ゲームとリアルの旅人 作:のーる
暑い日差しが照りつける日中の荒野。
その中に、僕が今滞在している集落はあった。
ビッグファームと名付けられたこの集落には、その名前に反して木切れや錆びた有刺鉄線をツギハギにした囲いに囲まれた五ヘクタール程度の農地しかない。
かつてのアメリカの農業に比べれば笑えるほど小規模な畑だったが、それでも今の世界では比較的大規模な方だった。
この集落に定住しているのは五十人程だが、周囲の村落からのアクセスが良好な為、常にそれより多い数の人間が滞在していた。
僕は昨日の夕方この村落につき、昨夜は村に一軒ある宿屋に泊まって、今日の昼からこの村落に設けられた市場で商いを行うことにしている。
とは言っても別に食料や武器、衣服に至るまで自分で供給出来るので物資を求めての商売ではない。
僕が求めているのは情報。
この過酷な世界で安全かつ快適に暮らせそうな場所を得る為に、数日前に別れたリンダに聞いたこの場所を訪れたのだ。
ちなみにあの後、リンダには約束通りに弾薬と食料品を渡して別れた。
あの乏しい武装で、彼女一人で拠点まで辿り着けるかは分からないが、あまり深入りし過ぎても仕方がないだろう。
あれから数日経ち、ゲームの方も大分進んだ。
どうやらロボットの中でも、ロボット作業台で一から自作したロボットならば持ち出す事が出来るらしく、今の僕のとなりには作業台で作ったアサルトロンが控えており、ボディーガードの任務を果たしている。
この世界では稼働可能な程状態の良いロボットは非常に珍しいらしく、これまで出会った人間の多くにどこで手に入れたかを聞かれたが、適当に言葉を濁して誤魔化しておいた。
とにかく、これで寝ている間や旅の途中の警備体勢も整ったし、大分安心して行動できる。
スーパーミュータントの集団などに襲われた場合を考えると、更に多くロボットを連れてもいいかも知れないが、それは流石に目を引きすぎて逆に危険そうなのでやめておいた。
僕が地面に敷いた布の上に並べている道具は武器弾薬、衣服といった農業では手に入りにくいものだ。
ビッグファームには近隣の農地から、農作物を取引する為に多くの農家が訪れるとリンダに聞いた為に、農作物は避けておいた。
10mm弾や.44弾といった拳銃用の銃弾の売れ行きが良く、各百発程揃えておいたのだが直ぐに売れてしまった。
引き換えに受け取ったのは、テイトやトウモロコシといった保存の効き易い食物で、これは次に行く居住地で売る商品にしようと思う。
今は荷車がない為に少ない荷物しか持ち運べないので、この村を出るときに荷車を買うことにしよう。
そう考えていると、また次のお客さんが訪れた。
「へぇ、いい銃置いてるな」
客は無精髭を生やした金髪の三十代くらいの男で、布の上においていたハンティングライフルを手に取りしげしげと眺めている。
「ちょっと動かしてみても?」
「どうぞ、ご自由に」
男はボルトを動かし、動作に問題が無いことを確かめると、眉間に皺を寄せて何かを考える仕草をする。
「テイト30個で譲ってくれないか?」
「冗談、その銃なら三倍は貰わなきゃあ譲れないね」
僕としては別に値段はどうでもいいのだが、リンダから聞いた商品の相場からすると30個は安すぎた。
商人として活動している以上、儲けに興味が無い素振りを見せては怪しまれると考え、銃を売り渋る事にする。
「参ったなぁ……、実はもう銃弾やら布を買っちまったから残りの食料は少ねえんだよ。 90個も払ったら帰りに食う物が無くなるぜ」
どうやら男は近隣の農村から出てきた農家のようだ。
確かに農家にとっては防衛の為に強力な銃を得るのは死活問題だろうが、だからといって三分の一に値段を負けるわけにもいかない。
「残念だ。 じゃあ、ご縁がなかったってことで……」
「あー、待った。 ちょっと待てよ。 あんた今日はこの村に泊まるのか?」
「……ま、そうだな。 今日、明日くらいはこの村で商売をしていこうと思っているが」
「じゃあよ、今夜俺の女房を貸すから、それで銃を譲ってくれや」
「はぁ?」
幾ら荒れた世界でも、商品と引き換えに女房の身体を他人に委ねるような人間が居るとは予想しておらず、思わず驚きの声を上げてしまう。
「あんたの妻だろ? いいのかよ、そんな……」
「別にいいさ。 身寄りが無くなった女を村のリーダーの判断で勝手に押し付けられただけの女房だしな。 普段から身体を売るのには慣れている淫売だから今更気にしねえよ。 おい、ルーシー!」
男が大声を張り上げると、少し離れた位置にあるバラモンに引かれた牛車に腰掛けていた女性がびくりと身体を震わせてこちらに寄ってくる。
歳は二十代後半だろう。
ボロボロのリネンのワンピースを一枚だけ身にまとい、服からはみ出た手足は細く痩せこけている。
薄い金色のトウモロコシの髭のようなぼさぼさの髪は肩まで伸びており、全体的に小さな身体だが目だけが大きく目立っていた。
きょろきょろと落ち着きなく周囲を見渡しながら僕の前に立った女の肩に手を置いて、男は下品に笑う。
「ちんちくりんの貧相な身体だけどよ。 まあ、乱暴に扱ってもいいからこれで勘弁してくれや」
「えっ……、あ、あなた……、私もう……」
「ああ!? ガキも産めねえ穀潰しが口答えすんじゃねえよ。 てめえの臭えマンコ穴が銃に代わるんだ、黙って股開いてりゃ良いんだよ!」
「あー、分かった分かった。 条件を飲むよ。 だからこんな目立つ所で大声出さないでくれ」
周囲の人々の視線が興味深げに集まり始めたのを感じ、慌てて話を打ち切る。
僕の方を一瞬見たあと、顔を俯かせてしまった女を見て少し気まずさを覚えるが、リンダと別れてから女を抱いていないし、どのみち今日は娼婦を買うつもりだった。
今夜、宿の俺の部屋に来るように。
そう言い残して僕は、早々に店じまいをすることにした。
あの女はどうやって楽しめばいいだろうか。
優しくしてやるのもいいが、せっかく旦那の許可が出ているんだし少し趣向を凝らしても良いかもしれない。
僕は頭の中でアイデアを練り始めていった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
私は今日も、夫に売られた。
住んでいる農村が変異生物の襲撃を受け、私の父と兄が亡くなったのが三年前。
全ての身寄りを無くした私は、女一人では生活していけないだろうからと村長の計らいで村に住む独身の男の妻にさせられた。
自分の意思ではない結婚とはいえ、出来るだけ夫を好きになるように努めようとはしたが、その男は私の事を押し付けられた厄介者としか見ておらず、酒代の為に他の村の男に貸し付けたり、食事に残飯しか与えてくれない等、とてもまともな扱いをしてはくれなかった。
そして私は今、ライフル銃と引き換えに知らない男に抱かれに行こうと宿の階段を登っている。
今日の昼に会った商人は黒髪をした筋肉質の男で、周囲にはロボットのような物を控えさせて商品の警備をさせていた。
噂には聞いたことがあるが、実際に動いているロボットなど私は見たことがない。
どんな素性なのかは知らないが、一介の農家など問題にしない程の財力を持っているのは見ただけで分かった。
とうとうドアの前に辿りつき、数秒躊躇った後、弱々しくドアをノックする。
「あ、あの失礼します」
「入っていいぞ」
ゆっくりと部屋の中に入っていく。
この部屋は宿でも上等な部屋らしく、私と夫が止まっている粗末な藁が敷かれたベッドがあるだけの小部屋とは違い、大きな布のベッドがあり、二つ椅子がついた四角いテーブルまで備え付けられていた。
男の様子を伺おうとした私の視線は、しかしベッド脇に置かれたテーブルの上に吸い込まれてしまう。
そこには宿の食堂に注文したであろうバラモンのステーキやトウモロコシと人参のスープ、パン、蒸したテイト、イグアナの角切りなどの料理が所狭しと並んでおり温かな湯気を立てている。
更には戦前のお菓子と思われる箱と、瓶に入った未開封のウィスキーという貴重品もテーブルに載っていた。
今日は昼に蒸しテイトを一つ食べたきりで、痛いほどの空腹感を感じていたお腹が思わず鳴ってしまった。
そして男はテーブル横の椅子に腰掛けており、その向かい側には胸の大きな可愛らしい顔立ちの女性が座っていた。
女の方はまだ十代に見える程に若い。
二人は私の方を見て、にやにやと嫌な笑いを浮かべていた。
「よう、来たか。 早速で悪いが、そこのベッドの上で服を全て脱げ」
「うふふ」
「は……、はい」
もしかしてテーブルの上のご馳走を食べさせてくれるのかも知れないという希望は呆気なく打ち砕かれる。
同性の前で服を脱ぐことに抵抗はあったが、もう夫が約束してしまった以上、ここで帰れば何をされるか分からない。
私は汗臭いベッドに上がると、一枚だけ来ていた服を脱ぎ一糸まとわぬ全裸になる。
「俺たちはまだ飯を食べてなくてな。 それまでの間、一人で穴を弄っていろ。 こっちに股を向けてよく見えるようにな」
「えっ……」
私は抱かれる為にここに来たのではないのか?
そう疑問に思いぽかんとしていると、男は笑いながら隣の少女の胸に手を回す。
「いや、さっき下の酒場でこの子に会ってよ。 あんたよりずっと若いし美人だし、こっちに相手してもらう事にしたんだわ。 でもあんたの夫に、あんたの身体を一晩借りた以上やっぱり要らないっていうのもな……」
「そんなの気を使う必要ないですよぅ。 こんなガリガリおばさんの身体なんて抱いてもつまらないじゃないですかぁ」
「そうなんだが、ま、男の約束って奴だな」
二人の話を茫然と聞きながら、私はベッドの上に座ったまま動けない。
乱暴に扱われるのは覚悟していた。
痩せっぽちで女としての魅力に乏しいのも理解していた。
だが女としてすら扱われない予想まではしていなかった。
「いやぁん、まだ胸は触っちゃ駄目ですよぅ。 ご飯の後でゆっくり、ね」
「ああ、そうだったな。 じゃ、食うか」
食器を手に取りご馳走を口に入れ始めた二人を見ながら、私は何も考えられないまま身に染み付いた条件反射で命令に従う。
二人に向けてカエルのような姿勢で座って性器を曝け出し、割れ目に指を這わせていった。
彼らは美味しそうな食事を口に運びながら、空腹のまま指で陰核を擦る私を横目で見ている。
「うわぁ、おばさんのマンコ、黒くてキモ……。使い込み過ぎじゃないですかぁ」
「ははは、ユミのはどうなんだ?」
「あたしのはピンクだもん! 私普段はこんなことしないんですよぉ。 今日はどうしても困ってたのと、お兄さんがかっこいいから特別です」
「そりゃ楽しみだ。 あー、ルーシーとか言ったか。 もっと本気でやれよ。 動きが適当だぞ」
「そうですよ、おばさぁん。 もっと指をずぷずぷ出し入れしなきゃ。 お兄さんに使って貰えない汚いマンコなんですから、せめてオナニーくらい頑張りましょうよ」
「は、はい。 すみ、ません」
今日はここに来る前に、水で念入りにあそこを洗ってきた。
夫や村の男達ではなく、身なりのいい裕福そうな商人に抱かれるのだからと、せめて臭いで不快にさせないようにはしたつもりだ。
だがそんなことを口答えしても仕方ない。
私に出来ることは黙って水音を立てながら、二人の前で屈辱的なショーを続ける事だけだ。
そんな時だった。
「あ、ちょっと悪い。 トイレ行ってくるわ。 ついでに少し会ってくる人も居るから一時間くらいかかりそうだ。 ユミは勝手に食っててくれ」
「はぁい」
男は立ち上がるとドアを抜けて、一階への階段を降りていく。
部屋には私とユミという少女と二人だけになるが、私は以前として手を動かし続けた。
しかしユミは少し俯いて息を吐いた後、こちらに軽く目をやり手を横に振る。
「あ、あの、もうやめていいですよぅ」
「え……、で、でも……」
「あの人は居ない訳ですしぃ、私は別に言いませんから」
私は少し不安を感じながらも、恐る恐る愛液に塗れた手を陰部から離す。
ベッドの上で股を開き続ける私に、ユミは優しげな笑みを浮かべながら手招きをした。
「今のうちに食べてくださいよぅ。 お腹空いてるんでしょう?」
先程まで私に対して蔑みの言葉を投げかけ続けていた彼女の態度の変化に、私は思わず戸惑ってしまう。
「ごめんなさい………あの人、あなたを虐めたいらしくて、私にも罵るようにって言ってたんです。 私もほんとぉは嫌だけど、言わないと報酬をくれないかも知れないし……」
「あ……、そ、そうだったんですか?」
「私さっき言ったような事思ってませんから、傷つかないでください。 ほら、帰ってくる前に食べてください。 私の分、全部食べてもいいですよぅ」
「あ、ありがとう………、ございます」
私はまずバラモンのステーキをナイフで切って口に運ぶ。
彼女はわざとあまり料理を食べないようにしてくれたのだろうか。
皿の上の料理はまだ殆ど減っていなかった。
肉など食べたのは何時ぶりだろう。
ユミの真意を知って安心したからか、味わう余裕も生まれている。
口の中に溢れる肉汁の味が涙が出るほどに美味しかった。
「ほら、お酒も飲んでください。 素面じゃこんな事やってられませんよぅ」
「あ、ありがと」
ユミが金属のコップにウィスキーを注いで三分の一くらいの水割りにしてくれる。
喉が熱くなるようなアルコールの感覚に、緊張が解れていくのが分かった。
「多分あの人が帰ってきたらまた同じような事になると思いますけど、私はあなたの味方ですからぁ。 あっ、あなただけがアソコを見せるのは恥ずかしいですよねぇ。 ほら、私のおマンコもどうぞぉ。 えへへ、ピンクってのはほんとぉなんです。 この子もご挨拶してますよぉ、ルーシーさんよろしくねぇ」
「あ、よ、よろしくお願いします」
ユミは服の裾を捲くり私に向けて性器を露出した後、桃色の粘膜が覗く膣口をぱくぱく広げ腹話術の真似事までしながら、お道化を演じてくれる。
私はつい彼女の股に向けて頭を下げてしまった。
ユミは自分の恥ずかしい姿を見せることで、私の屈辱を和らげようとしてくれているのだろう。
それから彼の足音が聞こえるまでの一時間程、彼女の給仕で私は食事を続け、途中で譲りはしたものの彼女の分の料理の三分の二は私のお腹に入ってしまった。
ドアが開く直前、私達は視線を交わし軽く微笑みあった。