※この作品はR-18です。

Fate/Over night   作:鎌鼬

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妖怪と雪の妖精

 

 

 今日は珍しく気分が良い日だった。聖杯戦争が始まる前、アサシンを召喚してから慢性的な魔力不足により倦怠感が常に付き纏っていたが、今はそれを感じない。イリヤスフィールと魔力供給をしたことにより、それが解消されたのだ。気絶するまでセックスを続け、目覚めてから倦怠感を感じない事に気付き、喜びのあまりに眠っているイリヤスフィールを犯そうとした。

 

 が、腹が減ったので止めることにした。考えれば昨夜から何も食べていない。

 

 しかし、冷蔵庫の中を開けてもあるのは調味料の類のみ。食料は何も無かった。準備を始めてから昨日まで、情報収集に使う以外の時間は全て準備だけに当てていた。当然買い出しを行なってなどおらず、貯蔵していた食料は減るばかりで増やす事はしていなかったのだ。

 

 時刻は夕方。近くにあるコンビニで適当に食料と酒を買い漁って帰路に着く。未来では未成年に対してなにかと厳しかったが、現代(2000年)ではそうではない。多少は怪しいと思われたかもしれないが、店員は何も言わずに売ってくれた。

 

 鼻歌を歌いながら路地裏に続く道に入り、大通りから遠ざかるーーーその時、嗅ぎ慣れた不可解な臭いが鼻についた。

 

「爺さんか、何の用だ?」

 

「呵々、何用とか随分な物言いじゃのう」

 

 路地裏は背の高いビルに挟まれているせいで昼時の僅かな時間以外は常に日陰が覆っている。その影から蟲達が這い出し、集まって人の形となって臓硯が姿を現した。

 

 一目見た限りでは臓硯の機嫌は良さそうだ。あの妖怪の事だから、昨日のバーサーカーとの戦闘を見ていたに違いない。アサシンを召喚した俺がバーサーカーを下し、そしてイリヤスフィールを捉えたのだ。臓硯からすれば予期せぬ嬉しい出来事なのだろう。

 

 向かい合うように適当な場所に腰を下ろし、買い物袋から缶ビールを取り出して蓋を開け、一息で半分近く煽る。

 

「こんな時間から酒か。いい御身分じゃのう」

 

「五月蝿え。こっちとら折角いい気分だったのに妖怪に出くわしたせいで最低の気分になったんだ。飲まなきゃやってられねぇよ」

 

「前々から思っとったんじゃが、儂に辛辣過ぎやしないか?」

 

「なぁ、便器にこびり着いた糞のような爺を見て誰が喜ぶと思う?」

 

「く……ッ!!」

 

「言い返さないのか……」

 

 臓硯の事だから呵々と笑いながら受け流すか反論でもしてくると思っていたが、何も言い返さずに口を噤んで悔しそうにしている。これは本当にそう思っているのか、それともこちらに乗って合わせているのか非常に判断し辛い。

 

「まぁ良い……誠一。お主、アインツベルンの娘を捕らえたな?」

 

「あぁ、捕まえたとも。今は俺の工房に居る。アサシンに見張らせているから逃げられるなんて事は無いはずだ」

 

 俺が起きて買い物に出かけた時にはまだイリヤスフィールは眠っていた。気絶するまでヤっていたのだ、幼い身体の彼女の消耗は酷かったに違いない。起こす理由はなかったので書き置きを残してアサシンに見張らせている。

 

「ならば話は早いーーーあやつを儂に寄越せ」

 

「ーーー寝言は寝て言え、妖怪」

 

 臓硯の頭部に目掛けて中身の残っている缶を投げつける。それを臓硯は頭部だけを崩して避け、再び頭部を作り直した。

 

「いいか、よく聞けーーーあいつを下したのは俺だ。あいつを捉えたのは俺だ。故にあいつをどうにかする権利は俺だけにある。あいつを汚すのも、穢すのも、鳴かせるのも、俺だけに許された特権だ。横からしゃしゃり出てきた妖怪風情がふざけた事を抜かすんじゃねぇよ」

 

「ほぅ?儂に逆らうつもりか?」

 

 影から臓硯の使役する蟲たちが這い出して姿を現す。人の頭部程の大きさの羽蟲がギチギチと不快な音を立てながらこちらを威嚇するように歯を鳴らす。

 

「お、やるか?確かに俺じゃあんたを殺す事は出来ないが……それでも限界まで削る事は出来るぞ?」

 

 そばにあったマンホールの蓋が持ち上がり、そこから俺の使役する蟲が這い出してくる。流石に時間帯が時間帯なのでサイズの大きい物は少ない。それでも、臓硯が使役している蟲と同数程を呼び出して睨みつける。

 

 数十秒か、数分か。その状態で睨み合いを続けていると、不意に臓硯が表情を崩して笑い出した。

 

「呵々!!余程あの娘に執着しているようじゃな。良かろう、アインツベルンの娘は諦めよう」

 

 杖で地面を叩くと臓硯の蟲はそれに従うように引き、影に紛れるように姿を隠した。間違いなく引いている事を確認してから、俺の蟲たちも下水道へと引かせる。

 

 人気が少なく、人目のつかない場所だとは言え、人が必ず来ないとは限らないのだ。臓硯が引かせた以上、蟲を出し続けることは余計なリスクを背負うことになる。

 

「リスクとリターンを考えられるようで助かったよ。あぁ、そうそう。一つ報告がある事を思い出した」

 

「報告じゃと?」

 

「マキリの杯(さかずき)が起動した。順調にいけばアインツベルンの杯の役割を奪う事ができるだろうさ」

 

 沈黙、静寂。臓硯は今言われた言葉の吟味を行い、それを認識すると突如破顔して笑い始めた。周囲の目も気にしない高笑いは妖怪そのものと言っても過言ではない醜悪さを曝け出している。

 

「呵々!!呵々々!!そうかそうか!!我が杯が動き出したか!!善き哉善き哉!!我が悲願の成就に近づいたわ!!」

 

 マキリの杯とは臓硯が前回の聖杯戦争で手に入れた聖杯の欠片を埋め込んだ人間ーーー俺の事を指す。聖杯戦争で脱落した英霊の霊基を取り込み、最終的には聖杯となる末路にある。本来ならばその役目を果たすのはイリヤスフィールなのだが、彼女よりも先に俺がバーサーカーの魂を取り込んでしまったのだ。

 

 まだ確実に成り代わったと断言出来るほどの稼働率では無いが、それも時間の問題。時期に正式な杯として駆動するだろう。

 

「成る程、それならば様子見に徹する必要も無くなったか……誠一よ、一つ頼みがあるのじゃが」

 

「なんだ?あまりにもふざけた事じゃない限りは糞爺思いの優しい孫の俺が聞いてやらんこともないぞ?」

 

「人の事を糞呼ばわりする孫のどこが優しい……簡単な話じゃ、キャスターめを討ち、その身体を儂に寄越せ」

 

「死霊魔術で使役するつもりだな?このど外道め」

 

 臓硯の申し出に対して反射的に罵倒を返しながら頭の中で思考を巡らせる。この申し出自体、そんなに悪い話ではないのだ。

 

 キャスターが柳洞寺にいる事は既に知識から〝識っている〟し、地脈を利用して冬木の住人たちを対象に魂喰いを行っている事も〝識っている〟。序盤ではそうではないが、このまま放置していれば魔力を溜めて、手のつけられない存在になる事が目に見えている。御三家たちと同じ理由で早めに倒しておきたいサーヴァントで、俺が次に狙っていたサーヴァントである。

 

 既に葛木宗一郎が怪しいという情報は手に入れていた、早ければ今日か明日にもキャスターを殺すつもりでいた。倒したキャスターをそのまま臓硯に渡せば良い。臓硯が動けば動くほど他の陣営の目は臓硯の方に向かっていき、俺たちは動き易くなる。

 

 信用も、信頼も決して出来ない。が、利用価値はある。

 

「……分かった。キャスターの死体はくれてやる」

 

「そうかそうか。祖父思いな孫を持てて幸せじゃのう」

 

 臓硯の足元に向かって、痰を吐き出した。

 

「今日の夜だ。遅れるんじゃないぞ」

 

「……もう少し、こう、儂に対する思いやりとか持たんか?」

 

 再び足元にむかって痰を吐き出し、買い物袋を持って立ち上がり、この場から離れることにした。

 

 少しだけ寂しそうにしている臓硯の姿に腹を抱えて笑いたくなる衝動に耐えながら。

 

 

■

 

 

「ん……」

 

 目を覚ました。視界に入るのは見覚えのない天井。あれ、如何してこんなところで寝ているのだろうと寝惚けた頭で考えながら身体を起こし、布団の下の自分の身体が裸な事に気がついて、一気に目を覚ました。

 

 そうだ、私は負けたのだ。間桐誠一を名乗るアサシンのマスターに。最強だと信じて疑っていなかったバーサーカーを討ち取られて。

 

 そして、その後の行為の事もすべて覚えていた。

 

「うぁーッ!!あーッ!!あーッ!!」

 

 布団を頭まで被って暴れまわる。そうだ、全部覚えているのだ。彼にここへ連れて来られ、媚薬と呼んだ怪しい薬を口移しで飲まされーーー彼に優しく犯された事も。

 

 最悪だ、死にたい。どうして覚えているのだと羞恥心に頭を抱える。最初の方はあの男にいいようにやられていた。それは別に良いのだ……いや、良くはないけど。

 

 問題なのは途中からだ。気持ち良すぎて頭が馬鹿になっていたのか、途中からは自分から行為を求め出してしまったのだ。

 

 自分から大きく足を広げて彼を求め、四つん這いになって腰を掲げながら彼を求め、彼の上に乗りながら腰を振り、一心不乱になって快楽を求めていた。最後の方なんてお尻の方で致していた。

 

「ーーーそうだ、死のう」

 

 恥ずかしさのあまりに死にたくなって出た言葉がこれだ。恐らくはここはあの男の工房だろう。探せば刃物の一つくらいは見つかるに違いない。そう考えて行動を起こそうと布団を除けると、

 

「……」

 

「……ギィ」

 

 首を九十度近く曲げた髑髏の面を被った人物ーーーアサシンと目があった。

 

 布団を再び被り直す。

 

「これは夢これは夢これは夢これは夢これは夢これは夢……」

 

 あれが現実なら、アサシンの目の前で布団を被ったまま暴れ回っていた事になる。それが事実なのだとしたら、これまでのものとは別の恥ずかしいさが込み上げてくる。だからこれは夢に違いない。今まで私は布団を被って眠っていて、今目を覚ましたところなのだ。

 

 そう自分に言い聞かせながら心を落ち着かせ、再び布団を除ける。すると視界にはアサシンの姿は無かった。良かった、やはりあれは夢だったのだ。安堵の溜息をついて胸を撫で下ろしていると、扉の開く音がした。

 

 そちらに顔を向けるとあの男がーーーバーサーカーを倒し、私を犯した間桐誠一が、買い物袋を手に部屋に入ったところだった。

 

 「ふむ……」

 

 彼は私の顔に視線を向けると、徐々に下に下げていく。一体何を見ているんだと思い、私もそれに合わせて下を見る。

 

 そこには、外気に曝け出されている私の胸が在った。

 

「……」

 

 彼はそれを見て満足げに頷き、満面の笑みを浮かべながら親指を立てて流石に部屋から出て行った。

 

「〜〜〜ッ!!」

 

 裸を見られた。その事に気がついて私は声にならない声を出して悶絶する事しか出来なかった。

 

 

 






マコニキと妖怪ジッジとの心温まる交流(中指を突き立てながら
マコニキに聖杯の欠片が埋め込まれていて、バサクレスをモグモグした事で動き出したことから妖怪ジッジが重い腰を上げたようです。

エッロエロな夜の事を覚えていたイリヤちゃん。媚薬が抜けて正気に戻って羞恥心に悶絶する事に。

マコニキはイリヤちゃんの無乳に満足した模様。

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