※この作品はR-18です。

ゼロの使い魔×東京赤ずきん 連載版   作:蜜柑ブタ

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短編からそのまま移しました。

出会い編。


SS 序章

 

 

 優しい春風と若草の匂いを感じ、“彼女”は、ゆっくりと目を開けた。

 

「あなた…誰?」

 

「……あら?」

 

 美しいピンク色の髪の毛の、美少女がそこにいた。

 思わず彼女は、呆けたように声を漏らす。

 そして自分の声に驚いた。

 大人の女の声…、それは、自分が失って久しいものだったはずだ。

 はて?っと思い、彼女は周りを見回した。

 そこは、草原だった。

 青空が広がり、自分が今までいた血なまぐさい場所…、否、自分が全てを終わらせた場所ではなかった。

 頭の頭髪が薄く、ハッキリ言ってハゲた頭をした中年の魔法使いと、離れた位置にいる集団の少年少女達。皆、魔法使いだと分かった。

 彼女は、視線をピンクの髪の毛の少女に戻す。ピンク色の少女は、なぜか青ざめガクガクと震えていた。

 再び彼女は、はて?っと思い。首を傾げた。

「み、ミス…。貴女は……?」

 するとハゲた頭の魔法使いの男が恐る恐る聞いてきた。

「わたくし? わたくしは……、?」

 ハッとした彼女は、自分の手を見た。

 ほっそりとした、けれど整った美しい白い手。

 それは、大人の女の手。

 そして彼女は、自分の見える範囲で、自分の体を確認した。

 そこにあるのは、漆黒のドレスを纏った、美しい女の身体があった。

 それは、彼女が失ったはずの“本来”の姿形。ドレスの形にも見覚えがあった。

「ああ…、なんてこと。」

「み、ミス…?」

「…鏡はあるかしら?」

「は、はい! 誰か、誰か鏡を持っていないかね!?」

 彼女がそう聞くと、中年の魔法使いは、慌てて他の少年少女達に声をかけた。

 そして、少女の一人が折りたたみ式の手鏡を出して、中年の魔法使いに渡した。

 鏡を受け取った彼女は、鏡を開き、自分の顔を見た。

「ああ…。」

 思わず声が漏れた。

 

 そこに映ったのは、自分の顔。

 けれど、久しぶりに見る顔。

 幼くなる呪いをかけられ、失ったはずの大人の自分の顔。

 

「あ、あの…。」

 鏡を見つめていると、ピンク色の髪の毛の少女が恐る恐る話しかけてきた。

「なにかしら?」

「あ…あの、えっと…。貴女は、高貴な身分の方とお見受けします…。」

「それで?」

「わ、私は! トリスティン王国、ヴァリエール公爵令嬢、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールと申します!」

「まあ? ご丁寧に。それで? ルイズさん。」

「は、はい!?」

 ルイズがビシッと背筋をただした。

 それを見て彼女は、クスッと笑う。

「ここは、どこ? わたくしを喚んだのは…、貴女?」

「あ…。」

 ルイズはそう言われ、ますます顔色を悪くし、倒れそうになった。

 彼女は、徐々に身体の感覚を取り戻し、“人間”には無い感覚で、自分が魔法によって召喚されたのだと理解した。

「ミス!」

「貴方は?」

「私は、トリスティン魔法学院の教員、ジャン・コルベールであります!」

 コルベールが深く頭を下げた。

「わたくしは、なぜルイズさんに喚ばれたのかしら?」

「それは…。」

「単刀直入に言って頂いて構いませんわ。」

「……貴女の召喚は、この学院で行われる進級試験によるものです。」

「まあ!」

 彼女は、わざとらしく両手で口を押さえてわざとらしく驚いたと声を漏らした。

 途端、コルベールの顔色が真っ青になり、ダクッと汗をかいた。

「つまり、あちらにいる子供達の傍にいる動物たちは…。」

「そ、そうです。使い魔の召喚の儀式で呼び出された使い魔です。」

「あらあら、まあまあ。」

 つまり自分は、使い魔となるべくピンク色の髪の毛の少女に召喚されたのだと瞬時に理解できた。

「つまり…、貴女がわたくしを?」

 彼女がルイズを見て聞くと、ルイズは、ビクッと震えて、汗をかきながら頷いた。

「まあ…。」

 彼女は、わざとらしく、困ったように手を組んで首を傾げる。

「困ったわね…。」

「も、申し訳ありません!」

 ルイズがとうとう土下座をした。

「顔を上げて、ルイズさん。」

「い、いいえ…。」

「立ってください。」

「はい…。」

 ルイズは、彼女に掴まれ、無理矢理に立たされた。

「そんなにかしこまらなくても、よろしいのよ?」

「えっ…?」

 ルイズは、ポカンッとした。その表情を見て彼女は、美しく微笑む。

「……貴女は、わたくしを喚ぶほどの力のある娘。」

「えっ? えっ?」

「此度の召喚に図らずも応えることとなった、この身…。そして、真の姿を取り戻せたのも貴女のおかげならば…。人間の儚き一生に寄り添うのもまた一興。」

「えっ…?」

 困惑するルイズの頬に、彼女は、優しく手を添えた。

 

「わたくしは、アスタルテ。魔界を統べる王の娘ですわ。」

 

 春風と若草の香るその場所に、あまりにも似つかわしくない漆黒の姫君、かつての姿を取り戻した魔界の王女は、美しく笑った。

 




魔界の王の娘であるうえに、最上級悪魔なら、身分制度に厳しい世界じゃまず雰囲気でただ者じゃないって思われるかと。


アスタルテの召喚された時間軸は、東京赤ずきん本編での最終回以降ですね。
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