―――アラルガンベース基地訓練室―――
≪誠一郎・飛天丸組≫
「まず妖力というものを体験してもらおう。飛天丸、頼めるか?」
「ああ、とりあえずくらってみろ。それで大体わかる」
「……! おい飛天丸! やりすぎるなよ」
「……わかっている。余計な指図をするな」
不機嫌そうな飛天丸が風の妖力を纏った妖力弾を複数作り出して訓練生へ向けて放つ。
「うわっ……!」「くっ……!」「痛っ……!」「うおっ……!」「これは……!」
手加減はしたのだろうが、予想外の衝撃を受けて訓練生は膝をついてしまう。
「さて、どうだった?」
誠一郎が訓練生に妖力弾を受けた感想を尋ねる。
「防御したはずなのに衝撃がダイレクトに伝わってきました」
「なんというか、体の内側を攻撃されたような感じが……」
「少し気持ちが悪いです……」
「いきなり攻撃するなんてひどいですよ……」
口々に訓練生が感想を漏らす。不満も出ていたが。
「ははは……いやすまん。妖力というものを知ってもらうには実際に体験してもらうのが一番なのでな。君たちには悪いが攻撃を受けてもらった。さて、先ほど誰かが言ったが体の内側を攻撃されたような感じ、これが無防備に妖力弾を受けた時の感覚として挙げられる。これは妖力が直接肉体を攻撃していないからそう感じると考えてもらえばいいだろう」
「肉体を直接攻撃していない……ですか?」
「そうだ。霊力も妖力も、殴る蹴るなどといった肉体に直接ダメージを与える方法ではない。体の内部……魂を攻撃していると思ってくれ」
「魂……? 何のことかわかりません」
「まぁ、そうだろうな。例えば殴る蹴る。これは体に直接攻撃を加える肉体的な手段だ。魂を攻撃するというのは、精神を攻撃するということになる。肉体的には異常がないのに身体が動かなくなる、体を動かしたくなくなる、気分が悪くなるなどが主なダメージだな。先ほど気分が悪くなった者がいるだろう」
「なるほど」
「霊力は精神的な力だ。まずどういったものか自覚して扱うようにしよう」
「「「「「はい!!!!!」」」」」
≪将範・孝太組≫
「さて……まずは獲物の確認からだ。各自準備はいいな?」
「「「「「はい」」」」」
「よし、それでは二人一組になって模擬戦だ」
「「「「「えっ!?」」」」」
霊力について教えてもらうものと考えていた訓練生が戸惑いの声をあげる。
「教官、霊力について教えていただけるのではないのですか?」
「そうだな……霊力を扱うには、こちらの世界の者では魔力が邪魔をする。ひとまず魔力を使い切ってから霊力を扱う訓練をしようと考えている。そして模擬戦でそれぞれの戦い方を見ておきたい……というわけだ。質問はあるか?」
「いえ、わかりました。よろしくお願いします」
「よし……では始め!」
(俺の出番はまだ先になりそうだ……でも魔法かぁ……わくわくするな!)
≪舞歌・木島卓組≫
「あら……将範の方は始めたみたいね。相変わらず実践派だわ」
「教官、あちらは何故模擬戦を……?」
「魔力を使い果たすためね。魔力とは違う力を使うから邪魔になる力をとりあえず無くしとこうというわけ。安心して。うちはもうちょっと理論派でいくから」
「ありがとうございます……ではどのようにすれば?」
「そうね……木島君、妖力弾お願いできるかしら?」
「俺は遠距離は苦手なんだが……まぁ少しなら………………はっ!」
木島の掌の上に妖力弾が形作られる。色は赤だ。
「では一人ずつ来てください。手を介して霊力を送るのでそれを押し出す感じで妖力弾を消してください」
「「「「「えっ……!?」」」」」
「あの……理論派でいくのでは……?」
「え? 手を介して霊力を送る、受け取ったらそれを押し出す、という理論よ?」
(((((それは理論とは言えないのでは……)))))
「ふふふ……ごめんね。実は将範に対して偉そうなこと言ったけど、霊力の扱いって感覚的な所が多いの。あちらはおそらく自分で感覚を掴ませるから実践派と表現したの。こっちでは私が補助して導くから理論派……う~ん違うか。教導派? まぁ、何でもいいか。始めるわよ」
「はっ…はい! よろしくお願いします!」
「よし、いくわよ!」
≪みなせ・石動大組≫
「改めまして……龍宮みなせです。僕は戦闘要員ではないので実践的な所は正直いって教えることができません。ですが治療などはお任せくださいね」
「そんな! では我々はどうすれば!」
「と、いうことで実践的なことは俺が担当することになるわけだ。他の所みたいにちまちまするのは性に合わん。みんなかかってきな。俺にダメージを与えることが出来たら霊力の扱いも覚えていることになる。簡単だろ?」
「石動さん、そんな無茶苦茶な……」
「そうですよ! 全員から攻撃を受けるなんて無茶苦茶です!」
「なぁに、防御力には自信があるんだ。それに俺も妖怪。魔力じゃあ傷一つ付かんよ」
「それはあまりにも我々を舐めすぎではありませんか?」
「そうか……なら……やってみな!!」
石動が妖力を解放する。膨大な妖力が吹き荒れ、訓練生は吹き飛ばされる。近くにいたみなせが吹き飛ばされないあたり、しっかりとコントロールもされている。一つ誤算があるとすれば……
「石動! この馬鹿者が! 妖力解放するなど……なにを考えておるのだ! また封印されたいのか!?」
「勇!? いや、ちょっと俺の力を見せておこうとだな……」
「言い訳無用! そなたらもすまんかった。こやつにはしっかりと言い聞かせておくゆえに」
「新堂さん……訓練のためです。堪えて下さい!」
「龍宮殿……しかしだな……」
「勇、訓練のためだ。私用じゃないんだ」
「むぅ……そうか…………それならば仕方がない……そなたらも、騒がせたな。謝罪しよう」
「いえ……我々が彼を侮ったことがそもそもの原因ですので、気になさらないでください」
「そうか? では……精進なされよ。某は霊脈の調査にいかなければならんゆえに訓練は手伝えぬが、健闘を祈っている。それでは御免!」
訓練室をあとにする勇を複数の視線が見送る。
「全く……騒がしいやつだ。さて、先ほどの妖力解放で分かったと思うが俺は相当頑丈だから気にせずどんどん攻めてきてくれ」
「「「「「はい! よろしくお願いします」」」」」
「怪我は治せますけど無茶はしないでくださいね」
「わかってるって。それじゃあ……来い!!」
「ふふふ……始まりましたね……それぞれ個性があっていいです」
「ははは……頼もしい限りです。そう思いませんか? トーサッツ二佐」
「確かにそうですな。近々我々も参加してもよろしいだろうか? これから妖怪事件を追う上で必要になってくると私は考えているのですが」
「シーカーズの方々が霊力を扱えるようになれば百人力です。滝峰さん、どうでしょうか」
「そうですね……優秀な方々なようですし、いいと思いますよ」
「わかりました。では早速……手配しますね。うちとシーカーズの合同訓練とういう形で」
「よろしく頼みます。では部下に話してきますので私はこれで」
「期待していますよ」
「期待にお応えしましょう。では」
妖怪事件対策は進んでいく。シーカーズを加える形で。このことがどのような結果を齎すのか、まだ誰にもわからない。
将範はオリキャラではありません。名前がなかったのでつけただけです。莉音を鍛えた教官です。キャラ設定とかは特にないので半オリキャラかもしれませんが。