申し訳ございませんm(_ _)m
今回の話は、フォワード陣凌辱展開の前にもあった理由付けです。普通に考えて歴戦の巫女と退魔士がこれだけ揃っていたら、まず負けないと思うんですよね。
連載開始当初巫女さんの凌辱展開を予定していなかったのはそういった理由があります。
伏線もなにも張ってなかったのでかなりの超展開にこれはちょっと……と感じる方もいらっしゃると思います。
いきなり凌辱展開に入るよりは納得できるように頑張りましたので、暖かく見守って下されば幸いです。
―――クラナガン妖怪事件対策本部―――
≪緊急放送……! 緊急放送……! 退魔士の皆様にお伝えします……! 至急第1番ミーティングルームへ集まってください。地上本部からアーブラ・ギッシュ大将がお見えです……繰り返します。退魔士の皆様は至急第1番ミーティングルームにお集まりください。地上本部からアーブラ・ギッシュ大将がお見えです≫
士気を高め、(とある部隊は盗撮によりMAX)いざ出撃という折に横槍を入れるかのような放送が。地上本部大将アーブラ・ギッシュが来たと言う。彼は一体どのような用事があるというのか。訝しがりながらも退魔士一行とシーカーズ精鋭は第1番ミーティングルームに集まっていく。出撃する人員と本部長、葉子が到着すると、そこにはでっぷりとした腹を突出し、身から出た油でテカテカに光る禿頭の醜い初老の豚、いや、かろうじて人間であろうかというべき物体が鎮座していた。いかにもエリートという雰囲気を醸し出す小部隊を伴った状態で。
「……遅い! このワシが呼んでおるのだから5分以内に集まらんか! 無能共め! む? よく見れば中々の綺麗どころが揃っているではないか。このような無能に付いていくことは無い。このワシがたっぷりと面倒を見てやろう……ぐふふ……!」
緊急招集と聞いて急いで集まったところにこの暴言と下卑た笑み。この場にいる人員の彼に対する評価が一気に最低となったのは言うまでもないだろう。
「……失礼いたしました……ギッシュ大将。しかし大将、今我々は任務に向かう直前であったのです。何故緊急招集をされたのか、伺ってもよろしいでしょうか?」
重要任務の出鼻をくじかれる形になった本部長は憤る内心を抑えながらも、咎める様に質問を投げかける。
「……ふんっ……! 二佐風情がこのワシに口答えか? それくらい自分で考えろ! この無能が!……まぁいい、ワシは寛大だからな。愚かな貴様に特別に教えてやろう。這いつくばって感謝するがいいわ」
「……っ……ありがとうございます。寛大な心に感謝いたします」
本部長は屈辱に歯を喰いしばりながらクソジジイに謝罪をする。それに気を良くした豚野郎は容姿だけではなく、性根も悪いのだろう。本部長を思いっきり見下したクソみたいなゲス顔で汚いダミ声を発する。
「ふふふ……まぁよい。今回ワシがここに来たのは他でもない、戦力を貸してやろうと思ったからよ。今回の事件、なかなか大変なのだろう? 地上本部でも指折りの部隊を貸してやろうというのだ。泣いて喜ぶがよいぞ」
「……必要ございません」
「そうかそうか……! なに、気にすることは無い。地上本部を預かる者として当然のことをしたまでのこ…………何だと? 今信じられない言葉を聞いた気がするのだが、フォルツァート二佐? 貴様先ほどの言葉をもう一度言ってみよ。ワシの聞き違いでなければ、必要ない、と聞こえたのだが、事実か?」
「聞き間違いではございません。私は必要ない、と申し上げました」
「貴様……! このワシの好意を無下にするというのか! 恥を知れ!」
まさにお前が言うな状態なのだが、立場上自分の思い通りにならなかったことなど殆んどない彼にとってそれは許されざることであったようで、顔をゆでだこのように真っ赤にして激昂していた。
「ワシの虎の子部隊だぞ? 隊長はAAAランク、その他も優秀なものばかり、この地上本部でこれほど頼りになる戦力はあるまい!?」
「おそれながら大将、今回の事件、伏せられてはいますが、ニアSランクどころか、SSランクの魔導師でも敗北しております。そのような戦場に、AAAランクの魔導師を連れて行くわけにはまいりません。敵は今までの我々の常識では図れない存在なのです」
「ばかな……SSランクが負けた……だと? 有り得ん! そんな冗談が信じられるか!」
「残念ながら事実です。我々はその存在に負けないために鍛錬を繰り返して来ました。それが形になり、今敵を叩きに行くところであったのです」
「……! だとしてもSSランクが負けるような敵にBランクそこそこの貴様らが倒せるわけがなかろう!?」
「大将、倒せるからこそ、出撃するのです。時間が押しています。これ以上話すことはございません。お引き取り願います」
「ぐぐぐ……貴様……! 調子に乗りおって……どうなっても知らんぞ!?」
視線で人を殺せそうなほどに睨みつけるアーブラ・ギッシュ。本部長もさすがに言い過ぎたかと、謝罪をしようと言葉を発しようとしたその時、落ち着いた老人の声が割り込んでくる。
「……はぁ……先ほどから黙って聞いておれば、何とも見苦しい。アーブラよ、それ以上はお主の首を絞めるだけじゃぞ」
「……何!? このワシを呼び捨てで呼ぶとは。貴様、何様のつもりだ!」
「ふむ、……耄碌したかの? アーブラ・ギッシュよ。同期のワシを忘れるとは。いやはや……少し悲しいぞい」
「何だと……!……っ……!! ア……アナール・ホルドー!? 何故貴様がここに!? 貴様はシーカーズとかいう小物集団にいたハズだろうが! こんな最新事件の最前線にいるわけがなかろう!?」
「今回のヤマは失踪事件から発展したんじゃぞ? 捜索・回収部隊のワシらいる可能性を考えんかったのかのぅ? 人を見下す前にもっと自分を磨かんか! 嘆かわしい。管理局に入ったころのお主はもっと輝いておったのに、しばらく見んうちに醜く曇ってしまったようじゃの」
「く……出世街道から外れた貴様にはわかるまい! ワシがどんな思いでこの地位まで登りつめたか……権力闘争から逃げ出した貴様なんぞに言われる筋合いはない……!」
「これこれ……話題を逸らすでは無い。そのような些事なぞ、今この場で必要かの?」
「些事じゃと……!!? ふざけ……っ……!?」
アナール・ホルドーの言い分に対して猛烈に抗議しようとしたアーブラ・ギッシュだったが、突然硬直して言葉に詰まってしまう。彼には分からないことだったが、煩わしく思った妖力持ち達が剥き出しの妖力をアーブラ・ギッシュへと叩きつけたのである。猛烈な寒気を感じた彼が硬直してしまうのも無理はない。
「分かったかの? これが事実じゃ。場違いな者はここを去るがよい」
「ぬぅ……! 覚えておれよ!! 貴様ら絶対に後悔させてやる!!! 今に見ておれよ!」
典型的な負け犬の遠吠えをまき散らしながら去ってゆく彼に対して、一同は汚物を見るかのような視線を向けると、こんな小物に構っている暇などないと、努めて記憶から追い出し、再び出撃のために準備をするのであった。しかし彼らはこのジジイのことをもう少し注視するべきであった。最初に露わにした下卑た笑みから透けて見える悪意。下半身に直結していようとも、クラナガンに巣食う妖怪が目を付けるのには十分なこと。重要な任務の前に彼らは危険な因子を放置してしまう。このことが何をもたらすのか、それはまだ誰にも分からない……。
隠しきれない不機嫌を撒き散らしながら、アーブラ・ギッシュは、念話を送っていた。相手は一体誰なのかであろうか。
『どういうことだ……!! 話が違うではないか……!
『落ち着いてくだされ、ギッシュ大将。私も見ておりましたが、先ほどの現象は連中がズルをしたのでしょう。シーカーズがおりましたでしょう? 隠れて魔法を使うことなど容易いことだと思いますぞ?』
『チィ……ホルドーのやつか……あ奴の魔法の隠密性を甘く見ておったわ。だが種が分かれば何ともない』
『流石はギッシュ大将……あの者たちは、手柄を独り占めするつもりでしょうな。妖怪などという者共はそれほど強くありません。魔法をさほど使えぬ私程度でも対処できるのです。あなたの虎の子部隊ならば何の問題もなく制圧できるでしょう。こっそり付いて行って手柄を横取りしてしまえば良いのです』
『おお……! そうか……! ふふふ……ワシを侮辱したあの若造やホルドーの奴が悔しがるのが目に浮かぶわい……!』
『ふふふ……念には念を入れましょう。あの世から甦った私の力をお貸しします。あなたの虎の子部隊におまじないをかけました。これで奴らに気付かれることなく尾行が出来るでしょう』
『そんなものが効くのか? まぁよい。ワシはワシの部隊の持ち帰る朗報を待っておくとしようか……ふふっ……ふふふふっ…………はぁーっはっはっはっは……!!』
(度し難いほどのバカだな……こんなのが大将とは……やはり管理局は終わっている。壊してしまった方が世のためだ……!)
アーブラ・ギッシュと話をしていたのは、なんと先のJS事件の最中、死んだはずのレジアス・ゲイズであった。志半ばで裏切られ、死んでしまった彼は、その無念が強い怨念として残り、同時期に同じように裏切られて死んだ最高評議会の怨念とグチャグチャに混ざり合い、悪霊として復活してしまったのである。彼こそが次元世界初の妖怪なのだ。レジアス・ゲイズの意思は残っているが、グチャグチャに混ざり合った影響か、先のような破滅的な思想に陥ってしまっている。それでも地上本部を牽引してきた彼の狡猾な思考力は衰えておらず、彼の後釜として地上本部をまとめる立場となったアーブラ・ギッシュを良いように操っているのであった。そして先程見ていたと言ったことからして、彼はこの対策本部の様子が手に取るように分かるのである。当然作戦や戦力などは筒抜けであった。退魔士の怠慢と言いたいところだが、この状況も無理もないことだ。そこまで力のある悪霊がこの短期間で現れるなど、誰が想像できるというのか。
順調に進んでいたかのような妖怪対策は、ここに来て特大の爆弾が潜んでいた。このことをまだ退魔士は知らない。知りようが無い。悪霊レジアス・ゲイズの狂気は、少しずつだが確実に敵対勢力を追い込んでいくのであった。戦いは作戦前から始まっている。対策本部は恐ろしく不利な闘いに飛び込んでしまっていることに果たしていつ気が付くのだろうか。次元世界の明日は一体どうなってしまうのであろうか。それはまだ誰にもわからない。
意外と長くなりました。おじいちゃんが勝手に……何気にすごい人物なんです。個人的にお気に入りのオリキャラです。アーブラ・ギッシュと違って昇進を期待されていた人物です。ハゲデブじじいがいっていたように、昇進の機会を蹴って現在の位置にいます。ハゲデブじじいはそこも腹が立ってしょうがないのです。ホルドーおじいちゃんは事実はどうあれ非常に優秀な人物です。事実はどうあれw
ハゲデブじじいはフォワード陣に対しての竿役にしようかと思っていますので彼の活躍にもご期待ください。