Fate/zero × MTG のクロスでも書こうかなと 作:栗鼠科.aka.メスガキ撲滅委員会
01
一面の雪景色が広がっていた。木々は白装束を纏い、大地は白塗りで、空気が凍っていた。
衛宮切嗣は、この場所が好きだった。妻の故郷ということもあるが、静かで、平和だったからだ。
その一方で。この男は、なんとも不思議そうな顔で、物珍しそうな目をしていた。
「ゆき…か。ふむ…」
窓の外に広がる一面の雪景色を眺め。セイバーが呟いた。
「寒いところは苦手? セイバー」
そう聞いたのは、彼のマスターの妻。アイリスフィール・フォン・アインツベルン。
呼び掛けられたセイバーは首を動かさず、窓の外を眺めたまま、答えた。
「霊体だからか…、気温の変化には疎い。だが、珍しくてな…」
「あなたの
「ああ。ミラディンでは見なかった景色だ。しかしなんだ、まだどうにも、慣れんようだ」
「仕方ないわ。切嗣だって、最初は辛そうにしてたもの」
アイリスフィールはくすくすと笑った。伝説として語り継がれる英霊が、寒さに弱いというのが、なにか面白かったらしい。
ここで、セイバーの目が、細くなった。想いのある目だった。なにか、忘れていたものを思い出したような、複雑そうな感情が見えた。
ふと気になったのか、アイリスフィールは席を立ち、セイバーの隣へ移動した。
「………」
セイバーの視線の先、窓の外に。林の中で遊ぶ、親子の姿があった。
セイバーは黙って、なにかを想いつつ、それを見つめていた。
「子供が好きなの?」
アイリスフィールの目には、セイバーの表情に浮かんだ感情が、優しさに見えた。それは、自分の子を見守る、夫の目に似ていた。英霊と言えど、サーヴァントと言えど、元は人間なのだ。例え他人の子供であっても、その成長を喜ばない大人はいないだろう、そう考えた。そして、返ってくる返事は分かっていても、アイリスフィールは、聞かずにはいられなかった。聞いた後で、聞かなければよかったと、聞いてはいけない事だったと、後悔したが。
「…そうだ。あのような笑顔は、戦場では見られない。未来を作るのは、大人ではない。子供たちが未来を作る。我々はただ、それを助けるだけだ」
「…そうね」
「戦争の無い世界というものが、こんなに平和だったとは。……いいものだな」
セイバーは、侵略軍との戦いで疲弊した心が、気温とは真逆に、優しく解けていくのを感じた。それは、戦う理由として十分だった。
この世界を守りたい。子供たちの未来を、笑顔を守りたい。それが、今も生前も変わらない、セイバーの目的だった。それを思い出した。
最初こそ戸惑っていたセイバーだったが、視線を下ろし、顔を上げた時、そこに迷いは無かった。戦う理由ができた。自分の新しい命をかけるに値する、正しい理由が。
元より、セイバーに迷いなど無かったのだ。迷う必要なぞ、無かったのだ。戦争を終わらせて、平和を取り戻す。それが、ただ一つの願いだったのだから。
そうして、清純を夢見た気高き戦士は、冬木へと降り立つ。
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