※この作品はR-18です。

1しか知らない男が2の世界へ来てしまいフレンズに求められまくるお話(完結)   作:らんどまーく

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最後の戦い。
ちなみに■はエロメインの印じゃなくてただの黒い布です。


けものフレンズ■

「ぷはっ!?」

 

 突如、海水に浸かったはずの体が海面へと浮き上がった。

 水の膜が消え、空気の層と橙色の空が目の前に広がる……何者かが、セルリアンにしがみついていた俺を引きはがしたのだ。

 

「突撃ー!」

 

「「「「ペンギンアターーーック!!!!」」」」

 

 直後、重なるは威勢の良いかけ声と衝撃音。

 

 

 

 ずずうううん。

 

 

 

 夕闇を見上げた視界を真っ直ぐ流れた5つの光。それらがセルリアンの巨体を押し返し、地響きと共に大量の砂を巻き上げるのを見た。

 

 何が……起きた。

 俺の体を軽々と抱き上げているのは、誰だ?

 

「入り江で泳ぐのは危ないねぇ。そんな片腕になっちゃって……流されちゃうよ? ミレンさん」

 

 黒いレザースーツのような服を纏う……フレンズだ。

 牙のような形の前髪から覗く鋭い縦長の瞳孔、にっと笑った口からは針のような牙が覗く。

 

「君は……」

 

「イリエワニ。ま、あたいのことはいいさ。ちょっくら手伝いに来ただけだからね」

 

 彼女の胴程もある頑丈そうな尻尾が波をぱしゃりと弾く。

 

 この尻尾は見覚えが……そうだ。海浜公園で開催したイベントの日、砂浜で日光浴をしていたフレンズのものだ。

 

「遅れてすまない、ミレン」

 

「すまないな。あちこちにセルリアンが湧いていたから準備に手間取ってしまった」

 

「カタカケフウチョウさんと、カンザシフウチョウさんか……?」

 

「そうだ。力の弱い我々にもできることがある」

 

「皆とラッキービースト達が協力してくれるぞ。今こそミレンとかばんへ恩返しをする時だ」

 

 沈み行く太陽が輝いているはずの海上、その一部分だけを真四角に切り取る黒い何かが彼女達の声を発している。

 

 

 ばさばさばさ……

 

 

「おっと、しっかり持っていてくれないと困るぞバンドウイルカ」

 

「ごめーん!」

 

「大丈夫ですよイルカさん。私も持っていますから」

 

 宙に浮かぶ謎の闇の正体、それは巨大な黒い布だった。よく見ればフウチョウ達の色鮮やかな羽が闇の角で赤い後光を反射して、下の隅には俺に向かって手を振ったが為に布地を揺らしてしまったバンドウイルカ、そんな彼女に眼鏡を持ち上げながら微笑むカリフォルニアアシカの姿がある。

 

 

 

「セルリアンが太陽を目指すなら、我らの黒で覆い隠してみせよう」

 

「還すべき場所は、暗い海の底ではないのだから」

 

 

 

「始まったねぇ」

 

 イリエワニはくつくつと苦笑し、俺を抱えたまま浜に向かって歩き始める。

 

 

 

「それでも輝きを求めるなら……ヒトの造りし光に誘われるがいい」

 

「聞こえるかマーゲイ。灯台のブレーカーを上げてくれ」

 

 

 

 片手を耳元に当てたカンザシが言った直後、眩い白銀の光線──それが海辺の上空を貫き、砂の上で体勢を崩したセルリアンの瞳を照らし出す。水平線から差していた陽光と錯覚したのか、奴は体の向きを90度転換した。

 

 

「ほい。ここなら波にさらわれることもないだろ?」

 

「ありがとうございます。助かりました」

 

「まだ礼は早いんじゃないかい?」

 

 イリエワニはひと言断りを入れてから俺を降ろしてくれた。

 セルリアンの大きな足跡が深く刻まれた浜辺を見渡せば、海の中から鋭い突撃を見せた5人のペンギンのフレンズ達……ぺパプの背中が目に入る。

 

 

 

「帰る場所は友の隣。祈りの光。打ちつける黒き雨に濡れ、あらゆる記憶が忘却の彼方に消えようとも」

 

「オオミミギツネ、水は配り終えたか?」

 

 

 

「こっちはばっちりだぜーーー!」

 

「サンドスターの雨……じゃなくて、水を飲んで元気になってくださいませー!」

 

「じゃぱりまんもありますよー」

 

 

 砂浜を縦横無尽に走り回る3人はオオミミギツネとハブ、ブタ。彼女達はきらきらと輝く水の入ったコップと大きな袋を運びながら、手分けして倒れているフレンズにそれらを渡して回っている。

 

「ふー……まだまだよプロングホーン。あんたとのかけっこに比べればこれぐらい!」

 

「奇遇だなチーター。私もそう思っていた所だ!」

 

 水と一緒にじゃぱりまんをかき込んで回復したフレンズが、次々に立ち上がって闘志を露わにした。

 

「よいしょ、よいしょ……ふぅ! 遅れてごめんなさい!」

 

 フレンズがまた1人立ち上がる中、ポニーテールを揺らしながら現れたロバが背中の巨大な荷を下ろす。気のせいだろうか、荷の所々から見覚えのある耳や尻尾がはみ出してもごもごと動いているような。

 

「クルーを支援します」

 

「クルーを救出します」

 

「フレンズを援護します」

 

「クルーと一緒に戦うのは、久しぶりだ~よ」

 

「俺達の戦いは終わっちゃいない。何も」

 

 気のせいではなかった。大量のラッキービーストが荷造りの紐を解き放ち、一斉に展開したのだ。多くはポーチを装着した2型で、中には少々毛色の違うラッキービーストも混じっている。

 

 

「あっちなのだ! 早くするのだー!」

 

「全速力だよー」

 

 

 砂浜の手前の林から多くの気配が近付いているのを感じる。

 仲間が、フレンズ達が集まりつつあるのだ。

 

 

 

 ──カエラナケレバ

 

 

 

「セルリアンが動き出した!」

 

「向きを変えたわよ!」

 

「散水ポンプとトラクター隊はもう少しかかりそうだ……カタカケ、もう始めた方が良いんじゃないか?」

 

「そうだなカンザシ。……さあミレン! クルーの号令を! 我らアネガのフレンズも共に戦おうじゃないか!」

 

 倒れていたフレンズの全員が、砂を抉りながら灯台の光を目指し始めるセルリアンの前に立ち塞がった。1人のフレンズがそこから飛び出して、いつものように俺の傍へ走り寄る。

 

「ご主人っ!」

 

 砂まみれのサーバルとボスを抱えたイエイヌ。彼女はサーバルをその場に寝かせ、首にかけていた俺の帽子を差し出した。

 

 片膝をついて被せてもらう。顔を上げれば最も大切な友が……青と金の瞳に聖なる灯火を宿したイエイヌが促すように頷いた。

 

 俺は万感の思いを噛み締め、戦場へ向き直る。

 

 

 

 >セキュリティデバイス再起動

 

 >使用者の身体状況更新 再キャリブレーション完了

 

 

 

 

「何度でも立ち上がり、戦って勝利する! 必ずかばんさんを救い出すぞ!!」

 

 

 おーーーーーー!!!!!

 

 

 鬨の声が海と砂の境界線を越え、虹色の塔が輝かせる空へ鳴り響く。

 

 

 

 

 ── LBシステム戦闘支援開始 ──

 

 セルリアン(超大型)×1

 【原生型 / 攻撃性〔不明〕】

 敵行動予測

 【各種セルリウム攻撃】【分裂】【再生】【降雨】

 

 【救出対象】 IDNO.0924「かばん」

 

 >周辺の全LB、及び全フレンズとのリンク確立

 

 >幸運を

 

 

 

 

「戦闘開始だ! 尻尾を警戒しつつ前足を重点的に攻撃しろ!」

 

「グルアアァァーーッ!!!」

 

「うおおおおおーっ!」

 

「だあああああーっ!!」

 

 開戦の合図と共にアムールトラが、プロングホーンが、チーターが……それ以外も含め多くのフレンズが雄叫びと共に突撃し、セルリアンの足を穿ち始める。

 

「すっげー! おいプリンセス、俺達もやってやろーぜ!」

 

「そうね! でも海の中ならともかく、地上で普通に戦っても足手まといになっちゃうわ」

 

「なら、後から来る皆の手伝いをするのはどうだ?」

 

「コウテイにさんせ~」

 

「私もそれが良いと思います!」

 

「よし! じゃあそれで行くわよ!」

 

 砂と虹色の光、そしてセルリアンの黒い欠片が舞う中、自分達の能力を良く把握したぺパプの面々がこちらにアイコンタクトを取ってから戦線を離脱した。

 

 今の所はしっかりと灯台の光に誘導され、セルリアンは砂浜を一直線に横切るルートを取っている。遅々とした動きはフレンズの良い的だ。

 

「かばんを、返すのですっ!!」

 

「助手! 野生解放しすぎなのです!」

 

「助……ミミ! 落ち着け! 敵の正面と真後ろは避けて一撃離脱に徹しろ!」

 

「っ! 分かったのです!」

 

 戦闘はこちらの有利に傾いているものの、それは先程まで戦っていたフレンズ達の消耗を回復させる訳ではない。中にはワシミミズクのように気が昂り、一種のトランス状態に陥った者も出始めている。

 

 灯台までの距離も無限ではない。持久戦はあらゆる意味で悪手だ。

 

「イエイヌ、君も──」

 

 

「ミレンさーん!」

 

 

「ロバさん?」

 

 声の主は砂の上でもふらつかずにやってくるロバだ。

 俺は傍に留まり続けるイエイヌへの指示を取り止め、主戦場への注意を切らさぬよう視線を移す。

 

「黒いラッキーさんに『これもクルーの元へ持って行け』って言われて……よいしょ。どうぞ!」

 

 ロバは額の汗を拭いながらやり切ったと言わんばかりの笑顔を咲かせ、背負っていた最も大きな包みの縄を解く。

 

 ガチャガチャガチャガチャ。

 

「わーお、骨董品が山盛りだ……」

 

 それらは歴史を感じさせる武器達だった。

 

 ボルトアクション方式のライフルにシングルアクションのリボルバー、水平二連ショットガンなど……見事なまでに木製の部分が目立つヴィンテージを保護する布には『けものフレンズ所属クルー専用』という注意文が打たれている。

 

「ありがとうロバさん。君も下がっていて」

 

「はい! でも、ええと……」

 

()()は気にしないで。平気さ」

 

 言葉の続きと途切れた左腕への視線を手で遮った。

 

 物品とメモの意味を咀嚼している暇もない。デバイスはそれら銃器が正常な状態であることを伝えてくれたが、片手で不慣れな武器を扱うのは止めた方が良いだろう。ロバが後方に下がったのを確認し、潮風と砂を浴びぬよう再び布をかけ直す。

 

「気にするなイエイヌ……っ!?」

 

 隣で俯いていたイエイヌの頭を撫でた瞬間、戦いに変化が訪れたことを察知した。

 

「おーい! 光が消えたぞー!?」

 

 ロードランナーの叫びが最も場の状況を上手く表していた。

 セルリアンを強烈に照らし続けていた数十万カンデラの光が唐突に失われ、誘導が止まってしまったのだ。

 

「マーゲイ、灯台の光が消えたぞ。……なに? ブレーカーがすぐに落ちる? ダブルスフィアが持ってきた部品に予備があるだろう。……種類が分からないだと?」

 

「セルリアンがこちらに向きを変えた。せめて夕陽が落ちるまでは持って欲しかったな」

 

 奴の足を崩すのにはまだ時間が必要だ。それは灯台の光という誘導なくしては不可能。

 

 どうする、俺が見に行くしかないか──?

 

「オレが行く」

 

「おお、ツチノコじゃないか」

 

 視界の外から申し出たのは地下バイパスを案内してくれたツチノコだった。彼女は相変わらず両手をポケットに突っ込んで、フードの下に静かな光を湛えた瞳を覗かせている。

 

「簡単なことなら俺にもできる。ラッキービーストが指示をくれさえすれば……」

 

「分かった。すぐに頼むよ」

 

 即断。彼女の目が少し見開かれる。

 

「リンク済みのラッキービーストへ──」

 

 デバイスに表示されたラッキービーストの状態を確認し、強固な口調で指示を告げる。

 

「暫定セキュリティが命令する。工作支援可能なラッキービースト1機はツチノコに随伴し、共に灯台の復旧を行え」

 

「指示了解。ラッキービースト2型、フレンズ『ツチノコ』に随伴します」

 

「ツチノコさん、よろしく頼む」

 

「…………分かった!」

 

 ツチノコはニヤリと笑みを浮かべ、指示に従ってやって来たポーチ付きのラッキーを抱えて灯台の方向に走り去った。

 

「セルリアンがまた海の方に!」

 

「ぐぬぬぬ……! これはちょっと、あたいでも抑えられないね……!」

 

 ずん、という振動は巨大セルリアンが歩みを再開したことの合図だった。灯台の光が失われ、フウチョウ達が覆い隠す僅かな夕陽の残光に瞳を奪われている。俺を助けてくれたイリエワニが食らいつくように取り付いているが、途方もない重量であろう相手を僅かに押さえ込んでいるだけでも奇跡だった。

 

「フレンズの皆は一度距離を取れ! ラッキービースト達に攻撃させる!」

 

 近接していた全てのフレンズが素早くセルリアンから離れ、ラッキービースト達が隊列を組んで前進した。

 

「全武装の使用を許可する! 足を狙え! デコイロッドは奴の至近に幅広く散布させろ!」

 

「セキュリティの指示を受け付けました」

 

「了解。安全装置を解除します」

 

「全武装オールグリーン。対象をロックオン」

 

「攻撃支援開始」

 

「ガンマンの腕を、発揮する時だ~よ」

 

「ジャングルのラッキービーストの恐ろしさ、思い知らせてやろう」

 

 小型ミサイルとサンドスター複合弾頭の雨あられがセルリアンへ殺到し、その足元には無数のデコイが投射される。

 

「綺麗だヌ~!」

 

 クルーやラッキービーストが用いることを想定したサンドスターを含有する兵器群、それらはセルリアンが大型で外殻が分厚くなるほど攪乱としての意味合いを強くする。着弾の衝撃で発生した虹色のつむじ風はセルリアンの眼前を覆い隠し、一時的に目指す輝きを見失わせることに成功した。

 

「見とれてる場合じゃあらへんで! チャンスや!」

 

「まだ仕掛けるな! 後ろから援護が来てる!」

 

 再び攻撃に移ろうとするヒョウ達に待機を指示する。砂浜の手前に位置する防波堤の扉が開かれ、そこから数台のトラクターが進入したからだ。

 

 消防用のホースとタンクのアタッチメントが目立つトラクターが1台、大型の巻き上げウィンチを搭載したトラクターが2台。他にもけん引用だろうか、アタッチメントを一切装着していない駆動車部分も伴っている。……何台か砂地に足を取られ、後ろから押されているのは見なかったことにしよう。

 

「ぬおー! この乗り物は遅いのだ! 出遅れてしまったのだー!」

 

「しょうがないよアライさん。おっきなお水の入れ物を運んでるからー」

 

「みんな頑張って押すのよー!」

 

「力作業もアイドルの仕事ー!」

 

「違うと思うけどかばんさんの為に頑張る~」

 

「そろそろ起きてよー!」

 

「あ、あれはアライさんとフェネックさん? あっ、アードウルフさんも居ますよご主人!」

 

 ラッキービーストの運転するトラクターに乗車して現れたのはアライさんとフェネックを筆頭とする小柄なフレンズ達。この状況で寝ている者は連れ添いのジャイアントパンダだろうか、必死に揺り動かすレッサーパンダの姿もある。

 

「さっそくかましてやるのだ!」

 

「ホースおっけーだよー」

 

「アライさんの水をくらえなのだー!」

 

「それだとちょっと変な意味に聞こえるかなー……わっ、とと」

 

 とりあえず変な水ではない。

 色を伴わない真水がホースの先端から滝のような勢いで放出され、セルリアンの後ろ足にごうごうと浴びせられる。

 

 

 

 るおおおおぉぉ……!

 

 

 

「よーし固まったのだ!」

 

「お水がなくなったよー。ロープの方よろしくねー」

 

「はいっ!」

 

「行きますっ!」

 

 ウィンチから引き出したワイヤーを持ち、完全に動きが止まったセルリアンに取り付いたのはレッサーパンダとアードウルフ。彼女達は器用かつ素早く、岩のように固まった敵の足にワイヤーを括り付ける。

 

「巻き上げを開始します」

 

 連結した数台のトラクターがモーターを唸らせ、耐荷重数トンはあろう電動ウィンチがギチギチとワイヤーを引き──

 

 

 ずどおおおおん!

 

 

「倒したのだ!」

 

「すごいよアライさーん」

 

 素晴らしい連携攻撃。ヒトであれば顎や腹を強打して悶絶することうけ合いに違いない。

 

「ふふふ、上手く行ったぞ」

 

「ラッキービーストとヒトの道具に感謝だな」

 

 満足げなしてやったり声はフウチョウ達。知恵は博士達と同じく島の長ならではか。

 

「さあ総攻撃だ!」

 

 成り行きを見守っていたフレンズ達がかけ声を上げ、突撃。

 削って削って削れられて、地に伏せていても見上げる程の大きさを持つセルリアンの体がみるみるうちに縮んで行く。

 

「かばんさんまでもう少し──!」

 

 

 

 るおおおおおおお…………!

 

 

 

「うわあっ!」

 

「なんだなんだ!?」

 

 異様なセルリアンの雄叫び。腹の底へと響くような不吉なそれは全員の動きを止め、直後に変化が訪れる。

 

 

 >警告

 >小型セルリアンの発生を確認

 

 

「あいつの欠片がセルリアンになってる!」

 

「しかも殻付きよ! ちょっと、私こいつら嫌いなんだけど……!」

 

 砂浜のあちこちに飛び散っていたセルリアンの欠片。なんとそれらに瞳が生じ、自立して動き始めた。ばらばらに動く小型のセルリアン達は意思を持たず、ただ近くに存在する輝きの主に向かって突き進む。

 

「ええとこなのに邪魔すんなや!」

 

「くっ……これじゃ近づけない!」

 

 ヒョウが爪で、プロングホーンが槍を突き込んで群がる小セルリアンを弾き飛ばす。決して弱い一撃でなかったにも関わらず殻を削るのみで数を減らせていない。連中は足長のセルリアンが生み出すモノより一回り厄介なようだ。

 

 そんな小型のセルリアン達に押され、次第に彼女達はじりじりと後退を余儀なくされる。引き下がる退路は海のみであり、それは内側に収縮する包囲された側の劣勢を意味した。

 

「ならば空からッ!」

 

「待つのです助手!」

 

 唯一開かれていたセルリアンの上部にワシミミズクが直行する。気が昂った彼女はセルリアンの背中の上部……そこが徐々に膨れ始めていることに気付かない。

 

 

 >攻撃軌道予測

 【分裂】

 

 

「よせえっ!!」

 

 制止は間に合わなかった。ワシミミズクが足で蹴りつけようとした瞬間、大きく膨れ上がったセルリアンのこぶから大量の黒い破片がまき散らされる。

 

「助手ーっ!」

 

 彼女の体は風に吹き飛ばされる落ち葉のように舞い、こちらの近くに墜落した。

 

「あぐ……あ、あ、あっ……いや、やめ……」

 

 セルリアンにへばり付かれたワシミミズクがビクビクと痙攣を起こし、デバイスが彼女のKP値の減少を知らせてくる。

 

「このおぉっ!」

 

 いち早く飛び出したイエイヌが爪をもって引きはがし、俺はべちゃりと目の前に落ちたセルリアンの石を木刀で突き刺した。

 

「助手っ! 大丈夫ですかっ!?」

 

「う、だ、大丈夫、です……博士……」

 

「どこか大丈夫ですかっ! なぜそんなに無茶をするのです!?」

 

 普段の佇まいを焦燥と不安で染めた博士の頬に、ワシミミズクはそっと震える手を添えた。

 

「もう……見たくないのです。忘れられるの、なんて……」

 

「え……?」

 

「わわわ! セルリアンが海の中に来てるよー!?」

 

 背後の海を振り返る。

 弾け飛んだ巨大セルリアンの破片は海にまで達しており、夕陽を隠すために布を支えていたバンドウイルカ達の付近に水で固まらないタイプの小セルリアンが発生していた。

 

「もういい。バンドウイルカとカリフォルニアアシカは沖に退避してくれ」

 

「でもカタカケさん、私達が持っていないとちゃんと太陽を隠せませんよ!?」

 

「それではお前達が動けないだろう。早く行け」

 

 イルカとアシカは後ろ髪を引かれながらもフウチョウ達に従った。

 下側の支えを失った黒い布地は海風になびき、赤々とした日の入り直前の光が浜辺に差し込む。

 

 

 

 ──カエラナケレバ

 

 

 

「くっ……」

 

 前方からは沈みかけの太陽を真っ直ぐ目指すセルリアン。それを中心として俺達の周辺をぐるりと覆う大量の小セルリアンの包囲が完成する。

 

「ぬわーっ! こっちにも来てるのだー!?」

 

「寝てる場合じゃないみたいだねー?」

 

「ジ、ジャイアントパンダちゃん! 起きてくれたの!?」

 

 唯一包囲の外に逃れていたアライさん達にもセルリアンが群がり始めている。トラクターの1台から飛び出したジャイアントパンダが孤軍奮闘して抑えているが……あちらは彼女達を守るので精一杯のようだ。

 

「セルリアン……やはり常識がアテにならない相手だな」

 

「ご主人! わたしが道を開くのでサーバルさんを連れて逃げてください!」

 

「その頼みは俺がクルーでなくとも聞けない」

 

 状況は完全に覆った。

 母体であるセルリアンは硬化した足を物ともせずに動かしてワイヤーの始点であるトラクターを横転させ、子の群れは俺達に向かって包囲を狭めつつある。自力での突破に必要な数と手段はどう楽観的に見積もっても足りていない。

 

「こうなったら無理矢理サンドスターを使い切って……!!」

 

「やめなさいアムールトラ! ビーストになっても見境なく襲うだけよ!」

 

「でもこのままじゃ皆が!」

 

 ラッキービースト達が散発的な援護射撃で敵の足を遅らせる中、アムールトラとチーターが必死に叫び合っていた。俺も脳をフル回転させてありとあらゆる打開策を探し、それは結局『灯台の復帰』という賭けと祈りに回帰してしまう。

 

「おお、おい! セルリアンがまた増えてるぞ!?」

 

 ロードランナーが指し示す砂浜手前、防波堤の上から大量の単眼が覗き込んでいるのが見えた。

 ぱっと見はセルリアンだが……おかしい。瞳が光っている?

 

「あれは──」

 

「おー! 来てくれたのだー!」

 

 

 >不明なセルリアン反応を多数確認

 >勢力区分、危険度共に不明 注意せよ

 

 

 防波堤を乗り越え、トラクターの傍から飛び出してくるのは大量のフレンズ型のセルリアン達。

 

 

「おーーい!」

 

「みんなー!! 連れて来たよーーー!!」

 

 

 

 その中央には集合絵のような物が描かれた両開きのスケッチブックを掲げ、隣に立つカラカルと共に大きく手を振る子供……キュルルの姿があった。

 

「げーっ!? あいつらキュルルの絵から生まれたセルリアンじゃないか!?」

 

「ま、またあ!?」

 

「あかんもうだめや! おしまいや!」

 

「違う! あれは……あのセルリアン達は敵じゃないぞ!」

 

 恐慌に陥りかけたロードランナー達に叫ぶ。

 

 過去に彼の絵が発端となった事件は聞かされている。

 だがその時とは違い、あのセルリアン達は色とりどり。皆単眼ではあるが、その瞳には間違いなく虹色の光を宿している。何より近くのフレンズに襲いかかる素振りすら見せない。

 

「間に合ってくれたか。てっきり来ないんじゃないかと思っていたぞ」

 

「それはないぞカタカケ。彼もずっと己の未練を晴らさんとしていた。そうだろう?」

 

「……そうだな。のけものはいない」

 

 つまり──

 

「味方の増援だ! キュルル! その子達に中央突破を指示しろ!」

 

「わかったミレンさん! みんな一直線に突っ込んで!」

 

 真っ直ぐ目の前を指差すキュルル。指示を受けたフレンズ型のセルリアン達が一斉に飛び出した。その数と勢いは凄まじく、即座に包囲を貫通した彼女達は次々に分裂体を蹴散らして行く。

 

「おお!? マジで味方なのか!?」

 

「これなら行けるわよ!」

 

「あら? あなた達は……」

 

「この前はありがとー! ねえねえ、お友達になろーよ!」

 

 海の方にもイルカとアシカを援護するフレンズ型のセルリアンが現れた。真っ黒な体を持つ彼女らは海上ホテルで助けてくれた個体と同じのようで、海に侵入した単眼の群れを協力して倒し切ると翻っていた黒い布を一緒に支えた。戦場はもはやフレンズの姿で一杯だ。

 

「あ、あれはご主人!? かばんさんも!?」

 

 中にはかばんさん……おまけに俺そっくりのセルリアンまで。

 

「俺も絵に描いてくれたのか……」

 

 真っ直ぐこちらにやって来た彼女は砂の上に寝かされたサーバルとボスの傍に跪き、俺と同じ姿をしたセルリアンは地面に置かれていた包みに手を伸ばす。

 

「むっ!?」

 

 広げられたそこから咄嗟にリボルバーを蹴り上げてキャッチし、ハンマーをコック。一瞬の内に己の模倣体の額に銃口を固定する。

 

「…………」

 

 灰色の体、黒い単眼の『俺』と睨み合う。顔と腕1本の差を除けば殆ど同じ姿だった。

 

 両手をボルトアクションライフルに伸ばした『俺』はじっと動かず…………やがて、前で戦うフレンズ達の声に動かされた意識が銃を下ろさせる。

 

「……使え! 決してフレンズを傷つけるな!」

 

 

 ジャキイィィン。

 

 

 ──当然だ。

 

 

 ボルトを引く音と排莢だけだったが、確かにそう聞こえた気がした。

 

 

 バガンッ!

 

 ドンッ!

 

 

 互いの背後から忍び寄っていた分裂体を同時に撃ち抜き、共にフレンズ達への援護射撃へ移行する。

 

「やった……! 僕も役に立てたんだ……!」

 

「泣いてないでちゃんと見てキュルル! まだ終わってないわよ!」

 

 包囲は崩れた。

 押し返さんばかりの猛攻は最初とは比較にならない勢いで巨大セルリアンの殻を削る。

 

「あっぶね!?」

 

「うーん、あたいの尻尾並みのぶん回しだね」

 

 形勢は逆転したように思えたが相手もただやられるばかりではなく、その巨大な尻尾を大きく薙ぎ払って取り付いていたフレンズ達を吹き飛ばした。

 

 

 

 ──カエ……カエラナ、ケレバ

 

 

 

 >攻撃軌道予測

 【セルリウム放射】

 

 

 こちらがそうであるように、セルリアンもその意思を果たさんと力を振り絞る。

 

「全員デカブツから離れろ!」

 

 

 ごうんっ……!!

 

 

 セルリアンの体を中心として巻き起こる黒い塵の膜、噴き上がる大量の砂粒。

 

「あっ!」

 

「そんなっ……!?」

 

 フレンズ型のセルリアンの多くが元となった仲間を庇い、黒い爆発に巻き込まれた。敵の猛反撃はまだ止まらない。

 

 

 

 ──カエラナケレバ!

 

 

 

 >攻撃軌道予測

 【セルリウム含有弾(散弾)】

 

 

 セルリアンがくぐもった呻き声を上げた途端、視界のあちこちに伸びる赤い射線は目前の味方全てを捉える。

 

 

「ッ!!」

 

 

 時が遅滞する。セルリアンの目前に発生するセルリウム弾の動きが、コマ送りで流れ出す。

 

 

 

 

 …………手を伸ばすのじゃ…………

 

 

 

 

 声に従った。

 かばんさんのセルリアンと隣に居た『俺』もそうしていて、それぞれの腕が交差し、眩い虹色の光が散る。

 

 

 

 パキキキキキキ────

 

 

 ドダダダダダーーンッ!!

 

 

 

「な、なんだこの壁!?」

 

「ほわ~、綺麗だヌ~……」

 

「だからオグロヌーあんた見とれてる場合ちゃうて! 何かめっちゃ飛んで来とるし離れえや!」

 

 敵の攻撃が放たれた瞬間だった。虹色の壁……ヘックス型を繋げた一面のそれが彼女達の目前に張り巡らされ、直後に吹きつける黒弾の雨を弾く。

 

「おいっ……!」

 

 その壁が消えると同時にかばんさんと『俺』は塵と化し、落とされたライフルが砂浜に突き立った。

 

「こ、れは……共鳴? はっ、そうなのです! ミレンは……今のは分子構造の多層ですか……!」

 

「何を言っているのです助手!? 博士である私を差し置くのはやめるのですよ!」

 

「ええと、さっきのはセルリアンだけが作れるバリアなのです。きっとミレンは究極の──」

 

 

 

 るおおおおおおおおお……!!

 

 

 

「ヤバい! まだ何か来るぞ!」

 

 最も大きな雄叫びを轟かせ、セルリアンはその首を大きく上空へと向ける。

 

 

 >警告

 >高濃度セルリウム含有雲の発生を確認

 

 

 ざあああああああ…………

 

 

「うっ、これはまさか……」

 

「セルリウムレイン……!」

 

「だ、駄目……この雨は……」

 

 突如上空を覆い隠す黒雲。

 即座に降りしきる、黒い雨。

 

 

 グルルルル──

 

 

 フィルターを介さない極めて低空からの降雨。雨の音に混じり、誰かが獣の本能を揺り動かされたような唸り声を発した。それは次々に伝播し、フレンズ型のセルリアン達は体を黒一色に染めて糸の切れた人形のように立ち尽くす。発端のセルリアンだけは恵みの雨としてそれを浴び、傷付いた体を修復していた。

 

 

 >リンク済みフレンズのKP値減少

 >リンク済みフレンズのセルリウム汚染度上昇

 >ビースト化現象の発生を確認

 >発砲制限フリー 対処せよ

 

 

「ご主、人……!」

 

「逃げて、キュルル……!」

 

 俺を庇うようにイエイヌが立ち塞がり、キュルルはうずくまっていたカラカルに突き飛ばされた。

 

「フシャーーーーッ!」

 

「グルルルルル!」

 

 セルリアンに対峙していた肉食獣のフレンズは互いに威嚇し合うか、標的をより狩りやすい相手へと変える。肉食獣同士、あるいは草食動物か、ヒトへ。

 

「最後まで、雨か」

 

「カ、カラカル……?」

 

 どうやら俺とキュルルにだけは影響がないようだ。

 彼は目の前のカラカルに恐怖して尻もちをつき、俺はこちらに向かって眼光を突き刺す何人かのフレンズと正対する。

 

「ウゥゥゥゥ……!!」

 

「グルルルル……」

 

 イエイヌが唸り、再び獰猛な獣(ビースト)と化してしまったアムールトラが牙を覗かせる。

 

 認める訳にはいかない。

 黒い雫のベールに包まれたこの光景を、フレンズ達が互いの血で塗れるなど──

 

 

 

『同胞よ。不純の劫火を消せ』

 

 

 

 幻聴が耳元でささやく。それは帽子に当たる雨音をかき消し、イエイヌに飛びかかろうとするアムールトラを……黒い雨粒すらをも止めた。

 

 

「……不純の劫火を、消せ」

 

 

 体の芯から、沸騰するような熱を感じる。

 

 

『祈りの灯火を抱け』

 

「祈りの灯火を、抱け」

 

 

 温かい。まるで心の全てが包まれるような。

 

 

『胸の埋火を燃やせ』

 

「胸の埋火を燃やせ……!」

 

 

 虹色の光が舞い、目の前の全てが七色で彩られる。

 

 

『さあ! 今こそ共に燃やそうぞ! 我らの炎を!』

 

 

 これまでに培った全ての縁を、焚き木として────

 

 

 

「『浄化の業火を!!』」

 

 

 

 ゴオオオォォ……!!

 

 

 

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 左腕の切断面から噴出する、虹色を帯びた炎。その奔流は竜巻のような渦を描きながら天へ伸び、黒雲を貫いた。

 

 

 

 るおおおォォ……!

 

 

 

 雲の全てを蒸発させた炎は千切れた羽毛のように地上へ降り注ぎ、セルリアンの体に触れるや激しく燃え盛る業火と化す。

 

「わうっ!?」

 

「ん、博士……なんで細くなっているのですか」

 

「私はいったい……この光は……?」

 

「姉ちゃん……なんかウチ、体がめっちゃ軽いんやけど……」

 

「ああ、ウチもやで……」

 

「ぎゃああああ! あたしの羽根が燃えてるー!?」

 

「火、ひーーっ!? これっ、火なのだああああっ!」

 

「お、落ち着いてよアライさーん。これは火じゃないよー…………なんだか綺麗な羽、みたいだねー」

 

 ロードランナーもアライさんも燃えてはいない。実際に苦しみ焼かれているのは巨大セルリアンだけで、それ以外のフレンズとフレンズ型セルリアンの体に当たった物は体に溶け込んでいるのだ。

 

 左肩から残滓として舞う羽のような火、浄化の炎。それは間違いなく神秘そのものだった。

 

 

 

 ──カ、カエ…………ラ、ナ……ケレ、バ

 

 

 

「セルリアンがまだ動いてる!」

 

 炎に焼かれ、よろめきながらも海へ向かうセルリアン。その瞳は水平線に沈んだ太陽の残光を見つめ続けている。

 

「通さんぞ……野生解放だ、カンザシ」

 

「ああ。今ならできる」

 

 陽光を覆い隠そうとする黒い布を広げ、フウチョウ達が胸の飾り羽を強く煌めかせる。

 

 

 

「もっともっと、深い黒を!」

 

「もっともっと、深い影を!」

 

 

 

「わっ。すごい! 海の中みたいだよアシカちゃん!」

 

「え、ええ……! って、ミレンさんが燃えてるっ!?」

 

「大丈夫だ! さあセルリアン……輝きならここにもあるぞ!」

 

 宙を舞う2人から発せられた黒い影は太陽どころか周辺の空をも闇で覆い隠した。黒が一面に広がり、周囲に浮かび上がるのはフレンズ達の瞳の数々と、再度俺の左肩から噴出した炎だけ。

 

「まぶしっ!」

 

 追加で闇を切り裂いたのは灯台の光線。混乱したセルリアンは首をあっちへこっちへ巡らせ、その場で足踏みする。

 

「皆! 今よ!」

 

「ああ! 野生解放だ!」

 

 全てのフレンズが、フレンズ型のセルリアンまでもが虹色の光を纏い殺到した。

 直後巨大な右足が折れ、遂にセルリアンが膝をつく。

 

 畳みかけるなら今しかない。俺は傍に留まり続けていたイエイヌの肩を叩く。

 

「りえ。君も加勢するんだ。置いて行ったりしてごめ…………っ、なんだ、俺は何を言ってる……?」

 

「ご主人……?」

 

 また頭にない言葉が勝手に──。

 

「う、ん……ここは……」

 

「目を覚ましたですか、サーバル」

 

「博士……? ああっ!? かばんちゃん! かばんちゃんはっ!?」

 

「落ち着くのです。この島の皆が手伝ってくれているのです」

 

「かばんちゃん……!」

 

 がばりと起き上がったサーバルが声を絞り出した。その直後、セルリアンの殻によって守られていたこぶがフレンズ達によって削られ、虹色の球体が僅かに露出する。

 

 とどめの瞬間がすぐそこに迫っていた。そしてそれは、かばんさんの親友にこそ相応しい。

 

「っ! 全員攻撃中止! イエイヌ! 彼女に手を貸してやるんだ!」

 

「あ……は、はいっ!」

 

 イエイヌが走り、もう完全に地に伏せたセルリアンから距離を置いたチーターと一緒に手を組み、構えた。ジャンプ力があるとはいえ踏み台は必要だろう。

 

「え、え? なんでみんな止まっちゃうの?」

 

 全員が目線で訴えかけるも困惑した様子で耳と目を動かすサーバル。無理もない。彼女が気を失う前とでは状況が一変しているのだから。

 

「サーバル!」

 

 俺は右手をセルリアンに向かって掲げ────最後の指示を発する。

 

「君が決めろ! 君が取り戻せ!」

 

「あ…………う、うんっ!」

 

 目を見開いたサーバルが大きく頷き、最後の、同時に最初へ繋がる1歩を踏み出した。

 

「う……みゃ、みゃ……!」

 

 透き通った瞳と自慢の爪に光を纏わせ、最初はふらつきながら徐々にその歩幅を大きくして行く。

 

 

 

「行くのですサーバル!」

 

「お前じゃないと駄目なのです!」

 

「サーバルー! もっかいかばんさんを助けるのだー!」

 

「頑張りどころだよー」

 

「「「「「がんばれサーバルー!!」」」」」

 

 

 付き添うフレンズ達が、一斉に激励を投げ始める。

 

 

「みゃみゃみゃ……!!」

 

 

 

「すまなかったなサーバル。あの日もこうしてやれたらよかったのだが」

 

「黒い雨はやんだ。我らも共に祈らせてくれ」

 

 

 悲劇を記憶し続けていた島の長達が闇を払い、自然な笑みを浮かべた。

 

 

「頑張ってサーバルー!」

 

「やっちゃいなさーい!」

 

「「「いけいけー!」」」

 

「ホテル職員一同ー! ふれー!」

 

「「ふれー!」」

 

 

 喪失の空白を埋めた友が、大勢の駆けつけたフレンズ達と一緒に歓声を上げる。

 

 

「さあ来なさい!」

 

「サーバルさん!」

 

「みゃみゃみゃみゃみゃーーーーっ!!!」

 

 

 イエイヌとチーターの手で打ち上げられた彼女が、一筋の流れ星となり──

 

 

 

 ぱっかーーーーーーん!!!

 

 

 

 大きな大きな、勝利の音。

 無数に散るキューブと共に空を舞うサーバルの胸には、虹色の球体がしっかりと抱かれていた。




未登場のフレンズは灯台の近くで戦ってました。

それと終わりが近いです。1期の喪失、そして2放送から続く個人的な未練に一区切り打ちたい。
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