「…来たか」
ここはベルディアが滞在している廃城。下が騒々しくなってきたことに気付き、表情を変えずにほくそ笑む。玉座に座りながら、待つ。
「来い、冒険者ども…私を楽しませてみせろ」
ベルディアが指を鳴らすと床から骸骨の兵士がわらわらと現れ、剣や槍や弓を持ち体をゆらゆらと揺らしながら一目散にと下へと向かっていった。
「クックック……フハハハハ...ハーッハッハッハ!!」
『うおおおおおおおおおおっ!』
門を開けた途端、奥の方から骸骨兵士がこちらへと駆け。冒険者達は武器を抜き骸骨兵へ応戦する。
武器による金属音や魔法による爆発音が各所から鳴り響いている間を私達は駆けていた。
「こ、これからどうするんですか!?」
「お前達は戦うな! 俺達が道を切り開く! 傷一つ付けるんじゃねぇぞ勇者!」
「言われなくとも!」
ミツルギさんとオルガさんが前に道を切り開いて後ろをミツルギさんの仲間とエルーンさんが私達を挟む形になりながら上階を目指す。私も弓を強く握りしめ遅れないように走る。
「ぐぅっ!」
その瞬間、私の隣にいた獣人の男性が骸骨兵に切られ負傷した。
「ロージガさん! 『ヒーr』」
「足を止めるなぁ!」
オルガさんの声が響き、びくりと体を跳ねさせた。その瞬間、背中に手を当てられる。
「俺は大丈夫だ! 先に行け!」
「私が治しますから先へ! 『ヒール』!」
獣人の男性にそう背中を押され、間に入ったプリーストの女性が彼にヒールをかけた。
再度私はエルーンさんに連れられ大広間の階段へと向かう、それにしてもミツルギさんもオルガさんも敵を蹴散らしながら走っているのに全く疲れた様子がない。相当鍛えてきたのだろう。
後ろで走っている彼らの仲間も多少息は荒いが表情は変わらない。
戦闘が行われている大広間を抜け、階段を駆け上がると先ほどまであんなにいた骸骨兵の姿が見えない。その代わり、二体の大きなミノタウロスが大きな斧を持って立っていた。
「デスゼィガガラビザルバグゴソバロボレ」
「ビガラサパボボゼギブボドビバス」
そう言葉のようなことを言うと斧を振り、構える。
私達が武器を構えようとするとミツルギさん達が前に出て武器を構える。
「ここは僕達に任せてくれ、君達は先に。少しだけ隙を作る」
「…分かった、行くぞ」
私達の前に出るミツルギさんの顔は今までよりもしっかりとした『勇者』の顔になっていた。持っている武器もグラムではない、前よりも確実に弱くなっている。なのに大きく見える。
私は自然と笑顔になっていた、剣を構えるミツルギさんに声をかける。
「…無事にみんなで帰りましょうね」
「ええ…必ず戻ります……行くぞ! 『
ミツルギさんが剣を振るうと大きな衝撃波が飛び、ミノタウロス達を襲う。かなり威力が高いのか二体ともよろける。
「今だ!」
「そっちは任せたからな!」
「悔しいが今のお前かっけぇよ!」
オルガさんとカズマさんの激励を受けミツルギさんはサムズアップで返す。それに二人もサムズアップで返した。再度先へと進むと一本道で敵の様子はまるで見えない、まるでこちらへと誘っているかのように
「全く敵が見当たりませんね」
「誘われているのでしょう…団長、カズマくん。敵感知に反応は?」
「俺は分かんないっす」
「ちーっと先に何かいるな、ベルディアとは違う感じがするが」
オルガさんがそういうので私も敵感知に近い魔力探知を使ってみる。
するとベルディアがいる少し前に何かがいた。えっと…
「この魔力は…ガーゴイル?」
「ガーゴイル、石像の魔物か…少し面倒だな」
「それもだいぶ強そうです…悪魔レベルはありそうな…」
そういって先へと進むとそこにはガーゴイルが鎮座していた。しかしこれは石像と言うよりも…
「ロボットじゃねぇか!?」
カズマさんの叫び声が聞こえる。そう、見た目はまさしくロボット。前世の知識である『ガンダム』と言うものに少し似ている気がする。ガーゴイルはゴリゴリと石をするような音を鳴らしながら身の丈はある大きなメイスを取り出した。
「…我が名はバルバトス。悪魔、バルバトス。ベルディア様の命により貴様らを抹殺する」
ガーゴイル…バルバトスが名乗りを上げた瞬間、オルガさんがピクリと反応した。
表情を見ると眉間にしわを寄せており、怒りに顔を歪めている。
「…ここは俺がやるよ。エルーン、ついてきてくれるか?」
「団長………ハッ! ついて行きます!」
オルガさんはソードメイスを大きく振り、切っ先をバルバトスへと向ける。
「…その名はな、お前のもんじゃねぇ。お前が名乗っていいもんじゃねぇんだ。あぁ、分かってる。これがただの八つ当たりだってことはな」
そのソードメイスを地面に叩きつけ。
「だが、必ずお前をぶっ潰す」
その瞬間、オルガさんはバルバトスの目の前にいた。
「『
ソードメイスを叩きつけるとバルバトスの頭部に花のような形をした衝撃波が走り。バルバトスを壁へと叩きつける。
「俺は一度死んだ、今まで担いでいた物もなくなった。かついでる時には気づきはしなかったが全部手元からすべり落ちた時、俺は空っぽになった。こっちに来た時もう二度と担ぎはしねぇと思っていたが…気づいたらまた、担いでた」
オルガさんはそういうとソードメイスを肩に担ぐ。
「鉄華団は俺達の帰る場所だ、例えもう二度と会えない奴だろうとな…だから、その名を汚すような真似は許さねぇ」
するとオルガさんは先に行くように私達を促し、私達はそっちへと向かう。
「オルガさん! 無茶はしないでくださいね!」
「そっちもな! 必ず帰るぞ…全員でな! だからお前らはベルディアの所へと走るんだ…止まるんじゃねぇぞ!」
ガーゴイルの扉を抜け、いるのは私達四人。私も含めてみんなの表情は硬い。
少し先へと進むと扉の前と着いた、思わず足が止まる。カズマさんは私達の顔を見て、私が頷くと大きく息を吐くと扉へと手をかける。
「…まさかな、俺が魔王幹部と戦うことになるなんて思わなかった。冒険者になっても細々と冒険者を続けて遠くで幹部が倒されたって言うのを人伝に聞くぐらいだろうと思っていた」
カズマさんの言葉を私達は言葉を挟まず聞く。
「…だからか、昨日は手足が震えるし吐いたし怖くて怖くて仕方がなかった。逃げ出したいと何度も思った…でも逃げようとは思わなかった」
カズマさんの手が僅かに震える。
「まだパーティー組んで短いけどさ。俺、だいぶお前らのこと気に入ってるみたいなんだ。こんな頼りない俺について来てくれてサンキューな…」
「…カズマ、なんで今生の別れみたいなことを言ってるんですか。私達はこれからですよ。これが私達の伝説の第一歩です!」
「その通りだ、呪いにかけられた事なんて屁でもないぞ! 私達はこれからもっと強くなるんだからな!」
めぐみんさんとダクネスさんがカズマさんの背中に手を置く。私はカズマさんの手に自らの手を重ねた。
「カズマさん、カズマさんは一人ではありません。私達がいます、なので存分に頼ってください。こう見えて私達結構強いんですよ?」
そうやって微笑む。重ねていたカズマさんの手はもう、震えていない。
「よし…行くぞ!」
カズマさんが扉を開けるとそこには玉座に鎮座したベルディアがいた。
ベルディアは私達を視認すると立ち上がる。
「来たか…待ちわびたぞ…!」
ベルディアが右手をかざすと紫色の炎が収束し、大きな剣となった。それを引き抜き、大きく風を切り裂きながら振るう。
「来い、冒険者ども。私を楽しませろ…!」
「行くぞ!」
『はい(ああ)!』
カズマさんが剣を抜いてベルディアへと駆けた。
最近感想が来て嬉しかったので投稿しました。
感想来るとつい書きたくなってしまいますね。
次回もいい感じになったら投稿します。