※この作品はR-18です。

Fate/zero × MTG のクロスでも書こうかなと   作:栗鼠科.aka.メスガキ撲滅委員会

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二話連続更新です(3/19)


15

 意外な事に、戦いは拮抗していた。基礎ステータスのパラメータでは、圧倒的な優位に立つ筈のセイバーとランサー。それがどうした訳か、アーチャーとキャスターの二人を前に、まるで勝機を掴む事が出来ないでいた。

 高ランクの飛行スキルを遺憾無く発揮し、自由自在にアーチャーが空を翔ける。同じ様に大きな翼を広げ、同時に力場を発生させて、ランサーが夜空を舞う。空中で火花を散らす槍と爪、眩い光の一線がアーチャー目掛けて飛来し、交差する死の視線がランサーの姿を捉えようと走る。しかし、どちらも決定打を打てないでいた、一撃で殺し切れる相手ではないと分かっているためだ。宝具を使うしかない、肉を斬らせて骨を断つ、それが最善手。だが、それが出来ない、お互いに宝具が使えない状況であった。

 

「天使とあろう者が逃げてばかりとは、実に情けないねぇ」

「そういう貴女(あなた)も、この槍を恐れるあまり、どうやら引け腰になっているようですが?」

「可愛い顔して言うじゃないか…! 後悔させてやるよォッ!!」

 

 皮膚を切り裂き肉を抉る凶悪な爪、容易に人体を貫く黒い触手、そして必殺の死線、それら全てがランサーを襲う。

 一方で、挑発を放ち、怒りを誘ったランサーであるが、こちらも決定打に欠いていた。こと近接戦闘に置いて、ランサーは最強と言っても過言ではない程の戦闘力を持っている。攻防に亘(わた)って有効な警戒スキル、確実に先手を取れる先制攻撃スキル、対処の難しい上空からの攻撃を可能にする飛行スキル、特定の敵に効果を発揮する常時発動型能力を持った槍、まるで隙が無いサーヴァントである。だがしかし、アーチャーとの相性の悪さ故に、その戦闘能力が発揮出来ないのだ。その右手にある槍は飾りではない、強力な対魔宝具『月銀の槍』、だが、それが届かないのだ。一撃でも当てれさえすれば、魔の眷属であるゴルゴンのアーチャーに対して、月銀の槍が持つダメージ増加能力が効果を発揮し、確実な痛手を与える事が出来る。だが、届かない。槍の有効範囲の外から攻撃を加えられるアーチャーが相手では、せっかくの能力も無駄でしかない。共に飛行スキルを持っているため、機動力や行動範囲で差を付ける事も出来ない。ランサーも高い敏捷のパラメータを活かして一瞬で距離を詰めるが、アーチャーの豪腕で振るわれる鋼の爪が銀の槍を弾くのだ。

 いたちごっこの小競り合い、常に中距離を維持して飛ぶアーチャー、それを追いかけるランサー、共に決定打を打てない以上、決着はどうしても先伸ばしになる。自力ではランサーに分があるとも、アーチャーの魔眼の強力さ故に、ランサーはどうしても深追いが出来ず、常に動き回って的を絞らせないようにせねばならなかった。アーチャー側もジリ貧でしかなく、近づかれれば終わりで、一手間違えば死で、どうにも後が無かった。

 

 そんな空中での戦いの下、苦虫を噛み潰したような顔で、セイバーが苦戦を強いられていた。

 

「随分とお優しいのね? それとも、女性を斬った経験が無いのかしら?」

 

 一撃、たった一撃でいい、一撃入れれば勝ったも同然の差。しかし、その一撃が入れられない。飛行スキルによる回避、血魔術による幻惑、全力で当たるキャスターの行動が、セイバーの攻撃を封じていた。再度張り巡らされた結界が負荷を掛け、熟達した血魔術による幻惑が攻撃を躊躇わさせ、飛行スキルによって空に逃げられる、最優と恐れられたセイバーが、まるで遊ばれているかのように踊らされていた。

 

「女相手に『正々堂々と戦え』などとは言わんがな…」

「フフッ…残念だったわね? でも分かってちょうだい、こうでもしないと勝ち目が無いのよ」

 

 対バーサーカー戦で効果を発揮したセイバーの先制攻撃スキルでさえ、血煙の幻が相手ではまるで意味が無い。文字通り雲を掴むような感触で、状況はどうにもならなかった。ひらりひらりと攻撃を避けてばかりのキャスターであるが、これを無視する事も出来ず、セイバーはただ追い詰められないように抵抗するだけ。ランサーの援護に向かうのは不可能だ、ランサーとアーチャーは頭上の空中で戦っており、飛行スキルを持たないセイバーではなにもできない。よしんば二人が降りてきて、セイバーが参戦出来る状況であっても、背中を見せればキャスターに狩られるだけ。高い数値を誇るセイバーのステータスも、届かず当たらずでは無意味。範囲攻撃や遠隔攻撃なぞは持たないため、キャスターの行動を上回る事はおろか、阻害することすら不可能。

 

「予想外だ、って顔してるわね」

「…ああ、これほどの使い手だとは想像していなかった、見誤ったよ」

 

 最優である筈のセイバーが最弱と呼ばれたキャスターに躓く、相性が顕著に出た戦いだからこその、危ない均衡の綱渡り。アーチャーやランサーの戦いがそうであるように、セイバーとキャスターの戦いもまた、一手の間違いで引っくり返るものだった。たったの一撃で取り返せない程の差が生じる、その一撃を如何にして避け続けるか。これは技の凌ぎ合いではない、一線を見極めながらの、根競べである。

 そんな中、後少しだと、キャスターの表情に焦りが見えた。熟達した血魔術の更に先、命の簒奪者のひとつの答え、奥義にして宝具、それが『血の長の昇天』。遠坂邸全域を覆ったその結界こそが、セイバーの行動を躊躇わせている最大の要因。その誘発能力の条件が未だ揃っていない、それがキャスターの焦りの正体だった。セイバーは隙の無い戦士だった、妨害と幻惑と回避、これで精一杯で、対魔力を貫ける血魔術なぞ当てる暇が無い。傷さえ負わせれば条件は整う、だが、手にする刃で斬りかかりでもすれば、たちまち手痛い反撃を貰ってしまうことだろう。かく乱するのが精一杯、攻撃する隙なぞまるで見当たらない、ジリ貧はお互い様。持てる全てを使っているキャスターだが、セイバーの切り札が聖剣だけとは思えなくて、むしろ後が無いのは自分の方だと思い知る。

 

「なんのための役割分担だと思ってるのよ! さっさとしなさい!!」

 

 ついに耐え切れず、キャスターが叫ぶ。しかし、アーチャーも無茶な攻撃は出来ないし、ランサーの猛攻を防ぐので精一杯のため、返事が返ってくる事はなかった。

 その叫びが闇に消えた後に、突如として、均衡が崩れた。

 

「馬鹿なっ…!?」

 

 セイバーの死角から謎の金属片が飛来し、鮮血が庭を汚した。

 

「…ッ! まさかアサシンッ!?」

 

 キャスターが振り返るが、既に、そこには何も無かった。一瞬だけであったが、二人は確かにその気配を感じた。魔術行使の痕跡も、キャスターの目から見れば明らかだ。四体のサーヴァントの戦いの中に割り込み、こんな芸当が出来るのは、隠密に優れたアサシンを置いて他には居ない。しかし、それが奇妙であった。

 だが好機は好機、生まれた隙を逃さぬようにと、幻惑の血魔術を行使して、キャスターが迫る。セイバーも並の戦士ではない、爪の様な形の武器が体に刺さったまま、まるで怯まず、まるで弱らず、全力で剣を振るって対抗した。しかし、一度崩れた均衡の差は大きかった。切り裂かれて燃え上がる血煙の幻影、その中から、本物のキャスターが踏み込んだ。新たな鮮血が宙に舞う中、キャスターは見た、まるで怯まぬ強い瞳を。

 肉を刺され、腕を斬られながらも、セイバーは反撃した。

 

「ア"ア"ッ!!」

「浅いっ…!」

 

 吸血鬼の動体視力が、キャスターに可能な限りの回避行動を取らせた。だが、致命傷ではないしても、確実に無視出来ないだけのダメージがあった。胸を切られ、衝撃で吹っ飛び、キャスターが芝生の上を転がる。瞬間、その傷口から炎が上がった。セイバーの持つ『戦争と平和の剣』の誘発能力、追加ダメージとして発生する炎、そして癒しの光。剣から放たれる白い光が強さを増し、セイバーの傷をたちまち癒してゆく。相手の傷を増大させ、自身の傷を無かった事にする、二重の能力、二重の効果、これがミラディン反攻勢力の切り札、戦争と平和の剣の真価である。今回は能力が誘発した後からの乱入者は無い、回復した上からの攻撃を受ける事は無い、ならば追い討ちを掛けるに限る。倒れたキャスターへと、セイバーが駆けた。だが…

 

「フンッ!」

 

 その隙を帳消しにしてしまう、キャスターから発せられた魔術。先程のアサシンと思しきサーヴァントが放っていった飛来する爪の様な魔術、それと全く同じものが、何故かキャスターの方から飛んできたのだ。正面から来るのであれば対応は可能、セイバーは即座にそれを叩き落としたが、絶好の好機を逃す事となってしまった。セイバーは疑問に思う、今の攻撃は確かにキャスターから発せられた物で、もうアサシンらしき気配は感じない、魔術行使の波動すら感じず、故に理解し難い。アサシンはいったい何を残していったのか、いったいキャスターになにをしたのか、爪を飛ばす魔術の発動条件が分からない以上、迂闊な行動は出来ない。

 予想外の攻撃を受け、セイバーの動きが止まる。それと時を同じくして、キャスターが立ち上がった。

 

「あっ…ああっ…、このっ…薄汚い人間風情がっ…! この私の乳房をっ…切り裂くなぞ…!!」

 

 その言葉通りに、キャスターの左乳房が切り裂かれ、傷口が炎によって焼かれていた。怒り心頭、憤怒の形相のキャスターが、震える足で立ち上がった。そして、重圧が波動となって、結界内に響いた。燃え上がる殺意を手に血の長の刃を握り直す、胸を押さえていた左手で刃を握り、刀身を血で濡らす。

 

「格の違いを知りなさい…!」

 

 呪詛、血、そして生贄、全てが揃った。

 

「" 血 の 長(Bloodchief) "に刃向かったこと、その罪深さを思い知らせてあげるわ、血の" 昇 天(Ascension) "をね…!」

 

 キャスターがそう唱えた瞬間、その殺意が形と成って遠坂邸内の結界を覆った。

 

 




(๑′ᴗ'๑)プァァァァーーーーン!!!!! (▰˘◡˘▰)。oO( ダメーレチトーン ) ( '◕‿◕)ビチョチョチョチョチョ……
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↑これすこ(無関係)

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