「おお、連夜よ! よくやった!」
「爺。……いきなりなんだ気色悪い」
「その小娘、アインツベルンのマスターであろう! まさか初戦で討ち取ってくるとは思いもよらなんだ。……これは、聖杯戦争前のあの約束も現実味を帯びてきたわい」
聖杯戦争前の約束。こいつは俺が聖杯を獲得できるとは全く思ってもいなかったみたいで、いくつかの約束を
| 束縛術式:対象ーーー間桐臓硯 | ||
|---|---|---|
| 間桐の刻印が命ず:下記条件の成就を前提とし:誓約は戒律となりて例外なく対象を縛るもの也 | ||
| :誓約:第五次聖杯戦争次間桐家当主、間桐臓硯に対し己よりも年齢が下の間桐の姓を持つ者、並びにその関係者、所有物への干渉、及び連夜が取得した小聖杯を使って、最初に願いを叶える時に『第三魔法の成就』以外の命令を行うこと、同聖杯による二度目以降の願いを叶えることを永久に禁ずる | ||
| :条件:間桐連夜が聖杯戦争にて優勝し、間桐臓硯を聖杯に接続させること | ||
これにより、一番最初に臓硯が使用した後は俺たちの願いを叶えられる。何せ、聖杯戦争にて優勝した時点で聖杯は俺の所有物。一度目の願い以降は臓硯は使用することは許されない。そして臓硯自身も第三魔法による不老不死を得ることが目的なのだということは知れた。それ以上の願いを持っているのかどうかは知らないが、その場合は自分でどうにかしてもらおう。魔術師は『自分一人では足りない場合』よそから持ってくる人種だし。
ここまでしても安心を得られないのが間桐臓硯なのだが、間桐臓硯が聖杯に接続した時点でこの文書は活動を開始する。十年前の聖杯戦争。雁夜おじさんの時の交渉があったことがあったし、少なくとも聖杯……第三魔法を得られれば臓硯はそれで良しなのだろう。だからこそ、この誓約書にサインをした。
俺の目的である魔術師という存在そのものの抹消。それは歴史の書き換えだ。聖杯でも届かない可能性があるかもしれない。もしもそうなった時に、これ以上の臓硯による干渉を防ぐためにこそ、この誓約書を用意したのだ。
「ああ、爺。こいつは今から俺の聖杯戦争用の切り札にするから」
「ふむ? 何をするつもりじゃ?」
「決まってるだろ」
我が家の魔術がどういうものかを忘れているのだろうか?
「戦力の補充だよ」
私を確保した男、マトウレンヤが私を担いだまま臓硯との話を終えて、喋ったりできないようにつけられている猿轡、そして引っ掻いて逃げ出すなんてことができないように後ろ手に縛られた状態のまま、私はベッドに投げ捨てられた。
「さすがに何をされるのかわからないままじゃ可哀想だからな。戦力の補充っていうのがどういうことか教えてやるよ」
コートを脱がされ、帽子を取られ、私の四肢は縄よりも強靭な鎖で、腕は頭の後ろで組むようにして、足はベッドの端につけられた鎖に引っ張られるように開脚する形でベッドに繋がれた。その最中に日常会話の延長のように、魔術師としての面を見せるように淡々と、レンヤは先ほど口にした戦力の補充について口にする。バーサーカーを殺したこいつになんて力を貸す理由がない。何があろうと協力してなるものか、と決意を込めて睨んだが痛痒にも感じていないようだ。……よく考えればそれもそうだ。今の私は魔術を詠唱することができない。こんな様では逃げ出すなんて到底不可能。いや、それどころか魔術回路もちゃんと機能していないようなーーー
「まず第一に、お前にはこれから、魔力タンクになってもらう」
え、あ、えーーー?
考えが全て吹き飛んだ。そして、聞こえた言葉の意味を一瞬理解できなかった。いいや、したくなかったのほうが正しいか。私も魔術師なのだ。魔力タンクになる、ということはつまりはこの男とパスをつなぐということだと理解している。けれど言いたくはないけれど幼児体型な私に、そんな性的興奮を覚える輩なんて。そう思っても現実は変わらない。スカートの脱がせ方なんて知らねえよ、なんて言いながら、四肢を繋いだまま私の下着は半脱ぎ状態にさせられて。
最低限の知識はちゃんと与えられている。魔力を分け与えることができる間柄になるために必要なことは理解している。スカートを捲り上げられて己の秘部がじっくりとバーサーカーを殺した憎き男に見られているという現実が、ひやりとした外気によって理解させられる。
声は出せない。出せたとしても魔術回路がうまく機能しない。詠唱を許されず、許されたとしても魔術回路が起動しないことにはどうしようもない。
「悪いけど、舌を噛まれて自殺を敢行されると厄介だし、魔術を使われても面倒だから猿轡はそのままにさせてもらう」
魔術回路は使えないと思うが念のため、なんていうレンヤの指には、これまでは暗くてわからなかった赤いネイルが施されている。なんとなく、魔術の残滓を感じる。このままだと処女を奪われるのだと、こんなことを考えている暇ではないとわかっていても、バーサーカーがやられてしまったという事実が逃げ出せないという諦観となって襲ってくる。
「力抜いとけよ、そっちの方が楽だぞ」
そんな私に覆いかぶさるようにして、一切の前戯なく、濡れていない女性器に無理矢理にその逸物が突っ込まれた。
「んん……ん……っ!」
痛みに声をあげそうになり、それをこらえようとしながらも漏れてしまった言葉は猿轡の影響でくぐもったものとなる。
憎い、なんて感情を保っていられない。ただその痛みを堪えるのに必死だった。二ヶ月前のバーサーカーの維持とは全然違う。バーサーカーは私のことを考えて少しでも負担を減らそうとしてくれていたが、これはその逆。私の負担など考えられることもなく、ただ魔力のパスをつなぐために膣内に射精するために自らが気持ちよくなろうと私を道具扱いしているにすぎない。
「やっぱり、ガキん中は小さい、なっ……っ!」
もう嫌、と叫びたいが声は出ない。今の私に抗う術などなく、一刻も早く魔力の
よっていやいやと子供のように首を振ることしかできず、そしてそれを考慮するほど、魔術師という人種は優しいものではない。
「戦争なんだから、負けた女子供は奴隷になる。当然のことだろ……!」
そんな言葉とともにより激しくなる抽送。肉体はどうにかして受け入れようと
間桐が最も得意とする魔術は支配。たとえそうでなかったとしても「支配」に関しては有能であるというそれは、大量の種類の蟲の使い魔を多数同時に使役する手際から見て明らか。魔力タンクにする、という宣言からして、魔力の経路をただつなぐだけではない。経路を繋いだとしても、私から魔力を送り込まないといけないのだ。それならどうする? 間桐は支配を得意とする魔術師。その長子であり、次期当主である彼がその魔術を扱えないわけがない。魔力を生成できない状態の私に対して支配を使って、完全に洗脳した状態で魔力を生成させる、なんてことをするかもしれない。経路を繋ぐ前に行えば、繋いだ瞬間の魔力の出入によってかけていた支配が解かれるかもしれない。だからこそ、まずは私を犯して経路を繋いでからにするのだろう。
そうなればおしまいだ。私の意識は二度と浮上することはない。いくら体内に自分以外の魔術師による魔術の痕跡があろうと、それが普通だと認識させられてしまえば浄化しようなどとは思わない。ここで、死ぬーーー?
「そろそろ出すぞ……!」
気づいた事実に恐怖を感じ身震いしそうになるが、それでも現実は変わらない。いつ失神してもおかしくないような痛みの奔流の中、その言葉を聞いた。射精。それも膣内で。それがなれば経路は繋がり、私の中の魔力は彼が使用することができるようになる。
びくり、と私の中を圧迫している逸物が震えた。私も、これで終わりと思うと震えが止まらない。直後、どろりとした粘性の液体が私の膣に勢いよく流れ込む。マグマか何かかと勘違いするほどの熱量を持つ未知の刺激と、二ヶ月前に経験した痛みとは全く別種の痛み。
「
それらが折り重なり、交わり、頭の中の冷静な部分が導き出す”妊娠”というワードと”これでこの男が魔術を使用することに対する懸念が消えた”という事実。自らの死を認識しながら、最後に求めるのはすでに死んだところを自らの目で目撃した、己が最も頼りにした従者の名前だった。
「
射精の後、気を失ったイリヤスフィールに支配の魔術をかける。開かれた瞳が茫洋としていることこそ、この「支配」が成功したという印。そんな彼女に、とある命令を下して、魔力タンクとしての役割を完成させるのだった。
命令は次回の最初にでも