――時計の針が深夜を回る頃。
大きな寝台にて、快楽漬けをされた黒髪の少女が身体を動かした。
少女の手足を拘束していた革手錠は外れ自由ではあれど、逃げる事は無い。
「ぁ……」
否、既に逃げるという選択肢は無かった。
『溺れる』という状況下では、息継ぎをする以外の選択肢が存在しないように。
「は……、ぁー」
甘い甘い吐息、寝台に寝転がるように、絶頂の荒波に力尽きた少女は上を見上げる。
寝台からは角度的に時計を見る事は出来ない為に、どれだけ時間が経過したか分からない。
それでも散々男に身体を弄られ、遊ばれ、愉しまれた雌の身体は熱を帯び、震えていた。
「……チャンスをやるよ」
時間の感覚が狂わされた。
代わりに恐怖を覚える程に快楽を教えられた。
乱雑に散らばった長い黒髪、ぐったりとした少女を見下ろす男は静かに囁く。
疲れを見せず、衣服を脱ぎ外気に晒された怒張からは先走りが陰茎を伝い垂れ落ちる。
皺の出来たシーツではなく、目の前の黒髪の少女に対する優しさのような憐れみを向ける。
「脚を上げて……、自分で広げて挿れて欲しいと懇願しろ。誠意を込めてな」
「……ぇ」
「そうしたら終わらせてやるよ」
「…………」
おわらせてやる。
それはこの長く、甘く、溶かされるような地獄が終わるという事だ。
時計を見ることは叶わず男の指に鳴かされ、玩具に弄られ、舌で舐めつくされた千景は、
「……」
ゆっくりと白く細い脚を持ち上げた。
汗と粘着液が混ざった両脚を千景は持ち上げ、股を開くように膝を曲げる。
散々男に弄ばれた秘部からは愛液が臀部に滴り落ち、皺の出来たシーツに多くの染みを作る。
菊座も、薄い毛も、秘部も全てが男の前に曝け出された。
この四国中の誰も見たことなど無い、人類の希望、勇者の全てが舐めるように男に見られる。
少し前の千景ならば、男に股を開く事など絶対にしなかっただろう。
それが、この快楽という水の流れから救い出される為であるとしても。
びくびくと震える身体は、男に与えられた絶頂の荒波の余韻による物。
その炎の燻りは男が僅かにでも触り、弄るだけで再び天国に誘う強烈な物だ。
だからこそ、辛うじて生き残った千景の思考は抗う事を止め、素直に男を誘う為に動く。
「……お願い、します」
自らの指で秘部を開き、自らの意思で最奥を見せる。
ひくつき、糸を引く膣口は、男の怒張を求めるように熱く熟れた雌肉と化していた。
男の視線を感じながら、羞恥と諦観とかすかな期待を混ぜた黒瞳は瞬きと共に震えた。
「挿れて……、下さい」
それが少女の精一杯。
それが目の前の男に伝わった。
だからこそ、千景の意思で開かれた最奥に向けて、男は問答無用で怒張を挿入した。
「んぁあっ!」
嬌声が千景の口から漏れる。
既に出来上がった雌肉は男の剛直を受け入れ、ぎゅうっと締め付ける。
その締まりの中で、抗うように最奥まで貫き、ゆっくりと入り口まで怒張を引き戻す。
男の身体は少女の華奢な身体に倒れ込む。
プレスするような体位で、長い黒髪ごと少女の頭を抱き寄せ――
「ふ、ぁぁあああっっ……!!」
ぱんぱんぱんぱんと獣のような下品な音を立てたピストンが始まった。
単純に力と体格の差で千景は逃れる事は叶わず、雌が雄に屈服させられる交尾を繰り返した。
それはさながら、いつかの夕闇の、初めて少女が犯された状況と奇しくも似た状況であった。
「ぁ、ぁっ、ぁ……ッッ!!?」
初々しさの残る膣肉が男を迎え入れる。
手持ち無沙汰な少女の両腕は男の背中に回り、首元に顔を埋める。
「――っ、ッ……!? !」
少女の動きに構わず男は荒々しく抽送を続ける。
斜め上から鋭角に突入した剛直はこれまでの角度とは異なる蜜壺を叩き、蜜肉を擦った。
「やぅ! っぁ……!!」
ぐりぐりと子宮口と亀頭を口づけさせる。
「ぁ、ぁ……、ぁ~~、あ!!?」
角度を調整し、臍側の膣壁を丁寧にほじる。
男が動く度に少女の蜜壺からは新鮮な蜜液が溢れ、臀部を伝いシーツに垂れていく。
蕩けたように熱い少女の媚肉は男の怒張を溶かすような熱を帯びる。
それ以上に熱のある怒張が最奥を叩く度に、ぱちゅぱちゅと水音を響かせる。
ぱんぱんと汗ばんだ男と千景の腿がぶつかり、結合部からは蜜が跳ね、音が変わりゆく。
「ぁ、やっ、あ……ッ!!」
男を締め付け離さない膣は子種を求めて震える。
無心で腰を振る男は少女の身体を犯し、柔肌を貪る。
「ゃぁぁッッ……!!」
亀頭で子宮口を揺らすと千景は切なげな声を上げた。
背を反らせず腰を引かせず髪を振り、乳房を揺らす少女を、深く貫く。
「ぁっ、また、ゃ、ゃ、ぁ、~~~~~!!!」
最早抱きしめるだけで絶頂するのではないのかと思わせる少女の震え。
再び天国に上った少女の手が男の背中に力を入れるが、決して男は止まらない。
ぱんぱんぱんと腿を叩き、怒張で最奥を抉り、男は更に少女を容赦なく攻め立てた。
「待っ、いまっ、だめ……ッ!」
肉と肉が当たる音が響く。
ぐちゅぐちゅと結合部から水音が生まれる。
天国に導かれた少女が男のピストンを止めるように懇願する。
この夜の間に幾度も繰り返された千景と男のやり取りだが、一度も叶った事は無い。
応える気の無い少女の細い身体を抱きしめ、反り立った雄の怒張の存在を身体に教え込む。
深く深く貫いて。
男の快楽という味を教え込む。
「ぁ、ぁっ、ぁっ、あ……!!」
ぱんぱんと肉が肉と叩く。
飛び散る汗がシーツに新たな染みを作り広がっていく。
玩具のように少女の雌穴を犯し、己もまた天国に上る為に男は怒張をしごく。
「おら、
高まりつつある射精感の中で、不意に男は千景に囁きかける。
唐突な言葉に、上らされ狂わされた少女の虚ろな瞳がゆっくりと男を捉える。
にじにじと蜜壺が肉茎を抱きしめ離さないと引き締めながら、千景もまた囁くように告げる。
「……どうせ、膣内に出すんでしょ」
「あったり」
「……ぁ、んっ……ッ!」
諦観と期待と絶望と悦楽を混ぜ合わせたような黒色の瞳。
男の怒張が叩く度に背中に回した手に力を入れ、必死にしがみつく。
プレスするような腰の動き、抽送は加速し、少女の最奥目掛けて男は怒張を叩きつける。
ふにゅんと汗ばみ乳首を硬くした生乳が男の胸板に形を変える。
男の太い肩に顔を埋め、時折漏れ出る声が男を刺激し、膣内で怒張が膨れ上がる。
千景の肉を味わいながら、円を描くように腰を叩きつける男はこみ上げた熱い物を放った。
「ぁぁぁっっっ……!!!」
びゅううっと勢いよく精が少女の最奥へと注がれていく。
切羽詰まった千景は男に抱き着き、身体を硬直させ訪れた絶頂の波に悲鳴を上げる。
長く吐き出される男の白濁、一滴残らず膣壁に絞り出されるような感覚に男は小さく呻く。
「はー……、ぁ」
千景はどこか満ち足りた声を漏らしていた。
男に抱かれ、快楽を教え込まれ貫かれたままの少女はゆっくりと目を閉じようと――
「ぷぁっ……!?」
ずちゅん、と亀頭が奥の奥を叩く振動に目を見開いた。
ハッと開いた少女の黒瞳を見下ろす獰猛な雄の瞳は近く、悦に浸る笑みを浮かべていた。
「おいおい、まだ終わってねえよ」
「……ぇ、だってい、まっ!!」
小刻みに奥の奥を叩く怒張は白濁を吐いたにも関わらず、既に回復の兆しを見せている。
見えずとも身体が雄のペニスの感触を伝えてきながら、愕然とする千景に男は小さく嗤う。
「まだ一発出しただけじゃねえか。……俺にも愉しませろよ」
「ぁ……」
にゅるりと怒張が膣口に戻ると、白濁と愛液が混ざり合った淫液が秘裂から垂れ落ちる。
先ほどの荒々しさは減り、ゆっくりと滑りこませるように怒張で再び奥の奥を貫いていく。
そうして男は千景の背中に手を回し、怒張で貫いたまま少女ごと寝台から立ち上がった。
「ぁ、ぁっ……!!」
脚を下ろすことはできず、剛直が深く深く少女を貫くことに短く喘ぐ。
落ちないように手で肩を掴む千景に抵抗の術はなく、尻肉を掴む男は千景を動かす。
それは玩具で自らの怒張を慰めるように激しく、どこかを目指し歩き出す男は口を開いた。
「あ? なんだこの体位が好きなのか」
「や、ぁ、ぁぁっ!」
ぽたりと白濁が結合部から床に垂れ落ちる。
度を越えた快楽に力なく首を振る千景を俗に言う『駅弁』という体位で男は抱き歩く。
その歩く振動すら容赦なく千景を際限のない絶頂の荒波へと引きずり込み始めた。
男が千景を抱え向かう場所は浴室だ。
だが、汗で汚れた身体を清めようという男の優しさではない。
「俺ってさ、結構綺麗好きでな。寝る前にはキチンとシャワーをしたくてさ。ああ、その前にキチンとお嬢ちゃんを洗ってやるよ」
浴室に入り、ピンク色のシャンプーケースを男は手に取った。
白く丸い椅子に少女を座らせ、見せ付けるように中の妖しい香りを放つジェルを手に取る。
「少し肌に塗るだけで性感が高まるんだと。……でもお嬢ちゃんには特別にボトル一本分使ってやるよ」
「ぅ……ぁ」
「媚薬なんて初めてだろ? ……蕩け死んでも責任なんて取らねえけどな」
「あ、は―――」
そこから先の記憶が千景は曖昧となった。
ただはしたない悲鳴を上げ、涙を流し、獣のように男と交尾をした事だけを覚えている。
浴室で、窓辺で、寝台で、性行為を覚えたての大学生のように、一晩中淫らな行為を続けた。
――そうして華は咲いた。
---
「ぐんちゃん! ぐんちゃんってば!」
「……ぁ?」
パチンと目が覚めるように千景は目を開けた。
目の前には桜色の勇者と、隣には金色と青の勇者が心配そうな顔で少女を見ている。
周囲は樹海と化し、生物と呼べる者はこの三人だけ、勇者以外には存在しえない世界だ。
「千景、大丈夫か?」
「……ええ。少しぼんやりしていて。……大丈夫よ、乃木さん」
「……そうか。それならいいのだが……」
刀を持つ勇者、若葉の声音に頷きながら、千景は状況を思い出し始めた。
あの夜からそれなりの日数が経過し、少なくない戦いを三人で、時には二人だけで乗り越えてきた。丸亀城本丸城郭に脚を置き、いつの間にか目を閉じていた千景は目の前の光景に息を吐いた。
星が降り注ぐ。
それら全てが敵だ。
通常の醜悪な個体の中に、存在感のある大型バーテックスが複数。
樹海の中で、『白』という色が覆い尽くすような数はまるで津波の如く隙間がない。
それがバーテックス側の戦力。大社曰く、この総攻撃を乗り切れば『対策』が整うらしい。
「大型は……六体か」
「瀬戸大橋付近にいた、あのすっごくでっかいのはいないね」
「完成していないのか……。いずれにせよ、好都合だ。先に大型バーテックスを倒し戦力を削ぐ。そうすればあの超大型バーテックスに対しても三人で対処できる」
「……そうね」
「一人二体ずつ倒していけばOKだね!」
大社の言葉を信じるならば、これが最後の戦いとなるのだ。
だからこそ若葉も友奈も、己の切り札を全力で行使する事に遠慮は無い。
千景も死にたくはない。寧ろ生きたいと思う心は誰よりも強いという自負はある。
鍛錬を繰り返し、切り札の勉強を行い、男と性行為に及ぶ日々。
友奈や若葉はともかく、巫女にはわずかに怪しまれながらも、大社からもお咎めは無い。
まるで千景の精神性を安定に導けるならば、それらの行為に対しては目を瞑るようにと。
「――――」
大社の思惑はどうあれ、切り札を使い精神が不安になる度に千景は男に抱かれ――安心した。
認めるのは癪でしかないのだが、それでも快楽に溺れる事で心の拠り所を見つける事ができた気がしたのだ。それは郡千景を認め、抱きしめ、愛してくれる都合の良い存在が。
「――――」
そして千景の身体もまた男を求めてしまった。
一度覚えれば忘れられない、確かな雄の快楽という味に溺れてしまったのだ。
もう後戻りなど出来ない。するつもりもない程にずぶずぶと深みに沈み込んでしまった。
戦いが終われば勇者の価値が無くなるかもしれない。
しかし、だからどうしたのだと千景は独り小さく嗤った。
最後の戦い。これが正真正銘、千景の『最期の』戦いになるのかもしれない。
「……ああ」
事ここに至り、千景は己の心を理解した。
男に抱かれる度に、幾度も幾度も共にした夜に感じた肌の温かさ、それでも安らぎを得て。そんな時間を過ごす内に、いつの間にか千景は救われていたのだ。
――あの男が千景を求めるように、千景もまたあの男が必要なのだ。
「私は……」
星々が近づいてくる。
攻撃を受け樹海が侵食されたら、現実世界にも被害が反映されてしまう。
それは隣に立つ二人の勇者も理解しており、既に己の内側に意識を集中させていた。
勇者の力を遡り、神樹の持つ概念にアクセスし、精霊の力を呼び自らの身に宿す。
その準備が出来たのか、俯いた顔を上げた若葉と友奈は『切り札』の名前を告げた。
「来い――酒呑童子!!」
「降りよ――大天狗!!」
友奈が宿す鬼の王。
若葉が宿す魔縁の王。
彼女たちの勇者装束が変化していくのを見ながら、千景もまた目を閉じ意識を集中させる。
人の世を滅ぼさんとする大群が迫る中、それでも不思議と穏やかな心で、少女は厳かに呼ぶ。
「……来たれ――玉藻前」
千景が宿すは、九尾の狐。
愛情を求め運命に翻弄され、国々を亡国に変えた大妖怪。
勇者装束の変化と共に身体の内側から針を刺すような激痛が奔り、小さく眉を顰める。
「――――」
痛みはある。
死への恐怖も不安も何一つ変わらない。
だがそれだけなのだと、郡千景は顔を上げ、友奈と目が合った。
――敵が迫る。
緊迫する状況下ですら心配する少女の薄紅色の瞳と、昏色の瞳が交錯する。
「ぐんちゃん、大丈夫?」
「……ええ、大丈夫よ。高嶋さん」
初めて使用する『切り札』だ。
だが不思議と身体に浸透するような感覚ながら、目の前の少女に千景は小さく微笑む。
戦地にて見る事ができない、否、日常ですら決して見る事のできない穏やかな笑みで。
砕けた心は歪に継ぎ接ぎされて。
戻り方を忘れて、けれども後悔は不思議と無い。
幾千の星々が降り注ぐ中で、黒い少女が浮かべる微笑みに友奈は息を呑む。
「――だって、私は愛されているから」
――自らの腹部を撫でる黒髪の少女は、幸せそうに嗤って、哂って、いた。
『郡千景は、愛を知る』 END
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以上で完結。
強姦で運命が変わり、切り札の悪影響を受けず、負の感情を男に発散して最後の戦いまで生き残った千景のルート。なお、この後彼女が生き残れたかどうかは不明。
ここまでお読みいただきありがとうございました。