剣戟の音が響く。
だが打ち合っているというよりはカズマが何とか食らいついているといった方が正しいだろう。カズマは冒険者と言っても剣を持ってまだ半年も経ってない。
それでもなんとついていけているのはダクネスの存在もある。
カズマに剣が迫ると同時に間にダクネスが入り剣を受け止め、その隙間からカズマが剣をベルディアにぶつけていた。だが性能差によるのかロクなダメージが入らない。
「くっそ…」
「どうした? その程度か冒険者!」
「危ないカズマっ!」
めぐみんは少し離れたところで爆裂魔法のタイミングを見ている。アクアは右手に聖属性の魔力で構成した刀身。カズマと同じロングソードを左手に持ち、右手を構えた。
「『セイクリッド・ターンアンデット』!!」
ダクネスが間に入れない時はアクアが魔法で攻撃を中断をし、時折剣による攻撃にも入るがすぐにめぐみんを守るために中衛に下がる。
怪我は負っていないが有効打も与えられていない。カズマとダクネスに疲労だけがたまっていく、対するベルディアは疲労らしきものも溜まっている様子はない。
アクアは過去読んだ文献から必死にベルディアの弱点を検索していた。
(首なし騎士 デュラハン 死を予言するアンデッド 妖精として扱われるこもとある 乗っている馬はコシュタ・バワー…そういえば…。)
「闇より出でて 闇より黒く その怨敵を 薙ぎ払え…『暗黒剣』」
ベルディアの剣が黒い炎のようなものを纏う、見るだけで威力が高いことがうかがえる。あれではダクネスでも防ぐことは出来ないだろう。
アクアは右手を銃のようにして構えた、指先には水が高速で回転しながらその場にとどまっている。指の先はベルディアを捉えていた。
そしてその剣がカズマの間に入ったダクネスに迫る、ダクネスもこれは防げないと察したのか顔が強ばった。
「『セイクリッドクリエイトウォーター』!!!!!」
アクアの指先から高速の水弾が発射される、その水弾はベルディアの片腕を撃ち抜いた。ただの水弾だがこれまでのどの攻撃よりもベルディアはダメージを受けており、暗黒剣は外れ地面へと突き刺さる。
「ぐぅっ…」
「…?」
カズマはその様子を見ると何かに気付いたかのように両手で握っていた剣を右手の片手持ちに変更する、訓練はしていたから片手持ちでもパフォーマンスは落ちない。
剣をベルディアを当てる寸前、左手を剣を当てる部分へと向けた。
「『クリエイトウォーター』」
そのまま剣を振り下ろす、すると今までと違う手ごたえをカズマは感じた。切り裂いたといったほうがいいのかもしれない、カズマの剣は鎧を軽く切り裂きベルディアのは軽くうめいた。今までと違う感覚にカズマは気づく。
ベルディアは水に弱い、聖属性を纏ってないこの水でも大きなダメージを与えれた。
「弱点は水かっ! それなら…!」
「アクアっ、大きな水魔法をっ…!」
アクアに水魔法を頼もうとダクネスが振り返る。
その瞬間、視界からダクネスが消えた。
「!?」
カズマの眼前には剣を振り切った体勢のベルディア。
近くの壁からものが激突する音が聞こえカズマ達はその壁へと視線が吸い寄せられる。確認するとダクネスが壁に叩きつけられていた、思わず全員の足が止まる。
「よそ見とは余裕だな」
「しま…ッ!」
眼前に迫っていたベルディアからの一閃、カズマは何とか間に剣を挟み込んだがその剣はへし折られ。地面を2、3度バウンドしアクアの足元に転がる。
「が…アァッ…ッ!」
「カズマさんッ! くっ、『ヒール』!」
高い能力を持つアクアのヒールによりカズマの傷は治るがカズマは尋常じゃない汗を流しながら右手を確認した。
「腕…あるな…ッ? 体…欠けてないな…?」
剣を間に挟んでいなければ間違いなく上半身と下半身が分かれていた。いや、むしろ挟んでも五体が残っていたのが奇跡に近い。砕けた剣が衝撃を吸収してくれたようだ。
いままでの剣が嘘のように鋭くなった、恐らく手加減していたのだろう。
「私の弱点を知ったようだな、ならばここからは本気を出そう…ッ!」
そうだ、ベルディアは片腕に頭を抱えている。その頭をガキリッとはめ込んで両手で剣を構えた。
その瞬間溢れ出す闘気、先ほどまでとは圧が違う。カズマは自らの心が軋む音が聞こえた気がした。
呼吸が乱れる、体が震える。立ち上がれない…力が入らない。アクアが支えようとはしてくれているが体に全く力が入らなかった。ベルディアはゆっくりとこちらに歩いてくる。
「これで終わりか…? だとしたら興ざめだ…」
動けない
殺される
死ぬ
ベルディアは剣を上段にゆっくりと構える。アクアがかばおうとしてくれているがカズマは動けない。
死n
「…るぁあっ!!!!」
ガキンと言う音と共にダクネスが目の前にいる。鎧はひしゃげており顔色もあまりよくないが震えながらもベルディアの剣を受け止めていた。
「ぐ…うぅ…!」
「ほう、まだ立つか…だがもうまともに戦えないだろう」
ダクネスの剣は遠くに弾き飛ばされておりダクネスは両腕で何とか剣を受け止めていた。
刃が触れている肩は鎧と服を切り裂き血がにじんでいる。
「アクア…カズマを連れて逃げろ」
「ダクネスさんは…」
「大丈夫だ、お前達が逃げるまでの時間は稼げる」
ダクネスは不敵な笑みを浮かべるが汗を大量に流しており受け止めている腕は震えている。
あまり長く持ちそうではない…ダクネスは死ぬ気だ。
「私は騎士だ…仲間は…必ず守るっ!」
カズマの体の震えが消えた。その瞬間、アクアは抱えていたカズマの体重が消え。左手に持っていた剣もなくなっていた。
「うおおおおおおおおおっ!!!」
カズマだ。
カズマがアクアが持っていた聖属性の魔力剣を手に持ちベルディアへと切りかかったのだ。
ダクネスを後ろに下がらせてベルディアに剣を叩きつけた、流石に聖属性の剣は生身で受け止めるわけにはいかないのか剣を振り上げて止める。
「…謎だな、さっきまでの貴様は完全に心が折れていた。なぜ立ち上がれる? なぜ剣を取れる?なぜ振るえる?」
先ほどまで震えていたカズマは目に力が戻り剣先も震えていない。
カズマは自分を奮い立たせるように叫んだ。
「意地があんだよ! 男の子にはなあッ!!」
ちょっと考えてみた。
頑張れば次回で終わるかな。
これR作品なんだよね…?