Fate/zero × MTG のクロスでも書こうかなと 作:栗鼠科.aka.メスガキ撲滅委員会
↑これすこ
目が眩む程に強い光の中、それは確かに現れた。エーテルの体、蘇った英雄、サーヴァントの召喚。剣の英霊、セイバーの姿がそこにあった。
アクシデントがあった。用意した聖遺物は聖剣の鞘、ブリテンはアーサー王伝説に登場する宝具。しかし、召喚されたサーヴァントはまったくの無関係。アーサー王ではないし円卓の人間でもない、そもそも騎士ですらなかった。舞踏会で貴人が着けていそうな装飾マスクが印象的な、小麦色の肌をした白髪の男性。鎧の上からボロボロの布切れを纏ったその姿は、とても伝説として語り継がれるような、由緒正しい立派な英雄には見えなかった。
男は自分を戦士だと言った。人を守る為に戦った、一人の戦士だと言った。その言葉には重みがあり、透き通った瞳が疑わせなかった。その時、初めて理解できた。確かに変わった格好だが、英雄の器である事は間違いないと判る。纏う空気、力強い視線、一本芯の通った言葉、全てが英雄的だった。これが、衛宮切嗣とジョー・カディーンの出会いだった。
二人は話をした。向かい合って座り、茶を飲みながら、互いの過去を明かした。
ジョーはオーリックと呼ばれる人種であり、ミラディンのすべての生命がそうであるように、体の一部に金属を持って生まれた。オーリックは皆揃って褐色肌で白髪、故にジョーもそうなのだという。思えば凶兆はあった、だが、誰もその出来事の本当の意味を見つけられなかった。未知の侵略軍による攻撃が切欠となって、ミラディン全土が戦火に包まれた。果敢に戦った。人を守るため、自分達の世界を取り戻すため、死ぬまで戦い続けた。ジョーは全てを明かした。
父親は魔術師で、悪人だった。他人の人生なぞ屁とも思ってないらしく、自分の目的のためなら何人も犠牲にした。最後にひとつの村が消えて、父親も死んだ。そこで、自分の人生が決まった。大勢を助けるために少数を切り捨てる、それが正しいと信じてきた。何百人も殺してきたけど、それで何千何万もの人間が救われたのなら、それでいいと思っている。そして、それはこれからも続けるつもり…だった。冬木の聖杯戦争、これが世界で最後の戦争になる。最後の暴力、最後の殺人、最後の流血にしてみせる。夢がある、正義の味方だ。手遅れかもしれないけれど、もしかしたら…夢が叶うかもしれない。だから、協力してほしい。衛宮切嗣は全てを明かした。
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目を開け顔を上げた時、そこに迷いは無かった。衛宮切嗣は覚悟を決めた。目的のためなら、手段を選んではいけない。かつてのジョー・カディーンがそうしたように、守るべき人がいるのなら、例えどんな手段を講じてでも勝利すべきだ。衛宮切嗣はそれを再確認した。
遠坂時臣は強い、実に優秀な魔術師だ。サーヴァントを二体も抱えていながら、まったく消耗していないように思える。キャスターの能力は非情なまでに優秀で、残念ながら、セイバーでは相性が悪い相手と言わざるを得ない。現状のままなら負けはしないだろうが、勝利がとても遠い位置にあるのも事実。最優と呼ばれるセイバーを越えるのではないかと思われるランサーでさえ、アーチャーという強大強力なサーヴァントを相手にして、辛い戦いを強いられている。同盟関係にあるケイネスはガス欠も同然で、ランサーに魔力を供給するので精一杯。この状況だからこそ、衛宮切嗣が動かなくてはならない。今動けるのは衛宮切嗣しか居ないのだから。
衛宮切嗣の瞳から色が消えた。それは熟達した暗殺者の眼、無色の殺意。気取られず、また察知もされない殺意。それは他者へ向ける殺意ではなく、自身の中でのみ完結する殺意であるが故に。
小形の爆薬を取り出してタイマーを起動し、即座に扉へ貼り付ける。室内への突入の際に行なわれる、ブリーチという行動だった。中の人間は扉を叩かれた事に驚いて声を上げていたが、衛宮切嗣の感情はそれでも動かなかった。設定通りに二秒でタイマーが切れ、扉が爆破される。そして、専用爆薬が爆発してから一秒も経たないうちに、衛宮切嗣は目にも止まらぬ速度で室内へと飛び込んだ。その瞬間、対人用の攻勢結界に触れたことで、部屋の入り口に炎が上がった。
「動くな。おかしな真似をすれば撃つ」
遠坂凛は自分の目を疑った。扉が爆破された事もそうだが、それが魔術によるものではないと判って驚いたのだ。絶対の信頼を置く父親が敷いた攻勢結界よりも早く、一瞬で室内に侵入された事にも驚いていた。そして爆風から庇っていた身を直し、侵入者を見て更に驚いた。銃を構えたその男が魔術師殺しと呼ばれる凄腕の暗殺者だと分かると、遠坂凛は今度こそ本当に現状を理解するのが辛くなった。
床から噴き出す高熱の炎よりも早く、衛宮切嗣は常人の動きをはるかに越えた速度で部屋へと飛び込んだ。瞬時に受身を取って前転し、片膝ついた状態になると銃を構えて警告の言葉を放つ。一連の動きは非情に素早く、状況を判断する暇すら与えなかった。
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戦慣れしていない自分が表に出るよりもサーヴァントに任せた方が安全、…と考えた故の行動だったが。しかし、無理が生じるのはわかっていたこと。せめて今夜一晩だけは戦闘を避けたかったが、篭城に徹する以上、逃げられないのもまた事実。ただでさえ妻と二人の娘を抱えているのだ、戦わなくてはならない。
現状は切迫している。セイバーとランサーは強力という言葉では済まされない程に強いサーヴァントだ。驚異的な攻撃性能と耐久値を持ち、奇襲にも不意打ちにも怯まず、どんな状況からでも反撃を捻じ込んでくるセイバー。基礎ステータスが桁違いに優秀で、呪術にも魔術にも対抗策を持ち、擬似サーヴァントの召喚による戦力増強すら可能なランサー。魔力不足のために宝具の使用が制限されているアーチャーやキャスターでは、どう考えても辛い。
作戦通り、キャスターの結界宝具は始動した。状況は有利へと傾くかに思えた。だが、そう易々と勝ちを譲ってくれる相手でもなかった。何故かアサシンが味方してくれているからこそ今の現状があるものの…、これでは完全な消耗戦だ。共倒れこそはないだろうが、とても生き残れるとは思えなかった。
「頼む…! なんとか…なんとかしてくれ!」
万策尽きた、残るのは神頼みくらいか。極度の疲労から大量の汗を流し、精気の見えない切迫した表情の遠坂時臣。
その時、異状を察する。遠坂時臣は、自身が敷いた結界に反応があるのを知る。妻と上の娘を囲っていた部屋のもの、それは、最後の砦までもが破られた事を意味していた。
3分、それが執行者が来るまでに掛かった時間。私室のドアノブが銃弾らしき物で撃ち抜かれ、扉が勢いよく蹴り抜かれた。現れたのは写真で見た顔、魔術師殺しという異名を持つ暗殺者、
妻の姿はない。既に殺されたのか、または拘束されているだけか。娘は正常とはいえず、目は虚ろで、暗示か何かで操られているようだった。精神干渉魔術に対する抵抗力は持っていても、確実な術は身に付けていないのだ。娘の未熟に付け入られるのは当然だったかもしれない。
「令呪を使って、サーヴァントに自害を命じろ。そうすれば、"女"の命は奪わないと約束しよう」
暗殺者の言葉には違和感があった。遠坂時臣の脳は理解を拒んでいたが、それを見れば、嫌でも納得せざるを得なかった。見れば、暗殺者は左手に何かを握っていた。何かのスイッチ、遠隔で操作するための、ON/OFFを切り替えるためだけのスイッチ。恐らくは、妻の身に細工を施してきたのだろう。スイッチひとつで妻が死ぬ、というわけだ。
「二体共だ。自害が確認できたら、これはお前にやる」
暗殺者はそう言って、左手に持つスイッチを見せつけた。選択肢は無い、時間も無い。妻と娘、魔術と家訓、どちらを取るべきか。
魔術師として生まれ、魔術師としての教育を受けて育ち、なるべくしてなったのが遠坂時臣という魔術師だ。魔術師であるならば、根源への到達という目的を前にして、妻や娘の命などは二の次三の次だろう。だが、遠坂時臣は父親である。妻も娘も、心から愛している。一度は片方の娘を手放すという愚行を犯した遠坂時臣だが、それが間違いだった理解し、悔やんでもいる。キャスターと掛け替えのない友人が教えてくれたこともある。妻を守りたい、娘を守りたい、家族を守りたい。そういった想いがある中で、やはり生まれついての性質か、叩き込まれた洗脳にも似た教育からか、魔術に生きる道が意識の根底にこびり付いていた。
乾いた破裂音が室内に響く。驚いて顔を上げた遠坂時臣が見たのは、娘の右腕から流れる血だった。
「勘違いするな、これは強制だ。譲歩じゃない。お前に選択権なぞ与えていない。令呪を使わないのなら、二人を殺してからお前を始末するまでだ」
冷酷非情な宣言だった。暗殺者の言葉には凄味があり、やると言ったらやる覚悟があった。その目を見れば納得。年端もいかぬ少女の腕を撃ち抜いておきながら、まるで感情が動いていない瞳。人の命を奪う重みを知っておきながら、そこに感傷を生まない瞳。衛宮切嗣という男は、真に殺し屋だった。
遠坂時臣が放心状態であると判ると、衛宮切嗣は続いて遠坂凛の右足の甲を撃った。激痛からか暗示が解けて、遠坂凛が意識を取り戻す。苦悶の呻きが少女の口から漏れると、流石の遠坂時臣も心を決めたようだった。
「わかった! もうやめてくれ!! 私はどうなってもいい! 妻と娘だけは…、頼む…娘だけは殺さないでくれ…」
叫ぶように言いながら椅子から立ち上がり、遠坂時臣は慌てて言った。衛宮切嗣はその様子を見て、銃口を遠坂凛の頭に押し付けると同時に、左手に握ったスイッチに指を掛けた。
詰みである。魔力が枯渇している現状、遠坂時臣には戦う力が残っていない。例え妻と娘を犠牲にしても、敗北は必然。ならば、命を差し出すしかない。自分一人の命で三人が救える。だったら、そうするしかない。それ以外に、道は残っていないのだから。
―――――
突如として、驚愕が二人を襲った。
「まさか…!?」
「クソったれ…」
キャスターは驚き、邸の方へと視線を向けた。アーチャーは悪態を付くだけで、そちらを見ようとはしなかった。次の瞬間、刃がキャスターの胸を貫き、爪がアーチャーの心臓を抉った。膝から崩れるキャスター、地に堕ちるアーチャー。それが終止符だった。
「・・・・・、ふ…ふふ…あはははは」
キャスターの表情が驚愕から呆然へと変わると、その口から血の
「私は…また死ぬのね…。もう一度死ぬことになるなんて…、思ってもみなかったわ…」
最後に一言漏らし、キャスターは黒い粒子になって霧散した。
「ああ…クソが。これじゃあ…、死んでも死にきれんぞ…」
天を仰ぐ様に、仰向けで落下するアーチャー。銀色に輝く月を見つめて、胸から血を流し、虚脱の自由落下。アーチャーは遠ざかる月へと手を伸ばし、聞こえない声でなにかを残して、こちらも黒い粒子となりながら堕ちた。そして地面に墜落すると同時に、完全に霧散した。
戦いは終わった。長く続いた戦闘も、終わってみれば呆気ないものだった。心が曇っているのはセイバーもランサーも同じだが、安心で一息漏らしたのも同じだった。だが、完全に終わった訳ではない。戦場には、未だアサシンが残っているのだ。
二人にもいくらかは余力があるが、消耗は確実。今夜は、これ以上の戦闘を行なう事は不可能だろう。すぐにでも
「私は
「ええ、どうぞ。…お気を付けて」
このような形で決着が着いた今、一番危険なのは衛宮切嗣だ。先の一連の動きは、まず間違いなく、令呪による自害の強制だろう。アーチャーやキャスターの驚愕や言葉から見ても、それは明らかだ。ならば、そうさせたのは、二人のマスターである遠坂時臣を強迫したのは、遠坂邸内に単独潜入した衛宮切嗣の行動によるものと分かる。だったら、次に狙われるのは衛宮切嗣だ。護衛のサーヴァントも就けず、たった一人で、逃げ場の無い邸の中。あのアサシンも、いくら消耗しているとはいえ、セイバーとランサーの二人を相手に戦おうとはしない筈。ならば、セイバーのマスターを殺して、後の有利を作ろうとするだろう。セイバーはそれを把握していた。
アサシンはその裏を
遠坂邸へと走るセイバー。その背中を見守る熾天使。上空から警戒するランサー。全員の意識の裏を掻いて、アサシンが初めて単独での攻勢に出た。
『全力だ、全力でいくぞ。ウェイバー、ケツを引き締めておけよ?』
『ああ、わかってるって。いつでもいいぞ…』
狙うなら
真っ先に気がついたのはランサーだった。警戒心の網に引っかかる違和感。"気配がひとつ増えている"。ひとつはセイバー、ひとつは熾天使、そしてもうひとつ…。気配遮断というスキルを持つアサシンなら、このような場で自分の気配を漏らしたりはしない。ならば、漁夫の利を狙う横槍だ。ランサーは慌てて庭内を見渡し、違和感の正体を見つける。
「まさかっ…!?」
そう叫んだのは誰だったか。もしかすると、その異常事態を目にした全員かもしれない。ありえない事象を目の当たりにした時、人の脳は一瞬理解を拒む。思考に空白が生まれ、隙が生じる。暗殺者はその隙に付け入るのだ。
そこに、"
「はぐっ…」
必殺の死線が大天使の実体を捉える。最大出力の直死の魔眼が、ランサーの息の根を止めんと空を走った。大天使が堕ちる、それは必然的に。ランサーは全身を一瞬震わせて、白目を剥いて呻き声を上げ、そして硬直した。
ランサーが堕ちる。希望の天使が、アヴァシンが堕ちる。
銀色の月の妖しい光がゆっくりと消えていき、やがて、いつもの色に戻った。それと前後して、熾天使の姿もまた消えてしまった。
原作通りのトッキーならこんな選択はしなかったろうね。
ま、これでよかったんじゃない? わかんないけどサ
ああ^~アヴァシン様のリョナ最高ォ^~
Foo~↑ 気持ちいいわぁ^~