―――アーブラ・ギッシュ虎の子部隊隊員カーマッセ・ドッグ三尉の独白―――
僕の名前はカーマッセ・ドッグ三等陸尉………首都航空隊A-S小隊という、アーブラ・ギッシュ大将が設立した地上本部の中でも厳選された部隊の一員です。皆さんには虎の子部隊といえば分かってもらえるかと思います。あえて説明するのなら、地上本部の部隊でありながら、AAAランクの小隊長を擁し、隊員も最低ランクがBランクという、今現在の地上本部においてまさに最強と言ってもいい小隊ですね。僕自身も最近になってAAに迫るAランク、所謂A+の評価を得ることができました。正直に言って保有ランク制限があってないような気がしています。まぁ、アーブラ・ギッシュ大将は立場を利用した強引な手腕である意味有名ですからね……それがまかり通ってしまうところに闇を感じてしまいますがね……。そうは言っても払いはいいので僕としては全く持って気にしていませんが。ふふふ……しかしながらようやく兄さんのランクに追い付きましたよ……! あの男……僕が弟でランクが自分より下だからって見下していましたからね……ただまぁ……あの隠密性の高い速射型の砲撃魔法“サイレント・ブラスター”だけは認めざるを得ませんが。ん? 兄さんの名前ですか? メイバイト・ドッグですよ。結構有名だと思います。言動はともかく……優秀なのは……間違いないですからね。ふふふ……ランクが追い付いた今、これからはこの僕、カーマッセ・ドッグの時代ですよ。兄さんの評価なんて、上書きしてやります。
さて、兄さんのことはともかく、僕には昨今の話題で気になっていることがあります。そう、異形事件改め妖怪事件のことです。若い番号の管理世界で起きているという、不可解な事件の事ですね。何やら女性が性的に襲われているやら魔法が効かないやら不確定な情報が錯綜しているみたいですが、ほぼ間違いなくデマです。事件を担当している第8番管理世界アラルガンの司令スフォル・フォルツァート二佐、あの八方美人の司令が大げさに騒いでいるだけだろうと、私は思っています。兄さんと同じ見解なのが気に入りませんが。
かの司令の手腕に関しては僕も高く評価していたのですが……ここに来て何を血迷っているのでしょうか。過去に例を見ない重要な事件に舞い上がっているに違いありません。あの司令はこれから落ち目になるでしょうね。嘆かわしいことです。
先程のギッシュ大将の提案にしてもがっかりしました。「訓練してきた」ですって? あの程度の敵など、普段通りの訓練で十分お釣りがきますよ。訓練してきたらしい彼らは知らないでしょうが、ギッシュ大将の伝手で僕らも妖怪とやらと戦ったことがあります。弱い魔力弾程度で消滅するような奴らに何をそんなに警戒しているんでしょうかね?
まぁそんなことはどうでもいいです。どうやらこれから彼らは退魔士なる謎の連中を連れて任務にあたるそうです。馬鹿馬鹿しい。多少は鍛えていることが伺えますが、大半が弱弱しい女性達ではないですか。どう見てもお子様にしか見えない女の子もいます。任務は遠足じゃあありませんよ? 全く持って嘆かわしい。
まぁそんなこといちいち気にしてはいられません。ギッシュ大将によると彼らに見つからない様に尾行できる魔法がかかっているらしいです。卑怯な気もしますが、なるべく屈辱的に手柄を横取りしろとの命令を受けています。全く……ギッシュ大将はどのような伝手をもっているのでしょうか……得体が知れませんね……最近になってよくそれを想わずにはいられません……ふぅ……気は進みませんが、任務はやり遂げなければなりません。なにやら退魔士なる人物は黒幕を調査するためにクラナガンに繰り出す方々もいるようです。僕はそのうちの一人に目を付けて尾行することにしました。スレンダーな体形ですが、かなりの美人です。確か……なずなさんと言いましたか……どうせ追うならこんな娘がいいですよね。では、任務開始です。
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ふむ……眉唾物の連中ですけれども……中々動けていますね。見たところ魔力は感じませんが……質量兵器を使っているのでしょうか……? まぁあの程度なら魔法でいくらでも代用できます。それにしても……このクラナガンにも妖怪なる化け物が随分蔓延っているようですね……この半日でそれなりの数の妖怪に遭遇しました。簡単に倒せるような弱い個体ばかりのようですね。横取りする意味もないですし、このまま尾行を続けようかと思います。程よく汗ばんだ彼女は美しく、眼福と言わざるを得ません。何という役得。こんな美味しい任務を与えて下さったギッシュ大将にはお礼を言わなければなりませんね。
んん……? 何やら不穏な雰囲気のポイントに到着しましたね。ああ、なるほど、ここは機動六課首脳陣の友人が妖怪に襲われたという場所ですか。犯人は現場に戻ってくるとはよく言いますからね。手がかりを探すには丁度いい場所と言えるでしょう。お手並み拝見といきましょうか。
「見つけた……! この妖気……中々の大物……出てきなさい……! そこに居るのは分かっているのよ……!」
馬鹿な……!? 穏行がバレた……? いや、彼女と僕の目線は合っていない。ということは後ろ……!?
「へっへっへ……勘の鋭いお嬢さんで……気配は消していたつもりでいやしたが……中々の手練れの退魔巫女のようでございやすなぁ……お名前をお聞きしても?」
「アンタに名乗る名前なんて無いわ。聞きたければ……私をその気にさせることね……!」
彼女の目線の先を見ると、小柄でしわくちゃな初老の男? がいました。こんな至近距離まで接近されているのに気付かないなんて……有り得ない……! 僕が動揺している間にも両者の会話は進みます。
「へっへっへ……用心深いお嬢さんでやすねぇ……その構えから見ても……お嬢さん……かなり出来やすね……これは一筋縄ではいかなさそうだ……」
「妖怪に褒められても嬉しくないわ。とっとと終わらせましょう。アンタには聞きたいことがあるから……半殺しで勘弁してあげる」
……妖怪!? 馬鹿な……会話ができるほどに高度な知性を持つ妖怪なんて……いるはずがない……! まさか誤情報を掴まされた!? だとしたらまずい……この場を離れなければ…………!?
「おっと……へっへっへ……何処へいこうというのでやすか? このような特等席にいるのでありやすから……もっと見学していってもいいと思いやすがねぇ……」
「……!? 誰!? 何でそんな場所に?」
「へっへっへ……なにやら妙なおまじないで隠れていたようでやすよ? 最も、あっしら妖怪には効果が薄いようでいやすがねぇ……お嬢さんが強そうだったんで……少し利用させてもらおうと思いやして……こういった位置取りをさせてもらいやした。効果は……言うまでもなさそうでありやすなぁ……」
馬鹿な……ばかな……バカな……バカナバカナバカナ…………!? この僕が人質だと!? そんな無様な真似を受け入れると思うなよ……! こんな近くに居るんだ……僕の魔法で蹴散らしてやる……!! 喰らえ! “ファスト・ブリッド”
「んん? これは…………?」
ふふふ……直撃です。兄さんの“サイレント・ブラスター”を超えるために開発した魔法です。威力は一段落ちますが、速射性や連射性に関して言えば何段も上。あれだけたたき込めば、ひとたまりもないで「駄目……! 逃げてぇ……!!!」
「!?……ぐっ……がはっ……なっ……なに……が……起こ……ぐああぁぁ……!」
「へっへっへ……ご自慢の魔法とやらを使ったようでやすが……あっしら妖怪には……全然効かないってこと……知らなかったんでこざいやすか? 情報があまりにも遅れていらっしゃいやしませんかねぇ? まぁ……おかげでお嬢さんを簡単に攻略できそうでありやすから……有り難いことでございやすがねぇ……へっへっへ……」
ぐっ……後から抑えられているのですか? く……首が締まる……こんな小柄なのに……なんて力だ……! あぁ……僕もここまでか……兄さんを……超えたかったなぁ……
「おっと……これ以上は殺してしまいやすね……さて、お嬢さん。この男を助けたければ……分かっておりやすね? 武装を解除してこっちに来てくだせぇな」
「くっ……卑怯者……! その人を離しなさい!」
ヘマした僕を気遣ってくれるなんて……なんと心優しい女性だろうか……それだけに足を引っ張っている現状が悔しくてたまらない……!
僕を人質に取ってどうするつもりなのだろうか……? 今まで僕たちが与えられてきた情報が間違いだったということは……まさか……この妖怪……この娘を…………!? その考えを巡らしたところで時既に遅し……後頭部に強い衝撃を受けた僕の意識は、暗闇に沈んでいくのであった。すまない……なずな……さん…………。
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―――雷道なずな凌辱―――
「おっと……これ以上は殺してしまいやすね……さて、お嬢さん。この男を助けたければ……分かっておりやすね? 武装を解除してこっちに来てくだせぇな」
「くっ……卑怯者……! その人を離しなさい!」
「へっへっへ……言いたいことはそれだけでやすか? 残念ながら今の状況は……詰んでいる……という状況でありやす。観念してくだせぇな」
「あなたの言う通りになんて…………えっ!?……どうして槍が……!? きゃっ……!」
対抗するために己の武器である槍を構え直すなずなだったが、何と、ずるりと滑ってあさっての方向に飛んで行ってしまったのである。さらに突然足を滑らせて転んでしまうなずな。歴戦の退魔巫女にあるまじき失態である。だが、それは彼女の失態によるものではなかった。
「へっへっへ……いい格好だ。股布が丸見えでありやすよ? いやぁ眼福、眼福。おっと……不思議な顔をしておりやすね? へっへっへ……実は……お嬢さんがこの男に気を取られている隙に、細工させてもらいやした。あっしの油をこっそりと武器を握る手に滑り込ませたのでやんすよ。足元も同様でございやす。よぉく……滑るでありやしょう? しばらくはまともに立つこともできやしやせんよ」
「くっ……ぬるぬるが広がって……立てない……! こんな攻撃をしてくる油すましがいるなんて……」
「へっへっへ……そんな格好で睨まれても……あっしが興奮するだけでありやすよ? 変わり映えのない退魔巫女の巫女服と服装が違う分、新鮮な気持ちを味わうことができそうでございやすね。へっへっへ……あっしの為にわざわざありがたい事で……」
そう、なずなは調査目的で任務にあたっていたので、目立つ巫女服ではなく、秋月小春と同じように学校の制服に袖を通していたのである。とある事件の時に通っていた、七ツ橋学園の制服である。水色と白の涼しげな色が映えるセーラー服だ。夜闇に照らされたその制服は、汚らわしい油によって淫らに浸食されつつあった。
「アンタのために制服を着たわけじゃないわよ! こんなもの……! すぐに脱出して……!…………っ……だめっ……どうして……!?」
「へっへっへ……あっしの油はねぇ……摩擦を減らしてしまうのでありやすよ。お嬢さんの獲物にしても、足元にしてもねぇ……?」
「そんな……!? 危険すぎるわね……アンタはここで始末しておかなければ……今後のためにもね……!」
「へっへっへ……そのような醜態を晒しておきながら……どうなさるつもりで? 後学の為にあっしに教えてはくれやせんか? 出来れば……の話でありやすがねぇ……?」
「! 油断したわね! ポチ! 頼んだわよ!」
「なっ……! 鎌鼬でありやすか!? 風の刃が無数に……! くっ……!」
ポチとは何者なのか……そう、油魔の発言から分かる通り、妖怪鎌鼬である。とある温泉街で起きた事件の際に懐かれてしまい、そのまま懐に忍ばせて行動しているのであった。言動から妖怪撲滅派の神社関係者と推察していた油魔の不意を突く形となったのである。風の力を使って立ち上がり、そのまま風の刃で攻撃したというのが今しがた起こった出来事。歴戦の退魔巫女の面目躍如である。しかも己の獲物まで手元に手繰り寄せるおまけつき。
「完全に不意を突いたわ! これで止めよ!…………きゃあ……!?」
退魔士の歩法のひとつである早駆けで一気に間合いを詰め、渾身の一撃で止めを刺すつもりであったなずな。あろうことか、これまで何度も繰り返して来た早駆けを失敗し、派手に転んでしまったのである。普段ではあり得ない失敗だ。一体彼女に何があったというのだろうか?
「へっへっへ……歴戦の退魔巫女ともあろう者が情けない失敗でありやすなぁ……! 最も……その様子では高速移動など出来るはずもありやせんがねぇ……?」
「くっ……どうしてこんな初歩的なミスを……」
「簡単な事でございやす。お嬢さん。足元をご覧くだせぇな」
「足元……?……なっ……! どうしてパンツが……!?」
「へっへっへ……股布……いや、ぱんつがずり落ちている状態で縮地じみた高速移動なんてすれば……転ぶに決まっているではありやせんか。おっちょこちょいなお嬢さんでございやすなぁ……?」
「このっ……! 油すまし……! 私に何をしたの……!」
「へっへっへ……油を使ったに決まっているではありやせんか。最初に転んだ時に細工をねぇ……ぱんつが丸見えでありやしたから……あっしの油をたっぷり染み込ませてあげやした。あっしの油の特性を覚えていらっしゃいやすでしょう?」
「……っ……まさか……!」
「へっへっへ……それだけたっぷり濡れば……摩擦なんて……あって無いようなものでございやす。いやぁ、ここまで予想通りに事が進むと……笑いが止まりやせんなぁ……へっへっへ……」
「くっ……何てこと……早く立ち上がらなければ…………きゃあ……! だめ……立てない……まさか……私の進路を予想して……油を地面に蒔いていたというの……?」
「へっへっへ……鋭いお嬢さんでございやすなぁ……やはりまともにぶつからなくて正解でありやした。運がよかった……という所でございやすかねぇ……。なかなか頭を使いやしたから……上手くいった報酬に……お嬢さんのお小水や、腸液を啜らせていただきたいところでございやすねぇ……?」
「……!? なっ…………このHENTAI……! 何てことを言うの……!?」
「へっへっへ……あっしにとってその言葉は褒め言葉でさぁ……それに……そのざまでは……お嬢さんに選択権なんて……ありやせんよ? 大人しくあっしに天上の美味を馳走してくだせぇな」
「くっ………………やっ……やだっ……近寄らないで……そんなアブノーマルなプレイなんて…………いやあああぁぁぁ……!!!」
「へっへっへ……こちらに来てから数々のお嬢さんを味わってきやしたが……退魔巫女のお嬢さん……貴女は3本の指に入ると断言できやす。へっへっへ……奇しくも3本の指は全員金髪のお嬢さんでございやす。ふぇいとさんと……ありささんだったかと思いやすが……お嬢さんのお名前も知りたいところでございやすねぇ……?」
「……ひぃっ……!? やだ……来ないで……こんなの……こんなのいやっ……! いやあああぁぁぁ……!!!」
静かな凄みを持ったHENTAIの言いようのない迫力は、歴戦の退魔巫女をただの少女にしてしまった。両肩を抱えて震える退魔巫女は、もはや歴戦の巫女とは思えない。哀れにも狼に襲われる子羊と同様の存在となってしまったのであった。救いがあるとすれば、苦痛ではなく、快楽に堕とされるということであろうか、油魔も個体名が付くほどの妖怪。女の子の扱いは心得ているのだ。しかしながらその扱い方がHENTAIという所が最大の問題である。彼女の悲劇は、まだ始まったばかり。一体どのようなHENTAI行為に晒されてしまうのか、それはもう、彼にしか分からないこと。退魔巫女、雷道なずなの明日は暗い。
なずなまで一人称で他の巫女と同じように語らせてしまうともっと文字数がひどいことになりそうだったので、今回はなずなパートは三人称で書きました。
バトルシーンというほどではありませんが、最近エロばかり書いていたので、少し新鮮な気持ちになれました。前書きにも書いた通り、次回はHENTAIになずなが無茶苦茶にされてしまうので、ご期待下さい。
展開的には割烹から、おにぎり屋様のリクエストを採用させていただきます。金髪三縦ということで、他の二人とは違うちっぱいをからかわれる展開となります。
リクエストありがとうございます。まだまだ退魔巫女は残っていますので割烹に書き込んでもいいんですよ?