※この作品はR-18です。

Fate/zero × MTG のクロスでも書こうかなと   作:栗鼠科.aka.メスガキ撲滅委員会

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やっぱり息抜きはさんで正解だったね、熱が全然鎮火しないよ。
これで大体半分くらいは終わったのかな?
この辺りから人もサーヴァントもバッタバッタ死んでいくと思うよ


13

 

 日が陰り、夜へと近づく。即ち、聖杯戦争の再開が迫っている事を意味する。

 これは、冬木の聖杯戦争を始めた、御三家しか知らない事であるが。この聖杯戦争。実に四回目となる今回が、ようやく形を成した本番なのだ。今でこそ、令呪というシステムが開発され、サーヴァントとマスターの関係が確立されているが。前回までは、このようにはいかなかった。失敗に失敗を重ね、何百年もの歳月を掛けて、今ようやく聖杯戦争は形になったのだ。

 それを、言峰(ことみね)璃正(りせい)は喜んだ。友人である遠坂(とおさか)時臣(ときおみ)の勝利という形で終わる、それが想定された時、監督役に選ばれた事で、言峰璃正は本当に心から安心した。

 それが…

 

「き…綺礼…」

 

 今、一人の老人の想いが、儚く散ってゆく。己の家、己の信仰。教会の中心、シンボルたる十字架の前で、言峰璃正は血の泡を吐いて倒れた。その原因は他でもない、息子、言峰(ことみね)綺礼(きれい)の手によるものだ。

 何故だ。言峰璃正の顔には、疑問が浮かんでいた。品行誠実、敬虔な信者である息子が、いったいどうして。

 背中から刺された三本の黒鍵が、言峰璃正の腹を貫いていた。しかし、老骨の身であっても、鍛え抜かれた体は頑丈であった。血を吐き、苦しみもがいているが、未だ言峰璃正の眼には力があった。だが、もう立ち上がる事は出来ないだろう。

 体を反(かえ)し、仰向けになった言峰璃正。それを見下ろす言峰綺礼は、無慈悲にも、父親の膝を踏み抜いた。

 

「ぐあぁぁあっ!!」

 

 耳が痛くなるほどの生々しい骨折音、そして絶叫。教会に響くその声が止んだ時。残っていたのは痛々しい呼吸、そして、小さな笑い声。

 痛みに耐えるので必死なのだろう。喋る事も出来ない言峰璃正は、眼に怒りを込めて、息子を見上げた。その様を見て、引きつった笑顔のまま、言峰綺礼が声を掛けた。

 

「申し訳ありません…父上。ですが、御安心を。私(・)は(・)ま(・)と(・)も(・)で(・)す(・)」

 

 頬は歪み、目は笑っていたが、言峰綺礼の声は震えていた。言峰璃正は気付く、震えているのは声だけではないと。見れば、言峰綺礼の手が震えている、膝も笑っている。しかし、それは邪悪な震えであると判(わか)る。なぜなら、言峰璃正は、この男の父親だからだ。その震えの正体は大きな感動、愉悦、そして僅かな後悔からきている。何十年もの間、様々な人を見てきた。だから、言峰璃正には解ってしまった。息子が震えているのは、背徳感という喜びに身を任せてしまっているからだと。

 

「目を覚ませ…! 綺礼っ…!」

 

 絞り出す様な声で、言峰璃正は息子へと声を掛けた。今ならまだ間に合う、そう思っての行動だった。自分の寿命が縮まるのも構わず、道を踏み外そうとしている息子のために、言峰璃正は必死の説得を試みる。しかし、その言葉は届かない。

 

「…楽しいのです。私は今、とても楽しいのですよ。嗚呼…、なんということだ…。こんな…こんな…、ああっ!」

 

 手で顔を被い、言峰綺礼が身悶えする。震えながら、苦しみながら、言峰綺礼は心から楽しんでいた。愉悦、えも言われぬ程の、圧倒的愉悦。感動に打ち震え、喜びに苦しみ、楽しさで哂う。狂人として、自らを完全に自覚した。自分の本当の生き方を見つけた。ここに、新たな愉悦の種が、今完全に芽吹いた。

 その誕生を祝う者が現れる、彼のパートーナー、イクサヴァ(ライダー)である。まるで息子の成長を喜ぶ母親のような優しい笑顔を浮かべ、イクサヴァが背後に立っていた。その実体化を感知した言峰綺礼は、手で遮って、邪魔はするなと合図する。

 

「悪魔め…! キサマが…キサマが息子を…!」

「違うねぇ…、アタシはただ…世界の真実を教えてやっただけさ」

 

 教徒にあるまじき憎悪の篭った目で、言峰璃正はサーヴァントを睨んだ。しかし、イクサヴァは平然としている。余裕ぶっている訳ではない。言峰璃正はただの餌だ、新たな愉悦を完成させるための、ただの燃料に過ぎない。それがイクサヴァの視線である。

 

「父上…、どうして教えてくれなかったのです…? こんなに…こんなに楽しい事があったなんて…、なぜ教えてくれなかったのです?」

「綺礼…」

「もっと早くに知っていれば…、あ(・)の(・)時(・)も…。ああ! なんてもったいないっ!!」

 

 言峰綺礼は涙を流して後悔していた。今こうして、父親を嬲っている事もそうだが。もうひとつ間違いを犯したかったと、言峰綺礼は泣いて後悔した。それは妻の死。思えば、言峰綺礼は奇妙な違和感を覚えていた。己の妻が死んだというのに、言峰綺礼は、悲しさこそあったが、とても興奮していたのだ。今なら理解出来る、今の言峰綺礼なら、その悲しみも、なぜ興奮していたのかも理解出来る。それは、"自分で殺したかった"という後悔の悲しみ。そして、苦しみの中で死ぬ大事な人が、見ていてとても気持ちの良いものだったから、興奮していたのだと。だから、もったいないと叫んだ。もっと早く自分を見つけていれば、こんな気持ちにはならなかったのに。

 しかし、そんな後悔も癒される。なぜなら、今は、今回こそは、自分の手で殺せるからだ。言峰綺礼の前には、大事な家族である父親が居る。今度こそ、この背徳感を、思う存分味わえる。そう考えると、言峰綺礼は心から、今に感謝したくなってきた。そして今、言峰綺麗はようやく理解した、自分が神父の家に生まれた訳を。

 

「全父よ…感謝します…! 今漸(ようや)く、私は…、生まれてきた事に感謝出来ました。この喜びこそが私の生きる意味! このために! 私を御創造(おつくり)になられたのですね!! …全父よ、感謝します。貴方のために、殺しましょう。自分のために、殺しましょう。主よ、我を導きたまえ…」

 

 膝をつき、手を合わせ、十字架の前で祈る。涙を流し、祈る。その姿は敬虔な信者そのものである。

 そして、言峰綺礼の祈りが終わった時。言峰璃正の命も、同時に終わってしまった。

 

 

―――――

 

 

 夜の帳(とばり)が下りる。しかし、現代では、夜は闇が支配する世界ではない。街にはネオンが溢れ、路上には街路灯が蔓延り、夜であっても明るいのだ。

 そんな世界に、吸血鬼の女王は嫌気がさしていた。明るい、実に明るい。夜の支配者が居ない世界、人間が力を持った世界。それが、こんなにも気持ちの悪いものだとは。そう思うと、吸血鬼の女王は表に出るのも、心底嫌になっていた。しかし、吸血鬼の女王も、今はサーヴァントでしかない。特別理由は無くとも、戦わなければならないのだ。そして、闘いは夜から始まる。しかし、夜という環境は吸血鬼の独壇場だが、こうも明るくては、魅力も半減である。

 

「どうにかならないものかしらね、あの明かり」

「そうかい? 私は好きだけどねぇ…」

「…本気で言ってるの?」

「だって注目されるだろう?」

「・・・・・・、ハァ…」

 

 嫌な事ばかり、うまくいかないことばかり。ドラーナ(キャスター)は頭が痛む感覚を覚えた。

 御三家が一角、遠坂家の邸宅の屋根上。そこに、二体のサーヴァントの姿があった。サーヴァントとは伝説の化身である。英霊の分体(コピー)でしかないと言えども、その姿は生前のものと変わらない。しかし、例外も存在する。没後の風評等により伝説が歪められた場合、伝説そのものである英霊の姿も影響を受ける。それは、サーヴァントという形で現界する際に、とても顕著に表れる。しかしこの二体は、まったく生前通りの姿でありながら、完全に人外の姿であった。片や、灰のように生気の無い肌に、血のように濁った眼に、両肩に突起物を持つ人型。片や、禿げ上がった頭に触手を持ち、黒く大きな翼を持ち、白く濁った眼を持つ怪物。共に人間離れした、人に仇なす、魔性の存在である。

 ドラーナは溜息を吐いた。確かに、ドラーナは優秀な駒が欲しいと思っていた。そして反英霊ではあるが、アーチャーというクラスで、高位のゴルゴンであるならば、これは当たりだと思った。しかし、明るい街なら注目されるという、訳の分からない事を言い出すところを見ると、これもまた戦闘狂であると判った。もっと知性があって、理性的で、扱いやすい者が良かった。そうでないなら、いっそバーサーカーのように、まるでなにも考えていないような奴の方がいい。そう考えていたのに、これではとても中途半端だ。ドラーナは溜息を吐く。力を持ち、知性を持ち、確かに優秀ではあるが、これでは良い駒とは言えない。弓兵(アーチャー)のクラスが持つ特権、単独行動スキル。それがある以上、このアーチャーは手に余る存在なのだ。必ずや、自分勝手な行動をするだろう。そんなことを考えると、ドラーナは頭が痛くてしょうがないのだ。

 アーチャーに千里眼スキルを使わせて、周辺を調べさせながら、キャスターは作戦内容を説明する。

 

「ひとまず、現段階での目標はセイバーよ。予想通り、使い魔がセイバーとランサーの協同を確認している。あの二人に手を組まれたとなると非常にやっかいよ。今は相手の戦力を削る事だけ考えてちょうだい」

 

 しかし、アーチャーはその言葉に異を唱えた。

 

「なぜ? 正面から当たっちゃいけないのか? コソコソするのは私の主義じゃないんだが…」

「アンタの主義主張なんてどうでもいいのよ! 強敵だから戦略を練るんじゃないの! 無いのは分かってるけど頭使ってちょっとは考えなさいよ!」

「…いや、強敵だったら正面から行くだろ…。なんでそんなまどろっこしい事を…」

 

 チャンピオンは堂々としているものだ。実際、ヴィザラ(アーチャー)はとても堂々としている。闇の闘技場(ピット)の闇のチャンピオン、それがヴィザラだ。チャンピオンは退かない。挑戦はいつでも受けるし、絶対に断らない。何故なら、自分に自信があるから。刃向かう者は皆潰す、立ち向かう者は皆殺す。それがピットの掟でありルール。生き残るのは勝者のみ。そして、ヴィザラはいつも勝者だった。拍手喝采の、称賛の頂点。その座に君臨し続けたヴィザラは、退くという言葉の意味を忘れてしまっていた。

 本当に理由が分からないという顔のアーチャーを見て、怒りを覚えつつも、ドラーナはなんとか自分を抑えた。

 

「フゥー……」

「今、深呼吸で怒りを抑えようとしただろ」

「ッ!! …いいわ、お望み通り戦わせてあげる。だけど機会(チャンス)が来たらよ、それは私が判断する、いいわね?」

 

 女王たるもの、常に冷静であるべきだ。そう自分に言い聞かせて、キャスターは平静を保つ。

 現在の戦力差は明確だ、冷静に対処しなければ勝てない。故郷(ゼンディカー)の大天使と並ぶ程の霊格を持ったランサー、強力な宝具を持ったセイバー、この二体を相手にしては、今の戦力では不安が残る。いかに遠坂(とおさか)時臣(ときおみ)が十分に有能なマスターであっても、二体のサーヴァントと二重契約をしていては、魔力にもいずれ限界が生じる。最悪の場合には、持てる全てを惜しみなく払い、全力の短期決戦で挑むしかない。それは最後の手段であり、下策も下策の悪手だ。今取れる最善は戦力差を埋めること。そのために、今は焦らず慎重に行動しなくてはならない。

 ただでさえ、傷ついた娘を治療するため、遠坂時臣は動けないでいる。今夜もまた、キャスターは見(けん)に徹するしかないのだ。しかしそれがマズイ。こうしている間にも、他のサーヴァントは順調に準備を整えているだろう。キャスターもアーチャーという駒を手にしたが、これは大きなデメリットを抱えている。これ以上マスターに負担を掛けるとなると、今後は更に切羽詰った状況に陥る事になるだろう。せめて今夜一晩は、耐えるしかない。今焦って行動すれば、待っているのは自滅だけ。故に、キャスターは動けないのだ。

 …アーチャーは動きたくてしょうがないようだが。

 

「アサシンだったら…どれだけ良かった事か…」

 

 ドラーナは思わず不満を洩らしてしまった。その呟きを耳にして、隠れ潜んでいたアサシンがにやり(・・・)と笑った。

 

 

―――――

 

 

 戦う前には準備をせねばならない、『腹が減っては戦は出来ぬ』と日本の諺にもあるように、事前の用意がものを言うのだ。イギリスは時計塔住まいのケイネス・エルメロイ・アーチボルトであったが、それくらいは理解出来た。だからこそケイネスも、グラス一杯だけだが、こうしてワインを飲んで体を温めている。しかし…

 

「いつまで食っているつもりだ…」

 

 呆れた溜息が部屋に漂う。ここは冬木で一等高級なホテル、その最上階の一室である。スイートルームの高級な椅子でグラスを傾けてはいるが、ケイネスの表情は優雅とは言えなかった。マスターであるケイネスには分かるのだ。パスを通じて情報を読み取ってみれば、自分のサーヴァントがバイキングで食事を続けているのが。時は夕方も過ぎようかという頃合。もう一時間もしない内に、完全に日が沈んでしまう。そうなれば、聖杯戦争は再会し、またも闘いが始まるのだ。だというのに、昼からずっと、サーヴァント達は食事を続けている。

 もう苦言や皮肉も底を尽きたのか、呆れ返りこそすれども、ケイネスはもうなにも言わなかった。

 

 ケイネスのグラスが空になった頃、ようやくサーヴァント達は手を止めた。そこで、ランサーがこんな事を言い出した。

 

「今気付いたのですが。ここの料理人はどうやら、私達が食べた分だけ運んでくるようです」

 

 常に料理を並べ続けるのがここの料理人達の仕事である。なので、それは当然の事であった。

 

「なんと…、それでは終わらないではないか」

「そうなのです。せっかく作って頂いているのです、残してはならないと思い、こうして食べていましたが…」

「うむ…、これでは絶対に残らない、いつまでも補填され続けるのならば終わりがない…」

「はい。ですので、このあたりで私達の方から終わりにしましょう。食べ過ぎるのもよくありません」

 

 終わりの見えない戦争の中で生きていた二人からすれば、食事というのはとても貴重で、とても重要なものだ。天使はマナの具現であるため、食事を必要としないのだが。信者からの御供え物などで、食事をする機会自体は存在した。そして、それを残したり捨てたりするのは失礼に当たるので、必然的にアヴァシンにも食事の経験があった。

 事情は異なるが、元々人間であるセイバーも、食事の重要性を理解しているのは同じだ。

 

―

 

 ミラディン。かつてはアージェンタムと呼ばれた、金属で満ちた人工の次元。そのアージェンタムの管理を任されたのが、意思を持つ機械、メムナークである。

 メムナークは何年もの間、孤独に耐えていた。やがて耐え切れなくなると、メムナークは特別な探査機を作り、他の次元から生物を呼び寄せた。アージェンタムは完璧な計算に基づいた、調律の取れた金属しかない世界だった。そこに緑が溢れ、火が混じり、やがて命が誕生し始める。アージェンタムは変わった。全く新しい世界となったその次元を、メムナークはミラディンと名付けた。

 しかしメムナークの孤独は癒えなかった。どれだけの時が経とうとも、アージェンタムを創造しメムナークを作った、創造主のカーンは帰ってこなかった。やがて、メムナークは恐怖を覚えた。もしかすると、自分は見捨てられたのではないか。そう思うとメムナークは居ても立ってもいられなくなり、やがて、自分も創造主と同じ存在になり、自らカーンを探しに行こうと考える。メムナークは情報を集めるべく、カーンが遺した宮殿に向かった。そこに奇妙な油汚れを見つけ、それを拭き取った事が、メムナークが狂う原因となった。

 

 覚醒していない若きプレインズウォーカー、グリッサ。その相棒、スロバッド。この二人の行動により、狂気に侵されたメムナークは倒された。しかし、代償は大きかった。グリッサはメムナークと共に死に、スロバッドも四肢を失っていた。そこにアージェンタムの創造主、カーンが現れる。カーンはスロバッドに力の使い方を教え、結果、グリッサは蘇る事となった。

 二人は故郷の次元に帰る道を選ばなかった。友と一緒に居たい、そう思い、二人はミラディンを旅して周る事にした。だが、その旅も長くは続かなかった。青い太陽の下に生まれ、「不吉の子」と呼ばれたスロバッド。それが理由で、スロバッドが同族のゴブリンに殺されてしまった事で、グリッサは旅を止めてしまった。そしてグリッサがミラディンの核で眠りについた。長い長い時間を、グリッサはただ眠るだけで過ごした。

 

 メムナークが拭き取った油がミラディンの核に流れ落ちた。その油に似た液体は、ファイレクシアという次元で開発された、あらゆる物を汚染する侵略兵器だった。金属の合間で増殖し、やがて核に到達すると、油は爆発的に増えた。そして、水銀の海を伝って、ファイレクシアが侵食を始める。

 ミラディンは瞬く間に侵略された。ファイレクシアの油は様々な生物を汚染し、あらゆる生き物をファイレクシア人へと変えていった。オキシダ連峰のゴブリンもドラゴンも、剃刀ヶ原の人間も獣人(レオニン)も、水銀海の亜人種(ヴィダルケン)もドレイクも、絡み森のエルフもトロールも、全てが犠牲になった。侵略に気付いた全ての生き物が、ここで争いを止め、共に戦う道を選んだ。ファイレクシアとミラディンの、新たな戦争の始まりである。

 

 覇者、ジョー・カディーン。今現在冬木の聖杯戦争に呼ばれている、セイバーその人である。この男は、希望を謳い、清純なるミラディンという目標を掲げ、剣を取って戦っていた。守るため、抗うため、ジョー・カディーンは戦った。幾度も夜を越え、場所を変えながら、戦い続けた。必ずや、ミラディンを取り戻すのだと。

 

「私の手に剣がある限り、清純なるミラディンを取戻す希望は残っている。」

 

 光り輝く二色の剣を手に、ジョー・カディーンは戦い続けた。決して希望を失ってはならない。生き続ける限り、未来はある。油に侵され変わり果てた天使を倒し。改造されて生体兵器へと変わってしまった人間を倒し。毒のブレスを吐くドラゴンを倒し。どれだけ傷つこうとも、ジョー・カディーンは止まらなかった。

 子供達が怯えている。女達が怯えている。ならば、我々が戦わなくてはならない。覇者と呼ばれた男は、ただひたすらに、命の限り戦った。次々と仲間を失い、負い込まれながらも、彼は決して剣を手放さなかった。背中を切られ、腹を貫かれ、皮膚を焼かれようとも。心臓が脈動を止めるその時まで、ジョー・カディーンは信念の下に戦った。全ては守るべき者のために、そして、清純なるミラディンを取り戻すために。

 

―

 

 生き残るのに必死だった、食べ物なぞ満足に手に入らなかった、食事も出来ずに戦い続け一夜を明かした事もある。そんな戦いの日々を思い出し、ジョー(セイバー)は、食べたいだけ食べられるこの世界を、少しばかり羨(うらや)ましく思った。そして、サーヴァントの胃袋は満杯にならないが、満足感は得られているので、心行くまで食事を食べられた事に感謝し、この国の作法に従って、セイバーは手を合わせた。

 顔を上げたセイバーが、真剣な表情でランサーに話し掛ける。その目を見て、ランサーも真剣になり、しっかりと言葉を受け止める。

 

「…我々で終わらせよう、この聖杯戦争を。これ以上、犠牲者を出させてはならん」

「その通りです。人間同士で争うなぞ、あってはならない事です。…終わらせましょう」

「人々のために」

「平和のために」

 

 今日を生きられる事に、感謝しよう。食べられる事に、感謝しよう。そして、戦わねばならない事を嘆こう。

 二人は食事を通して実感した、ここは自分達が戦っていた世界とは違う。だが、この世界もまた、守るべき世界だ。人々は活気に満ち、それぞれが希望を持っている。しかし、争いは存在する。それを終わらせるために、我々がここに居る。そのために、我々が呼ばれたのだ。

 二人はこうして、完全に志を同じくした。共にこの世界を守ると決めた。人々のために、この聖杯戦争を終わらせるのだと。

 

 




お昼パートしゅーりょー
じゃけん、殺戮と闘争の世界に戻りましょうね^~

ただ、問題がひとつ。ウェイバー君の成長イベントを挿むタイミングを見失った…
どうしよ…
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