Fate/zero × MTG のクロスでも書こうかなと 作:栗鼠科.aka.メスガキ撲滅委員会
10
冬木にも教会はある。そこは
教会とは神聖な場所であるため、その中では慎ましくしなければならないものだが。この日は、その一室で、朝から酒に溺れる、自堕落な女の姿があった。
「…見込み違いだったのかねえ」
意気消沈のライダーである。
彼女が居るのは
ライダーは少しばかり、自信を無くしていた。朝の早くからライダーが言峰教会に居るのも。待ちぼうけを食らって暇なので、酒を飲み漁っているのも。そして血魔女の誇りと自信に傷をつけたのも。全てはマスターである言峰綺礼が原因である。
ライダーは昔を振り返る、思い出す。あの頃は毎日が楽しかったなぁ…、と。
―
ラヴニカ。地球とは比べ物にならない程に、高度に文明が発展しているため、地上の全域のほぼ全てが都市に覆われた次元。発展し続ける文明は次元の端の限界まで広がり、世界そのものがひとつの都市になってしまった。それがラヴニカという次元であり、都市である。
ラブニカには国家というものが存在しない。代わりに都市を動かしているのは、10のギルドである。
立法府として法整備を生業とする、保守的な司法機関『アゾリウス評議会』。
一般市民からは存在しないものとして扱われているが、情報を掌握し影で暗躍を続ける『ディミーア家』。
都市や文明自体を否定し、自然回帰を謳う、荒くれ者の集団『グルール一族』
自然保護や景観維持を掲げ、自然との調和を順守する『セレズニア議事会』。
宗教という外面を保ってはいるが、その実体は拝金主義の集まりである商取引組織『オルゾフ組』。
上下水道を始めとするインフラ維持を行なう
死体処理や廃棄物の再利用を主業務とし、食料提供を行ないながら疫病を撒き散らす『ゴルガリ団』。
犯罪駆逐をモットーとし、治安維持を行なう盲信的な執行者『ボロス軍』。
自然回復を掲げていたが、今では品種改良という名の生体実験に没頭するだけの『シミック連合』。
そして、昼は鉄鋼業を束ねる元締めであり、夜は退廃的な娯楽を提供する『ラクドス教団』。
これらのまとまりのないギルドが、戦争を続けながらも、都市を発展させていった結果。ラヴニカという次元は、今の形に落ち着いたのである。そして一万年前に、この10のギルドの間で、
だがある日、そのギルドパクトが破壊されるという事態が起きた。それも、ギルドパクト成立一万年を祝う、万年紀祭に。首謀者は、秘密の王と呼ばれたディミーア家の長、ザデックであった。一般市民にとって、ディミーア家の存在は噂話のひとつでしかなく、もう聞き飽きた怪談話でしかなかった。その存在がザデックの逮捕という形で公表され、明らかにされた事で、ラヴニカ全土に衝撃が走った。
問題はザデックの逮捕だけでは済まなかった。この事件によって多くのギルドが痛手を負い、衰退に追い込まれたのである。アゾリウス評議会の本拠地は破壊されてしまい。アゾリウス評議会の代表にしてギルドマスターである『アウグスティン四世判事』は、ザデックによって殺害された。セレズニア議事会の主導者にしてギルドマスターの『マット・セレズニア』は、ザデックに抹殺される寸前で助けられたが、ギルドパクト崩壊後に深い眠りへと入り、隠れてしまった。それによってセレズニア議事会は指導者を失い、衰退を余儀なくされる。ゴルガリ団は創設者とギルドマスターを一度に失い、大きく混乱する。ボロス軍もまたギルドマスターであるラジアを失った、ザデックによって殺されたのだ。シミック連合もギルドマスターを失い、本拠地を大きく破壊されて、機能不全に陥り、崩壊寸前となる。イゼット団のギルドマスター『ニヴ=ミゼット』は、混乱の中、未知なる敵と戦い、浅くはない傷を負う。そしてニヴ=ミゼットがラヴニカのどこかへと撤退した事で、イゼット団もまた、信頼と信用を失う。ラクドス教団の創設者にしてギルドマスターである伝説のデーモン『ラクドス』は、シミックの作り上げた生物兵器と戦い、倒れる。昏倒したラクドスが本拠地へと戻された後、血魔女であるリゾルダまでもが倒れた。
混乱に終止符を打つため、オルゾフ組に所属する『テイサ=カルカロフ』が、ギルドパクトの代わりとして、新たなギルド間協定を発表する。しかし、ギルドの傷は癒えなかった。誇り高いはずのボロス軍の兵士達は、用心棒や守衛程度にまで落ちぶれ。一般人がギルドに対して不信感を抱いてしまった事で、セレズニアのような仲間を増やす事で勢力を増すギルドは衰退してしまう。イゼット団は指導者を失った事で、解散してしまったのでは、などと言われてしまった。そんな中、ギルドパクト崩壊によって生じた混乱に乗じ、略奪者のグルール一族が勢力を増す。グルールの略奪と簒奪により、更に混乱は広がった。
しかし、ギルドは滅ばなかった。一万年以上も存在し続けた10のギルドは、決して滅びはしなかった。ギルドに対する人々の不信感が薄れていくのと同時に、ギルドも徐々に再生していった。
深い深い都市の下から
天使オレリアはボロス軍の新たなギルドマスターに着任し、「犯罪はボロスの鉄拳によって何よりも確実に罰せられるであろう」と誓言した。
新たな本拠地を作成し、アゾリウス評議会も立ち直った。新たなギルドマスター得た彼等は、法による統治を回復させつつあった。
宗教組織という外面を保ち、人々からの信頼を回復するため、オルゾフ組は新たな方針に取り組み始める。
新たに建造され続ける研究所や工場、夜通し奇妙な駆動音を立てて騒音を生み出す機械類、それらがイゼット団の不滅の証明だった。
ゴルガリ団もまた、ジャラドという新たなギルドマスターを得て、復活する。死と再生を哲学とするゴルガリが復活する事は、当然だった。
セレズニア議事会は新たなギルドマスターを据え。オルゾフのやり方を参考にしたのか、美しい景観を街中に作り、人々の心を掴む事で信頼を取り戻す。
ラクドス教団の教祖、ラクドスは復活した。彼を呼ぶ声はあまりに多かった。それに、いつまでも主役が空席では、お祭りは始まらないのだから。
他のギルドの衰退を良い事に、暴れに暴れたグルール一族。彼らは、今でもまだ暴れ足りないでいる。
そして、敵対するギルドの情報を知りたいという者は必ず居たため、諜報員の派遣によって、ディミーア家までもが徐々に復活しつつあった。
ラクドスの復活。ギルドの再生。それに伴い、死亡した血魔女、リゾルダの後継が必要になった。そこにイクサヴァが選ばれる。
イクサヴァにとって、それは毎日が楽しい生活だった。イクサヴァが提案する殺戮遊戯はいつも、楽しそうな観客の声で賑わっていたし。部下と一緒に街で放火祭りをする時も、みんなが腹を抱えて笑ってくれたし、屋上や窓から飛び降りる火達磨の人間がとっても綺麗で、とってもおもしろかった。熱々の鉄板の上に観客を放り込んでダンスを踊らせた時も、他の観客の声が驚きから歓声へと変わり、やがて笑い声に変わるのが嬉しかった。セレズニアから騙して連れてきたエルフを、血に飢えた信者の群れに放り込んだ時も、本当におもしろかった。殴られて犯されるエルフの姿がとても滑稽で、最後には挽肉にされてしまったのがまたおもしろくて、腹がよじれるくらい笑ったものだ。篭絡したオルゾフ組の金持ちに貢がせる遊びもおもしろかった、散々貢がせた後で捨てるのが快感だった。信者と一緒に食べた焼肉の美味しさは格別だった。ボロスやアゾリウスの目が届かない所で集団誘拐、持ち帰った人間を火炙りにして楽しんだら、それを観客にも振舞った。そして、ラクドス様が参加するお祭りでは、イクサヴァが主演となって行なう催しが成功し、ラクドス様が笑顔を浮かべて拍手を下さった。
血魔女としてイクサヴァの人生は、正に幸福の絶頂にあった。
―
「楽しかったなぁ…本当に楽しかった…」
イクサヴァは過去を振り返り、自分の実力を再確認した。
「よぉしっ! やれるっ! アタシはやれる! アタシの眼に狂いはない!!
自信を取り戻したイクサヴァは、景気付けに一発、思いっきり酒を
そしてイクサヴァは、戻ってくるまで待てないので、さっそく
―――――
自分のサーヴァントが自信を取り戻し、意気揚々と復活する一方で。この男、
その原因はただひとつ。昨晩見た、
自分はなんと愚かしい事をしたのだろう。自分はなぜ道を間違えてしまったのだろう。
父の言葉は正しかった、聖書の教えは正しかった、そして
言峰綺礼の懺悔は続く。そんな事をしても意味は無いと、自分の中で答えを出しているのだが。言峰綺礼はそうする他に、なにも出来なかった。言峰綺礼の後悔は続く。自分がどれだけ罪深いのかを、自覚してしまったため。自分が人間として、明らかに間違っている事に気付いてしまったため。
最早救いようの無い自分は裁かれるべきだと、言峰綺礼はすっかり自暴自棄になっていた。
―――――
奇妙な5人組が冬木の郊外を歩いていた。
白い帽子に白いコート、髪も肌も白く、服の中ではストッキングだけが黒く、体の一部では眼だけが赤い白人女性。その隣を歩くのは、同じく白髪の男。こちらは肌こそ白くないが、これから舞踏会にでも行くのかという、奇妙な装飾マスクを着けていた。
そして、裾が膝下まである群青色の冬服を着た、金髪の白人男性。その隣を歩くのは、白いブラウスと黒いセミロングのパンツ、その上からコートを着た赤い髪の白人女性。そして後ろを歩くのは、またも白髪の白人女性。濃く引かれた眉は黒で、アイシャドウも黒で、上着も黒かった。口紅とロングスカートは濃い
実に奇妙な5人組だった。少なくとも、日本ではあまり見られない光景であることは間違いない。
5人が合流したのはおよそ10分前のこと。今はそれほどでもないが、その時のケイネスはとても不機嫌だった。
前日の夜遅く。バーサーカーが暴れた繁華街の事態収拾に努めたケイネスは、教会の派遣した連絡員を通じて、監督役と連絡を取っていた。「今夜は忙しくて時間が取れない、申し訳ないが、会談は明日にしてほしい」、と電話口の監督役は言い。「そういう事情ならば仕方が無い。では、明日にでも伺います」、とケイネスは返事をした。そしてケイネスがホテルの部屋へ戻ると、照らし合わせたかのように電話が鳴った。相手はアインツベルンの雇った傭兵だった。明日の朝9時に、指定した場所で待ち合わせ、合流したら言峰教会へ向かってほしい。そういう話だった。ケイネスは「それでいい」と言ってしまった。
そんな事を言ってしまった結果、ランサーの行動を予測出来ないケイネスは、時間に間に合わなかった。待ち合わせの場所には、既にアインツベルンのマスターとセイバーが待っていた。
「やはり…遅れてしまったようだな…?」
先頭を歩くケイネスは、腕時計をチラリと見てから、後ろを振り返って言った。すると、魔術で人間の姿に化けている
そこで、照れ隠しなのか言い訳なのか、ランサーが一言申す。
「…好きに食べろ、と言ったのはケイネスです」
「だが、私は後でこうも言ったハズだ、『待ち合わせの時間に遅れるからそろそろ食べるのをやめろ』と」
「・・・・・・」
すっぱり切り捨てられてしまい、ランサーはもっと顔を赤くして
その様子を見て、セイバーは面白そうに、カラカラと笑った。
「なんと、天使殿は大食漢であらせられる!」
セイバーはそう言うと、なんだか面白くて、つい笑ってしまった。
隣のアイリスフィールも、憧れの天使様が、時間を忘れる程の大食いであると分かると、クスクスと笑ってしまった。そして…
『この男はケイネス・エルメロイ・アーチボルト。時計塔の講師で、ロードの位を持つ程の魔術師だ』
『イギリスから来ているのね…。ねぇ
『飯がマズイ国だ。魔術界では時計塔を有する国として有名で、その存在を知らない魔術師はいないと言われるほどだ。だがその内部は―』
…という会話を思い出す。日本の料理は美味しいから、あのマスターは嫉妬しているのかもしれない。そんな事を考えると、先の笑いにつられてしまい、アイリスフィールは本格的に笑い出してしまった。どんなに優秀な魔術師も、料理ばかりは魔術ではどうにもできないのだと思うと、なんだかとってもばからしくなってしまったようだ。
「…落ち着いて、ケイネス」
額に青筋を浮かべていますがなんとか怒りを堪えています、という様子のケイネスを見て、隣のソラウ・ヌァザレ・ソフィアリが言う。その一言を受け止めて、ゆっくりと深呼吸をして、ケイネスは怒りを抑えた。その原因であるランサーは、実に申し訳なさそうな表情で、顔を赤くして俯いていた。
そして、やっと落ち着いた三人は、ようやく動き出し。言峰教会へと向かって歩き出した。
昼間ならば交戦の心配は無い。ただでさえ、セイバーとランサーのコンビだ。この二人を敵に回す愚か者はいないだろう。そういった理由があるため、ケイネスはわざわざ、婚約者であるソラウ嬢を連れて来たのだ。もちろん、美しい婚約者を見せびらかすためではない。街を観光がてら、少しでもリラックスさせてあげたい、という心遣いだ。その結果が、貴族にあるまじき遅刻や、
食事だけかお前はァ! なにが天使じゃアホらし!
まったく…アヴァシン様ってばどうしてもそうもカリスマブレイクするんです?
可愛いから許しますけどね、程々にしてくださいよ?
さ、綺礼クン? 懺悔の時間だよ(ニッコリ)
あ、ライダーさん? え…ちょ、どこ連れて行くんですか、やめてくださいよ…
もしかしてまた綺礼君を洗脳するんですか? 才能を開花させちゃったりする系ですか?
ええからセイバー兄貴はさっさと剣持って無双しろや! できるやろ! プロテクション(赤)(白)持っとるんやろが! アーチャーキャスターアサシン以外には楽に勝てるやろ! 対魔力あるからその三体相手でもいけるやないか! 強すぎやろが! ええ加減にせえや!!
※流石に完全無効化は卑怯過ぎるのでプロテクションの効果は抑えておきます
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