ゲームとリアルの旅人 作:のーる
半壊した廃墟の中、パワーアーマーに身を包んだゲーム内のキャラクターがスーパーミュータントの頭を銃で吹き飛ばす。
そして敵の死体は勿論、全てのコンテナから可能な限りの物資を取り出していった。
五日前にゲームの進行状況がリセットされ、今は所々寄り道しながらもストーリークエストを進めている。
自由博物館前のデスクローを倒すのには少し手間取ったが、そこはパワーアーマーを纏いながら水商売で大量に貯めたスティムパックを打ちまくって強引に突破。
今はケロッグを追ってヘーゲン砦に侵入する直前までストーリーを進めたが、同時進行で物資集めもしなければならないので、プリドゥエンでB.O.S.のT-60パワーアーマーを手に入れるまでは後二日という所だろう。
オートマトロンのクエストは現在進めておらず今はタレットや弾薬、保存の効きそうな食料品、そしていずれ居住地を建設する時の為に資材となりそうな家具も持ち出していた。
本棚や机等の家具はコンテナを使い持ち出すことが出来、それらを現実世界で分解すれば大量の木の板や鉄板が容易に手に入る。
タレットやロボットとは違って重量もそれ程食わないので、一度に数十個持ち出す事も可能だった。
しかし、暇だ。
別にゲームの進行がどうこうと言うのではなく現実世界の話で、この所は誰とも会っていない。
今は機密保持の観点から人と会わない事が望ましいのだが、だからといってインターネットもないこの世界に一人だけで居るのは予想以上に退屈だった。
僕の目的は快適で安全な居住地の中で、楽しく暮らすこと。
快適で安全だけならば僕とロボットだけでも達成できるが、それでは何の楽しみもない。
ただ生き延びるだけの、無味乾燥の人生だ。
人は人との関わりの中でこそ喜びを覚える。
この荒廃した世界に来て、僕はその事を実感していた。
もし居住地を作れる程の物資を溜め込んだらどうしようか。
僕が頂点に立って、その居住地に住まわせた人を直接支配するという形でもいいが、それでは下克上を狙う者に命を脅かされる可能性もあるし、権力者というのは面倒事が降りかかってきやすいだろう。
それよりもロボットに居住地を管理させておいて、僕はあくまで一住人として大勢の中に溶け込むのが良いかも知れない。
最近は空いた時間をこれから作る居住地の構想にあてることが多くなった。
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ついにメカニストを倒した。
最後の無数のロボットとの連戦には手こずったが、物資を湯水のように消費し続けた上に性能の良いパワーアーマーを身につけていた事で辛うじて持ちこたえる事に成功したのだ。
結果として全てのパーツが解放され今日初めてロボブレインを作成して現実世界に持ち出してみた。
透明な頭部パーツの中に浮いている生体脳は予想以上にグロテスクで、これが人間の脳だと思うと鳥肌が立ってしまう程に気分が悪くなったが、それはそれとして性能……、特に知能面では優秀だった。
ロボットには種類毎に人工知能の性能に差があるらしく、プロテクトロンが一番単純で命令された一つの行動を忠実にこなす程度だ。
アサルトロンはプロテクトロンよりは頭が良く状況に応じて行動を自分で選択出来る……、つまり自分を護衛しろと命じた場合、周囲の索敵、他の生物を見つけた場合の敵かどうかの判断、攻撃方法の選択等を自動で行えるが、それはあくまで命令の範囲であって自分の行動の指針を決められる程ではない。
自分で組み上げたロボットだからかも知れないが、そこはゲーム内のエイダとは違う所らしい。
しかしロボブレインはかなり頭が良く、収集した情報から最適な行動を提案する事が出来る。
例えば誰か人間を探してこいと命令を出した場合は、アサルトロンならば恐らく闇雲に歩き回り人間を探す事しか出来ない所を、ロボブレインなら周囲の地形から人間がいそうな場所を自分で判断し、僅かな痕跡から効率的に捜索出来るだろう。
このロボブレインならば居住地の表の管理者としては適任に思えた。
後はロボブレインの手足となるロボット……、アサルトロンやプロテクトロンを中心にセントリーボットも少数配備した方がいいだろう。
そして資材や弾薬も十分に揃えば、後はいよいよ居住地の作成だ。
大勢の人間が集まれば自然と娯楽も増えてくるだろうし、色々と刺激のある毎日が送れるだろう。
人を居住地に住まわせるとなると一人一人に役割を与える必要があるが考えられるものとしては役人、警備兵、店員、農民、土木作業員、医者、運搬業者、後は様々なサービス業だろうか。
変異生物を家畜にして畜産をしてみても面白いかも知れない。
まだまだ物資も戦力も足りていないので、まずは次にゲームがリセットされるまでの約一ヶ月半はロボットの補充に努め、その後は一月程建築資材や食料、弾薬の貯蓄を続ければ取り敢えずの目標には到達出来る。
先は長いがロボブレインによって、計画の目処がついたので気は楽だった。