ゲームとリアルの旅人 作:のーる
黒い黴が天井や壁を覆う、建物の残骸。
元はアパートだったと思われるその建物の窓ガラスや、外壁に取り付けられた金属製の階段は既に風化して久しかったが、内部の構造は比較的無事に残っていた。
大勢のフェラル・グールに占拠されていたそこが、今は僕の住処だ。
三階建ての建物の、一階にある部屋に僕はゲームから持ち込んだ四足の木製ベッドを持ち込んで寝床にしている。
缶詰入りの『きれいな水』に、水でジャガイモの粉末を戻す『粉末ポテト』の朝食を終えて僕はベッドに寝転んだ。
拠点の周りは昔は小さな街だったらしいが、他にまともな建物はない。
なのでこの建物は遠くからでも、かなり目立ち、僕もそれに引き付けられたという訳だ。
この世界に飛ばされてから既に一週間。
僕は、どうやらこの世界もフォールアウトに似通った世界であると知り始めていた。
一人彷徨う僕に襲いかかってくる異形の動物や化物は、全てフォールアウト4で見覚えのある姿。
朽ちかけたポスターを見ればヌカコーラやVaultの広告がそこにある。
ゲームの世界が現実になったのか、あるいは偶然よく似た世界に飛ばされたのか。
理由は分からないが、同じ過酷な世界でも前知識の全くない場所に飛ばされるよりは辛うじてマシだろうか。
一つの正面玄関と二つの裏口があったこのアパートは、ゲームの世界から持ち込んだパワーアーマーとアサルトライフルで制圧した。
屋根のある寝床を求めて入った場所がフェラル・グールの巣窟となっていたことは想定外だったが、現実世界でのパワーアーマーは素手での攻撃でさえ、フェラル・グールを軽く吹き飛ばす。
外に穴を掘って死体を埋める作業は、流石に平和な日本に住んでいた身としては堪えるものがあったが、化物達と否応無く殺し合いをしている内に、汚れや血に対して幾らかの耐性が出来たのだ。
僕が得た能力のルールの理解も大分進みつつある。
ゲーム内のアイテム持ち出し用コンテナには、タレットやパワーアーマーフレームなど、本来は収納出来ないオブジェクトも入れる事が出来るが、そういった物はかなりの重量になっているようだ。
タレットは重さ150、パワーアーマーフレームは重さ100と機械類はそう気軽に持ち出せる訳ではない。
しかし多少の制限はあるものの、朽ち果てた廃墟と、僅かな植物、そして果てしない荒野しか見ていない現実世界でまともな物資が手に入るはずもなく、この能力には随分助けられている。
正面玄関と裏口の一つは家具でバリケードを作って塞いだし、一つ残った裏口もマシンガンタレットが守っていた。
(さて、と。 今日もゲームを始めるか……)
そう思いゲーム開始、と呟きかけた時だった。
ただ一つ塞がれていない裏口の方から物音が聞こえた。
咄嗟に僕は身構えて、近くに置いてあった10mmピストルを手に取る。
自然に出た物音ならいいが、この周辺の地域には危険な生物も多く存在しているはず。
しかし、タレットが反応していないという事はフェラル・グールやスーパーミュータントでは無いはずだ。
本来ならば複雑な機器であるタレットを専門知識の無い僕が設定出来る訳も無いのだが、現実にタレットを持ち込んだ時に一緒にメモもついてきて、それによると僕はただ念じるだけで、タレットに狙うべきターゲットを入力出来るという事だ。
現在のターゲットは人間以外の生物。
友好的に接する事が出来る人間を誤射しないとも限らない為、今はそのように設定していた。
出来るだけ音を立てないように部屋の片隅に置かれたパワーアーマーを着用しようとするが、その時、声が響いてきた。
「おーい、誰かいるのー?」
それは女の声だった。
この世界に来て初めて聞く人間の声に心が高ぶるが、レイダー等の悪人である可能性があるのでパワーアーマーは着用する。
そして廊下に重たい金属音を響かせながら裏口の方へ向かうと、入口のすぐ近くに置いたタレットを警戒していたのだろう。
裏口の外から再び話しかけられた?
「この音は……、に……、人間?」
怯えたような、どこか覇気のない声。
僕は弱みを見せないように、出来るだけ平静を装い応答する。
「そうだが……、何者だ? 言っておくがこちらには強力な装備がある。 下手な事は考えない方が身の為だ」
「そ、そんなんじゃないわ。 ちょ、ちょっと物資を分けて欲しくて……」
「……まあ、入りな」
信頼した訳では無いが、少なくとも直ぐに事を構えるつもりはなさそうだ。
この世界の情報を得るチャンスでもあるし、僕は女と話をすることにした。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
僕はパワーアーマーを脱ぎ、黙って椅子に腰掛ける。
部屋の中に食器同士が擦り合わさる音だけが響いている。
実際に顔を合わせてみると、女は恐らく20代前半くらいだった。
赤毛のその女は、よほど喉が乾いていたようで、直ぐに水をくれないかと頼んできた。
かなり切羽詰まった様子だったし、落ち着いて話をする為にも一度落ち着かせた方がいいだろうと、きれいな水に、ついでに即席ポテトを出してやったら脇目も振らず貪るように食べ始めた。
そして皿の中身が女の口の中に消えた頃、やっと会話を始めることが出来た。
「なるほど……、レイクランドね。 そこがここらで一番大きな町なのか」
「ええ、私達も拾った物資を売る時に立ち寄る事があったわ」
女は名前もリンダというらしい。
仲間と共に廃墟を漁り、戦争前の物資を探すスカベンジャーをしていたらしいが、変異生物に襲われて仲間と荷物を失い、居住地を目指してほぼ何も持たずに荒野を彷徨っていたらしい。
そうしている内にこのアパートを見つけ、何か生き残るための物資が見つかる事を期待して入ろうとして、僕に出会ったわけだ。
僕はとりあえず怪しまれないよう、旅の行商人を装い、この近辺の情報を彼女から引き出していた。
Vault-Tecやスーパーミュータント、グールという単語は通じるがゲームの世界の組織や地名は通じない。
どうやらここはゲームとは似て非なる世界と言えるらしい。
「そ、それでさ。 10mm弾があれば、出来れば10発程分けて欲しいんだけど……、出来れば水と食料も……」
おずおずとリンダが僕に対して切り出してくる。
確かに今の彼女は武器も食料も無いらしいし、このままでは居住地まで辿り着けないだろう。
僕としては情報の礼にただで渡してもいいくらいだったが、更に何かを引き出せないかと少し渋ってみせる。
「あんたは一文無しなんだろう。 流石に商人として只で物資を渡すというのもな……」
ちなみにこの世界ではキャップは通貨として扱われてはいないようだ。
経済は基本的に物々交換で成り立っているらしい。
「た、只なんて言わないよ。 あんたも一人旅なら溜まっているだろう。 ほ、ほら、私の穴を使わせてあげるからさ……」
そうしてリンダは媚びた笑みを浮かべながら、革のズボンを下ろしていく。
リンダの髪の毛と同じ色の赤色の陰毛が顕になり、性器が外気に晒される。
日本にいた頃は女性と性交をした経験がなかった僕にとって、初めて見る部分。
それに僕の男根は否応なしに、そそり立っていく。
「なる程な……」
物資と引換に体を差し出す。
ここがそんな荒れ果てた世界だと改めて気がついた。
今までの僕なら怖気付いて、その取引を拒否していたかも知れないが、彼女の行動で僕の中にはある衝動が芽生えていた。
日本にいた頃とは全く違う、下品で浅ましい欲望のままの生き方をしてみたい。
こんな崩壊した世界で生きていく上で、今までのルールや常識をこの際無視してみよう、と。
気がついたら僕は彼女の言葉に首を縦に降っていた。
「まあ、いい。 服を全部脱いで、そのベッドの上で尻を突き出せ」
「あ、ああ」
リンダは多少はためらいを見せるが、こういうことは初めてでは無いのだろう。
服を脱いでいくと、リンダの骨の浮いたやせ細った体が顕になり、ベッドの上でその股の間についた赤紫色の裂け目を僕の方につき出す。
恐る恐るその肉襞を割開いてみると、発酵したようなどろりとした臭いが僕の鼻をついた。
体を洗わせた方が良かったか、と思うも、もう僕の性器ははち切れそうな程に張り詰めている。
唾液を陰茎に垂らして指で伸ばすと、それを潤滑液にしてリンダの膣穴に突き入れる。
生温かく締め付ける肉穴。
初めてのセックスは汗と尿の臭いがした。