぎ、更に熟練と呼ばれてしまう程お世話に長けてしまった事で相性を深めに深めた瑞鶴へ、彼の心だけでなく欲求も相まった昂りを下腹部の火照りとして伝えてきてしまう。

 それが熱くてたまらなかった。また嬉しくて堪らなかった。

 何かに阻害されない感情の発露。欲望でも構わない提督の能動性を望む瑞鶴は、自身もまた今を偽ろうとは思わなかった。

 

「……しちゃおっか」

 

 既に耳まで赤らめた瑞鶴は、彼に惚けてしまった表情を隠そうともせず、恥じらいは火照る下腹部に押し流されて、自分の合図にすぐさま水着テントで呼応してくれた愛しい熱を更に昂らせるように、優しく淫らにまさぐり誘う。

 

「……うん、ってあれ? 今? ココで?」

「な~によっ、まさか嫌なの?」

 

「俺が瑞鶴の誘いを断ると思う?」

「ん~ん? ……ふふっ」

 

「てーか、瑞鶴の方こそいいのかよ? こんな外の丸見えな所で」

「今までだって、いっぱい外でしてるじゃ~ん」

 

「そうだけど、一応物陰に隠れてとかだったろ? いつも外だと恥ずかしがって最初は怒るから聞いてんの」

「うん…、いいや。浜辺にいるの白露達だし、夜番の付き添いとかで散々見てるし見られてるし。何か今日わたし我慢できない、したくない。提督さんも、もうこんなに大っきいよ?」

 

「そりゃ瑞鶴にこんなにされたら、俺が我慢できるわけねーだろ?」

「ね? ……しよ?」

 

 唇をついばみ始めて、提督の念押しを情熱的に押し返す瑞鶴は、彼の水着の中へ手を侵入させて、もうビクビクと嬉し気にする愛しい熱をゆっくり撫で付ける。

 早くも吐息洩らす瑞鶴は、いつも時間をかける最初のキスを省略し、自分から舌を差し込んで絡め合うのねだる。

 提督はその彼女を抱き寄せようとして、汗が粒になるほどの火照りに驚いた。

 

「瑞鶴、汗すごいぞ?」

「はぁ…はぁ…。だってお腹あっついのに、提督さんのおちんちん凄いの伝わってきちゃったんだもん。ちゅ…れるぅ~、はぁ…、もうお汁ヌルヌルでおっきぃ~」

 

「う…、く…。今日まだ一回もしてないから、けっこうやばいかも」

「うん…、うん…。いいよ? いいよ? わたしも凄いから、ほら……ね?」

 

 彼の隣で寝そべり寄り添い絡み付いて、一物を撫でながら舌で誘い続ける彼女は、自らで深い色のスポーツ材質デニム地水着のトップスを片方肌けると、ぴんっ…ぴんっに張り詰めきっている、これまで数えきれないほど何度も彼の口に含まれたピンク突起を主張する。

 

「ね…? ね…? 夕べからお腹熱いままだったから、今日ずっとこうだったのっ」

「なっ…!」

 

 待ちきれないように肌け示したコリッコリに尖りに尖った乳首を、提督にすぐ様しゃぶり吸い付かれた瑞鶴は、身体を細かく震わせながら高い鳴き声で喜び伝える。

 

「んはぁっ! きもちっ…! ねぇ~? カワイイ? わたしのおっぱいカワイ?」

「むはっ! ちゅっぱっ、ちゅっ…っぺろれろっ! 可愛い! すっげぇ可愛い! こっ……んな尖らせて! このっ、何でもっと早く言わなかったんだ!」

 

「あっ…あっ! だっ…てぇ、提督さんデート楽しそうにしてくれてたから……。んっ、あんっ。わたしも嬉しかったのぉ…。ねっ…、コッチも吸ってぇ~?」

 

 肌け差し出したもう片方の突起に吸い付かれ、瑞鶴は思わず提督の頭を抱き寄せ喘ぐ。

 そうして、喜び跳ねて昂りを下腹部に伝えてくる一物を扱き、彼の髪も撫で付けながら快感に眉を歪めて熱く吐息洩らす。

 

「んあっ、はぁぁ~っ。 もっと強く吸ってっ! あっあぁっ!? んもぉ~、わたしのおっぱいでこんなに硬くしてくれるのうれし……。すっごいガチガチ、もうコレ脱いじゃお?」

 

 跳ねる勃起を扱くのに邪魔になってきた彼の水着を剥ぎ取り、彼女は親指と中指で輪を作って上昇を促す。薬指と小指で陰嚢の下の幹から撫で上げ装填させ、じっくり撫で付けながら先走りを勃起全体にヌメり纏わせてゆく。そのまま亀頭を上から人差し指でくすぐりながら、快感に歪んだ眉で優し気に見つめて突起しゃぶる彼の髪を撫でる。

 

「ふう、ふうっ! ず、瑞鶴……」

「うん、わかってる。射精そうなのお腹に伝わってる」

 

 腰まで跳ねさせ始めた提督に瑞鶴は優しく声を掛け、自分以上に眉を歪ませた彼にまた口付けすると、そのまま顎と首筋を降りて胸板に舌を這わせて彼の乳首もついばみ始める。

 

「んふっ…、提督さんのココもコリコリになっちゃったっ」

「もう出る! 瑞鶴もう出る!」

 

「れる、れろぉ~~。いいよぉ~? このコ今日ずっといいコにしてたから、思いっきり射精していいよ? 飲んであげよっか、それともおっぱいに掛けたい?」

 

 瑞鶴は彼から伝わる卑猥な熱伝導に汗ばみながら、乳首の片方は舌で愛撫し、もう片方は指で引っかいて刺激に提督を跳ねさせる。

 勃起撫で回す指に粘り気の強くなった先走りを纏わせて、エラ部分を親指と中指でクチュクチュと搾り上げつつ、人差し指で射出口を広げるよう噴射を誘う。

 

「はぁっはぁっ! くそう、どっちもいいな…。あぁぁ~どうしよう!」

「夕べ二回しかしてなかったし、今日はたっぷり射精させてあげるから、好きなのから選んで? 全部シてあげるっ」

 

 瑞鶴は張り付き寝そべったまま、体勢を少し彼の下半身側へと移動する。

 

「ほらぁ~? おちんちんもおっぱいとちゅぅ~。いいコにしてたおちんちん、ちゅぅ~~」

 

 勃起あやすように先走りを自分の胸へと撫で付けさせ、射出口と突起を擦り合わせた時。

 

「うわっ! ばかっ!!」

 

ビュルッ ビュルッ ビュルルルルッ!

 

 姉の翔鶴ほどではないがでもしっかりと弾力のある、ケッコン以前よりも少しサイズアップした瑞鶴の胸でヌメり撫でられ、コリっコリの尖りで亀頭をくすぐられた提督は、スレンダー弾力とコリ尖りでの淫らなあやしに、選択する間もなく噴出させた。

 

「あんっ、すっごい射精てる! むふ、わたしのおっぱいとちゅ~して、おちんちんイっちゃったのぉ?」

「うあっ…、とまらっ…。ごめ、水着汚しちゃう」

 

「そんなのいいからっ、いっぱい掛けて? ほら、もっと乳首にちゅぅ~~」

 

 瑞鶴は半端に肌けさせたままのスレンダー乳房で、おろしたての水着に掛かってしまうのも厭わずに白濁を纏わらせてゆく。

 欲望吐き出す愛しい熱の伝わりが下腹部をカァっと火照らせて、それに太ももを捩らせながらも、ドックンドックン脈づく勃起を胸で撫で付け尖りくすぐる。

 眉を顰めて荒く息付き、噴射に震える彼を瑞鶴は悩まし気に見つめながら、もっと射精を昂らせるために胸で彼の下半身に乗り上げる。

 

「ん、んっ…。いいよ、もっと射精して? これはど~ぉ? おっぱいで抱っこしちゃうね?」

 

 なるべく胸を寄せ、弾力が伝わるように射精中の勃起を乳房で包むのだが、やはり姉のように挟める程のボリュームはないので、足りない分は手を添え亀頭を撫で付ける。

 デートごっこの楽しさの裏で、堪えに堪えていた愛しい熱の白濁噴出を、彼女はその脈動に合わせてスレンダー弾力でプルリプルリとこね回す。

 それにより勢いを増した、塊のような粘液が勃起を添え支える手指の間からビュルりと飛び出して、かつてはコンプレックスだった自分の胸の内でこんなにも喜び嘶く脈付に、瑞鶴はさらに愛しさを募らせ、どんどん飛び出る白濁に郷愁のような侘しさが生まれる。

 彼の精液が外界へ放たれてしまうのを寂しく感じた瑞鶴は、下腹部と共にとろけ火照りきった顔のまま、太ももをもどかしそうに捩らせて胸元で脈跳ねる勃起を口に含んだ。

 

ブビュルルルッ! ブビュルルルルルルルッーーッ!!

 

「おわあっ! 出てる時にそれぇっ!」

「はもっ…、ごぷっ…。ゴクンッ、じゅっぷぅ~。じゅっ……ぽぉ~、じゅぷっ…ぽぉ~。れろえろれろえろえろっ、じゅっぽっ、じゅっぽっじゅっぽっ! ひもいい~? ひっふぁいらして……。じゅっぽっ、じゅっごっ! ごぷぉ…、ゴクッ! ゴクッ! じゅろろろぉ~っ」

 

 喉奥までしまい込みながらえづく事も無く、愛し気に舌を根元まで勃起に絡ませ舐り回して誘いながら、もう何度も直接と飲み干し慣れたどろり白濁の喉越しを味わう。

 火照り惚けた悩まし気な顔で彼を見つめ、頬を窄ませてまで勃起を頬張り、卑猥な音を鳴らしながら舌をれろんれろんに振り回し、袋を揉んで会陰撫で付け奥底にある白濁を許さない。脈動が治まりつつあっても、「まだ射精る、まだ射精る」と頭をじっくり上下させ、喉奥を絞りながら根本を舌で舐って上昇を諦めさせず、彼のビクつき跳ねる腰を腕で抱えて逃がしはしない。

 長い、長い、喉まで使った口での奉仕だった。

 愛し気に舐りしゃぶる、射精へのおねだりだった……。

 

 提督が射精を一頻り終えても、瑞鶴は勃起を口から離さなかった。

 旺盛な彼が、たったこれだけで硬さを衰えさせる事のないのを十分その身で知る熟練嫁艦は、すぐに次への装填を促しねだりながら、放出後のお掃除へと移る。

 じゅるじゅると頬張り続けて、白濁や先走りではなく自分の唾液で勃起がヌメ光ると、今度は手や胸に付着していた精液を勃起に撫で付け纏わせて、再び口で含んでれろんれろんにしゃぶり尽くす。

 そのまま彼が自身の体液で汚した腹部や胸まで舌を這わせて、瑞鶴は太もも捩らせ熱い吐息を洩らしながら提督を唾液まみれにしていった。

 

「んっ…はぁ~~。はい、綺麗にできたよ。全部食べちゃった、ご馳走様」

 

 やっと身体をどけて、提督のそれよりも自分の唾液で互いを淫らに汚した瑞鶴は、垂れ伝う汗も拭おうとタオルに手を伸ばす。

 だがそれは、興奮醒める事を許して貰えなかった彼に、勢いよく抱き着かれて阻まれる。

 

「あん…、まだ拭いてないよ? 口も濯いでないし」

「そんなのいいよ。はぁはぁ、瑞鶴、瑞鶴!」

 

 タープ屋根の日陰の中、ラウンドマットの上で互いに膝立ちになりながら、散々自らを舐りに舐った瑞鶴の舌に吸い付いた提督は、そのまま彼女の胸を揉みしだいて突起を摘まみ弾く。

 自分が放った物の匂いや味、それ等を全て受け止めてくれた彼女により興奮昂っている彼は、夢中で舌を絡ませながら荒い息で身体を弄り押し倒す。

 瑞鶴はすっかりスケベを取り戻した提督を抱きしめ受け入れながら、まさぐる彼の手に身体をピクンピクンと震えさせ、そのまま素直にラウンドマットの上へ横たわる。

 

「はぁ…はぁ…。あんっ、提督さ……」

 

 腕を回して横たわり、優し気に嬉し気に吐息洩らす彼女に、彼は迷子になっていたクッションを頭の裏へと持って行く。

 それに顔を綻ばせた瑞鶴の表情に胸と股間が熱くなり、提督は再びキスの雨あられを降らせにかかる。

 唇を合わせて舌をたっぷり絡めた後、頬で音を鳴らして顎へと下りて、そのまま首筋や鎖骨をじゅるじゅる啜って彼女の味を塗り替える。

 そのまま肌けたトップスのスレンダー弾力を揉みしだいて乳首を舐り指弾き、戦いだけでなく自分とのまぐわいにクビレるウエストを摩りながら美形な臍へも口付ける。

 勃起の昂りを察知してしまう、昨晩から火照り続ける熟練嫁艦の下腹部にしっとり優しく唇を押し当てると、瑞鶴はそれだけで高く大きく鳴いて身体を震わせてくれる。

 とっくに股開いて彼を間に位置取らせている彼女の太ももを摩り上げ、膝からツーっと舌を這わせながら降りて来る。

 水から上がり時間が経って、夏の気温でとっくに水着は乾いていたのに、瑞鶴のそこは一目で分かってしまう程、ぐっしょりと湿らせた色となっていた。

 深い色をより濃く湿らせる箇所に、彼は両の親指をそっと添えさせる。

 「んっ!」と声漏らす彼女の股部の中心に指腹をしっかりと押し当てて、湿り気を溢れさせるように撫で回す。

 その時、水着の股部が少し変わった感触・作りである事に、彼は少々不思議がる。

 

「……やっと気が付いた?」

「んー、これって?」

 

 瑞鶴の身に着けていた、スポーツ材質なデニム地デザインの水着のボトムス・その股部は、際どいラインであるせいか、二重底? と感じられる厚みがあった。

 だがそれは、合わせ目が互い違いとなって縫い留められている訳ではなく、スリットに指を侵入させると、男性用下着の前開き窓のようになっているのがすぐ判った。

 スポーツ向け材質の伸縮性。互い違いの前開き、正確には下開き出来てしまう二重底。

 ぐっしょり濡れ湿った股部をゆっくり左右に広げていくと、そこには愛しい熱を受け入れる事に慣れ熟れた、充血しきって陰唇開く瑞鶴の秘部が、蜜をトロりと溢れさせて卑猥に口窄めていた。

 

「コレなら、水着のままおちんちん挿入っちゃう…でしょ?」

 

 ただちに提督は蜜を啜りに掛かったが、もみゅっと瑞鶴の太ももが頬を挟んでそれは阻まれる。

 

「まっ! …て、それは今ダメ」

「なんで! こんなになってるまんこ放っとけるか! ペロペロさせろっ!」

 

「今ペロペロされると、わたしもすぐにイっちゃいそうだからダメ」

「別にいいだろっ。瑞鶴だってさっき俺にいっぱいしてくれたじゃんか! 俺も瑞鶴気持ち良くしたいんだよっ、足どけろ!」

 

「そうじゃなくて…、もう欲しいの……」

「んっ?」

 

「おちんちんでシて…。ペロペロじゃなくて、おちんちんでイかせて欲しいの」

 

 それを聞いて瑞鶴の太ももの間から強引に顔を引っこ抜いた提督は、彼女の膝に手を掛けて股を大きく広げさせ、グイっとイキる勃起で体を間に割り込ませる。

 彼が自分の希望を叶えるつもりであるのを見て取った瑞鶴は、興奮に腹を叩きながらメトロノームする勃起を受け入れやすいように、両手で腰横から水着の股部を左右に開き、更に彼がいつも触れたがる、見染めた男とのまぐわいにも鍛えられた長い脚を大きくM字に持ち上げ広げた。

 いつもなら、照準合わせなどする必要もなく彼女と肌を重ねる事ができるのだが、今の瑞鶴は水着の上を肌けて下は両開きにしているだけだ。

 提督は彼女を裸体に剥ぎ取る時間を惜しみ、またこのために準備されていた自分へ向けての水着の仕掛けに興奮し、急いで彼女の希望を叶えに勃起に手を添え俯角を整える。

 自分で秘所を広げるかのような瑞鶴の姿勢に提督は息荒く、ぐっと力を込めて両開きの水着股部の奥へ、膨れ上がる先っぽを進ませる。

 

 入口粘膜に先が触れると、熟れた蜜で焼き印でも押されたかのような熱さだった。

 昨晩からずっと下腹部を火照らせたままの彼女が、ずっとコレを待ち焦がれていたのを勃起で理解した。

 背すじを上るようにブワっと嬉しさと興奮が込み上げ、同時に待たせ続けてしまっていた焦りと悔恨まで沸いて出て来た。

 勃起の先を淫らな窄みへと触れ合わせた後は、もう一気に突き入れてしまった。

 

プジュッ! ズッチュプジュニュルルルルルククップニュッ!

 

「んんぅっ! んっはあぁぁぁぁぁああああああっっ!!」

 

 それだけで瑞鶴は仰け反り、絶頂してしまった。

 愛しい彼の熱勃起を、どれだけ自分の身体が望んでいたのかを鳴いてしまった。

 先ほど彼が押し倒して来た時、興奮の中にありながら気づかってクッションを備えてくれたのに、思わず顔の綻んだ優しさを越えて自分の火照り切った身体に応えてくれた事にも、また喜びが込み上げてしまった。

 絶頂にビクビクと仰け反った身体が、また白濁をねだって腰くねっているのを自覚する。

 熟した膣壁も、再びの射精を乞い願ってうねり窄まり、きゅうきゅうニュクニュクと愛しい熱勃起をしゃぶり咥えていた。

 散々上の口で舐った先っぽが、しっかりと最奥の密肉壺へと頭を埋めてぐっと擦り上げ、言わずとも自分の好みの箇所をしっかり捕らえてくれた彼に、すっかり心も身体も股も汗腺までもが開ききった。

 

「はぁぁぁぁぁ~~~、ひぐっ……。はぁぁぁぁぁぁ~~、んはぁぁぁ~、ぐすっ……。提督さ…ん、もうイっちゃったぁ。挿入れただけでイっちゃったぁ……」

「くっ…、中すげぇ熱くなってる……」

 

「だってぇ~。ぐしっ…、ずっとお腹熱かったのぉ。うえぇ…、デート嬉しくて、ずっとおちんちんして欲しかったのぉ~っ」

「こんなまんこしてたら、言われなくてもわかる!」

 

 いきなりの絶頂に驚いたように涙目になっている瑞鶴を、提督は舌を絡めて慰める。

 嬉し気に応える彼女が、更に蜜膣を窄めて勃起にねだりしゃぶりついて腰をくねらせてしまうので、彼も抱きしめはするものの慰めるだけでは済まなかった。

 

ズチュ…、ズッチュ、ズッチュッ!

プジュッ! ズッチュン! ズニュゥ~ッチュ!

パジュッ! プジュッ! パブッチュ!

パッチュッ! パッヂュッ! パヂュッ!

 

 卑猥な水音を隠しきれない、よく絞まる瑞鶴の膣口が鳴り響き、それに更に煽られた提督の腰が彼女を打ち鳴らし始める。

 

「はぁっはぁっ! 瑞鶴っ! 瑞鶴っ!」

「んぁっ! あぁっ! はげしっ……ぐすっ。提督さんっ! 提督さんっ! きもちい~っ! ぐしっ…、おちんちん気持ちいぃぃよぉぉぉぉっ!」

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ! はぁぁぁっ、はあぁぁぁっ、はぁぁぁぁっっ!」

「んんっ! んんっ! んんんんんんぅぅぅっ! んぁっ!? すごっ、おちんちん凄いっ! きもちぃぃぃぃぃっ、もっとぉぉ~っ! おちんちんもっとぉぉぉぉぉぉっっ!!」

 

 提督にしがみ付き、自ら大きく広げた足で踏みしめる瑞鶴は、ねだりしゃぶる蜜肉を窄ませ、彼の膝の上へ乗り上げるように仰け反り腰くねらせる。

 彼の腰も合わせたように、打ち付けからよりグラインドさせる暴れ勃起へと変わり、彼女の好む膣奥と、もう一つの快感スポットである入口近くの肉厚箇所でも勃起エラを使って擦り上げる。

 また身体が仰け反るほど必死に腰をくねらせて吸い付かせようとする瑞鶴は、耳まで赤くしながらも卑猥な膣音が鳴るのも憚らず、愛しい熱勃起と連動して身体を震え弾ませる。

 背中を逸らす事で強調されるスレンダー弾力を、提督はグラインドしながら揉みしだく。

 そして尖りを一気に摘まみ上げた時……。

 

「あぁぁっ! やっ…またイっく…、イっ…んあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」

 

 しがみ付いていた腕がほどけて、一際大きく仰け反った瑞鶴の腰を掴み、提督は続けて腰をグラインドさせていく。

 

ズップッ! プッジュッ! パブッチュッ!

グップッ! ブヂュッ! ズチュッ!

パヂュンッ! パヂュンッ! パヂュンッ! パヂュンッ! パヂュンッ!

 

「イったぁ…っ、またイっったよぉ~? んあっ! あっ、あっ! ひあぁんっ!」

 

「提督さ……んんぅぅぅぅっ! な、なんでぇ…っ、何で射精してくれないのぉ!? おちんちんこんなにビクビクしてっっっ……、んあっ!? ひうっ!」

「はぁーっ! はぁーっ! はぁーっ! だって、こんな気持ちいいまんこ、すぐ出しちゃうの勿体ない!! もっと入れてたいっ!!」

 

「バ…カぁ、スケベぇ……。んねぇ~わかるでしょ? おまんこ……、んんぅっ! 欲しがってるのわかってるでしょぉ?」

 

「ちゅっ、ちゅっ、れるっ…れろぉ~。ね? いっぱいできるから、もういっぱいセックスだから! あんっ! あんっ! ん…はぁぁぁぁぁっ、 ……ね? お願い。提督さんの欲しいのっ! 精子いっぱい膣内射精しで欲しいのぉぉっっ!!」

 

「おわぁっ! すげっ…くっ! こんなに瑞鶴にまんフェラされたら無理っっっ! もう出る! 出る出る出る出る出る出るっ! 出るっっっ!!」

「んぅ~~っむちゅぅ~~っ、れるぅぅ~れろぉぉぉ~。はぁっ…はぁぁっ! らしてぇ~~? ちゅっ、れっろぉ~、 さっひよりひっぱいらしてぇ~? わらひもイクから……、んあぁっ! そこぉっ! そこに精子いっぱいびゅ~ってしてぇ~~?」

 

プッジュッ! プッジュッ! ズプププニュルルルッ……!

 

ドクッ…、ドックンッ……

ブビュゥゥゥゥゥッ! ブプピッ…ブビュルルルルルルッッッ!!

ドップビュゥゥゥゥーッ! ビュビュルッ…ビュチュビュルルルルッッ!!

 

「——————っっ!!?」

 

 今の瑞鶴には余裕が無かった。

 いつもなら彼に舌フェラしながら放出を煽り、彼の勃起に慣れ親しんだ柔らかく収縮する膣で『波打ち絞り』、入口近くの肉厚部も窄めて竿扱き、吸い付かせた腰で弧を描きくねらせて、瑞鶴ならではの膣フェラ『抱っこしてちゅぅ~』をしているはずだった。

 だが昨夜から火照ったまま、今日ずっと待ち焦がれていた膣内射精に彼女は撃ち抜かれてしまい、絡めていた舌はほどけて、しがみ付いていた身体でブリッジしてしまうほど仰け反ってしまった。

 彼は仰け反って背中側で隙間を作る彼女の腰をガッチリ掴み、最奥にズンと白濁飛沫く勃起を埋め込むと、腰を掴む手ですぅ~っと背中をさすり上げながら乳首へ喰らいつく。

 瑞鶴は声無き声で鳴き、深く濃い快感吐息を漏らしながら更に上昇していく。

 膣奥に重くグラグラ煮込まれた熱い白濁をどっぷりと注ぎ込まれ、その卑猥な波紋が身体を響き渡り、熱勃起で杭撃たれる肉棒快打の衝撃は腰裏へと抜けてゆく。

 その腰裏からさらに、全身を淫らに痺れさせる淫欲電流が背すじを駆け昇り、脳みその裏側あたりでスパークして弾けたまま、短波・長波に別れて膣奥からの波紋とぶつかり合う。

 身体中を幾重もの波と幾層もの電流がない交ぜで大津波を起こし、瑞鶴はバサロ泳法でもしているかの様に下半身を跳ねさせる。

 ビックンビックン身体が跳ねてしまうのに、思考はどこか穏やかだった。

 白い霧で霞掛かった意識はどこか遠く、彼から齎された快楽極値の大波に揺られている。

 ケッコンした当時だったなら、既に意識が飛んでしまっていただろう。

 現在の彼女はそれに慣れたというよりも、この快楽をもっと享受したいがために身体が適応したがったので、自らも望んで熟練と呼ばれるほど彼との仲を深めてきた。

(あぁ…、本当に相性が良いのかもしれない)

 彼女は思考でだけぼんやりと考えながら、ガッチリと抱えられた自分の腰がバサロの大うねりをして、既に彼の膝上に乗り上げてる事に気が付いた。

(恥ずかしい……)

 絶頂の中、意識は霞掛かってすっかり惚けているのに、自分の下半身と生殖器は彼との結合を求め続けたまま、貪欲に勃起にしゃぶり付いて濃厚な体液を窄め啜る事に夢中だった。

 ぼんやりとだけ羞恥はあったが、心身全てを熱濁の大波で渦動させ、どっぷんどっぷんに埋め尽くしてくれるこの快感を手放そうとはこれっぽっちも思わなかった。

 表層で感じられる刺激とはまた別に、どこか奥底から沸き上がるような喜びにも満たされていたからだ。

 

 心の奥、身体の奥。ニンゲンだの艦娘だの、夢だの記憶だのよりも更に深く深く。

 おそらく動物的本能の様な、それに深く根差しているナニカから溢れる喜び。

 生理的欲求、特に三大欲求に数えられるどれかが一つでも永劫に絶たれたならば、その生命はある種の狂暴性すら覗かせて、自身の維持に文字通りの必死を見せるだろう。

 中でも食欲・睡眠欲であるなら、その個体のみに対して作用するモノかもしれない。

 しかし性的欲求となると、更に本能的に奥深まった、種として群体として、個体意識よりも上位に位置づくナニカからの指令が下される。

 現在よりも未来での種の存続、太古より数多ある生命に課せられた命題、個体よりも群体を維持するための上位命令。

 ヒトの姿形である艦娘の瑞鶴に今押し寄せる快感と喜びは、太古より紡がれた生ける者全てに対する遺伝的命題、それが絶たれる事なく自身で謳歌できる歓喜、享楽、悦楽。

 別の個体・他の誰それではなく、自らでつがう事を望んだ相手と叶える事ができる幸福と、その相手が欲望まみれの宣言で未来の約束を取り付け、その実現を確証するかの如く、今こうして夥しい量の白濁・生命の素を溢れさせて約束に確約を注ぎ込んでくる。

 艦娘達が持つ、どこかの世界・いつかの時代の戦船の記憶よりも、遙かな太古から既にソコにあった大いなる記憶により、瑞鶴は焦がれた身体と胎奥を解放して喜びに打ち震える。

 自らが望み愛する様になった、羞恥といった理性的意識を越えて本能的命題をひけらかしてしまって良い相手だった。共に喜び、そして泣いてもくれる相手だった。

 だから彼女は今、素直に貪欲で、夢中に獰猛だった。

 艦娘としての役割を終えて、『記憶の加護』を脱ぎ去る時に、彼はたちまちその願いを叶えてくれるだろう。

 一度覚えた事の習熟・熟達が早い姉の翔鶴に比べ、要領良く覚えの早い会得・体得に長ける瑞鶴の、センス溢れる直感がそれをビシビシと伝えてくる。

 だがその直感が伝える、真に意味する所を瑞鶴はまだ解らない。

 相性が良いと太鼓判を押す筆頭嫁艦。翔鶴が例外扱いするほど良識から逸脱した、金剛型の姉妹達がしっかり締めてくれた頭のネジを、片っ端から自分で巻き巻きクルクルと外してしまうぶっとび感覚の最熟練嫁艦殿ですら、『榛名ピコ電』を持ってしてもまだ観測できないだろう。

 おそらく瑞鶴が秘める相性の良さとは、ミソっかす出涸らし役立たずの彼の遺伝子の中に眠るソノ資質を、次世代において存分に引き出せる最も優れた母胎と成り得る、といったモノなのかもしれない。

 情熱の瞳で未来を照準する瑞鶴の直感はそれに気づき始めているが、(本当に心身の相性が良いかもしれない)という頭での理解は、太古の命題から押し寄せる快感によって真の意味を覆い隠してしまっていた。

 いつかその未来に辿り着いた時、榛名も驚くほどの何かが待っているのかもしれない。

 

 今はまだはっきりとは解らない未来への予感に、瑞鶴はそれでも嬉しさと愛しさと快感を存分に溢れさせて浸りながら、提督の腕の窮屈さの中で絶頂達して舞い上がる。

 いつの間にか、下半身は彼の膝上に乗り上げバサロに腰うねらせていて、背中仰け反る身体はしっかり抱きしめられて浮き上がり、熱棒を息荒く股奥へ埋もらせる彼と卑猥な組体操でもしているかのような体勢だった。

 徐々に勢い治まる脈動に気が付いて、白く霞掛かる意識が少し晴れてきた瑞鶴は、依然と半無意識で勃起へしゃぶり吸い付こうとする腰のうねりを利用し、彼の首へ腕を回して起き上がると、対面で座りまぐわう大好きな体位へと移って身体をすり寄せる。

 途中で半端に肌けたトップスが邪魔になった彼女は、もじもじと急いで肌を貼り付かせ合うのに邪魔な生地をポイ捨てる。

 尖りきったままの先端を彼に押し当て、止まらない・止めるつもりのない腰のうねりは、勢い弱める脈動に合わせて、自然としっとりとした動きで弧を描く。

 互いに無言で見つめ合ってはぁはぁと息荒く、彼女のうねる腰と仰け反る背中で強調される胸の弾力を彼は舐め上げて、そのまま首筋と顎を上って舌が絡み合う。

 涙を滲ませ彼の髪を掻き毟るように撫で混ぜて、めいっぱいの愛しさを込めて舌で誘い招く瑞鶴に、提督は対面に座りまぐわう股奥を打ち上げるように勃起でねじ込み押し上げ、ぶびゅるとした熱い塊りを注ぎ込む。

 

「んはあぁぁぁぁっ! ……んもぉ~、まだこんなに射精ちゃうのぉ~? あんっ!」

「だって…、はぁーはぁーっ! 瑞鶴のトロまんが、チンポこんなに咥えてきて吸い付きまくるから、はぁはぁ…。いっぱい出したくなるにきまってる! はぁーはぁー」

 

 眉を顰めながら自分を抱きしめ、だらしない顔で夢中に勃起脈づかせる提督の表情に、ぎゅう~っとして焦がれる愛しさが込み上げてしまった瑞鶴は、彼の眉を和らげる様に人差し指で撫でてやりながら、熱く厚く唇を押し当てそのまま彼を押し倒す。

 

「んふっ、うれしっ、むへへ……。んっ…、もっとらしてぇ~、あんっ。最後まで精子おまんこにちょぉらぁ~ぃ? んはっ…、はぁぁぁぁぁっっっ……」

 

 押し倒した彼の上から覆い被さり跨る瑞鶴は、彼を見つめ吐息喘ぎながら。勃起が脈動を終えてもしっとりと吸い付かせた腰をくねらせ、にゅくにゅくと蜜膣で包み続けた……。

 

 

 絶頂大海原の余韻を、瑞鶴は一物を内側にしまいこんだまま提督に体重を預け、時折り彼の顎へ猫撫で擦りしつつ堪能する。

 乱れた息が落ち着いてくると、互いが肌の接触面以外も汗びっしょりになっているのに今更ながらに気が付いた。

 ペタペタと彼の額の汗を手の平で拭っていると、すっかり気の抜けた顔の提督が視線を向けて来る。

 それがどうにも可愛く感じてしまった彼女は顔をニヤけさせながら、波で戯れていた時のように唇を尖らせて、ついばみ合うキスでの遊びも楽しんだ。

 

「提督さんも汗すごいね、タオルで拭いとこっか」

「ん~~? う~~ん」

 

 ぼへーっとした提督の相槌を聞き流し、瑞鶴はぐっと上体を起こして荷物の上に無造作に置いてあるタオルへ手を伸ばすのがだが、ちょっと届きそうにはなかった。

 

「一回おちんちん抜いちゃうね? あ、すぐっ。すぐだから!」

 

 結合が解けてしまうのは寂しいと、自分が思ってた事を相手もそうだろうと勝手に解釈する瑞鶴。宥めるように言い訳をしたがそれは正解でもあり、彼女は少し急ぎ早に、でも自分へ放たれたモノが零れ去ってしまわないように気を付けながら、跨りを降りた。

(そう言えば水着の上はどこいった?)と辺りを見回し、ポイ捨ててあったそれはもう身に着ける必要はないかなぁと、丁度良しとばかりタオルで身体を拭きながら、彼も持参していたタオルを顔に向けて投げ渡す。

 

「お水も飲んどきなね~? いくよー?」

「んぁーい」

 

 放られたタオルで、胡坐座りで顔を拭っている提督へ向け、瑞鶴は折り畳みテーブル上に置いてあったミネラルウオーターのペットボトルを、水滴汗を軽く拭いてからこちらも投げてよこす。

 タオルを首掛け、胡坐でゴクゴクと喉を鳴らす彼を確認しながら、瑞鶴も自分の分のミネラルウォーターを摂取する。

 どうも貧乏性の彼は、飲み掛けの水を飲み干し切ってしまうのに勿体なさを感じてしまうようで、もう何口か残したままで水分の摂取を止めてしまう。

 それに彼女はムっと口を尖らせ、彼の膝上へ帰還しながら再び押し倒し、飲み終えないまま蓋をされたミネラルウォーターを口に含む。

 若干頬を膨らませながら、「全部飲んじゃいなさい」と唇尖らせる瑞鶴は、彼の頭を抱える様にしながらゆっくり口移し、最後は舌を絡めながら邪魔になるもう一つの布を脚から脱ぎ去った。

 

「んっ…んふっ…。まだまだかたぁ~い。んっ…」

 

 全身の肌を露わにした瑞鶴は、旺盛な彼の未だイキり勃つ一物を秘部でヌチュヌチュと撫で付けながら、愛しい熱へ自分の火照りを伝えヌメり光らせてゆく。

 

「瑞鶴だって、グッチュグチュのままだろ~?」

「う…ん…。今日ずっと濡れちゃってたから……。あっ、あっ! ヌルヌルでこれだけでもきもちー」

 

 提督より先に瑞鶴の方がもう息を乱しつつあったが、彼もそれに興奮が連られて、腰を揺すって再結合を要求する。

 寂しがってくれていた愛しい熱に彼女は悩まし気に顔を綻ばせ、今度はまぐわいに邪魔となる布が一切ないため、瑞鶴は手を添える事なく尻で一物を持ち上げ、自身の火照りの中心部へ照準させる。

 

ニュプ…プジュッ… ニュッププニュルルル… ニュクプニュル……

 

「はぁ~~~~~~っ、んっ、んんっ。んはぁ~、挿入っったぁ~、おちんちんおかえり~」

「ぅお…ただいま? 今日瑞鶴すごっ…、すげー熱いままだ……」

 

「んねぇ~、今日はもうずっとエッチでいいでしょ? わたしが動いたげるから、いっぱいしちゃお~?」

「もちろんそのつもりだけど…っておわっ。また吸い付いてくる! 長門に怒られない?」

 

「そしたら一緒に謝るからぁ~。あっ、んっ。ね? きもちーでしょぉ?」

「はぁ…気持ちいい。俺のせいにして逃げたりすんなよ?」

 

「そんなことしないよぉ? ちゃんと一緒に怒られるし、オフだから長門も大目に見てくれるよ。あんっ、ねぇ? またいっぱい射精そ~? んふ、おちんちんビクビクしてるっ」

「でる…、こんなんされたら絶対またいっぱい出る! トロまんやばい……」

 

 瑞鶴が纏わりつくようにしっとり腰くねらせるため、先ほど拭った汗が再び滲む。

 それにも彼女は、すっかり甘えた様な惚け顔を綻ばせ、悩まし気にじっくり一度舌を絡めてから上体を起こす。

 いつもなら外出中でのお世話に最初は難色を示すのに、本日やたら積極的な瑞鶴は、全裸の肌を見せつけたいかのように魅惑くびらせ、彼の興奮を煽りたいかのように跨る長い脚をM字に開いて結合部を外気に晒す。

 

「ほらぁ見える? 提督さんの全部挿入ってる」

「見える…、すげーエロイよ瑞鶴」

 

「んっ…んっ…。興奮するぅ~? さっき膣内射精しいっぱいして貰ったおまんこ。このコのためだけのエッチなおまんこだよぉ~?」

 

ヌチュ…、ニュププッ…、プジュッ ニュップククッ…

 

 少し身体を逸らせて大きく股開く彼女は、結合部から互いの体液の混ざり合った濁り汁を勃起に涎垂らし、卑猥な音を鳴らしながらじっくり腰を上下にも左右にもくねらせる。

 悩まし気な表情、スレンダー弾力の上で一向に尖ったままの先端、魅惑にくねるクビレ。

 肢体をもう震わせながら吐息喘ぎ、自分の慾棒エラを膣口近くの肉厚部でしっかり扱いてから奥の密肉で窄み包るんでくる瑞鶴に、誘われるのが当たり前と思わず提督は手を伸ばすと、その彼女の火照る下腹部へ手の平を這わせる。

 

「んはぁ~~~、んあぁ~~~? もう開いてるよぉ? 夕べからずっと開いてるぅ~」

 

 愛しい彼のするこの『おまじない』により、熟練嫁艦の下腹部は、昂る勃起の込み上げをグラグラと重く煮込まれたような火照りとしてだけではなく、膣内に齎される快感としても感じてしまえる、そのパスが自然と『開いて』しまえる。

 昨夜からとっくに開ききっていた瑞鶴は、更にそれを増幅させたいかのように優しく撫で付ける提督の手の平により、身体の震えが再び波打ちし始める。

 彼の手の平が、どんどん彼女の身体を昇る。

 瑞鶴はその手に自分の手を添えて、胸の先端の尖りに招く。

 下腹部を撫でていたように、スレンダーな弾力の先端も優しく撫でられた。

 

「んあっ! イっく、イっちゃう! ねぇ…、イってもいい?」

 

 彼は無言のまま、彼女の尖り切ったピンクの先端を優しく軽くつねった。

 

「んあぁぁぁぁぁっ! んはぁぁぁぁっ! きもちっ…、あぁぁぁぁっ!!」

 

 肢体をビクビクと波打たせあっけなく絶頂した瑞鶴は、また半分無意識に腰を激しくバサロさせ射精をねだり始めてしまう。

 

「んんっ! はぁ~~、はぁぁぁぁっ! じっくりおちんちん気持ち良くしてあげようと思ったのにぃ。んあっ、はあぁんっ! んもぉ、 今日はわたし止まんなくなっちゃうのに…、んっ!? はぁぁぅぅぅぅイっくっっ!!」

 

 彼はくねり出した彼女の動きに必死に耐えながら、また下腹部を優しくじっくり撫で付け、期待に彼女が大きく吐息を漏らすのを確かめてから、ウエストのシルエットをなそって昂らせ、再び乳房の先端を優しくつねる。

 胸に提督の手の平がやってくる度、瑞鶴も手を添えて招き続け、悩まし気に見つめ返しながら大きく喘いで蜜膣を窄めて腰くねる。

 その絶頂も三度目で彼女は堪えられなくなり、下腹部の奥底から込み上げる歓喜の震えに従い、脚はM字に大開きして結合部を見せたまま、足裏でしっかり踏みしめた姿勢で彼に覆いかぶさってイく。

 

ヌッチュッ… ブジュッ… パジュッ! パチュッ!

パン… パン… パンッ パンッ パンッ!

 

パンッ! パンッ! バコッ…!

ブジュッ! パジュンッ! ブチュンッ!

 

 先ほど放たれた白濁に匹敵してしまうほど愛液を滴らせ、膣口で卑猥にそれを鳴らしながら彼女の腰は規則正しいリズムを刻み、彼への打ち込みが開始された。

 

「あぁっ! あぁんっ! 提督さん…が、いけないんだよ…ぉ? わたしの事、こんなイかせるから。も…、もぉとまら…、あっ! あぁぁっ! んあぁぁぁぁぁっ、凄いのぉ~! おちんちん…、ねぇ凄いのぉ、きもち~よぉっっっ!!」

「はぁっ、はぁっ! 俺もだ瑞鶴! もっとイっていいぞ! ほらぁっ!」

 

「んっはっ…、ああぁぁぁぁっ! イクッ…イクゥッ! またおっぱいシてっ、おっぱいシてっ!! イくからっ、いっぱいイくからぁぁぁぁっ!!」

 

「あっはぁぁぁぁっ、イく、イッっくぅ~~! ん、んんんんんむぅぅんんんっ!」

 

パンッ! パァンっ! パァンッ!

ブジュゥッ! ブチュニュクッ…、

ジュッッププッ、バップジュッ!

 

 覆いかぶさり、ガニ股で腰を打ち鳴らす瑞鶴は、振り乱れる髪が邪魔だとばかに頭を揺すって左に避ける。そうして舌を思い切り覗かせ絡ませ合うのをねだり、彼が応えてくれると嬉し気に吐息混じりで喘いで蜜膣きゅうっと窄ませ絶頂へと舞う。

 自分の股から聞こえてくる卑猥な音もどうでもいい、それよりも今は彼がくれるこの快感を思い切り浴びていたい、夢中になっていたい。

 でも足りない、これだけでは全然物足りない。

 心も身体も彼のあの熱い白濁の噴出を求めている。

 彼も自分に夢中となって、慾望の限りで頂きの向こう側まで飛んでいきたい。

 

「んあぁぁぁっ! ねぇっ、提督さんはっ!? きもちーいっ? おまんこきもちいいっ? んねぇ~えぇ~っ!?」

「はぁーっ! んはぁーっ! きもちいっ! エロエロな瑞鶴たまんねぇ! おわぁぁっ!」

 

「もっとエッチになるからっ、なっちゃうからぁ~っ! ねぇ~早くぅ~~、もうおちんちん凄いよ? ビクビクでかわいいよっ?」

 

パァンッ! パァンッ!

パブッ…チュプププッ…!

 

ズニュッ… クッププッ…、

ニュクッ ニュククニュプッ!

 

「んねぇほらぁ、お腹熱いので射精そうなのわかるんだから。んむぅ~、ちゅっ、ちゅっ! れろ~、んれろぉ~。んはぁぁぁぁ…、らしてぇ…、れろろろ~っ。んぁっ!? すごっ…」

「んむ…、んぉ!? ずいはふ…、ちゅるっ…、れるっ…、っぷぁ! はぁっ、はぁぁぁっ!」

 

パッチュッ! ブチュッップッ!

パブッ! パブッ! ブニュッチュッ……!

 

「んふぅ~~、むへへっ、おまんこの奥でグニグニしちゃう~…。んっ、んっ。提督さんコレ好きでしょ? はぁぁぁぁ~、んっ…はぁぁぁぁぁ~~ん」

 

プジュッ… ニュッククククッ…

ニュムッ ニュップッ ニュグッヌチュチュ…、

ニュプププッ ニュルル~ッ クニュッ…ニュブップププッ…

 

「んん~っ、おちんちんパンパンになってきたぁ。あっ、はぁはぁ、はぁぁぁっ! ほらぁ、ね? また射精でそうなんでしょ? んっ…ちゅっ…」

 

ニュククッ… ニュップジュププッ…

ニュップッ ヌップッ ヌッププッ!

 

ニュブッ! ブジュッ! パジュップッ!

パジュッ! パンッ パンッ パンッ!

 

「ほら、いいよ? いいんだよっ? わたしもイクからっ、はっ、はぁっ! はぁぁっ! ね? 一緒にイこ? おちんちん、おまんこの奥でちゅぅ~しよ? いっぱいびゅぅ~ってシよ?」

 

 恥じらい吹き飛ばしてねだり吸い付いてくる瑞鶴に、提督も勃起を怒キり嘶かせ、彼女の激しく上下する尻を掴んで自らも腰を突き上げる。

 まぐわい慣れた互いの連携する腰、打ち下ろしと突き上げが呼応して、どんどんグラインドが大きく増してゆく。

 瑞鶴は愛液を提督の陰嚢を越えて尻まで垂れ流し、髪が彼の顔に被るのも構わず一心不乱に舌を絡ませ、喘ぐ息での呼吸は相手のを奪い取るほどにたかめ合う。

 膣内で嘶く勃起を肉厚部で根本からエラまで徹底的に扱き上げ、グラインドさせた腰ではやはりしっかり弧を描き、最奥での蜜肉でくるんで勢いよく絞って煽り誘う。

 だが彼も自分を求める彼女に唯ではおれず、左手で先端尖る胸を揉みしだいて刺激して、右手は下腹部を撫で回す。

 その手が更に下へと降りてゆくのを、瑞鶴は期待と限界に身体を跳ね波打たせる。

 提督の髪を撫で混ぜ、眉を八の字にして悩まし気に見つめて舌絡め、更なる絶頂が自分に訪れるのを鳴いて報せる。

 

「んあぁぁぁっ、すごいのキちゃうよぉ? ね? 提督さんもっ…提督さんもぉぉ~~っ!」

 

 彼女のもう一つの、脚開く股間で卑猥に尖りきった充血ピンクにヌメ光る先端が、彼の親指の腹で撫で付けられる。

 一度ブルっと身体を大きく震わせた瑞鶴は、眉を悩まし気に歪めて目を見開き、髪を撫で回していた手は提督の顔横で支えにし、彼に全てひけらかして全力で甘えながら大きく喘いだ。

 

「ん゙はっ! ん゙あ゙ぁぁぁぁぁぁっ! イっちゃ…、イッグうぅぅぅぅぅんんっっっ!!」

 

 彼女が涙を滲ませ弾けたように身体を跳ねさせた瞬間、彼は直ちに右手を回して束縛すると、左手で後が付きそうなほど尻を掴んで自由を奪い、ガッチリ腕の中で固定する。

 激しく肢体を波打たせて絶頂する瑞鶴の膣内で、亀頭がいっそう大きく膨れ上がり、下腹部がカァーっと一気に熱を帯びる。

 力強くきつく抱きしめ、自分を不自由な籠の鳥としてくれた彼に、彼女は胸奥が熱くなり涙が頬を伝う。

 射精の合図だ。一緒にまたあの快感の極限へイってくれる射出のシグナルだ。

 提督が思い切り突き上げた腰をしっかり瑞鶴は受け止めて、そしてそれ以上の情熱と愛しさで抑えつけて押し戻し、絶頂うねる彼のためだけの蜜肉で『抱っこしてちゅぅ~』で勃起の白濁射出を迎え入れた。

 

ブッビュゥゥゥゥゥッ! ビュビュルルルゥゥゥゥゥゥッ!

 

 刹那、ほぼ同時に。

 白濁を噴出させた提督に、瑞鶴はがむしゃらに身体を擦り寄せすがり付いた。

 もうどうしようもなく、涙となって溢れ零れてしまう喜びと快感をそのままに。

 腰を突き上げ、自身の情熱以上かとも思えるグラグラ煮込み熱せられた白濁の塊粘液を、望む体奥・胎奥で受け取る瑞鶴は、それに全身全霊で応えるかの様に蜜膣を窄め波打たせて、身体反らせる彼の下半身を鎮めるように包んでじっくり押し戻す。

 ドックン、ドックンとした力強い脈動と、どっぷりぶびゅりと吹き出す熱い粘液の衝撃が、彼女の焦がれ待ち望む奥の奥へ、二重の刺激となって浴びせ掛けられる。

 身体が打ち震え、背すじが跳ねて仰け反りそうになるがそれはしっかり抱きしめられ、愛する彼に尻までしっかり羽交い絞めにされたまま、瑞鶴は絶頂へと昇ってゆく。

 少し息継ぎにに目を開けた時、また彼の眉が顰めっていたので撫でてやる。

 彼も少し目を見開いて、腕の中で悩まし気に、でも優し気に見つめていた彼女に対し、だらしない顔をさらけ出して舌を夢中で絡めてきた。

 

(焦らないでゆっくりでもいいよ。全部ぜぇ~~っっっんぶ、わたしにしまってあげる)

 

 それが伝わると、却って愛しい熱は張り切り出して余計に脈動が勢いづいてしまう。

 瑞鶴はそれもたっぷりと愛しさを溢れさせて迎えてみせ、激しい絶頂の大津波の中でもしっかりと怒勃起へ『抱っこしてちゅぅ~』をし続ける。

 覆い被さり大きく股開き、陰嚢ポンプで白濁送り込む肉慾棒を、互いの体液を滴らせながらしゃぶり咥えて尻を震わせて、突き上げてくる腰を甘えたように押し返す瑞鶴の淫猥な肢体は、ビクンビクンと嬉し気に跳ねながら、それは彼の腕の中で抱き留められる。

 昨夜からしっかり開かれていた熟練嫁艦の下腹部感覚は、彼の白濁絶頂の快感すら自らのモノへと繋げたがり、互いの隔たりを溶け合わすかのようにトロかせ深めてゆく。

 それは彼女を更に高い絶頂へと昇らせて、彼のためだけに熟達した蜜膣がはしゃいだ様にうごめき波打ち窄まり、またそれが彼へと還って相乗循環の絶頂巡りで二人の間で渦を巻く。

 膣内で暴れ飛沫く、粘り濃い雄汁子の対流が波紋を作り、それが瑞鶴の全身へと響き渡って、太古の記憶からの歓声が愛しさを獰猛に募らせまくる。

 快激に撃ち抜かれた腰裏は、尻を掴んでいた彼の手に撫で上げられて、再び幾波・幾層の電流となって背すじを駆け巡る。

 意識を飛ばす事なく、身体は飛び跳ねたがるがどこか心地は穏やかに。

 なにか深い所から溢れ出てくる、じんわりと温かな安らぎすらも同時に湧き出てて、目尻から頬を伝ってしまってしかたない。

 舌を絡め合う自分からも彼からも、鼻を啜る音がした。

 それが少し可笑しくて、激しくそして心地よい絶頂のさなか、瑞鶴はつい顔を綻ばせてしまう。浮足立つドキドキではなく、穏やかな愛しさに胸が鼓動する。

 遠くで、姦しい声が聞こえた気がした。

 

「えっ! あれ!? エッチしてるっぽいっ!??」

「あぁーーっ! ずるーいっ!」

 

 白く霞掛かった幸せな心地の中にいる瑞鶴に、一応そのやかましく姦しい声は届いていたが、今は彼に雁字搦めとされて不自由な籠の鳥となって舞い上がるのに夢中であったため、「今いいトコだから、後にしてちょーだい」とそんな気分だった。

 

 

 

「今日は提督も瑞鶴もオフなんだから、そっとしておいてあげればいいのに……。仕方ないなぁ、も~」

 

 ズンズンと、若干肩を怒らせてタープ屋根へ向かって歩いてゆく白露と、何か…、前回の夜番シフトから次回の夜番シフトまでの日数でも数えているのか、両手を指折りしながら続く夕立に、コートに置いてけぼりにされてしまった時雨はボソっと呟いた。

 

「あらっ? 羨ましそうに見えるけど?」

 

 同じく置いてかれた村雨が、それを待っていかたのように揶揄ってきたので、時雨は顔を少し赤らめプイっとそっぽを向いて口を尖らせる。

 いま見せた、姉妹の間ならではかもしれない二番艦の表情に、三番艦は意味深を含めたように微笑んでみせる。

 

「村雨は行かないのかい?」

「ん~、明日私達が遠征シフトじゃなかったら、駆け足で行っちゃうんだけどなぁ~? 大発持って行かないとだから、私は絶対ズル休みさせて貰えないよね~?」

 

「そんな事したら皆に迷惑が掛かるよ。それに貧乏性の提督が心配して、またハゲ散らかしちゃうじゃないか。遠征をズル休みなんてダメだよ」

「だよね~? あの二人、どうするつもりかしら?」

 

「遠征シフトが入ってるんだし、熟練嫁艦に割って入る事なんてしないとは思うけど…。そうだね、ボクらも一応行こうか」

「はいはーい」

 

 先行する二人が大げさに騒ぎやしないかと、時雨も諦めたように取り繕い、やれやれ仕方なしとばかりに、村雨と後を追う事にするのだった——。

 

 

 

 

                      つづく

 

 ★新刊 重婚提督はハーレムの夢をみるか2 

  ベイちゃん日和 が発行となっています。

  とらのあなさん・メロンブックスさんで委託しておりますので、お手に取っていただけたらありがたいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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