白銀御行は寝取られる 〜催眠で支配された生徒会〜 作:青碧ゆがむ
「もう! もう、会長!!」
怒ってはいるものの、頬は紅潮しており、どこか嬉しそうなかぐやさん。やっぱり、この人って会長のこと好きなんじゃないかと思ってしまう。
「すまん、本当にすまん!」
会長は何度も土下座をしていた。まあ、あれだけ同級生の女の子に抱きついて舐め回したんだから仕方がない。
「だが、あれは催眠術のせいなんだ」
その言葉を聞いて何かを思いついたのか、かぐやさんがコホンをと咳払いをした。
「ま、全く。そんな戯言を吐いてまで私に抱きつきたかったんですか? お可愛いこ――」
「――ぐぉ、ち……違うぞ。な、おい、本当だよな? 俺はお前の催眠術で犬になってたよな!」
会長が僕に助けを求めた。
「……ッ」
秀知院学園の生徒会長と副会長の視線がビシッと僕に刺さる。会長の目付きは元々、怖いから慣れてるけど……かぐやさんの目が怖すぎる。
蛇に睨まれた蛙の気分になる。保身に走ろうかと思ったが、お世話になった会長は裏切れない。
「本当です。僕がこの本を使って……会長に催眠術をかけました」
「な! よって、あれは俺の本意ではない!!」
「うむむっ〰〰ッ!! な、なら……私にも掛けてください」
「え?」
「私が体験していない以上、素人の催眠術なんて到底信じられません!」
「ふ、ふん。いいだろう、よし四宮にも掛けてやれ!」
「えぇ、そんなー!」
「「早く!!」」
「は、はい……」
二人の気迫に負け、僕はかぐやさんにも催眠術をかける羽目になった。
……責任重大だ。これで失敗すれば、会長が嘘つきになってしまう。
「で、では……始めますね」
先刻の会長と同じように、かぐやさんにも催眠術の導入を始める。深呼吸をさせ、ペースを上げたり下げたりして同調を図る。
「すぅ……はぁ……」
「おぉ、なんか凄いな」
「静かに……集中させないと」
「す、すまん」
かぐやさんの胸が上下する。男二人に女一人の状況。不安になって、催眠術がかからないんじゃないか……なんて思っていたけど、
「深い眠りに落ちて」
「……ぁ」
上手くいってしまった。かぐやさんが会長を信頼してるが故の結果なのだろうか?
「……すぅ、すぅ」
目は開いている。しかし、眠っているトランス状態。
「成功しちゃいました……!」
「おい、おい……お前凄いな」
会長も今のいままで完璧に信じていなかったのだろう。目を輝かせて子供のように喜んでいる。
「あの、どうします? かぐやさんも犬に……」
そう言って、変に全身がムズッとした。財閥、四宮グループの天才少女である、かぐやさん。
今の状況なら……なんでもできてしまうんじゃないか。
「うん、そうだな……四宮には犬より猫が似合うからな」
会長の言葉を片耳に、催眠の指南書を読む。これなら……
「あの会長!」
「なんだ?」
――パンッ! 目の前で手を叩き驚かせ、
「今の、かぐやさんと同じ状態になって……」
と、耳元で呟く。すると会長は短く言葉を漏らし、トランス状態になった。
「やった、成功だ!」
指南書によると、一度でもトランス状態になった者は、簡単に落ちやすいとのこと。
身体浮かぶような、心地よい状態を身体が求めてしまうかららしい。
「うわ……我ながら凄いな」
目の前には、会長とかぐやさんがぼぉっと座っている。
あぁ、ダメだ。僕も一人の男なんだな。卑しい妄想が止まらない。
これ以上、道を踏み外せば僕は人道を外れた最低な屑になるのだろう。
でも……欲望には勝てなかった。
「お二人は、もう少し自分の心に正直にならないといけません」
「正直……」
「はい。なので、僕が正直になる方法を教えます。今からすることは、全て……二人のため、何も恥ずかしいことはありません」
「……恥ずかしくない」
「安心して、僕に身を委ねてください。大丈夫、何も問題ありませんから」
「問題ない……」
「……委ねる」
「今日はまず、恥ずかしいという気持ちを忘れましょう。羞恥心は百害あって一利なし、正直になる心を阻害します」
「……忘れる」
「では、僕の言う通りに――」
最後の暗示を掛け終え、二人を覚醒させる。
「――っは!!」
「うぉ!?」
「どうしたんですか、お二人とも?」
「いや、何でもない。少し呆然としていただけだ」
反応を見るに暗示は効いているようだ。今の二人は僕に催眠術をかけられた記憶を忘れている。いつも通り、生徒会室で執務を果たしていただけ、僕はただ、二人とお話に来ただけ……
しかし、催眠術の記憶はなかろうと暗示は無意識に人を動かす。
「もうすぐ生徒会選挙ですね」
そんな他愛もないことを言いながら、かぐやさんがスカートの中に手を入れた。
「あぁ、そろそろ準備しないとな」
「僕にできることがあれば手伝いますよ」
「あぁ、助かる」
「ぜひ、お願いしますね」
シュルッという肌と布とが擦れる音がした。
「それでは、これを確認してくれますか?」
「あ、は、はい!」
かぐやさんがニコッと微笑み、僕についさっきまで穿いていた下着を渡した。
淡い桃色で、無数の華の刺繍が入った可愛らしいもの。温もりが残っている。
「で、では……」
「お願いします」
クロッチ部分を鼻に当て、匂いを嗅ぐ。こんな行為を目の前でされているにも関わらず、かぐやさんは何も感じていない。
「くん……くんくん」
アンモニア臭などは一切せずフローラルな香り。
「今日は、何回……トイレに行きました?」
尋ねると、顎に指を当て思い返すように応えた。
「朝と昼の二回です」
「二回……うん、しっかり拭いてますね」
「もちろんです」
動悸が荒くなり、呼吸が乱れてしまう。凄い……催眠術って凄い。
「では、この下着は貰いますね。き、今日はそのまま過ごしてください」
「ええ、分かりました」
僕はかぐやさんの下着をポケットにしまった。
これは渚ちゃんのため。女慣れしていない、僕が上手に彼女をエスコートする練習なんだ。
そう、自分に嘘という暗示をかけた。