※この作品はR-18です。

白銀御行は寝取られる 〜催眠で支配された生徒会〜   作:青碧ゆがむ

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プロローグ

「どうした、お前……チャラい!!」

 

 会長の叫びが秀知院学園の廊下に響いた。いかなる時も冷静さを失わない会長が目を見開き驚いている。

 

「……あぁ、そうか。今の会長は覚えてないんだっけ?」

「何か言ったか?」

「いえ、なんでも」

 

 そう、今の会長は何も知らない。俺、翼がイメチェンをした理由を――

 

***

 

 最近、好きだった柏木渚ちゃんと付き合い始めた。それもこれも、会長こと白銀御行のおかげだ。

 

 初めて相談したときの的確なアドバイス。あれがなければ僕は渚ちゃんとは付き合えていなかっただろう。

 

 しかし……付き合い始めたのは良いものの僕達の間には進展がなかった。最近、ようやく手を繋いだばかりだ。

 次はキスがしたい。でも、僕にはアプローチの仕方が分からない。

 

 だから、今日もこうして会長の元を訪ねる。

 

「会長……僕、彼女とキスしたいんです」

「お、おぉ……そうか」

「どうすれば良いですかね!?」

 

 会長は瞼を閉じ、じっくりと考えて言った。

 

「壁ダァンだ!」

「またですか?」

「と言うのは冗談で……よし、少し待ってろ」

 

 そう言うと、会長は生徒会室の棚を漁り始める。

 きっと、心理学とかの観点から教えてくれるのだろう。

 

 ――バサッ。積まれた書物がバランスを崩し、一冊の薄い本が床に落ちる。

 

「何だこれ、また藤原書記の私物か?」

 

 藤原さんは、僕に渚ちゃんと手を繋ぐためのアドバイスをしてくれた。そんなラブ探偵の本ならヒントが書かれてるかもしれない!

 

「会長、貸してください!」

「あ……あぁ。いいが、役に立たないと思うぞ」

「ありがとうございます。えっと、誰にでもできる催眠の指南書?」

「な? 役に立たんだろ。全く、アイツは心理テストやら、こういう物が好きだな」

「でも、まあ面白そうですよ。ほらコレとか」

「犬化? 馬鹿馬鹿しい。そんなものヤラセだ」

「せっかくだし、やってみましょうよ」

「んー、まあ……そうだな。実証もせずに結論を下すのは気が引ける。よし、俺に試してみてくれ」

「はい!」

 

 本に書かれている内容を一通り読んでから、会長と向き合って座る。

 

「では、会長。目を閉じてください」

「あぁ、本格的だな」

「はい。目を閉じたら、ゆっくりと深呼吸をしてください」

「ふぅ……はぁ……ふぅ……はぁ……」

「吸って……吐いて……吸って……吐いて……」

 

 最初は会長の呼吸に合わせて、言葉をかける。

 三分ほど続けて、深呼吸にも慣れてきたところで、掛け声のペースを早める。

 

「吸って、吐いて……吸って、吐いて……」

「ふぅ、はぁ……ふぅ、はぁ」

 

 数分間続けたら、またペースを戻す。

 

「吸って……吐いて……吸って……吐いて……」

「ふぅ……はぁ……ふぅ……はぁ」

 

 静かな生徒会室。風が窓を揺らす音が微かに聞こえる。

 その他にも、鳥の囀り、生徒のはしゃぎ声。色んなものを聴覚だけで感じさせ、想像させる。

 

「吸って……吐いて……」

 

 これでもかと、深呼吸をさせる。さすがの会長も十五分も続けたところで、疑問を抱き始めただろう。いつまで、深呼吸を続けさせるのかと。

 

 ――ピクッと会長の腕が短く震えたのを僕は見逃さなかった。

 勢いよく会長の両肩を掴み、揺らす。

 

「……うっ!?」

 

 集中力が切れた一瞬を刺激され、気が緩む。そんな無防備な会長の耳元で優しく囁く。

 

「……意識が飛ぶ」

「うぁ……ぁ……」

 

 弱々しい声はプツリと途切れた。

 

「あの会長、聞いてます?」

「……ぁ」

 

 目は開いている。しかし、そこには光が宿っていない。まるで、目の前の人間が人形であるかのように感じた。

 咄嗟に指南書を読む。

 

「これが、トランス状態。うわぁ、できちゃったよ」

「……」

 

 会長は今も、ぼぉっと虚空一点を見つめて固まっている。

 この状態の会長に命令すれば良いらしい。

 

「えと……会長は人間ではありません。あなたは犬です」

「……何を言ってるんだ。俺は……人間だ」

「あれ?」

 

 もう一度、指南書を読み解く。あぁ、なるほど。拒絶されたら暗示はかけられないのか。

 遠回りに遠回りをして、目的の暗示へと誘導しなければいけないらしい。

 

「難しいな……。ええっと、犬をイメージしてください」

「……あぁ」

「では、その犬になり切ってください」

「……どうしてだ」

「会長が犬化してみろと言ったんでしょう」

「……あぁ、そうだった」

 

 意識が朦朧としてる状態だからか記憶が曖昧なようだ。なら、丁寧に思い出させればいい。

 

「では、僕が指を鳴らしたら犬になり切ってくださいね」

「……あぁ」

 

 ――パチン。指を鳴らすと会長は、

 

「ワン。……うぅ、ワンワン」

 

 四つん這いになって、そう鳴き始めた。

 我ながら凄いと思う。あの会長が本当に犬になり切ってる。こんなところ、誰かに見られたら……

 

 と思った矢先、生徒会室の扉が開いた。

 

「わふぅ!!」

「うわ、え、えぇ、か、会長!?」

 

 犬の会長がかぐやさんを見るや抱きつき舐め始める。

 

「会長、ちょっと……あん」

 

 あぁ、説明に時間がかかりそうだ。僕は、トホホと息を吐いた。

 

 

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