―――アラルガン霊脈観測点―――
「見つけた……! 霊脈や。これで三つ……順調やね。なっちゃん、こーちゃん」
「そうね。余裕あるから浄化しちゃいましょう」
「なずなさん、よろしくお願いします」
アラルガンの霊脈調査に向かった巫女、いぶき、なずな、小春である。思ったより霊脈調査が簡単に進んだので浄化していたのだ。これで三か所目、一名を除いて歴戦の退魔巫女である彼女たちにとって簡単な任務であった。なずなが霊脈の流れを調整して霊脈を浄化する。
「よし、終わり。大した妖怪もいないしあれだけの面子だったら今日中に浄化終わるんじゃないかしら」
「確かに……でも何か手応えがないっちゅーか、ホンマに妖怪発祥の地かって具合に反応が薄いと思わへん?」
「確かに……ここから広がったにしては大人し過ぎるわね……」
「せや。何か重大なことを見落としとる気がしてならんわ。なっちゃん、こーちゃん、調査はこれぐらいにして戻らへん?」
「ええ、他のみんなの意見も聞きたいわ。帰りましょう」
「せやね。なっちゃん、浄化お疲れさん」
「ほんと、凄いです……」
「大したことじゃないわ。退魔巫女としての基本技術でしょう」
「う……私はちょっと自信ないかも……」
「ははは……ウチはちょい大雑把なところがあるし、気にせんでもええで」
「そうかしら? 退魔巫女としてはいつまでも出来ない、自信ないではいられないわよ。その点、いぶきの浄化は安心して見ていられるわ。何の問題もないじゃない」
「ホンマ? 嬉しいわぁ。ありがとう。あ、でもこーちゃんはすごい霊力があるやない。回をこなしていけばウチらなんかより簡単に浄化できるようになるで」
「それは……そうね。小春、精進しなさい」
「うぅ……がんばります……」
「さ、早いとこ戻るで」
「そうね、行きましょう」
「待ってくださいよぉ~!」
調査を切り上げた退魔巫女の三人はベース基地へと戻るのであった。
―――アラルガンベース基地―――
「到ぉ着ぁく、ベース基地や」
「着きました~みんなは戻ってきていますかね?」
「いぶき、小春、はしゃぎ過ぎよ。戻ってきただけじゃない」
「せやかてなっちゃん、任務を終えて戻ってきたらはしゃぎたくもなるわ」
「まだ報告があるでしょ。葉子のところへ行くわよ」
「せやね。葉子さんは訓練室やろうか」
「行ってみましょう!」
三人は訓練室へと足を向ける。しばらく歩いて訓練室へ到着すると、その重い扉を開く。むわっとした熱気が扉を開けた瞬間に三人の髪を撫でる。どうやらまだ訓練中のようだ。
「あ、お疲れ様です。調査は終わりましたか?」
「穂乃香さん、お疲れ様や。ちょっと気になることがあってな。調査は切り上げて戻ってきたところや」
「いぶきさんたちもですか……こっちも澄佳ちゃんが気になることがあったみたいで……同じように切り上げてきたんです」
「え~? そっちも切り上げて来たんだ? 私たちもだよ」(梓紗)
「某たちもだ」(勇)
「私たちも」(桂香)
「私たちもです」(御琴)
「同じく」(かんな)
「えっと……わたしたちも……」(紫)
「う~ん……みんな考えていることは同じみたいやな」
「あら、調査組が集まってどうしたんですか?」
「葉子さん! あの、すべての組が違和感を持って調査を切り上げてきたっていう話をしていたんです」
「そうですか……話し合う必要がありますね。本部長とシーカーズの隊長も交えて」
―――アラルガンベース基地会議室―――
「さて、調査結果を聞かせてくれるとのことでしたが……何かあったのでしょうか」
「ふむ……私も居ていいのですかな?」
「本部長、何かあったのではなく何もなかったのが問題なのです。ゲードゥさんも現場を知るものとしてお呼びしました」
「何もなかった……ですか? 大変よろしいことなのでは……」
「いえ、それは誤解です。この世界で初めて妖怪が観測されたから本部を置いているとお聞きしていますが、妖怪の発生源にしては規模も強さも種類も大したことがなさすぎるんです」
「……! そうか! ここから広がるとしたら相応の妖怪がいないといけないのですね!それなのにこの世界の妖怪は規模も強さも種類も無さすぎるわけですか……!」
「そうです。霊脈を調査に行った退魔巫女全員がその違和感を抱いています。そこで、数多の世界で女性たちを救出したゲードゥさんに伺いたいことがあります」
「ふむ……何ですかな?」
「どんな妖怪がいましたか?」
「むぅ……逆に聞きたい。この世界ではどんな妖怪がいたのですかな?」
「そうですね……餓鬼、化け蛇、鎌鼬、水妖といった比較的弱い妖怪です」
「なるほど……確かに我々が捜索した世界でもそのような妖怪はいた。そしてそれだけではなかったのではないかと言いたいのですな」
「そうです。どうですか」
「答えは是。多種多様な妖怪がいました。それは先に挙げた四種類なんてものではない。どんな妖怪か伝えるのは難しいですが」
「そうですか……人型の妖怪なんかもいたのではないですか?」
「確かにいました。角が生えた強大な者、団扇を持って変わった帽子をかぶった偉丈夫もいましたな」
「鬼……天狗……それぞれ危険な妖怪です。力も強い。ゲードゥさん、どの世界にどんな妖怪が出たか、分かる限りで構いません、挙げて行ってもらえますか?」
「わかりました。確かあの世界では……」
ゲードゥがそれぞれの世界でみられた妖怪の特徴を次々と挙げていく。そしてそれは葉子によって名前を明かされ、整理された。
「やはりこうなりましたか……想像通りです」
「管理番号が若い方に強力な妖怪が出現している」
「これはマズいですよ……この結果が正しいとしたら……クラナガンは……」
「妖怪の巣窟でしょうね……」
「クラナガンで行方不明事件は珍しいことではない……妖怪によるものが混じっていてもわからない……ということですか……」
「かなり狡猾な妖怪が事件を起こしていますね。早急な対策を進めていかなければ手遅れになります」
「本部をクラナガンに移す必要がありそうですね……」
「他の世界も調べてみないことには分かりませんが……先手を打たれましたね……」
「退魔士がいるだけで安心感が違いますよ! まだ手遅れではないと信じて行動を起こしましょう」
「そうですな。我々も微力を尽くします」
「まずクラナガンの行方不明事件を洗いましょう。妖怪のものが見つかるはずです」
「では、そういうことで……私たち退魔士は他の世界も調査しましょう」
「わかりました。では、予定を詰めていきましょう」
「我々は訓練を繰り返し行いましょう」
「よろしくおねがいします」
会議が密に進み、かつてないほどの賑わいをみせる。後手に回った対策本部は果たして挽回できるのか。それはこれからの動きにかかっている。
次回はエロで行けると思います。