※この作品はR-18です。

介護しちゃうよ、ユーリちゃん!!   作:ぴんころ

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第七話

「空、ダメ……っ!」

 

 逸物の抽送が、膣肉と逸物がぶつかり合う音が暗い室内に響く。悲鳴のようなユーリの声を、けれど怒りすら滲んだ空の瞳が黙殺する。一瞬の怯みによってできた意識の空白に、逸物と繋がっている女性器から与えられる快楽が加わることで声を抑えきれない。

 

「隣に、ディアーチェが……んぅ!」

 

「うる、さい……っ!」

 

 隣でディアーチェが寝ていることは空も把握している。その上で実行している以上、バレるリスクもあると知っているはずなのに、それを理解した上で部屋に来たくせに今更になってそんな言葉を口にするユーリにイラつきを抑えきれない。

 本来なら空は、たとえユーリが相手であってもこんな程度ではさすがに怒り狂わない。それなのに、今日に限ってこんなに怒り狂っているのは

 

「お前は、俺の未来を奪ったんだ……! たとえ何があった(怪我が治った)としてもそれは変わらないんだよ……!」

 

 やはり、ユーノとの話し合いだろうか。少なくともあの会話があってから、未来のことを考えられるようになってから、ユーリがいなくなる可能性を彼は考えた。そこで思ったのはユーリがいないことへの恐怖か、あるいはユーリがここから離れた後に幸せを得た未来に対する怒りか。どういったものかは彼自身にすらわからない。

 

「そんなお前が、幸せになるなんて許すか……!」

 

 けれど、少なくとも、離れることを許すことはできないと感じていた。だから、これがディアーチェに見られたとしても構わないとすら空は思う。ユーリと恋人として見られることに思うことがないわけではないけれど、それでもそう認識されてしまえばそう簡単には離れられない。

 

「わかってます……。わかってますから……!」

 

 泣きそうな顔のユーリ。睦言を紡ぐような間柄ではなく、けれどそんな彼女に対して空は唇を交わす。初めてのキス。これまではただユーリは黒い感情を叩きつけるだけの相手であったが、今回に関してはそう扱いたくとも扱えない。ディアーチェに見られた時のために恋人のように、けれど離れることを考えられないように彼女の内側に『空の未来を奪った』という事実をもう一度刷り込み直す。

 

 

 

 

 

 時間の流れは早い。すでにディアーチェがやって来てから一ヶ月程度。マテリアルがやって来た場合、彼女たちは一ヶ月が経つとエルトリアに帰る。そして今日は、つまりその日だった。

 

「ふむ、空のことは残念だな」

 

「はい。今日は休みを取っていたはずなんですけど……」

 

 けれど、その場所には空の姿はない。今回に関しては全くの嘘ではなく、管理局に呼び出しを受けているのだ。

 

「仕方あるまい。……あやつよりも小烏の方が地位が上なのだ。ただでさえ魔導師として戦えない空は立場が低い。そんな時にわざわざ責める理由を与えてやる必要もないだろう」

 

「そうですよね……」

 

 理屈としてはわかっていても、ユーリは空がそばにいないことに対して思うところがある。そのことに気がついているディアーチェは、けれど特に何かいうことはなく。

 

「ユーリ、ひどいことをされたら言うのだぞ?」

 

「大丈夫ですよ。空は私にひどいことなんてしません」

 

 来た時とはまるで違う、ディアーチェの心配の言葉。その理由はユーリにはわからず、けれどディアーチェの中では一つの懸念が生まれていた。

 

(ううむ……この間二人が交わっておるのは確認したが……)

 

 顔には出さずに、数日前に目撃した二人のまぐわいのことを思い返す。ディアーチェが目撃した時にはユーリは泣いていたのだが

 

(それが、ユーリが望んだことなのか、望んでいないのに泣かされたのか……)

 

 ユーリが空に対して罪悪感を抱いていることは知っているので、その行為が『空が怒りのままにユーリのことを慮らずに行った』のか、それとも『ユーリの罪悪感を晴らすために罰として行った』ことなのか。そのあたりの判別が彼女にはつかない。だからと言って、そういう男女の関係性に赤の他人(ディアーチェ)が口を出していいものか、と結局聞く勇気が出てこない。

 

「空は優しいんですよ?」

 

「う、うむ。そうだな」

 

 ユーリの笑顔にそれ以上の言葉を封殺されるディアーチェ。実際、ユーリが幸せであれば特にいうことはないディアーチェとしては、本当に幸せそうな笑顔なので何も言えない。

 

(そうです、空は優しいんです。……だって、私のことをそばにおいてくれてるんですから)

 

 ぎゅうっと胸の前で手を握るユーリは、微笑みながらそう思う。本来なら見たくもないはずの自分をそばに置いているという事実。すでに幾度となく捨てるような機会はあったはずなのに、それでもそばに置いている。「ユーリの罪悪感」を理解しているからこその行動なのか、それともまた別種のものか。兎にも角にも彼女は前者だと思っていて、だからこそ、それは優しさだと感じていた。

 

「ユーリがそういうのであれば、我からは何も言わん。が、苦しくなったりしたら、レヴィやシュテルが相手でもいいから告げるのだぞ?」

 

「はい。心配してくれてありがとうございます。……そっちも、もしも私が行くまで耐えきれないようでしたら教えてください」

 

「わかっておる」

 

 ディアーチェはそう言葉を残して、渡されている時間旅行のための装備を扱う。エルトリアは今の所はマテリアル三基でもどうにか死蝕は食い止められているらしく、ユーリが来るまではどうとでもなりそう、というのがシュテルの見立て。

 毎回来るたびにそのことを聞いているからこそ、ユーリは安心してこちらに留まっていることができる。ユーリは、『滅ぶ寸前のエルトリアを救うため』に復活させられたのだから。それを理解しながらもこちらに留まることができているのは、彼女を復活させようとしたキリエ・フローリアンやその姉、アミティエ・フローリアンが、自分たちのせいで一人の未来を奪ったことを実感しているから。

 

 空のことを連れて行くのか行かないのか。そこに関してはわからないが、本当にどうしようもない場合はユーリ自身、一時的にエルトリアに行くこともやむなしと考えている。

 

「それじゃあ、また」

 

「うむ。我からすれば三ヶ月後、ユーリからすれば三年後のことではあるが、その時にまた会おう」

 

 その言葉を残して、ディアーチェはミッドチルダから姿を消した。

 

 

 

 

 

 当然のことではあるのだが、ディアーチェが帰ったとしても二人の生活が大きく変わるわけではなく。ユーリはその日も当然のように夕飯を用意し始める。変化といえば料理の量が三人分から二人分に戻った程度。

 

「あれ……?」

 

 そんな中、端末に連絡が入る。ユーリも、管理局に所属することになったタイミングで端末を支給されている。もしもの時に連絡が取れないと困る、ということでアースラの面々が用意してくれている。空に関しては新しくデバイスではない端末を購入したのだが、それからの連絡の場合は着信音を変えているので、空からの連絡ではないことはユーリにもわかる。

 

「もしもし……?」

 

 誰だろう、と思いながらも電話に出るユーリ。はい、はい、と電話の向こうの相手に声を返して行くユーリは、少しの会話の後、ガシャン、と端末を落として。

 

「……っ!」

 

 そして、我を忘れたかのように家の外へと駆け出した。

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