導入の続きからお互いの絆ランクが足りなかったため、行為に至れなかった話。
「お、お兄ちゃん。……最初にキス、してくれますか?」
「キス?」
「うん。アカリ初めてなんですけど、お兄ちゃんにして欲しいです」
「……キスってなに?」
ぽかんと呆けた表情でキスがなんなのかわからず尋ねる騎士。
突然そんなことを聞かれ、アカリは緊張していたことも忘れクスクスと笑い出す。
「ふぇっ? あ、あはは。もぅ、知ってるようで何も知らないんですね~。
キスっていうのは、く、口と口を重ね合わせ――んむっ!?」
完全に油断し切ってる状態からの一撃だった。
ああ、それなら知ってると。照れ笑いをしながら説明しているアカリの唇におもむろに自分の唇を押し当てる。
そのままアカリの唇に吸い付いたり、口の中に舌を入れて甘い液体を味わいたいと考えていたのだが、唇を重ねる程度に留める。
『キス』をして欲しいとは言われたものの、シズルの時もあり、もしかしたら本当は女の子はキスが苦手なのでは。と考えた彼なりの配慮だったのだが、
「なっ!?
なな、なななっ!?
なんてことするんですかっ、お兄ちゃんっ!?
アカリ、ハジメテだったですよっ!?」
羞恥心と動揺のあまり頬を真っ赤にしたアカリに滅茶苦茶怒られた。
その後、アカリに女の子のファーストキスがどれだけ大切な物かを切々と説かれ、
「ごめんなさい」
アカリに怒られすぎてしょんぼりと謝る騎士だった。
「うぅ……もういいです。
何も知らないお兄ちゃんには、最初にやり方よりも意味を説明してあげるべきでしたから……
アカリのミスです」
彼女の「もう一回やり直しです」という言葉に、また怒られないかとビクビクしながら従う騎士。
今度は優しく、ゆっくりと。という彼女の指示通りに少女の小さな両肩を抱き、瑞々しい唇めがけ顔を近づける。
これはこれで恥ずかしい。とアカリがドキドキしている間に、二人の唇が触れ合う。
その瞬間アカリは全身がカッと熱くなるのを感じた。
(お兄ちゃんとキスしちゃった……)
胸が高鳴りドキドキと興奮が治まらないアカリ。
その一方で騎士は、再び味わえたアカリの唇の柔らかさと温かさをじっくりと味わっていた。
唇が離れた後も潤ませた瞳で見つめるアカリとそれを優しく見つめ返す騎士。
「………………なーんか、お兄ちゃんすごくヨユーそうですねぇ」
二回目のファーストキスは望みどおりの理想的なキスができたことが嬉しい一方で、
自分は今にも心臓が破裂しそうなくらい緊張しているのに、涼しい顔をしている騎士が恨めしい。
処女の知識はあるくせに、女の子の一世一代の決心を理解し切っていないんじゃないのか?
そんな気がして思わずぷっくりと頬を膨らませるアカリ。
「アカリちゃんと何回もキスができて嬉しいから」
「ふしゅぅぅぅ~~~」
その一言に頬に溜まっていた空気が一気に抜けて行く。
なんでこの人はこんな事を恥ずかしげもなく言えるのだろうか……。
初めて出会った時も、拾ったパンツは恥ずかしがるくせにお尻は撫で回すし、
からかい混じりにドキドキしてるから胸を触ってみてと誘ってみた時だって、
結果的にお姉ちゃんにはしたないからダメだと止められちゃったけど、普通に手を伸ばそうとして来てたし……。
「うぅ……お兄ちゃんって、本当にどこかちょっとずれちゃってますね」
自分のペースに持って行けず、すごくやりづらいと思っているアカリに対し、
「早くアカリちゃんのおまんこにおちんちん入れたい」
ヤる気満々の騎士だった。
「はぁ……お兄ちゃんは……せ、セックスっていう単語も知らないんですね」
「セックス?」
「今まさにお兄ちゃんが私としようとしてることですよぉ……。
普通はそんなに簡単にやりたいなって言っちゃいけないくらい、
すごく……すっごくエッチな事なんですよっ!!」
普段自分がしている婉曲的な表現と違って、どこまでも直接的な言葉で無自覚に言葉責めをしてくる騎士。
しかし、必死の説明の甲斐があってか、『すごくエッチな事』という単語に遂にたじろぎ始めた。
恥ずかしそうに視線を泳がせ始めた騎士の様子に、形勢逆転の兆しを感じたところで、アカリはふと気づく。
同時に彼もその時は夢中で腰を振ってしまっていたため聞き流してしまっていたシズルの一言を思い出していた。
(あれ? もしかして、お兄ちゃん……)
「セックスってエッチな事だったんだっ!?」
「なんで今更気づいてるんですかぁっ!?」
それぞれが気づいた驚愕の事実に二人が順番に驚きの声を上げるのだった。
「そ、それで……お兄ちゃんは、アカリとしたいんですよね?
……って、ふふっ。あれあれ~?
どーしてお兄ちゃんの方が恥ずかしがっているんですかぁ~?」
自分を押し倒したり、ファーストキスを奪うどころか何度もキスをしてきたくせに。とまるで思い出したように自分の行いに羞恥心を感じ始めた騎士に追撃を仕掛ける。
内心では今も心臓がドキドキと早い鼓動を打ちっぱなしの中の精いっぱいの強がりだったが、効果覿面だった様子に嬉しさを感じていた。
「わからないけど、なんだかすごく恥ずかしい」
騎士にとってセックスは、あくまでも自分の好意を相手に伝えるための方法であって、そこに下心はないつもりだった。
シズルに教わった通り、好きな女の子のおまんこにいっぱい精液を出して喜んでもらいたい。
今回は美味しいおやつを振る舞ってくれたり、サックスを聴かせてくれた彼女へ自分の好意とお礼を込めて彼女とするつもりだったのが……。
まるでシズルの胸をマジマジと凝視してしまったのを気づかれてしまった時の様に頬や体がかあっと熱くなり、全身がむず痒いような不思議な感覚に襲われていた。
可愛らしくにこにこ笑顔を浮かべている所も含めて、シズルとそっくりだけど、どこかイジワルそうな感じがするのも同じだ。
あの時はシズルは自分の事を許してくれるどころか、望み通りおっぱいを触らせてくれたのだが、今目の前にいる彼女はどうだろうか?
「えへへ~。先にアカリを誘惑してきたのはお兄ちゃんなんですからぁ~。
ちゃーんとセキニン取って、アカリに初体験をさせてください」
思いもよらない返事に困惑する騎士。
どうやらセックスをしてもいいみたいだが、シズルと違って変わらずどこかイジワルそうな雰囲気は残っているように感じられる。
「え? 本当にいいのか、って?
だから何度も言ってるじゃないですかぁ。
アカリ、お兄ちゃんにならいいよ♪ って。
あっ、でも、そのかわりちゃんとアカリの事、優しく、気持ち良くしてくださいね……?」
お兄ちゃんの事、信じてますから。と徐々に弱々しい声になりながらもしっかりと騎士に伝える。
彼女の様子に騎士も、アカリが自分を信用し好意を伝えようとしてくれるのだと気づき、安心させるように優しく頷くのだった。
そして――
「ちょっ!? ちょちょちょっと待ってっ!?
なんでいきなりズボンどころかパンツまで脱いじゃうんですかぁ!?」
おもむろに下着ごとズボンを脱ぎ、下半身を露出させた騎士に思わず悲鳴混じりの声を上げてしまう。
初めて見るどころか、いきなり勃起状態の男性器をモロに見せつけられた少女の反応としては当然だろう。
「もしかしておちんちん見るのも初めてだった?」
突然の彼の奇行に両手で目を塞ぐ……が、それでもささやかな好奇心もあり、指の隙間からそれをチラチラと覗き見ている。
アカリの反応を不思議そうに小首を傾げる騎士。
彼からすれば、これからセックスをするのだから、お互いに服を脱がなければ入れることができないのだから、普通の事だろうと思っていたのだが……。
「初めてに決まってるじゃないですかぁ!?
っていうか、お兄ちゃん、優しくって言ってるのに、
いきなりアカリに入れようとしてますよねぇ!?」
混乱混じりに言いたいことを一気に捲し立てるアカリに対して、
「入れないとできないよ?」
どこまでも単純にセックスという目的だけを果たそうとする騎士だった。
「いきなり入れたら絶対痛いに決まってるじゃないですかっ!?
ちゃんと入れても痛くない様にしっかり準備してくださいよぉ」
「準備って? どうしたらいいの?」
勃起した陰茎をぶらぶらさせた状態で、処女の自分にそんなことを聞いてくる騎士。
「……お兄ちゃん、本当にシズルさんって人としちゃったんですよね?
その時も、まさか無理矢理入れちゃったんですかぁっ!?」
もしかして自分は早まってしまったのでは? と一抹の不安を感じずにはいられなかった。
「えぇっ!? さ、最初は、く、口でっ!?
お、おおお兄ちゃんのそれ、しゃっぶっちゃったの!?
え……っと、そう、気持ち良かったんだ……あ、あはは。良かったですね、お兄ちゃん。
それで、入れようとしたけど、どう見ても小さくて入りそうになかったら、
言われた通りおちんちんをおまんこの周りに擦りつけていたら……
ぬ、ヌルヌルしてきたものが、おまんこからも出てきて………………」
シズルから二人の内緒だと言われた事をすっかり忘れ、アカリに促されるままに当時の記憶を少しずつ思い出しながら語り出される生々しい情事。
とりあえず、無理矢理入れるつもりはないのがわかり安堵するも、おそらくシズルがよくわかってない内に彼をリードし、上手く導いたのだろうと察する。
(シズルさんって人、すごいなぁ~)
先を越されてしまった悔しさはあるが、こういったことにまるで興味がなさそうな騎士をここまで積極的にしてしまったテクニックには純粋に尊敬の念を抱く程だ。
結果的に、最低限以下の知識しかない割に変にエロくなってしまったわけだが……。
性交による快楽を知っているが、誰彼構わずに無理矢理それを貪ろうとしているわけではないのが幸いだったのかもしれない。
「アカリちゃんもおまんこからヌルヌルした汁みたいの出せる?」
まったく悪びれた様子もなく非常に答えにくい事を聞かれ思わず固まる。
しかし、騎士からすればすごく重要な事だった。
もし彼女からシズルの時と同様にヌルヌルの液体が出てくるのなら、きっとおまんこに入れられるに違いない。
初めての時は何もわからなかったせいで、シズルに痛い思いをさせてしまったが、今回はとっておきの秘策がある。
この問題さえ解決できれば。と妙に自信満々の騎士。
「お、お兄ちゃんしだいかな……」
アカリも騎士に抱かれることは覚悟したのだが、肝心の彼がここまで何も知らないというのは予想外だった。
ちょっとした興味本位や自身の経験から個人差はあっても、それなりに性的な知識は持っているものだろう。
自分が持っている知識を教えて、彼にそれらを実践してもらえばいいのだが……。
その教えるという行為がたまらなく恥ずかしかった。
これまでの彼とのやり取りから、ちゃんと直接的な表現でわかりやすい説明をしないと、彼は絶対に理解しないだろうということをアカリも理解していた。
(うぅ……。教えて欲しいのはアカリの方なのに、さっきからどうして私が……)
教える側と教わる側の立場まで逆転してしまっている事に気づくアカリ。
その一方で騎士も自分なりにシズルとの行為を思い返して行き、一つの閃きを手にすると、それを口にする。
「もしかして女の子も気持ち良くなると、おまんこからヌルヌルしたやつがでてくるの?」
セックスがすごくエッチな事なら、他にもいっぱいエッチな事をして、
ちょっとずつ体を慣らして行けばきっとできるに違いない。という発想だった。
その通りだけど、できることならもう少し言葉を選んで欲しい。というアカリの胸中は彼には伝わりそうにない。
無自覚な騎士による何度も繰り返される言葉責め。
このままだと彼に襲われることはなくても、よくわからないまま初体験を迎えさせられてしまうことに危機感を抱き始めるアカリは、
「も~そうですっ。そうですよぉ!!
さっきから恥ずかしい事ばかり言ってアカリを恥ずかしがらせるのをやめてくださいっ!!
アカリが全部教えてあげますから。お兄ちゃんは黙ってアカリの言うとおりにしてくださいっ!!」
遂に開き直った。
「う、うん。わかった」
よくわからないけど、これ以上変な事を言ってしまうとアカリちゃんとセックスできないかもしれない。
頬を真っ赤に染めながら頬をぷくっと膨らませた少女の姿に思わず身体を仰け反らせる。
今の彼女に逆らってはいけないと本能的に悟っていた。
「あ……。ごめんね、お兄ちゃん」
そんな彼の様子に、アカリも羞恥心のあまり怒ってしまった事を反省していた。
彼もわざと自分を恥ずかしがらせようとしているわけではないことくらい分かっている。
自分のわがままや、女の子の甘い幻想かもしれない。
ただの偶然かもしれないけど、今この場には自分と彼がいる。
それなら、自分が思い描いている好きな人との理想の初体験を迎えさせて欲しいのだ。
「ううん。正しいセックスのやり方、教えて」
「……………………はぁ。
だからお兄ちゃん、女の子にあんまりそういう事言っちゃダメなんですよ。
アカリが教えてあげますから、ちゃんと覚えなきゃダメですからね」
――アカリ流セックス教室(実施編)の授業が始まるのだった。
「まずは、き、キスですっ」
「さっきしたよ?」
反射的に返された言葉に一瞬、ぷくっと不機嫌そうに頬を膨らませたアカリ。
直後それを察した騎士がすぐに自分の失言に気づいたのか、気まずそうな表情をしたため、アカリは心の中で溜め息を吐くだけに留めた。
「さっきも言ってる通り女の子にとってキスはすっごく大切なんです。
好きな人とはいくらだってしたいんですから。
それに……え、エッチをする時だって、最初キスから始めるんですよ」
アカリの説明に騎士もうんうんと頷きながら真面目に聞いている。
相変わらず股間は剥き出しのまま隠そうとしていないが。
アカリも騎士のソレをできるだけ視界に入れず、極力意識の外へと向けようとするが、
(うぅ……。おにいちゃんのアレ。さっきから大きさが変わってるような……)
視界の片隅で上下に起きたり下がったりとびくびく細かく動いている。
まるでわざと自分の注意を引こうとしているような気さえしていた。
正直、できればもう少し自分の心の準備ができてからにして欲しかったのだが、もう見てしまった時点で手遅れだ。
「キスしていい?」
これまでの失敗から、キスをする時はちゃんと相手に確認をしないといけないという事を覚えた騎士。
「……うん」
どこか緊張した面持ちの彼と、ようやく気持ちを共有できたように感じられていた。
アカリは照れ笑いを浮かべながら、嬉しそうに小さく頷き目を瞑る。
徐々に近づいてくる騎士の気配を迎え入れ、そして再び唇が重なり合う。
「……ん。えへへ。
お兄ちゃんのキス。とっても優しくてアカリ大好きになっちゃいそうですっ♪」
背中に両手を回して、ぎゅっと抱きつく。
胸を押し付けてしまったけど、これくらいサービスしてもいいだろう。
何度目かのキスで徐々に緊張は解けて来たけど、体はどんどん熱く火照ってくる。
きっと自分の体も彼を求めているのだ。
そう彼女が想い始めた矢先、
直後、アカリは太腿にぐにゃりとした感触の物を押し当てられ息を飲む。
(こ、こここれって、『アレ』だよねっ!? お兄ちゃんの『アレ』だよねっ!?)
それはとても熱く硬くて、先端部からなんかヌルヌルとべたつく液体を付着させてきた。
偶然触れてしまったのかと思ったが、一向に離れる様子がなく、むしろ意図的に擦りつけてきている。
「一回出すね」
騎士の口から端的に伝えられた一言。
彼ももう我慢の限界に達していたのだ。
アカリの温かく柔らかな太腿に陰茎がびくりと反応すると同時に強い射精への欲求が込み上げてくる。
「きゃあっ!? え? えぇ!? こ、こここれってっ!?」
突然、呼吸を荒くしながら、騎士がもぞもぞと動き出したかと思うと、生暖かくドロドロした液体を放出しながら陰茎がビクビクと痙攣する。
彼女の太腿に陰茎を押し付けながら少しずつ内腿へと移動させていき、スカートの内側に入り込み鼠蹊部付近で暴発したのだ。
密着状態で放たれた精液が、彼女の濃紺と白のフリルスカートとサックスブルーのショーツを穢していく。
それを特に気にした様子もなく、溜めこんでいた物を無事放出できてすっきりした表情になっている騎士。
「ふぅ……」
「ふぅ……じゃないですよぉっ!! いきなりなんてことしてるんですかっ。
うぅ……スカートもパンツもベトベトだよぉ~。シミになっちゃったらイヤだなぁ……」
突然放たれた精液がべったりと付着し、そのベトベトした感触に不快感を覚え、いそいそと精液で汚されてしまったスカートを脱ぎ出す。
一瞬躊躇したが、もう汚れてしまったからと脱いだスカートで太腿や下着に付着した精液も拭い取る。
本来なら下着も脱いでしまいたかったのだが、その様子をマジマジと見ている騎士の視線に気づき、ジト目を向けながら言い放つ。
「もしかしてお兄ちゃん、わざとじゃないですよね?」
「あれ? 女の子って精液を出したら喜ぶんじゃなかったの?」
「そんなのごく一部のヘンタイさんだけですよっ」
まったく悪びれた様子もなく平然と誤った知識をのたまい始めた騎士にアカリは声を張り上げて全力で否定するのだった。
――どうやら二人がこれ以上の関係になるにはまだ早すぎたようだ。