いや、評価、予想外に高過ぎやろ、ガンツの読み物待ってたん?ってレベルで評価高くて作者驚いております。
「はあ、まじか・・・・」
俺は携帯をいじりながら独り言を漏らすと
「何かあったんですか?」
と岸本が話しかけてきたので俺は手をヒラヒラとして「なんでもないよ」と答えた。
現在俺たちは全員タクシーに乗り帰路に着いている。
尤も全員と言っても加藤は既に家に着いたので加藤を除く俺と岸本と玄野の3人だが。
俺はタクシーの助手席に、岸本と玄野は後部座席に座り現在玄野の家に向かっている最中なのだが。
そして、俺が独り言を漏らした理由は他でもない。
現世というか、この世界での俺の立ち位置での話である。
今しがたビジネスカバンに入ったままであった携帯で上司に連絡を取り明日休むことを伝えようとするも、生憎圏外であり、調べ物さえ出来ない始末。
財布の中にあった身分証明書の類は全てが消え失せ、唯一入っていたのは、全く身に覚えのない紙幣。
坂本龍馬の似顔絵が描かれた日本国の1万円札が3枚だけという有様だ。
つまり、ここで導き出される答えは、俺はこの国(世界)に身分なぞ、かく、神様だか、存在Xだか、なんでもよいが訳のわからない存在にホームレスへと進化させられたということだろう。
もし、この世界に俺という存在が居ないのであれば上司に連絡が行くこともない。もし行ったとしても返信では『お前だれ?』などの返信が来るはずではと考えた故の行動であったが、結論はちゃんと返信が返ってきており、内容は『ゆっくり休め』ということだった。
つまりは俺という存在はちゃんとこの世界に認識されており、俺だけが異物というわけではなく、俺の存在そのものがあるが、何故か俺の意識だけが異物という結論に至った。
つまりはここはガンツ世界でありながらちゃんと俺としての存在がいるある種パラレルワールドのような世界なのだろう。
正直余計に頭の中がこんがらがってくるが、それよりもまずは自分の存在自体がちゃんとあり、恐らく仕事も前の世界と同じものであろう。
え?何を言っているか分からないって?
大丈夫だ。当の本人も全くもって理解出来て居ないのだ。
「ところで玄野くんも本当にファミレスとかには行かないのか?」
そして俺は思考を切り替え、後部座席に座り面白く無さそうな表情で窓の景色を見ている彼に声を掛けた。
「あぁ。行かない。アンタ気をつけろよ。オッサンと女子高生が夜中にファミレスに居て補導でもされたら終わりだぞ」
玄野の至って真面目な解答に俺は思わず笑ってしまう。
「いや、オッサンって俺はこう見えてまだ25歳だからそこまでオッサンでも無いと思うんだけど。それに岸本さんだってきっとお洒落なり、ちゃんとした服着たらそれこそあまり高校生には見えないと思うよ?ねぇ、岸本さん」
俺の言葉にバッとこちらに首を向けた岸本が暫し悩んだ表情をして、答えた。
「あの、社畜さん?社畜さんは25歳なんですね。ところで本当のお名前教えて貰えませんか?社畜さんって呼びにくくて、いや本当に社畜さんなら社畜さんって呼びますけど・・・」
「いや、本当の名前が社畜さんって、そんなわけないよ」
彼女の言葉にまたしても笑みが零れた。
「俺の名前はサンシャイン池崎だよ」
「いや、どこの芸人だよ」
俺の言葉に玄野が速攻でツッコミを入れてくれる。
なるほど。ちゃんと俺の世界での芸人が存在することもこれで証明されたのだ。
どうやら本当にこの世界は俺の知っている世界にただガンツがあるだけ?
いや、俺の世界にガンツキャラ達が入ってきた?
そもそも前の世界とは全く違う時間軸のパラレルワールド?
一瞬答えに差し掛かった気がしたが一気にまた答えから離れてしまったような感触に思わずうんうんと頭をひねらす。
「あ、あの!だから本当の名前をですね!」
再び黙りこくった俺に岸本が痺れを切らしたのか再度問うので思考の波から離脱する。
「あ、ごめん。俺の名前は佐藤 ハジメ。気軽に佐藤って呼んで」
俺の言葉に「気軽になら普通は名前の方だと思うんですけど」等と独り言を漏らす時、玄野の声によりそれは中断された。
「あ、運転手さん。今見えているアパートの前で」
玄野はそう言って後部座席から身を乗り出しタクシーのフロントガラスに映ったアパートを指差した。
そこにはちゃんと原作で見た玄野が住んでいるアパートが存在していた。
「じゃあね、玄野くん。岸本さんでシコんなよ」
去り際に俺が窓を開け外に立つ玄野にそう言うと「シコるかよ!死ね!オッサン!」と雑言を頂き彼は中指を立てた。
「じゃあ、次は岸本さんの家だね。そこで一旦着替えておいでよ」
俺が後ろに座る岸本にそう言った時、既にタクシーのメーターは4000円を超えていた。
ーーーーーーー
「さっきから元気ないけどどうかした?」
現在俺と岸本は一度彼女の実家に寄り、岸本が着替えてからそのままタクシーでファミレスで止めてもらい2人で食事をしている。
既に夜中の0時をとっくに過ぎたので客もまばらな店内で俺は運ばれてきたハンバーグセットを食しながら彼女に視線を送った。
実際原作マンガ、アニメを知っているので彼女が自殺しようとした理由も。恐らく現在悩んでいるであろう理由も知っているのだが、敢えて聞く必要があるのは普通に知っていたらオカシイからなのだが、
「あ、あのですね・・・」
そして彼女は目の前に置かれたグラスのストローを回しながらどこか意気消沈とした声音で話し始めた。
彼女の机の上には俺と違いグラスしかなく、食欲が無いと言って何も注文しなかった。それは声音だけでなくとも意気消沈と判断するのはいくらか容易だったわけだが
「さっき家に帰って着替えた後、家に電話があったんです」
「電話?」
俺はハンバーグの添え物として置かれたコーンをフォークで掬い口に放りながら聞き返す。
「は、はい。母からだったんですけど、私の声を妹だと思って、なんか『私がお風呂場で手首切って病院に運ばれてるからあなたも病院に来なさい』って。
何度も、何度も私は妹じゃない。ケイだよって言ったんですけど、『ふざけないで、早く来なさい』って。
どう思いますか?」
彼女は未だグラスに視線を傾けながらやや暗い瞳で問う。
「いや、どう思いますかって言われても正直・・・って感じだよ。
じゃあ君のお母さんからすると岸本さんが2人いるってわけ?」
「ですよね。私も正直頭がこんがらがっていて、よく、わからないのが正直な気持ちです。ただお風呂場で手首切ったのは本当で、気がついたらあの部屋に運ばれていたっていうか。
佐藤さんもそうでしたか?」
「俺の場合もそうだね。気がついたらあの部屋にいたって状態かな」
俺の言葉に彼女はその場でため息をついた後「そうですか。あの部屋って一体なんなんですかね」
と呟いた。
「俺が思うにだよ」
「はい」
「俺もあの部屋に運ばれた?っていう言葉が正しいのか分からないけど、とりあえずあの部屋に運ばれたのは最後の方で岸本さんの前だったわけなんだけど、
ただ色んなことを総合すると、あの西っていう中学生の子が『次』って言葉もあったし、
恐らく毎回あの部屋に一度死んだ人間が呼ばれるんじゃないかな?」
「死んだ人間・・・」
「そう。多分だけどね、でも死んだ人間って言ってもそれはオリジナルじゃない。
あくまでコピー。ファックスの書類みたいな感じじゃないかな?」
俺は原作で西が出していた例えを用いることにした。
「ファックスの書類ですか?」
「うん。岸本さん、さっきの宇宙人いや、ねぎ星人の時、あんなに傷だらけだったのに無傷でしょ?
恐らく死なない限りは五体満足って言葉分かるかな?無傷の状態であの部屋に再び転送される。
これって、本当の身体じゃありえないよね。普通なら縫合すれば傷跡だって残るし、なにもせずに治ったとしても普通は少しなりとも跡が残るはずなのに、何もない。
これって書類のようにコピー品じゃないと出来ない。
第一俺には幼少期にケガした跡が残ってたはずなのにそれも無くなってる。
以上を総合すると俺たちはあくまでコピーなのかなって。
だから岸本さんのようにオリジナルが残っていることもあるのかも知れないし、もしかしたら俺のオリジナルも本当は家に帰ったらいるかもしれないんじゃないかなって思うんよ」
俺はそう言ってビジネスバックからタバコを取り出し、それを口に運び火を付ける。
「コピーですか・・・」
「うん。君にも傷跡とか無いんじゃないかな?俺のように」
俺がそう言うと彼女はハッとした表情で己の腕の裾をめくった。
「・・・無いですね」
彼女はそう言ってどこか悲しそうな表情を浮かべ俺に視線を戻した。
「まあ、とりあえずはやるべきことは今は一つ。
君のオリジナルが運ばれている病院に行こうか」
俺はそう言ってまだほとんど吸ってないタバコの火を無理やり灰皿に押し付けその場から立ち上がった。
「え?でももし私が家族にでも会ったら・・・」
そう言って彼女はどこか困ったような顔を浮かべたが俺はそこでニヤリと笑みを浮かべた。
「大丈夫。あの部屋のスーツの能力で俺が見てくるから。詳しくは向かいながら話すよ」
とりあえず俺たちはオリジナルの彼女が運ばれたという病院に向かったのだった。
ーーーーーーー
結論から言えばオリジナルは確かに病院の、しかも何故か今日緊急搬送されたにしてはいくらか早すぎないかという疑問に思うほどではあるが、彼女は緊急病棟などではなく、ちゃんと入院患者が寝泊まりする入院病棟の一室にて深く眠っていた。
まず最初に俺が緊急病棟の受付口にて運ばれた岸本の所在を確認し、既に病棟が移されたことを聞いて確認。
次に透明化になり、目視にてその姿を確認。
そして最後に入り口付近に隠れて待機していた岸本とコッソリ侵入し、2人でちゃんとオリジナルの存在を確認した。
そして現在は今後のことをどうしようかと考え、現在病院から最寄りの公園で2人並んでブランコに座っていた。
「私、これからどうすればいいんでしょうかね・・・」
彼女の声音は先ほどよりも更にどんよりとしておりその表情もそれに呼応するように暗かった。
「方法は二つかな」
俺の言葉に岸本も「はい」と頷いたので残された選択肢に彼女自身も大凡の検討がついているのだろう。
「一つはこのまま一人でひっそりと生きること」
俺の言葉に再び彼女は頷いた。
「もう一つは、予想が付いているけど君のオリジナルを殺して君が成りかわること。
ただし君も大体は検討が付いているだろうけどこっちは間違いなく犯罪だし、何より誰もがやりたくない選択肢だろうね」
俺の言葉に彼女はしばし黙りこくった後、やっとと言ったようにゆっくりと口を開いた。
「・・・私、自殺したんですよね」
言われなくても知っていたし、別に知らなくとも彼女があの部屋に転送された状態を見ればその予想は容易につくことから俺はただ無言で頷いた。
「でも死のうなんて気は無かったのかもしれません。
なんて言うんだろう。ただ家族との関係に疲れて、友達との関係も、学校の勉強も何もかも疲れたから、本当になんとなくお風呂場で自分の手首を切ったのが始めでした。
最初は全然落ち着いたりもしなくてむしろめちゃくちゃ痛くて、
でも血を見るたびに、『あぁ、私生きてる』って心の底から感じるようになったんです」
彼女の言葉に俺はただ黙って頷いた。
「でも、痛いのは本当に始めだけで、それからは次第に痛みよりも、『生きていること』を感じることが気持ちよくなって、それがストレスの発散にもなってたんだと思います。
ただ、何度も何度も切って行く内にその跡を家族に見られてからは余計に切るようになってしまって。
母が『なんでそんなことするの?』とか
『もっと自分を大事に』とか
『馬鹿じゃないの?やっぱりお父さんに似たのね』とか
それが余計にストレスになって、家族は全員私の行動を否定するし、肯定してくれないから、『あぁ、もうめんどくさいや』って思って深く手首を切ってそのままお風呂で寝ちゃったんです。それで起きたらあの部屋でした」
そして最後に『私って馬鹿ですねよ』っと言って乾いた笑みを無理やり浮かべた彼女の顔に俺は話の途中から吸っていたタバコの煙を彼女の顔に吹きかけた。
「長い」
そして俺は一言そう伝えた。
長い。その一言に尽きる。
あまりにも長いのである。ある程度掻い摘んでいるが実際もっと他にも現状の不満をタラタラタラタラタラ、彼女が自分語りを終えたのは一時間後である。
正直途中から何も聞いておらず、内心は「コイツまぢで胸デケェな」ぐらいしか思わなかったのが本音なのだが。
そして俺の言葉に岸本はその場にシュンとした雰囲気を漂わせ「ごめんなさい」と言葉を残しその場で首をガクリとうなだれた。
「要するにどうすんの?オリジナルを殺すのか一人でひっそり暮らすのか」
たらたらと講釈を述べる彼女に俺はタバコの煙、を吹きかけ問う。
「こ、殺すなんてできません」
俺の言葉に彼女は小さい声でそう答えた。
「じゃあ、一人でひっそり暮らすの?女子高生で?」
「そ、それは・・・」
俺の言葉に彼女は言い淀み更に表情を暗くした。
「あ、あのっ!」
そして彼女が押し黙ること10分。
携帯ゲームをして時間を潰していた俺に向かって彼女は口を開いた。
「ぺ、ペットとか飼いたくないですか?」
彼女の言葉に俺は「はあ?」と気を抜けた声を出した。
もちろん今後の流れも大凡把握出来るし彼女が言おうとしていることも分かる。
「ペットって?」
俺は携帯を見るのを辞め彼女の瞳を見て問う。
「あ、あのペットです!
ワンちゃんとか、猫ちゃんとかそーゆうの・・」
「うーん、よくわからないな。別に犬も猫も飼いたいわけじゃないんだが」
言いたいことは恐らく急に言われた意味がなさそうな単語に俺は首を傾げ、見当がつかないといった表情をする。
「いや、あのですね、べ、別に本当に犬や、猫を飼いましょうって言ってるわけではなくてですね、
あの、その、私を飼いませんか?」
「ん?」
「え?」
俺と岸本の目が合い二人の間に静寂が訪れた。
「・・・犬や猫じゃなくて君を俺に飼えと?」
「いや、わたしも役に立ちますよ!!!料理もそれなりに出来ますし!家事も多分得意です!それに・・・。」
彼女がアタフタとした様子でそう答えたかと思えば次第に声音は細くなり、やがて瞳から涙から流れた。
「私、帰るとこがもうないんです。お願いします。私を飼って下さい」
彼女の言葉に俺はその場で盛大にため息をついた後答えた。
「わかった。それなら家政婦として家に置いてあげる」
「ほ、ほんとうですか?」
グスンと鼻をすすり岸本が弱々しげな表情で俺を見つめた。
「ただし、ちゃんと家事をすること。
別にお金取ったりはしないから、俺が仕事に行っている合間も休まず出来る?」
「はい!!出来ます!!やります!!よろしくお願いします!!」
俺の言葉に先程の表情は打って変わり喜色を表し彼女はハツラウとした声で答えた。
「それならとりあえず俺の家帰ろうか。今日は疲れた。
もう、こんな時間だしね」
俺はそう言って携帯の画面を彼女に見せる。
既に時刻は朝の4時半を指しており、そろそろ日が昇る時間である。
「はいっ!」
俺の言葉に岸本がそう答えて二人してファミレスを後にした。
ちなみに
予想通りと言うべきか、ちゃんと俺の家は前の世界と同じ住所に存在していた。
ーーーーーーー
「じゃあ、風呂とトイレはそこだし、冷蔵庫の物は勝手に使っていいから。
お先にお風呂どうぞ。着替えとかもひとまずは用意してあげるから」
俺はそう言って帰宅後すぐに彼女に部屋を案内する。
案内すると言っても安月給のブラック企業に勤める身。ただ寝るだけの為となった部屋にそこまで案内するような物はない。
ユニットバスの畳の和室6畳1R
寂れた駅から徒歩15分の4回建てのアパート。オマケにエレベーターがない四階である。
家賃はそれでも月5万円。手取り額おおよそ18万弱の俺からしたら妥当な家賃ではあるのだが、
「それにしても・・・」
彼女はそう言って続きを言い淀む。
言わなくてもその先の言葉は分かる。
俺の部屋には物がないのだ。
所謂ミニマリストという奴ではない。
単純にブラック企業戦士が故に家に帰るのは寝る時だけ。
趣味もこれといってない俺の部屋にはテレビと畳の上に直接引かれた煎餅布団のみ。
「ごめんね、殺風景で」
俺の言葉に岸本は「ハハハ」と乾いた笑いを零す。
まあ、これからは岸本さんも、一緒に住むのだから引っ越しも悪くない。
それに仕事だって辞めてもいい。
いつ、ガンツに呼ばれて死ぬか分からないこの身である。
明日からは身辺整理を始めよう。
俺はねぎ星人戦を終わってから考えていた事を岸本に伝えると彼女は真剣な表情で『またあの部屋に飛ばされるんですかね』
と答えたので俺は『多分ね』と返しお互いが黙った。
「そ、それでも仕事辞めても貯金とかあるんですか?」
話題を変える為かそんなことを言った岸本に俺はニヤリと口角を上げた。
「社畜なめんな。
とりあえずの貯金はあるし、別に無職になろうというわけではないよ。
家でも出来る仕事に変えようってだけ」
俺はそう言って脳内で現実世界での俺の預金残高について思案する。
贅沢は出来ないがそれでも引っ越しとその後の生活を少しだけ遅れるだけの余裕はある。
それにもし足りなければそれこそガンツスーツで強盗なりなんでも出来る。
それに・・・この世界は俺がいた世界よりも10年程遅れているんだから。
それこそ儲かる機会はいくらでもある。
俺は再び携帯の画面を開き映された日時を確認する。
そこには2006年10月2日と記されていた。
稚拙な駄文で申し訳ありません。
正直見るに耐えない文章のくせに意外に評価をして下さる方がいてびっくりしている心境です。
今後も細々と更新していきますのでよろしくお願い致します。