今回は、アンリエッタ。
そして、淫魔のルカとの再会。
「茶番は終わりですか?」
「ちゃ、茶番ですって!?」
フワァっとあくびをするアスタルテに、ルイズが憤慨した。
時は、少し遡る。
ある日のこと、授業中にトリステインの王女であるアンリエッタ姫が来訪した。
まあ、それは良い。
問題は、その後。
夜中にそのアンリエッタが、顔を隠してルイズとアスタルテがいる部屋にやってきたのだ。
そこから繰り広げられたのは、幼馴染みである二人の思い出話に始まり、今戦争状態のアルビオン皇国にいるウェールズが持つアンリエッタからの手紙が、反政府組織であるレコン・キスタの手に渡るかも知れないという悲劇を憂いる大げさなアンリエッタの芝居がかった嘆き。
なんとアンリエッタは、ルイズに対して遠回しに協力してくれないかと言ったのだ。これはあくまでもアスタルテの主観である。どう聞いてもそうとしか聞こえない。
そしてなんとルイズは、あっさりと承諾。そのことに、ついついアスタルテは、ダメだわこの二人は…っと口に出していて、ギョッとした二人に見られた。そして冒頭に戻る。
「いくら土くれのフーケという盗賊を捕え、その功績を称える称号を得たとはいえ……、なにゆえ三流にもならないような魔法使いであるルイズに、そのような大役を? ましてや大切なご友人であるにもかかわらず? 貴方様にとってご友人とはご都合のいい手駒でしかないと? アンリエッタ様は、それほどに人の使えぬ姫君とお見受けいたしましたわ。」
「アスタルテ! なんてことを! 謝りなさい!」
「っ……。」
「ああ! 姫様! このような女の戯言になど耳を貸してはなりません!」
「あら? つまりルイズは、死にに行くと? 友人を友人とも思わないような姫君にそのような忠誠を立てるほど、ルイズの誇りとは軽いモノなのですわね?」
「な…。」
「わ…わたくしは…。」
「お好きになさいな。あまりにもつまらないやりとりだったので、ついつい言わせて貰いましたが、わたくしは関係ありませんので。」
「あ…あんた! 私の使い魔でしょう! 使い魔は…。」
「主人の手となり足となり、目となるモノ。ですが、今のルイズではわたくしを制御できませんわ。現に、こうして好き勝手言われているのに、なにもできていない。」
「ぐっ!」
「……返す言葉もありませんわ。使い魔殿。」
「あら?」
「姫様!」
アンリエッタが一転して表情を引き締めて言った。
「こう言ってはなんですが……、わたくしは傀儡の王女も同然。今やゲルマニアとの同盟のため嫁ぐのを待つだけの身です。ですが…、この国を憂いるこの心は誠であることは始祖ブリミルに誓い立てることができます。」
「まあ…。」
「ですが…、確かに、あなたの言うとおりです。ですが、わたくしにはコレしかもう手立てがないのですわ。か細く脆い蜘蛛の糸をたぐるように…、信頼における従者のいないわたくしには…、ルイズを頼るより他なかったのです。」
「……。」
「ルイズ…。」
「は、はい!」
「あなたを死地に追いやるという危険を承知で…、どうかこの弱いわたくしのため…、お力をお借りできないでしょうか?」
するとアンリエッタが、膝をつき、あろうことか土下座をした。
「ひ、姫様、そのようなことを!」
「どうかお願いします。もうあなたしか頼れないのです。」
「顔を上げてください!」
「始祖ブリミルとは…、この国において神に該当するモノでしょうか?」
「はい。そうですわ。」
「……国を憂いるその心…、真実であると受け止めましょう。三流の姫君などと嘲ったことを、心より…お詫びしますわ。」
今度はアスタルテが深く頭を下げた。
「貴女は…、高貴な方とお見受けいたします。何者なのでしょう?」
顔を上げたアンリエッタがアスタルテに聞いた。
「わたくしは、亡国の姫ですわ。名を、アスタルテともうします。今では、ルイズの使い魔を務める、悪魔でございます。」
「あくま…。ルイズ…、あなたの使い魔だと…。」
「はい…。」
「……ルカと同じなのですわね。」
「えっ? 今なんと?」
「ルカとは、わたくしの使い魔です。普段は猫の姿なのですが、夢の中では真の悪魔の姿で現わしてくれるのです。」
「まあ! なんという巡り合わせ!」
「えっ?」
「ルカは、わたくしのお友達なのですわ。今、どちらに?」
「そうなのですか? では、呼びますわね。ルカ。こちらへ。」
すると、半開きになった窓から、白黒の猫が入って来た。猫…ルカは、アスタルテを見ると、ビクーーッ!と震え上がっていた。
「ああ、ルカ! 久しぶりですわね!」
『あ、あああああ、アスタルテさまぁ!?』
「ええ、ええ! わたくしですわよ!」
『マジでか…。なんて狭い世の中だ…。』
「えっ? 会話できるの?」
ルイズには、ルカの声は聞こえていなかった。
「まあまあ…なんてことでしょう…。淫魔のあなたが、この国の姫の使い魔となるなんて…。手取り足取り…色々と…。」
『あーあー! 言っとくけど! 処女は奪ってねーよ! 女のテクは教えてるけどさぁ!!』
「あらまあ、あなたがそのように気を遣うなんて…。」
『さすがに同盟前の国の姫から処女取ったら、国際問題どころか戦争ものだって分かるって! けど、ベットの上での嫁ぎ先の旦那の主導権を奪うって方法は教えてるとこだけど。』
「まあ! それは素晴らしいですわ。」
『へっへ~。そりゃ、もし国の主導権を奪えりゃ裏で…。あっ、なんでもないっす。』
「悪い子ですわね。お仕置きが必要かしら?」
『やめて、やめて! 姫さんの前では威厳を保ちたいんですって!』
「アンリエッタ姫様、少しルカをお借りしてもよろしいですか?」
「なにを…されるのでしょうか?」
アンリエッタが、なにか想像したのか頬をちょっと赤らめる。使い魔としての主人であるため会話は全部聞いていたアンリエッタである。そしてなにより、現在進行形で淫魔のルカからベットの上での主導権を奪うテクを学んでいる真っ最中。(※処女である)
「ルカと会話してたら…ついつい滾ってきまして…。すぐお返ししますわ。」
『ぎゃああああああああ!』
逃げようとするルカを捕まえたアスタルテが、髪を使ってテレポートして消えた。
数分後……、ぐったりしたルカと、お肌ツヤツヤのアスタルテが帰ってきたのだった。
ルカは、アンリエッタの使い魔に。猫の姿で。
ただし、夢の世界でのみ本来の淫魔としての姿になれる。
淫魔としてのテクをアンリエッタに授業することで、アンリエッタにベットの上での主導権を奪うことで国の主導権をも手中にさせようと企てる。
なお、非処女だと大問題なので、アンリエッタの処女は保ってます。
アンリエッタとの会話で、どうやってアルビオン行きにこぎづけるか悩んでこうなりました。
ルカとのやりとり(?)は、数分程度にしてますが、アスタルテ空間で存分にやられていますよ?
つまり実際には数時間以上。