1しか知らない男が2の世界へ来てしまいフレンズに求められまくるお話(完結) 作:らんどまーく
最後にちょっぴりエロあり
『沢山のフレンズの皆さん、今日はお集り頂いて本当にありがとうございます──』
にっこりと笑ってからお辞儀をするのはかばんさんだ。
黒いくせ毛をくくらずに肩に下ろして、いつもの羽付きの帽子の代わりに麦わら帽子を、そして何よりいつもの動きやすそうなシャツとジャケットの代わりに纏う白いワンピース。
まるで絵画の中に描かれた乙女のような姿。折角なのだからおめかしをしろ、という博士と助手の圧力に屈した形なのだが2人には感謝せざるを得ない。
『あのフレンズさんだれー?』
『かばんさんだ!』
『かわいー!』
「いやマジで可愛すぎる……」
海辺のイベント会場でざわめくはフレンズの声。奥に備えられたスタッフルームに反響したのは俺の声。
目の前のデスクには幾つものディスプレイが連なっていて、俺はその画面越しに会場内と外の様子を保安員として監視している……このかばんさんは生で見たい、という欲求を鋼の意思で抑えつつ。
『かばんさーん』
『かばんさ~ん! アライさんはここなのだー!』
「居たよこの2人……」
画面内に見つけたのは観覧席でぴょいんぴょいんと飛び跳ねるアライさんとのんびり手を振るフェネックだった。1週間前に研究所からお宝探しに出かけて行って以来である。
「『お宝』は見つかったんでしょうか?」
俺の肩に顎を乗せて画面を覗くイエイヌを軽く撫でながら「さあ……」と答える。
少なくとも4日はこの海辺付近をうろちょろしていたのだろうが……それで目的のブツを探し出せる確率はもはや砂浜でコンタクトレンズを探すようなものだろう。期待値は乾燥した使用済み紅茶パックよりも薄い。
『おーいおーい!』
『アライさーん。冷たい視線を感じるよー、そろそろやめなよー』
見つかってないだろうなこの感じは。
「それにしても本当にフレンズさんがいっぱいですね」
「ああ、本当にね」
他の画面に視線を移すと会場の席を埋め尽くす程の獣耳が目に入った。
知らないフレンズの子が多い。殆どが各地に散ったラッキービーストの宣伝で足を運んでくれたのだろう。
「ミレン。モノレール終点より輸送車両が到着しました。これが最終便です」
デスクの上で時折腹部のレンズを光らせていたラッキーが今日何度目かの報告をもたらした。
「どれどれ……」
外部カメラを見れば会場近くのバス停に停車したばかりのトラクターが映り込んだ。機械修理のできるラッキービーストの力も合わせて計5台の稼働を可能にし、会場までの運転と案内も併せて別のラッキービースト達が行ってくれている。長距離移動の苦手なフレンズ向けのサービスだ。
「やっぱり事前呼びかけ無しの子達は誘導に時間がかかるな……」
トラクターから降りた数人のフレンズがラッキービーストの後ろに続いて歩き始めた。俺は顎に手をやり想定より遅くなってしまった結果に反省点を見出そうと思考を巡らせた。
レールが途中で寸断されてるのが痛い。セルリウムレインが降っていればもっとキビキビ動いてくれると仮定しても結局は徒歩かトラクター、またはバスによる移動が生じてしまう。
場所の選定。地震と津波の可能性を排除できる場合の避難場所はこの地点が施設、物資、位置共に最も優れている。次点のかばんさんの研究所は北側がフィルタリングタワーと丘陵によって阻まれており、付近を流れる河川は洪水の可能性という大きなマイナスポイントを含む。
「訓練評価を更新しました。後ほど確認してください」
「了解。イエイヌ、もう外に行っていいよ」
「えっ、でもご主人は……」
「皆が薬を飲んでからじゃないと出れないからさ」
フレンズ向けの楽しいイベントに付随させた真面目な事案を頭の隅に整列させて、俺は隣のデスクチェアにちょこんと正座していたイエイヌに微笑みかけた。
『──それでは皆さん、まずはペンギンアイドルユニットぺパプ、そして2人の黒い歌姫ことゴクラクコンビのオープニングセレモニーをお楽しみください!』
「あっ! カタカケさんとカンザシさんのお歌が始まります」
「行っておいで。後で俺も外を見回りに行くよ」
「すみませんご主人! すぐに会いに行きますからっ」
ぱたぱたとスタッフルームから出て行くイエイヌを見送ってまた監視業務に戻り、ちらりと時計表示を確認した。
ここで目を凝らすのもあと1時間といった所だろう。お腹を減らしたり喉が渇いた子達がセルリウム除去薬入りのじゃぱりまんやソーダを飲むまでは。
「ミレン。フレンズのヒト社会環境構築テストが次のフェーズへ移行可能となりました。実行する場合は指示を願います」
「テスト? ……初めて聞いたな。内容はどんな感じで?」
言いながら椅子の下でこちらを見上げていたラッキーに目線を合わせる。少々嫌な予感もするがやはり聞いていれば良かったと後悔する内容では困る。
「フレンズにヒトの社会に関する知識を与え、自発的な社会環境構築を促す実験です。現段階は『アイドル』等といった特定の有名個人に対する共通認識、及び小集団の発生まで成功しています。次のフェーズは構築された集団の共通認識に対し外部からの圧力や破壊を加え、フレンズ達がその脅威に対してどのような反応を示すかを──」
「あー。実行しなくていい。というかそのテスト自体破棄してくれません?」
俺は吐き捨てるように言った。
嫌な予感は大抵当たる。それがヒト由来ならば尚更じゃないか。
「了解しました。権限不足につき、当テストはアネガエリアセキュリティ主任者ミレンの命令により凍結されます」
「はあ……全く」
俺は大きな溜め息を吐いてから普通のソーダを喉に流し込み、画面の向こうで歌と踊りを駆使して会場を魅了しているフレンズ達に拍手を送った。
うみべちほー、ぺぱぷ&ゴクラクライブショー。
マーゲイとかばんさんの発案によって計画されたイベントは丸一日、朝から夜まで通して行われる大規模なレクリエーション。
俺とかばんさんの息抜きという名目から始まったこの計画は早々に息抜きの枠を越え、ジャパリパークアネガエリア全域に呼びかけて催されるビッグイベントに変化した。
なお、目的の一部に含まれるセルリウムに汚染されたフレンズへの特効薬投与、及びセルリウムレインが激しく降った際……大型セルリアンの出現による被害者とビースト発生の抑制を主軸にした避難訓練を兼ねているのは俺の発案による。イベントの中身の詳細はかばんさんとマーゲイ両名が殆どを企画し、そういった催し事に疎い俺は極単純なサポートしかできなかったのだ。
得意なことは……じゃない、フレンズによって得意なことは違う、だったか。誰が言った台詞だっけな。
「ミレン、報告します。施設周辺の全フレンズのセルリウム汚染度低下を確認しました」
「よーし……そろそろ行くか」
オフィスチェアの背もたれに心地良さを感じ始めた頃に時間潰し兼監視業務からようやく解放された。
ぼんやりとした思考の海を脱し、ラッキーと共に無機質なスタッフルームから意気揚々と会場へ続く通路へ繰り出す。
「まずはイエイヌとかばんさんに会いに行こう」
これまた無機質な白色LED照明が照らす道が続く先、そこにある大きな建物付近からはガヤガヤと賑やかな喧騒が漏れ出ていた。
両開きのスライドドアを2つくぐるとそこはプールと舞台が備えられたメイン会場で、ぺパプやゴクラクが歌うライブ会場でもある。以前バンドウイルカとカリフォルニアアシカの2人に出会ったのもここだ。
「でなー、そん時にアムールトラさんがあらわれてなー」
「へええ~」
会場内にはまばらにフレンズが残っていてそれぞれ談笑に興じたり、夜行性の子なのか既にごろ寝をしているフレンズも何人か目に付く。
「姉ちゃん姉ちゃん、あれ! あの人見て!」
「どしたん……あっ!」
静寂ではないが外の喧騒よりは穏やかだ。そんな感想を抱きながら会場の端を通って外へと向かおうと歩いていると、突然目の前を塞ぐようにフレンズが飛び出してきた。
「待って待って! 兄ちゃんミレンさんやんな!?」
「おっと……」
の 【哺乳綱 ネコ目 ネコ科 ヒョウ属 ヒョウ Panthera pardus】
>アーカイブプログラム起動....アーカイブレベル〔36〕
フレンズとのリンク成功
「うわ~本当におっきな兄ちゃんやなあ!」
「待ってえな姉ちゃん」
の 【哺乳綱 ネコ目 ネコ科 ヒョウ属 ヒョウ(黒変種) Panthera pardus】
>アーカイブプログラム起動....アーカイブレベル〔36〕
フレンズとのリンク成功
座席をぴょんぴょんと軽やかに飛び越えてきた黒い装いのフレンズも加わった。
最初に声をかけてきた方は金髪のおさげと黒い斑点模様が特徴で、白いシャツとスカート姿はぱっと見た感じではチーターと似ている。後から来た子もデータ表示上は同じ種にも関わらず上から下まで殆ど真っ黒という違いがあるが、よく見れば2人共同じような耳と尻尾の形である。
「なあなあちょっと触ってもええ? ていうか登らしてくれへん?」
「お、おお?」
金髪の方……ヒョウが遠慮なしにぺたぺたと腹や腕に触れてくる。やけに勢いのある初対面の行動と訛りのある言動はまるでミーハーな地元のおばさん……と言っては失礼か。
「姉ちゃん。ミレンさんが困っとるで」
「ほんまや。ごめんなミレンさん。ほんまもんのミレンさんがおったからつい熱くなってしもうたわ」
しっかり者の妹にたしなめられる姉、と表現するとしっくりくる。気にしないでと手を軽く振れば耳を垂れていたヒョウがにかっと笑顔を浮かべた。
「そいでね、ウチらはヒョウとクロヒョウって言うねん」
「「よろしくなー」」
「ミレンです、どうぞよろしく」
右手と左手でそれぞれ猫の手挨拶をしてくれる2人に帽子を取って軽く頭を下げた。
「いやーこれで目的のひとつは達成やなー」
「目的?」
満足げに言うヒョウ(こっちが姉)にオウム返しをひとつ。すると彼女はにんまりと笑いながら俺の顔を見上げる。
「ミレンさんやで。ウチらのなわばりの近くにおるって聞いとったのに全然会えへんからここに来てみてん」
「ラッキーさんに呼ばれた時に『ミレンさんおるん?』って聞いたらおる、って言うてたからね?」
「でもあれや、おーぷにんぐせれもにー? の時におらんかったからちょっと不安やったわー」
「ほらね姉ちゃん。ウチの言うた通りやったやんか」
「せやなー。クロの言う通りやったわー。待ってみるもんやなー」
「待つのが得意やもんね、ウチら」
「せやせや」
いつまで喋ってんだこの2人。前が通れん……まあ、急いでいる訳でもないからちょっと話して行くか。
「あーその。そっちの子もお友達?」
「あっ! レッサーパンダちゃん忘れとった」
「レッサーパンダちゃんもこっち来てー」
「は、はい~」
名前を呼ばれた小柄なフレンズがヒョウ達ほどではないにしろひょいひょいと軽快な動作で座席を乗り越えてくる。頭は明るいこげ茶髪で、黒いホットパンツから垂れる背丈の半分ほどはありそうな縞模様の尻尾が目立つ。
「レッサーパンダです。よろしくお願いします」
彼女はヒョウ達の横に並び立ち、背伸びをしながら俺を見上げて言った。
の 【哺乳綱 食肉目 レッサーパンダ科 レッサーパンダ属 レッサーパンダ Ailurus fulgens】
>アーカイブプログラム起動....アーカイブレベル〔43〕
フレンズとのリンク成功
「よろしく。ミレンです。3人は連れ合ってここに?」
「いえ。私はジャイアントパンダちゃんと一緒に来たんですけど……その、眠っちゃって……」
ちらっと座席の方を向いた彼女の視線の先にはぐーすかと寝息を立てる白い髪のフレンズが。なるほど、パンダはよく眠ると聞いたことがある。
「レッサーパンダちゃんひとりで寂しいかな思うて屋台でじゃぱりまんとかもらってきて、一緒に食べながらお喋りしとったんやで」
「でもちゃっかりじゃぱりまんは食うてたよなあの子」
「食い意地はっとったな~」
「ご、ごめんなさいヒョウさん、クロヒョウさん」
「ええてええて。皆それぞれ好きなことはちゃうからな」
「ウチらは喋るんが好きやからね。話したこと無いレッサーパンダちゃんと色々喋れてウチ嬉しいで!」
「そ、そうですか? よかった~」
どうやらヒョウ達とパンダ達は縄張りも離れており、見知らぬ仲でないにしろ会話らしき会話は殆どなかったのだとか。
このイベントでフレンズの輪が広がってもらえるとこちらとしても嬉しい。目の前で交わされる和やかな会話に俺は満足感を得た。
「レッサーパンダちゃんはかわええなあ。尻尾も太くてふさふさしとるし」
「触ってると気持ちええわあ~」
「えへへ」
恥ずかし気に頬をかくレッサーパンダを両側からヒョウ達があちこちなでなでしている。思わず写真に収めたくなるような光景だがそれではクルーというよりカメラ小僧になってしまうのでそこはぐっと堪えた。
「ところで、イエイヌやかばんさんを見ませんでしたか?」
本気で探すつもりなら会場のあちこちに散ったラッキービーストから情報を貰えばいいのだがそれは味気ない。仕事は仕事だが昔のように根を詰めるつもりはなかった。
「かばんさんはさっきあそこに立っとったけど、イエイヌちゃんはどうやったっけ? クロは見た?」
「んー、屋台の辺りはフレンズさんらが多すぎて分からんかったしなあ」
「イエイヌさんならちょっと前に外に出て行かれましたよ。かばんさんは見てませんけど……」
「なるほどありがとう」
手を挙げながら教えてくれたレッサーパンダに礼を返し、会場を後にした。
がやがやがやがや……
「すごい数だ」
珍しく好天に恵まれた砂浜の見える海辺の施設周辺では会場を埋め尽くしていたフレンズ達が思い思いに過ごしているようだ。
桟橋の辺りでは水辺に住むフレンズ達が泳いだり遊んだり、砂浜では砂に潜って遊んでいる誰かの尻尾やら……あれはワニのフレンズだろうか? だらんと大きく鋭い尻尾を伸ばして日光浴をしているフレンズの姿もある。
実際に大量のフレンズを生で見るのは初めてだが……これは壮観のひと言に尽きるな。
沢山のフレンズの間では頭の上にじゃぱりまんやソーダのビンの入ったかごを載せたラッキービーストがちらほらと動き回っている。たまに抱き上げられて身動きが取れなくなっている奴も居るようだが……それもまた本望というものだろう。
「かき氷~、かき氷ありますよ~」
「じゃぱりまんはこっちだぜー! お土産もあるからなー!」
建物のひさしの下ではロバがトラクターの客車(俺が先日改造したやつ)で露店を開き、その隣では以前ホテルで出会ったハブが威勢の良いかけ声を上げて客を引き寄せようとしている。どちらの屋台もフレンズの行列ができており中々盛況のようだ。
「すぐにお渡ししますのでこれを飲んでお待ちください~」
「お腹いっぱいになってお昼寝をしたくなった方はこちらのパラソルへどうぞ!」
「木の上で眠りたい方はハンモックの用意もございますわ」
行列の間を行ったり来たりしているのは以前草原ホテルで出会ったブタさん。地べたで自由に眠ろうとする夜行性のフレンズを休憩スペースへ案内しているのがオオミミギツネ。どちらも元気はつらつとしている。
そしてそのオオミミギツネの隣にはどこかのガイドさんのような恰好をした見知らぬフレンズの姿もあるが……彼女の姿は草原ホテルにはなかった。もしかすると新しい従業員なのかもしれない。
「あっ! おきゃ……ミレンさま!」
動き回るオオミミ達と行列を作るフレンズ達の両方を眺めながらぶらぶら歩いていると、背中を向けていたオオミミギツネがぴくっと耳を動かし振り向いて俺の名前を叫んだ。
……周辺のフレンズ達の視線が一気に集中した。
「どうもオオミミさん。ハブさんとブタさん、ロバさんも。今日は苦労をおかけしてます」
「いいえとんでもない。こんなに沢山のお客様のお相手をできて嬉しい限りです! そうそう、こちらのフレンズさんを紹介しますね。私達の新しい仲間なんです」
「はじめまして。私、リョコウバトと申します。ミレンさんのことはオオミミギツネさん達からよく聞かされていますわ」
の 【鳥綱 ハト目 ハト科 リョコウバト属 リョコウバト Ectopistes migratorius(絶滅種)】
>アーカイブプログラム起動....アーカイブレベル〔12〕
フレンズとのリンク成功
深い青……藍と表現した方がしっくりくる髪とグラデーションのかかった朱色の服とが鮮やかなコントラストを描くフレンズだ。ただ、服と似た色の瞳にはどことなく吸い込まれそうな深みが宿っているように感じられる。
この目。これが絶滅種のフレンズの特徴だろうか?
見ていると心のどこかがざわつくような気もする。
「はじめまして、ミレンです」
丁寧なお辞儀をするリョコウバトにこちらも帽子を取って礼を返す。それでようやく視線を彼女の瞳から外すことができた。
「新しい仲間なんですって?」
「オオミミさんにスカウトして頂きました。私はあちこちを旅して回るのが好きなんですけど、誰かを案内するのも同じぐらい好きで……それでオオミミさんのお誘いを受けましたの」
嬉しそうに深い色味の目を細めるリョコウバト。その隣でオオミミギツネが誇らしげに胸を張りながら言う。
「鳥のフレンズさんが増えたのでもっとホテルのサービスを充実させるつもりなんです。遊覧飛行とか、送迎とか。ここで『あのミレンさんも宿泊した草原ホテル』と宣伝すればきっと大盛況に!」
「無理だっての」
「なあんですってー!?」
オオミミギツネの耳でなくとも聞こえとるがなハブさんよ……。
「ふー危ない危ない……」
明るい喧騒の一幕を挟みつつ、周囲のフレンズ達に群がられる前にかばんさんとイエイヌの居所を尋ねて会場近くから退散した。
ラッキーの報告ではセルリウム汚染されたフレンズは居なかったが、もしかしたらということも考えられる。あそこでずっこんばっこん始めるのだけは避けたかった。
さて、桟橋を渡った先の遊歩道でかばんさんを見かけたとリョコウバトに教えてもらった俺は見知らぬフレンズ達に時々呼び止められ、その都度自己紹介や短いお喋りを挟みながら海岸の遊歩道へと向かっていた。
「ミーレーンーーー!!」
建物を離れ徐々にフレンズの数も減り出した道をラッキーと共に歩いている最中、これまた突然甲高い声が背後から凄まじい圧を伴って接近するのを感じた。
声で誰かは分かっていたので腹と腰に力を込めて振り返る。すると、
どんっ!
「うっ!」
「会いたかったー!」
もはや強烈なタックルだが無事受け止めに成功。さらりとした金髪が頬を撫で、相手の細身かつ柔らかな体がぎゅーっと締め付けてくる。
の 【哺乳綱 ネコ目 ネコ科 チーター属 チーター Acinonyx jubatus】
>アーカイブプログラム起動....アーカイブレベル〔63〕
フレンズとのリンク成功
「やあどうも久しぶりチー……」
「ねえ交尾しましょ!」
「中々斬新な挨拶だ」
少々懐かしさを覚えるツリ目にハートマークを宿したチーターにぐりぐりと体を押し付けられている。まさかセルリウム汚染かと思えばそういう訳でもなく、ただ単純に発情しているだけだと分かると呆れた笑いしか出ない。
「ごめん今はちょっと交尾する暇はなくてね?」
「あなたと交尾する為にわざわざここまで走って来たのよ!」
「そう言われましても」
「じ、じゃあ『イカせあいごっこ』しましょ!」
「中々斬新なごっこ遊びだ」
そんなアホなかけ合いをしつつ、結局は彼女を自分から引き剥がすのに物陰に連れ込んでチーターのカラダを弄ってやることに。
「あっ、あ、あぁ……♡ わらひの、まけ、わらひのまけよぉ……♡」
「早いね相変わらず」
所要時間およそ5分。カップうどんかそばがちょうど良い塩梅になる頃には俺の指がチーターの股間から溢れた液体でべとべとに。彼女は彼女で息をぜーはー言わせながらだらんと俺の体にもたれかかっている。
「誰がこんな遊びを始めたんだ? 元の内容は知らんけど」
イカせあい、などと言いつつ最初から最後までこちらが一方的に愛撫しただけである。自発的なものかどうかぐらいは知っておきたい。
「はぁ……はぁぁ……♡」
「おーい」
「ひんっ♡!」
問いながらチーターの白いシャツの隙間から覗く桜色のつぼみを摘まむとしなやかな体が跳ね上がった。ぷしっ、という音がして彼女のパンツに差し入れたままの俺の指に愛液が纏わりつく。
「さ、さっき考えたの。私が」
ひと息吐いて体を震わせたチーターがぼそりと呟く。意味が分からず「なんで?」とだけ返すと彼女は少しだけ俺から体を離し、心細そうな眼差しを向けながら言った。
「一緒に居たかったから……」
「ははっ。それは光栄」
予想外の答えに俺は思わず目をぱちくりさせて、気付けば笑っていた。今日最も気が軽くなった瞬間だった。
フレンズに好きなことをさせるのは嫌いなことをさせるより10000倍簡単
現実が嫌いなことどころか辛苦で満ちているから尚更
あと相変わらず仕事が忙しく執筆の時間もあまり取れないのですが年内には完結させたい所存