※この作品はR-18です。

1しか知らない男が2の世界へ来てしまいフレンズに求められまくるお話(完結)   作:らんどまーく

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大変お待たせしました、かばんさんとのエッチ(長め)が主体の回になります。
ミレンのアーカイブ閲覧もお休みです。


かばんさん(□)

「落ち着きましたか?」

 

 ひとしきり俺の腕の中で泣いたかばんさんが小さく頷いたのを確認し、彼女の肩を軽く支えるようにして密着していた体を離す。

 クルーの制服のポケットからハンカチを取り出して差し出せば、彼女は少し躊躇してから謝罪と共に受け取り目元を拭った。

 

「ありがとうございます。それとやっぱり、ごめんなさい。あ、えと、違うんです。ミレンさんにご迷惑をお掛けしちゃうと思っただけで……」

 

 俺が不安で顔を引きつらせ始めたからだろうか、かばんさんは慌てて両手をぶんぶんと振った。分かりやすいジェスチャーは彼女らしい明るさと素朴さがあって、見ていると焦りが急速に引いて行き、むしろ穏やかな気持ちが満ちるような気さえしてくる。

 

「ああ良かった。ちょっとビビりましたよ」

 

 胸を撫で下ろし夜の海を眺め、デバイス表示で時刻を確認。まだ夜は長そうだ。

 

「一旦会場に戻ります? 夜の部の大きな出し物はさっき終わった訳ですし……そうだ、イエイヌのお茶でも飲みながら色々と話をしませんか?」

 

「あ、それは駄目ですっ」

 

「えっ?」

 

 かなり素っ頓狂な声を出してしまったと思う。かばんさんが今日一番のはっきりした口調で言う物だから面喰ったのだ。

 

「戻るのが駄目、ということで良いですよね? でもどうしてです?」

 

「ええと、そのぅ……」

 

 かと思えば両手の指先を交差させながら弄び、いつも彼女が困ったときにそうするように綺麗な瞳が左右を行ったり来たりし始める。

 

 その仕草可愛すぎるからやめてもらえないです? とは口が裂けても言えない。

 

 しかしこれ程までに自然体で魅力に溢れた女性は本当に出会ったことも、実際に見たこともない。そう思ってしまう程にかばんさんは魅力で溢れているのだ。しかもそれが自然体なのでこちらも前もってガードできない。常にクリティカル。

 

 ……などという極々個人的な彼女の感想を心の中で並べていると、指をもじもじと交差させていた女性はようやく口を開いた。

 

「さ、さっき……ミレンさんが歌っている最中に抜け出したことなんですけど……」

 

「やはりあてつけが過ぎましたか……? すみません、あなたの気持ちも考えずに」

 

「いえ! 違うんです。あてつけがましいなんてことありませんし、むしろ嬉しかったです。そもそも……ええと、そういうことじゃなくて。その、実はもうひとつ理由があって……」

 

「と言いますと?」

 

 かばんさんの指の動きがぎこちなくなった。しばらく黙っているとその動きもやがて止まり、紅潮させた頬をぴくぴくさせながらド直球の発言をもたらす。

 

「その……ミ、ミレンさんに、よ、よよ、よよよ、欲情、してしまって」

 

「はい? なんですって?」

 

 呂律の回らない単語は「欲情」と聞こえたが。俺の耳がおかしくなったのだろうか。鼓膜にセルリアンでも詰まってるのかもしれない。セルリアンだが。

 

「ご、ごめんなさいっ。私もなんでなのか分からないんですけど、とにかくミレンさんの歌を聞いていたら胸の鼓動が早くなって、すごくぼうっとして……これって、その、発情とは違うんでしょうけど……」

 

 結局俺は顔を引きつらせた。そして彼女の話をどうにか飲み下し、簡単かつ笑い話になるかもしれない予測を出す。

 

「今戻ると襲われますかね?」

 

「は、はい。多分皆さん我慢していたと思います。会場内はラッキーさんが大勢居たので大丈夫でしたけど……」

 

 そういえば歌の最後の辺り、妙に観客席からの視線に圧力を感じたような気もする。あれはブーイングの類からくるものではなく、発情のそれだったと言うのか。

 

 ならばラッキービースト達には感謝せねばならない。フレンズ達の彼または彼女らに対する感情たるや正に指導員か保安員に対するそれと遜色なく、慣れたフレンズや大らかな性格のフレンズ等には効き目が薄いこともあれど、基本的にフレンズはあちらさんの指示や警告に素直に従うものなのだ。

 

 ……が、それも平静である時に限られる。もしかするとあのまばらな拍手は間一髪の状態だったのかもしれない。

 

「危なかったのか、あれは」

 

 俺は自然と背筋が冷えるのを感じた……決して下半身が熱くなったりはしない。しないのだ。あれだけの数に囲まれれば待っているのは程良い快楽ではなく、衰弱への道に違いないのだから。

 

「あれ、でもそれじゃあ自分のラッキーさんすら居ない今の方がヤバ──」

 

 ……あっちからミレンの匂いがするヌ~!

 

「こ、この声は」

 

「あの語尾はオグロヌー……かばんさん、取りあえずこちらへ」

 

 彼女の手を取って近くの大木のモニュメントの洞に身を隠す。中は大人が3人入ればギュウギュウになってしまうくらいの広さで、モニュメントの素材の裏側と加工されていないコンクリート地の底面以外は何も存在しない。

 

「ああ、あの、ミレンさん、ふ、ふたりは無理ですよっ」

 

 ある程度肌が触れ合ってしまう距離。それはかばんさんにとってあまり健全な状態ではないらしく、焦った様子の手が俺の肩をぺしぺしとタップした。

 

「ああ、知りませんでした?」

 

 俺はとぼけた調子で彼女の手を受け止め、空いた方の手をモニュメントの裏地に伸ばす。スライドする機構が施された部分を開き、現れたキーパッドにパスワードを入力する。

 簡単な4桁の数字のそれはセキュリティクリアランス1で、認証が済むや地面の一部が少しだけ跳ね上がって開くようになる仕組みだ。

 

「か、隠し階段……ですか?」

 

「行きましょう。足元に気を付けてくださいね」

 

 高台の下は半分程が空洞になっている。LED照明によって縁取りされた小規模な螺旋階段の先には職員専用のレストルームが広がっていて、こういった地下や施設の死角を利用した隠し部屋は少なくない。

 

 ……匂いはするヌー!

 

 ……まだ近くに居るはずよ!

 

 ……ミレンさまを探せー!

 

「ホラーかよ」

 

「あ、あはは……」

 

 上から聞こえてくるチーターとロードランナーらしき声。声以外にも数人分の気配があった。

 

 

 

 

 

 階段を下って行き、広めのワンルーム程度の空間に辿り着く。

 簡易テーブル、デスク、冷蔵庫、ベッドにチェア。殺風景だが機能的、部屋の内装と備品はかばんさんの研究所の一室と殆ど一緒だ。

 

「ここで時間を潰しましょうか。きっと一時的な発情でしょうから」

 

「そ、そうですね。はい」

 

 お祈りも込めた推測を立てつつデバイスを起動させ、ラッキーへ通信をかける。視界の端ではかばんさんが小型冷蔵庫の中を覗いたり、ベッドのシーツのしわをやたら真剣な顔つきでのばしている様子が映った。

 

「ラッキーさん、応答願います」

 

《現在待機中です。指示をどうぞ》

 

「会場のフレンズさん達が発情してるから少しレストルーム、えー……ルームナンバー013で休憩に入ります。かばんさんも一緒です。何かあればそちらからコール願えますか」

 

《了解しました。交信を終了します》

 

「さて、それじゃあ少しの間休みますか。エンディングセレモニーの始まる朝方前には戻りましょう。眠たかったらそこのベッドは独占してもらって構いませんので」

 

 自分は軽く運動をするので、と独り言のように言いながらクルー専用のアウトドアハットを脱ぎ、木製のハンガーラックに掛ける。

 かばんさんの返事は無かったがその気配は鮮明で、気を張らずともそろりそろりと背後へ近寄って来ているのが分かった。

 

「お、お手伝いします……」

 

 いそいそとかばんさんの手がジャケットを脱ぐのを手伝い始め、俺はこの閉鎖空間に彼女を連れ込んだことを後悔半分、そして悲しいかな、己の原始的な欲望が満たされるかもしれない期待半分でもって評価していた。

 

 しかしこれが大切な友達と復縁しましょうなどと勧めてからの行動とは。状況が揃っていたとはいえ我ながら下半身直球の動きである。

 まあ、そんな理性に従ってやり過ごしても彼女は満足しないだろうが。

 

「かばんさん」

 

 覚悟を決めて振り向くと、熱っぽい視線でインナーだけになった俺の上半身を見つめる彼女が居た。

 

「したいですか? 交尾というか、ヒト同士ならセックスですけど」

 

 返事の代わりに小さく息を飲み、いつものように視線を左右に慌てさせながら縮こまる。やがて……数秒にも満たない間を置いてから、かばんさんはこくりと頷いた。

 

「はい……よろしく、お願いします」

 

 そう言って彼女はにっこりと大人っぽい笑みを浮かべる。ただ、小さく震える肩と限界まで赤くなった頬がその所作とはアンバランスだった。背伸びをした子供のようにしか見えない。

 

「くくっ」

 

 少し滑稽にも見え、おかげで湧き上がる獣欲も少しだけ抑えられた。笑いは抑えられなかったが。

 

「な、なんで笑うんですかぁ」

 

「すみません。ちょっと面白くて……先に水分補給でもしましょうか」

 

 かばんさんは俺に抗議の目線を向けるも多少は緊張がほぐれたのだろうか。「もう」と一言、可愛らしいため息を吐いてから俺が手渡したミネラルウォーターをゆっくりと飲み干した。

 

「じゃあしましょうか。ゆっくり優しくしますから、どうかリラックスして……かばんさん?」

 

 ベッドに寄り添うようにして座り、さあこれから……という所なのだが、呼びかけても彼女は俯いたままである。

 

「やっぱりやめます?」

 

「い、い、いえ。ダイジョウブ、です」

 

 声がラッキービースト並みのイントネーションである。先程のほぐれはどこに行ったのか。リンゴのように赤くなったかばんさんの表情はリンゴ以上にガチガチで、その黒い瞳はまるでぐるぐると渦巻きになっているようだ。

 

「んー……!」

 

 軽くキスをしますよと何度も事前確認を行ってから顔を近付けるも、あまりにもキツく唇を閉ざすものだからキスにならない。多分中学生でもやらないレベルのキスである。初心な小学生同士ならやりそう。

 

 と、ここまで固い反応を見せる女性は初めてな上、ジャパリパークの発情フレンズ達の相手ばかりだったからか勢いを計りかねた。

 とことんスローセックス、なんなら本番まで行かずに終わってもしょうがないレベルかもしれない。

 

「あ……」

 

 何の自慢にもならない経験人数の多さが生きたか、分厚くなった心のブレーキを目いっぱいに踏みつつかばんさんの体を包むようにして抱きしめる……だけに留めた。

 

 彼女と俺の身長差はこれまで出会ったどのフレンズよりも小さく、それ故に抱きしめた時の一体感が最も大きい。しっくり来る、という表現が近いだろうか。相手の体温の方が高く、空調が効いていなければ抱き合っているだけで汗ばんでしまいそうだ。

 

「緊張がほぐれるまでこうしていましょうか。落ち着いたら言ってくださいね」

 

 落ち着かなければこのまま、という意味を言外に込めつつウェーブした髪を撫でる。ボリュームのある、それでいてさらりとした感触だ。

 

「ん、あ……っ、はい、わかり、ました」

 

 うなじ越しに語りかけると面白いように体をビクつかせるのだから、本当に、本当に理性を維持するのが難しい所だ。

 

 くせのある髪から漂う香りにワンピースの肩口から覗く魅惑的な肩、そして細い体にしては大きい胸。白い薄布を剥ぎ取ればその胸から下、むっちりとしたお尻と魅惑の丘を越え、下へ伸びるすらりとした足が露わになるのだろう。

 

 いや落ち着け、落ち着け、ゆっくり、優しくゆっくりとだ。

 もはや念仏に至るそれを心の中で繰り返しつつ、頻繁に「もう押し倒しちまえ」と囁いてくる悪魔とバトルを繰り広げるのも忘れない。当然こちらが劣勢。

 

「あの、ミレンさん……ちょっと落ち着いた気がするので、その、続きを……んっ!?」

 

 電光石火のスピードでかばんさんの唇を奪った。相手の体が強張るが今度は離さず、後頭部にも手を添えて長いキスを開始する。

 

「んんっ……! ん、んっ!」

 

 舌をすぐさま割り込ませたので幸いにも歯でガードされることはなく、しかし完全に奥へと引っ込んだ相手のそれを捉えるのは簡単ではない。

 とはいえやりようはいくらでもある。頭を撫でながら侵入させた舌を適当に徘徊させれば次第にかばんさんの肩から力が抜け、そうすると隠れていた相手の舌が徐々に元の位置に戻り始める。

 

「んん、ん……。はぁ、ん……ちゅる、ちゅ……」

 

 つんつんと舌先で相手のそれを招き、やがて間もなく舌同士が絡まり始める。

 時折ねちゃねちゃと唾液の絡まる音を発しつつ、息継ぎをしながらようやく開かれたかばんさんの瞳は淫靡な光で染まり始めていた。

 

「ちょっと脱がせますよ」

 

 優しくベッドに横たえたかばんさんの服に手をかける。

 

「あっ」

 

 白いワンピースを保持しているのは肩の紐だけなので脱がせるのは非常に楽だ。しかしあえて全部は脱がさずにおへその辺りまでで留める。

 

「は、はずかしいですぅ……!」

 

 というか、そこまでが彼女の最初の限界だった。

 肩が見えるワンピースを着るだけで恥ずかしがっていたくらいなので、それを完全に脱ぐとなれば羞恥でカチンコチンに緊張してしまうのは当然だったのだ。

 

「本当に綺麗です」

 

 とはいえ俺の真下には凄まじい眼福が広がっている。

 顔は両手で覆い隠されてしまったが、そのおかげで肩紐の無い白のブラが包む胸からみぞおちにかけての美しいへこみがはっきりと露わになっている。そしてそこからおへそに至るまでの起伏の無い平面。

 

「ひゃっ」

 

 手の平で彼女のお腹をさすれば可愛らしい声が上がった。すこしもっちりとした感触だ。

 

「お肉が余計に付いてますよ。ちょっと引きこもりすぎじゃ?」

 

「ご、ごめんなさい……」

 

「これくらいなら多少運動をすれば取れそうですね」

 

「うう、善処します……でも、ミレンさんだって最近は」

 

「自分は筋トレ欠かしてないんで。腹筋もちゃんと割れてますよ。ああでも、かばんさんはそこまでしなくていいですからね」

 

 互いの関心事がセックスからダイエット方面へと移る謎の現象が起きつつある。

 完全にエロいムードが消えた訳ではないのだが……相手がかばんさんだとそのまま終了してしまう可能性もゼロではない。

 

「じ、じゃあミレンさんのお腹も見せてください」

 

 断ってもムードが悪くなるだけだ。

 俺は彼女の期待の眼差しに苦笑を返しながらインナーを脱ぎ去った。

 

「すごい……触ってもいいですか?」

 

「自分もあなたを触っていいなら」

 

 俺はきっと悪い顔をしている。彼女と俺とでは意味合いが全く異なるからだ。

 だがかばんさんの視線が逸れることはなく、頬をより一層赤らめながら頷く。俺がニヤけたまま承諾を返せば彼女はゆっくりと体を起こし、俺の腹に手を伸ばした。

 

「わあ、すごくゴツゴツしてる。洗濯板みたい」

 

「中々古風な例えですね……」

 

「あ、その、アライさんがよく使ってて……なんだか似てるなって」

 

 アライさんは洗い物が趣味だとかで。

 最初は衣類やタオルを破ってばかりだったが、今では洗濯機に匹敵する程の精度と速さなのだ、とのこと。

 まあそんなのほほんとした話は置いておくとして。

 

「かばんさんのここは……なんだろ、桃? メロンですかね?」

 

「えっいつの間にっ──ひゃあんっ!」

 

 抵抗される前に取り去って先端の綺麗な突起を摘まめば甲高い声が上がる。彼女が俺の腹筋に見とれている間に密かにブラのホックを外していたのだ。

 

「あ、ひゃあっ……! やっ、胸、だめです……っ♡ 乳首もぉ……んっ♡!」

 

 そこからの行動は当然執拗な愛撫だ。感触を楽しみながら揉み、声と反応に気分を昂らせながら摘まむ。

 腰の抜けたかばんさんは再び仰向けに倒れ込み、胸へ与えられ続ける快楽に時々腰を跳ね上げた。ようやくスイッチが入ったのか、羞恥ではなく淫靡な雰囲気を纏う彼女は酷く扇情的だった。

 

「あ、だめっ、ミレンさ──ぁんっ♡! わた、し。イキ、そうで……っ♡!」

 

 決して激しい愛撫をしている訳ではない。しかし彼女が敏感なのかそれとも雰囲気に流されているのか、泣きそうな顔は本当に絶頂を迎える寸前の女性のそれだった。

 

「どうせだしイっときましょう」

 

 とはいえ女性は体力が続く限り達せられる物だし、一度軽くイってもらえれば後で挿入する時も楽になる。

 そんなゲスい打算を微笑みの裏に隠したまま、俺はかばんさんの胸を弄る手の動きを激しくする。

 

「あっ、あっ! だ、めっ……♡! イッちゃう、胸だけでっ……! ミレンさんの手でっ♡」

 

 しなやかなかばんさんの身体が徐々に弓なりに反れ、胸が高く突き上げられる。

 俺はすかさずその先端を人差し指で激しく弾いた。

 

「あああっ♡!!」

 

 むしろこちらの手に押し付けるようにしてエビ反りになり、やがて力を失ったのか彼女の体はとさりと音を立ててベッドに沈んだ。

 

「はあ、はあ……♡」

 

 汗を浮かべ、ピクピクと体を震わせながら余韻に浸っている姿はもはや引力でも放っているかのようだ。今すぐにでも彼女のナカに挿入したいが、優しくゆっくりという初めの信念を維持する為に待機する。

 

「あ……ごめん、なさい。私だけ気持ちよくなって……今、全部脱ぎますから」

 

 俺の視線に込められた意図を汲み取ってくれたのか、かばんさんは魅惑の腰つきで半脱ぎ状態だったワンピースを除けて、更にたどたどしくも淫らな手つきで愛液染みのできた白いパンティーを取り去った。

 

「ど、どうぞ……」

 

「ぐっ」

 

 俺の歯ぎしり混じりの声はどうやら聞こえなかったらしく、かばんさんは照れながらも覆われていない全身を無防備に晒している。

 このヒトは全く……限界まで高められた獣欲を抑えるのにどれだけの意思を必要とするのか分からないのだろう。

 

「じゃあ本当にゆっくりしますからね。あ、下はまだ見ちゃ駄目ですよ。多分怖くなりますから」

 

「は、はい」

 

 だが初心貫徹。俺も全裸となり、いきり立ち血管すら浮き上がっているペニスに喝を入れ、静かにかばんさんの膣口へと腰を寄せて行く。

 

「っ……!」

 

 狭い狭い入り口に分け入って、しとどに濡れているにも関わらず未踏の険しい道はこちらの侵入を拒んだ。

 だがやがては受け入れ、開放する仕組みを持っているのが鍵と穴という物。

 焦らずにゆっくりと腰を前進させれば、徐々に俺のペニスは彼女のナカへと隠れて行く。

 

「か、はっ……うぅんっ……!」

 

 道半ばで大きな抵抗に差しかかり、いかに時間をかけても結局破らねばならないそれは強引に通り抜けた。かばんさんの眉間が狭まり、少し苦しげな吐息が漏れた。

 

「大丈夫、大丈夫」

 

 今日何度目か分からない元気付けを耳元でささやき、そこから先はむしろ導かれるような小道だった。最奥に到達した時、俺のペニスは根元近くまで完全に彼女の中に埋まっていた。

 

「すごい。全部入って……ミレンさんのが、ぼくの中に──」

 

 先んじて破瓜の印をティッシュで拭ってからかばんさんの名を呼べば、彼女は下半身を見下ろして目を見開き、やがて安心したような表情を見せる。

 

「嬉しいです。ずっとこうして欲しくて」

 

「ほうほう。それは自分がフレンズとするのを覗き見してたから? あ、たまに動きますよ」

 

「それもあります……んっ! けど、ミレンさんが、んあっ……好き、ですから……」

 

「1番好きなのは?」

 

「それは、ごめんなさい。サーバ……ル、ちゃんっ、です。んうっ」

 

「すみません、意地悪な質問でしたね。でもどうかその気持ちは忘れないでください」

 

 ピストンとも呼べない緩慢な律動は焦らすような快楽をもたらす。それは初体験のかばんさんにとっては受け入れやすく、俺にとってはもどかしいばかり。

 

「ところで覗き見のことなんですけどあれってリアルタイムで見てました? それとも録画?」

 

 ともあれ会話をするには適している。激しいセックスと違って長くゆったり続けられるのも悪くない。

 

「ええっと……どちらも、ですね。あぁ……っ……たまに、録画を、見ながら」

 

「見ながら?」

 

「う、ご、ごめんなさい、言えな、あっ! やぁっ♡! 言います、言いますからっ。乳首いじらないでくださいぃ♡!」

 

 かばんさんが涙目で懇願を始めたので胸を弄る手を止める。

 こういった尋問染みたプレイも可能だとは思わなかった。これはこれで相手の同意があれば楽しいかもしれない。

 

「はぁ、はぁ。えっと、見ながら、じ、自慰を……しちゃいました。それと、映像の一部を写した紙を博士さん達にあげたり……あとは……」

 

 何やってんのこの人。しかもまだ余罪を隠しているらしい。

 

「ミ、ミレンさんの部屋のベッドで……あの、匂いを嗅ぎながら、えっと」

 

「まさかオナニーを? 自分のベッドの中で?」

 

「うぅ、ごめんなさい♡」

 

 顔を手で覆って隠しても無意味だ。というか多分悪びれてない。

 ならいいだろう、こちらにも考えがある。

 

「駄目ですよ、そういうの」

 

 ぬぢゅ、ぬぢゅっぬぢゅっぬぢゅっ。

 

「ん、んっ、んんっ! あっ……? えっ?」

 

「してもらっても全然構わないですけど、ちゃんと言ってくれなきゃ」

 

 ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ。

 

「あ、あっ、あんっ♡! はや、はやくなっ、て……! あんっ♡! あ、あ、あんっ♡! あんっ♡!」

 

 出し入れのスピードがどんどんと上がって行くのをようやく理解したのか、かばんさんの表情は歓喜と恐怖の入り混じった不思議なものに変わる。

 俺にとっては気持ち良く、彼女にとっては少し怖いぐらいの快感かもしれない。

 

「その後で自分が寝たりもする訳でしてね。ほら、困るでしょ? もしイエイヌが匂いを嗅いだりしたら……まあ大丈夫だとは思いますけど」

 

「ご、ごめんなさいっ♡ つい、できっ、あん♡! できごころ、で……あんっ♡!」

 

 30秒程度だろうか、パンパンという音、そしてかばんさんの嬌声が螺旋階段まで響くぐらいのピストンを続けてから元の速さに戻す。

 

「はあっ、はあっ……! うう、んっ……ごめんなさいぃ……もうしませんからあ……♡」

 

「報告してくれたら構いませんってば。まあ直接する方が色々と手っ取り早いでしょうけど、こだわりもあるでしょうし」

 

 きっとかばんさんにはかばんさんの好みがあるのだ。自分で言っておいて意味が分からないが。

 

 ぬぢゅ、ぬぢゅ、ぬぢゅ。

 

「ひ、あっ♡ ああ……! ミレンさんっ……! とめ、とめて、くださいぃ♡」

 

「あっすみません。ちょっと夢中になってて」

 

 無意識でゆるゆると挿し入れを繰り返していたのがマズかったようだ。かばんさんは殆どグロッキー状態になってしまっていて、また会話ができるようになるまでムラムラを我慢するハメになってしまった。

 

 

 

 

 

 それからしばらく、最初の遊び以外では緩やかなセックスを楽しむことができた。

 

「それで部屋にあった、あ、ん……エッチな本を、読んで……んっ」

 

「へええ、そんな職員の置き土産が? エロ本は所持禁止物品リストに載ってましたけど……きっと闇ルートでもあったんでしょうね」

 

 かばんさんの性知識の出所を教えてもらったり。

 

「アネガって名前ですけど、う、あっ……これ、は……あまり、知ってるフレンズさんは居ないんです」

 

「サバンナとか砂漠とか、そういうフレンズさん達が覚えて意味のある名前付けじゃないですもんね。ラッキーさんらも言わないし。そうだ、あなたの故郷の名前は──」

 

「キョウシュウ、って言うんですよ……んっ。あそこは、サンドスターが沢山あって。素敵なフレンズさんが沢山いらっしゃって」

 

 割と真面目なクルー(暫定同士ではるが)トークをして気分を一旦落ち着けたり。

 

「さっき『ぼく』って言いましたけど、そっちが素の呼び方ですか?」

 

「あ……えっと、見た目が変わって色々と知識を付けたら、『私』って言った方がカッコいいかな、って……あんっ♡!」

 

「なるほど。ところで今の状態をどうぞ」

 

「あっ♡ あっ♡ ぼくの、なかにっ……あんっ♡! ミレンさんのおちんちんが……あうっ♡」

 

 やけに大人びてはいるが実際の年齢は俺より少なくとも10以上は下だと知ってみたり。

 

「ちょっと体位を変えてみますか? こうやって片足を上げて、自分が横から割り込む感じで」

 

「あ、あ! ミレンさんこれだめっ♡! 奥に当たっ、てえっ♡!」

 

「松葉崩しはやめときますか」

 

 体位の吟味はスローセックスの醍醐味だとも思うのだが、これはかばんさんが耐えられなさそうなので残念ながら中断。

 

「ミレンさん、ぼく、なんだか、気持ちいいのが、止まらなくなってきました……♡!」

 

 と、かれこれ1時間以上の間繋がったままの時間を過ごしたかばんさんに限界が訪れる。

 徐々に膣の動きが細かくなっており、挿入したままのペニスにもじくじくとした快感を与えていた。

 

「ミレンさんに、ぱんぱん、ってされてないのにっ♡ ああ、きちゃう♡ もうがまん、できないよぉ♡」

 

「おっとストップ」

 

 自ら腰を振ろうとしたかばんさんの動きを止めるべく、俺は彼女に上から覆い被さってホールドする。互いに体温は上がっていた為、密着して形を変えたかばんさんの胸がどちらとも分からぬ汗で滑る感触があった。

 

「なんでえ……♡?」

 

 落胆と焦りを同時に含んだ目線を向けた抗議。画面越しに何度も見、聞いた台詞がデジャヴとして再生され、俺は思わず微笑みを浮かべていた。

 

「最後までじっくりやるものなんです。我慢してみましょう。きっとすごく気持ちいいですから」

 

「うう……わかりましたぁ♡」

 

 しかし申し訳なさが湧いてくる為、脳内の映像をどうにか消去、いや、一時停止の後に別の思考ウインドウの裏に隠す。

 それからかばんさんの唇をキスで塞ぎ、ペニスの「動け動け」という命令に抗いながら最奥に突き入れてこちらも停止した。

 

「ん……♡! ん、んん……♡!」

 

 快楽への欲求を互いの体を密着させながら我慢する、という苦行は真面目にやっても長くは続かない。

 ペニスに纏わりつくかばんさんのナカの動きは搾り取ろうとするメスのそれで、気合いを入れなければ彼女よりも先に暴発させてしまう程の威力がある。そしてそれはかばんさんも同じらしく、トロンとした瞳は俺を見つめ返しているようで既に焦点が外れつつあった。

 

「んんんんん~♡♡!!」

 

 先に限界を迎えたのはかばんさんだった。予想通りなので腰を下げてペニスを引き抜こうとするが、

 

 がしっ。

 

「っ!?」

 

 あらん限りの力を振り絞ったと思われる両脚が俺の腰にがっちりと絡みつき、体はビクンビクンと痙攣を起こして膣内は震えながら収縮する。

 驚いてかばんさんの顔を見ればハートマークを浮かべた瞳が「してやったり」と言いたげに細められていた。

 

 搾り取る気か……ッ!?

 

「っ……!」

 

 全方位からの怒涛の圧力は俺のペニスに致命的な一撃を加えた。ビュルビュルと凄まじい勢いで、しかも間断無く飛び出て行く感覚に腰が砕けそうになる。

 

「子供、できちゃったらどうするんですか」

 

 しばらく抱き合い、会話ができる程度まで熱が収まってから切り出した。

 自分でヤっといて何を今更と理性が訴えるも、どこか恍惚とした表情で自分のお腹を撫でる相手を見ると言わざるを得なかった。

 

「別にいいと思いますけど……?」

 

 何を言ってるんだろうこの人、という視線。それに対する意識が社会や体裁を意識しない本能に依る物という裏付けを感じる。

 

 ヒト対フレンズの交尾によって妊娠する確率はゼロとデータでは残されてはいるものの、ヒトのフレンズを相手にしたデータは皆無だ。まあ、そもそも俺はヒトによく似たセルリアン……生命の神秘たる子孫を残す機能は再現(コピー)できやしないだろう。

 

「いや、ですか?」

 

 よせ。潤んだ瞳で見ないで。それは反則。

 

「きゃっ」

 

 腕を引っ掴んで、もう一度仰向けに押し倒す。

 

「嫌じゃないので2回戦目、やりましょっか」

 

「はい……♡」

 

 

 

 

 

「ミレンさん、起きてますか……?」

 

「寝てますん」

 

 くすくすと笑う声の主が左腕に寄り添ってくる。どうかしたのかと首を傾けてみれば、すっかり夢から覚めた子供のような眼差しが俺を見つめ返した。

 

「あの、さっきの話、なんですけど」

 

「フレンズさんの交尾についてでしたっけ」

 

「違います違います、歌のことです。自分が拠り所にしているんだ……って、上で話してくれましたよね?」

 

 俺は体を横に向けて、真正面からかばんさんを見つめ返す。相手もシーツの上で身じろぎし、同じ姿勢を取った。

 

「どういうことなのか気になって。ミレンさんが嫌でなければ教えてくれませんか?」

 

 俺としてはもっと教えるのが嫌な記憶もある。ただ、そう言って気持ちをおもんばかってくれる、それ自体が嬉しかった。だから口元を綻ばせて、かばんさんの綺麗な瞳を見つめた。

 

「自分も大切な人を失ったことがあるんです。生まれた頃から傍に居てくれたヒトを、2人」

 

「2人も? その……記憶を、ですか?」

 

「いいえ。命を」

 

 彼女は「しまった」という顔をした。すぐに申し訳なさそうな表情になり、声で表現できる限界までの謝罪の意を口にする。

 

「ごめんなさい……! 僕、ミレンさんの気持ちも知らずに酷いことを……!」

 

「いいんです。もう20年も前のことですから。それにこの記憶が本当に自分の物なのかどうか……もはや分かりません。なにせ自分は」

 

 ──セルリアンがコピーして生まれたんですから。

 

 そう締め括り、それでもまだ重々しく受け止めているかばんさんの頬に片手を添えた。

 

「もしかしたらその記憶は誰かの未練かもしれません。それをコピーして生まれたのだとしたら少しはロマンチックかな。そしたらあの歌は、あらゆる未練を未来への原動力として昇華させる祈り……と言ったところでしょうか」

 

「僕だったら……きっとふさぎ込んで何もできなくなります。自分だったらと思うと、とても怖い。だから、そんな風に考えられるミレンさんは立派です」

 

「いえいえ」

 

 頬から手を離して柔らかな体を抱き寄せる。かばんさんは一瞬ビクリと震え、やがて力を抜いて俺の胸板に手を添えた。

 

「あなたの方がもっと立派ですよ。失って傷付きながら、それでも折れずにこの島のフレンズの為に生き続けてきたんですからね」

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