※この作品はR-18です。

Fate/zero × MTG のクロスでも書こうかなと   作:栗鼠科.aka.メスガキ撲滅委員会

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久々の二話連続更新です
久々なので初更新です

もうそろそろ終わりですねー

ああそれと、アヴァシン様の魅力をもっと知ってもらいたいので、
↓こんなの書いてみました

――――――

 全盛期のアヴァシン伝説

アヴァシンが魔法を放つと、次元の全土にまでそれが及んだ。

そのまま数百年間、魔法の波動が残り続けている。

生まれてから一千年の間、完全無敗。

槍の一振りで、山がひとつ消し飛んだ。

並の吸血鬼が相手なら、一撃で100体は殺せた。時にはその倍も。

説法をするだけで、悪魔が泣いて謝った。灰と化す吸血鬼も。

不滅の悪魔を封印しまくった。しかも、その方法は自分で編み出したもの。

アヴァシンが悪魔を封印し過ぎたので、悪魔祓いの仕事が無くなった。

あまりにも強すぎるので、唯一神と同じ扱い。

あまりに絶対的過ぎるので、人類がアヴァシンに依存してしまう事態が発生。

――――――

↑の九割くらいはホントの話




25

 

 

 衛宮(えみや)切嗣(きりつぐ)は、そうあってはならないと分かってはいても、どうしても、焦らざるを得なかった。ライダーが死んだ、完全に消滅した。それは喜ばしい事であるが、今は、もっと重大な問題が控えている。この状況下では生命線も同然のセイバーが、遠く離れた位置に居る。令呪を用いた瞬間移動でもなければ、絶対に間に合わない距離だ。あと一撃でも食らえば消滅するランサーに背中を任せるのは難しい。敵は最後に残ったサーヴァント、最も危険な最悪、他サーヴァントの姿形だけではなく、その能力(スキル)や、恐らくは宝具までもを完全に再現して擬態する、あのアサシンだ。もしも、こちらの思惑に気付いていて、アーチャーへの変身を解き、アサシンとして、気配を完全に消して、暗殺を目的に動いているとしたら…?

 

(最下位の負け馬に、有り金全部つっこんだような気分だ…)

 

 切嗣は賭け事を好かないので、普段は競馬場など見向きもしないが。この時ばかりは、まるで、負けの見えている対象に金を落としたような気分になった。残っているのはアサシンだけではない。ライダーを失ったが、それでもまだ、言峰綺礼は戦うつもりのようだ。言峰綺礼は元々、ライダーと離れて、単独で城に突入して来ていた。目的はどうあれ、言峰綺礼は、独りでも戦うつもりである事は、容易に考えられた。

 言峰綺礼の追及を避けつつ、周囲への警戒を怠らず、随時、トラップを仕掛けながら後退し、後衛の二人からの連絡を待つ。それはもう、神経が磨り減るだとか、そういう類の話ではない。今にも切れそうな糸の上を歩く綱渡り、または、地雷原を真っ直ぐに走り抜けるといった、命知らずがやることだ。計算と作戦と慎重さで生き延びてきた衛宮切嗣からすれば、この状況は、追い詰められたも同然であった。

 

 死の脅威と隣り合わせ、焦りに悩まされ、意識が朦朧としそうな状況で。ついに、救いの一報とも思える通信が入った。

 

「切嗣! ランサーが"奴"を見つけました! 三階北廊下、マダムの近くです!!」

 

 衛宮切嗣は、その通信を受け取った瞬間、焦りで掻いた熱い汗が、一気に冷えていくのを感じた。『なぜだ!!』、そう叫びたくなる気持ちを抑え殺し、震える体を静めるように、ゆっくりと息を吐く。そして、通信機を強く握り直し、久宇(ひさう)舞弥(まいや)に状況の詳細を求めた。

 

「いえ、それが…、アーチャーではなく(・・・・・・・・・)、"アサシン"なのです!」

 

 衛宮切嗣は、今度こそ、理性が焼け切れ、精神のブレーカーが飛ぶのを感じた。そして、次の瞬間には叫んでいた。

 

「セイバァーッ!! 今すぐ城に戻るんだッ!!」

 

 その手にある令呪の最初の一画、それが光り輝き、発動した。次の瞬間、衛宮切嗣の目の前に、返り血を浴びたセイバーが立っていた。

 感覚共有により常にある程度の情報を受け取っていたセイバーは、衛宮切嗣(マスター)の様子を見て、即座に状況を判断し、最悪の事態が迫っていることを把握した。

 

「奴はどこだっ!?」

「三階北側の廊下! アイリのすぐ近くだ!! 言峰綺礼は僕がなんとかする! 行け! 行ってくれ! セイバー!!」

 

 まくし立てるように、叫ぶように、衛宮切嗣は言い切った。セイバーはその言葉をしっかりと聞き、マスターの決意を確かめるように頷き、目にも留まらぬ速度で走り去った。その場に残った切嗣は、決して、不安や恐怖に折れる事はなかった。壁を背にしていた切嗣には、その音が聞こえていたから。

 

(言峰…綺礼…! 何を勘違いしているのかは知らないが、お前の気持ちには答えられないぞ)

 

 ゆっくりとした歩調、しかし力強く、重たい歩み。廊下に響く足音、執行人が迫ってきていた。

 ここで、衛宮切嗣は武器を確認する。軽機関銃(キャリコ)が一丁、弾は残り30といったところ。破片手榴弾が2、白燐発煙手榴弾が1。効果が見られないところを見ると、破片手榴弾の方は置いていっても構わないかもしれない。投合用ナイフが2、近接用ナイフが2。ゼロ距離に持ち込まれた時点で死んだも同然なので、これは保険というもの。そして、魔術師殺しの異名の元ともなった一丁、衛宮切嗣が持つ最高の鬼札(ジョーカー)、特別仕様のコンテンダー。コンテンダー用の通常弾が4、対魔術師戦用礼装の起源弾が2。2発も外したら、その時点で死ぬ、なので、2発で十分というより、それ以上は持っていても仕方が無い。そして最後に、緊急用の起爆装置がひとつ。大量の爆薬を仕掛けた部屋へと誘い込み、銃撃で足を止めたら、スイッチひとつでドカンという作戦だ。

 

「そこに居るのか」

 

 聖堂教会が認める現代最高の素質を持つ代行者、若くして危険な任務に就き、勝利し、生き延びてきた戦士、言峰綺礼の声。衛宮切嗣は壁から離れ、声の方に向かって、銃を構える。壁板一枚を隔てて、二人は向き合った。

 

「ライダーは…、彼女は死んだ…、死んでしまった…。残っているのは、我々だけのようだ」

「我々?」

「そう、私達だけだ。――私にはやらねばならない事ができた。では、衛宮切嗣、お前に問う。お前には、どんな意志がある?」

 

 切嗣は質問の意図を掴みかねたが、どういう考えからか、それに答えてしまった。

 

「聖杯を手に入れ、願いを叶える。…それだけだ」

「願い…か。お前の願いとはなんだ?」

「それを聞いてどうする」

 

 切嗣の言葉は拒絶も同然だった。言峰綺礼は、その返答を聞き、数秒の間を置いて、どこか納得したような息を吐いた。

 

「『言葉は無粋』というわけか、それもいいだろう。ならば…! その体に聞いてやるッ!!」

 

 言い終わるよりも早く、言峰綺礼の黒鍵が、壁を切り裂いた。

 

 

―――――

 

 

 陸上選手を越える、凄まじい速度の、激しい全力疾走だった。

 

『ケイネス(マスター)! 急いでください! 急ぐのです!!』

 

 切羽詰った状況となった今、最早、傷がどうだの、宝具がどうだのと、四の五の言っている場合ではない。あのアサシンが、アーチャーへの変身を解き、アサシンとして動いている以上、実体を晒し、正体を見せた今、それを叩かねばならない。千載一遇の好機、これを逃せば、勝利は無い。故に、ランサーは交戦の意思を示した。マスターであるケイネスを安全な場所に移し、全力で魔力を送ってもらい、治癒の光で以(もっ)て可能なかぎり傷を癒し、戦線復帰とともに、セイバーに助太刀するつもりなのだ。

 そのために、ケイネスは走った。時計塔のロードは、研究室に篭りがちでいるとも、洗練された魔術が足りない身体能力を補う。生まれ持った"風と水の二重属性"、神童と呼ばれし者、ロード・エルメロイの魔術の一端。その走りは、一般的な空力学を完全に無視したものだった。空気抵抗を追い風へと変え、自身の体に掛かる重力を軽減し、血中の酸素濃度の調節、呼吸で得る酸素量の調節、筋肉に溜まる乳酸の自動分解、その結果が、突風となって街中を走り抜ける、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトの全力疾走だった。魔術の秘匿も完璧だった、周囲の空気を操作し、厚い空気の膜を纏い、光の屈折を変化させ、光学的に一般人の目には映らないようし、魔術に対する抵抗力を持たない脳への、認識阻害の魔術も同時に行使している。

 ケイネスは、早くも、仮の拠点、ハイアット・ホテル前に到着する。そこで、ケイネスは空を飛んだ。風を集め、空気を集め、破裂させることにより、爆風を作り、それに乗って飛び上がったのだ。しかし、いくら空気抵抗を軽減できるとはいえ、それだけでは、最上階には届かない。

 ケイネスはここでも、何の躊躇も無く、奥の手を切った。服の下に仕込んだ大量の水銀、ケイネスが誇る最強の礼装、『月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)』の展開。何本もの触手の様に伸びる水銀が、まるで蛸(タコ)の足のように、器用に動いた。窓枠の縁(ふち)があれば、そこに水銀の足を掛け、壁に凹凸(おうとつ)があれば、そこを水銀の手で掴む、そうして、またも凄まじい速度で、壁を駆け上がる。そして、貸し切った部屋の窓に到着すると、なにやら呪文を呟き、飛び込むように、窓ガラスへと突っ込んだ。しかし、ガラスは砕けず、ケイネスの体は素通りする。

 

「到着した! 魔力炉を私の体に繋げるのに、30秒は要る! 待てるか!?」

「待てません!!」

「わかった! 15秒でやる!」

 

 全てが異常な会話だった。部屋に転がり込むと同時に、即座に魔術防備の状態を把握する、その時点で、超一流の魔術師たる認識速度であるというのに。そのうえ、魔力炉から抽出したマナを、変換機を通さず、直接、自分の魔術回路に繋げると言い。さらに、それを、たったの30秒で完了させると言ってのけ。また、ランサーは30秒では遅いと無茶を言い。そうすると、今度は、半分の15秒でやってみせると言い切った。

 だが、ケイネスはその無茶を可能にした。僅か15秒で、フロア各所に設置した全魔力炉を一時停止、自分の体、魔術回路へと繋ぎ、それが完了すると同時に再起動し、過剰に注ぎ込まれるマナをオドへと変換してみせたのだ。

 

「準備万端(オールグリーン)だ! やれっ!!」

 

 その命令と同時に、ランサーは光に包まれた。

 

 

―――――

 

 

 切り刻まれ、燃え上がり、砕け散る床。まさか、階下の真下から、廊下の床を破壊して、無理矢理近道(ショートカット)するとは思っておらず、アサシンは、驚きのあまり、その場から飛び退くのが一瞬遅れた。

 セイバーはその隙を見逃さなかった。

 

「逃がさんぞッ! アサシンッ!」

「くっ!? 貴様…!」

 

 足首を掴まれ、引き寄せられ、アサシンの体勢が崩れた。

 飛び上がるようにして三階廊下に到着したセイバーは、アサシンの足首を掴んだまま、全力でそれ(・・)を振り回した。

 

「ぬぅううあああ!!」

「ぅぉおおおおっ!?」

 

 窓に叩きつけられ、壁に叩きつけられ、最後には床へ、全力で振り落とされた。しかし、そこはサーヴァント、ダメージはあるが、死には至らない。だが、死んだも同然である。まるでボロ雑巾のようになってしまったアサシンは、抵抗の意思を見せるどころか、最早、立ち上がる事すら困難な程で、虫の息という有様である。次の一撃を避ける事なぞ、不可能でしかない状態。

 躊躇は無かった。セイバーの闘志に呼応するかのように、『戦争と平和の剣』が強く光り輝き、熱く燃え上がった。そして、セイバーは剣を振りかぶる。

 

 …が、そこで、セイバーは異常に気付く。それと同時に、背後に向かって剣を振った。

 

「そこだァッッ!!」

「フッ…」

 

 だが、"新たに現れたアサシンは(・・・・・・・・・・・)"、その攻撃を読んでおり、低く伏せることで、攻撃を回避した。

 

(アサシンが2体か…! どうりで、異様に弱く感じる訳だ。最初の奴が気配を晒していたのは、挟み打ちが目的か!)

 

 歴戦の戦士、覇者、ジョー・カディーン。その観察眼と洞察力、そして数多の戦場で積み重ねられた経験、それはまさに覇者と呼ぶに相応しいだけのものであり、それらが、早くも、アサシンの策略を見抜いた。分裂か、分身か、何にせよ、本物(オリジナル)よりは幾分か劣るが、サーヴァントとして活動可能な同位体であるようだ。暗殺者(アサシン)のクラスである以上、三騎士よりも格段に劣るのは当然、故に見抜くのが遅れたが、結局は看破した。セイバーは、むしろ、そこが怪しいとすら思った。あれだけ上手(うわて)に立ち回っていたアサシンが、これほどまでに弱いのには、何か裏があると。そう気付いた瞬間、背後から、殺気が放たれたのだった。

 

「ぐっ…ぬ…!」

 

 しかし、セイバーがそれに気付こうとも、アサシンの目論見はとうに完遂されていた。振り返りざまの一撃を避けたアサシンが、右手に持つ大振りのナイフを、セイバーの腹へと突き刺した。そして、先程まで倒れていたアサシンが、いつの間にか体を起こしており、膝立ちの状態で、セイバーの右脹脛(ふくらはぎ)にまったく同じナイフを突き立てた。

 二体のアサシンの行動は素早かった。刺し込んだナイフを即座に引き抜き、またも突き出す。前後からの挟み打ち、連続攻撃、一度目は行動阻害を目的とした刺突、二度目は急所狙いの一撃、相手が規格外の強敵であると見た上での、本物の暗殺者の手腕である。いくら最優と恐れられしセイバーであろうと、完全に密着した零距離で、前後からの、急所狙いの二段攻撃を前にしては、成す術が無かった。

 が、それでも、アサシンは敗北する。アサシンは見誤ったのだ、相手が人間の英霊に過ぎないと思い込んでいた為に。

 

「なっ!?」

 

 二体のアサシンが、同時に、驚愕の声を漏らした。ゼロ距離で、正面から、右肺を狙い、鎧の隙間を通し、確実に突き刺さったハズのナイフ。それが、硬い金属音で弾かれてしまった。零距離で、背後から、左肺を狙い、鎧の隙間を通し、確実に突き刺さったハズのナイフ。こちらも、硬い金属音を立てて弾かれた。確実に殺せたハズの一撃を弾かれ、アサシン達は隙を晒してしまう。アサシン達はここで、もう一度、驚愕に見舞われた。

 赤黒いフードごと後頭部を掴み、強烈な頭突き。悶絶などという表現では生易しい、確実に、人が死ぬ威力だった。頭蓋を砕き、脳髄を損傷させ、衝撃によって目玉が飛び出る。眼孔、鼻孔、そして口からも、頭突きの着弾と同時に、血が噴出した。二体目のアサシンは膝から崩れ落ちた。そこに、追い打ちの、剣の柄での殴打が振り下ろされる。今度こそ、完全に頭蓋を粉砕され、二体目のアサシンは倒れ臥した。脳の大部分を破壊されたのだ、活動不可能を通り越した、まぎれもない即死である。

 今の今まで瀕死も同然だった一体目のアサシンは、膝立ちのまま、逃げることも叶わず、なす術無く殺される。セイバーは振り返りざま、一撃で、二体目のアサシンの左の膝を踏み抜いた。そして、絶叫の如き悲鳴を上げる筈であったが、それよりも先に、首元を刺し貫かれた。体の内側から焼かれつつ、引き切るように振り抜かれた事で、首が落ちる寸前にまで切断され、一体目のアサシンが死んだ。

 合計しても一秒に満たぬ連続攻撃であった。最優の称号は伊達でも酔狂でもないと、ここでまた証明された。

 ラヴニカの暗黒街の長と言えども、全く別の次元の、生まれた時から体の一部に金属を持つ人間など、知る筈が無かった。それが決め手だった。セイバーの胴鎧の隙間の下には、黄金色の金属の肌が存在したのだ。優れた短剣使いならば、鎧の隙間を狙って当然。セイバーはその常道を利用し、逆手に取った。これは戦争であり、殺し合いである。鬼謀、奇策は武将の誉(ほま)れ。常道はおろか、常識を逸した戦術と戦法を用いる、侵略軍との戦いの中で磨かれた、これがセイバーの見出した活路であり、生き残る術であり、立派な戦術であった。

 

「2体だけということはあるまい、他にもいるな…」

「それに、本体もです」

 

 セイバーは、消える様に消滅していくアサシン達を眺め、悩ましいという表情で、先行きの不安を溢した。その不安の言葉を引き継いで、割れた窓ガラスの向こうから、戦線に復帰したランサーが現れる。

 セイバーも、ランサーの気配は覚えていたし、それが近づいているのは知っていた。だが、まさか戦闘態勢を取っているとは思っておらず、驚いた様子で詰め寄った。

 

「天使殿!? 傷は…!?」

「心配御無用、ケイネス(マスター)が頑張ってくれています。もう既に、相当分は回復しています」

「しかし…! アサシンが分身を扱えると分かったいま、不意の奇襲の危険は計り知れない! ――止めはいたしません…。ですが、注意だけは怠らぬよう…」

「もちろん。それはお互い様ですよ」

 

 ランサーは優しく微笑み、セイバーの心配を杞憂と笑うかのように、安心させた。しかし、その微笑みもすぐに消え、真剣な表情へと変わる。

 

「ライダーという手駒を失った以上、アサシンが次に狙うのは、マスター達でしょう」

「しかし、奴には火力が無い、一撃の重みを持たない。そのためのアーチャー(・・・・・)」

「ええ、しかしそうなると、今度は火力過剰となる。ならば、"マスター達は後回しでも構わない"。直接、手負いのサーヴァントを狙うのが最善。"狙われるのは私達のどちらかです"。しかし、私が回復しているとなると、アサシンは一手、遅れた事になる」

「奴の分身が、"先の2体だけだった"、というのであれば…、ですが…」

 

 二人のサーヴァントは同じ事を考えていた。すべては、『アサシンが、2体の分身の他に、まだ奥の手を隠しているかどうか』、そこに行き着く。

 セイバーを連れて歩くケイネスに、ライダーを当てたところから見ても、本体より劣る分身を、わざわざ城に忍ばせたところから見ても、ライダーの役目は陽動と足止めであり、アサシンの目的は、アインツベルンが所有する聖杯か、衛宮切嗣(セイバーのマスター)であると分かる。死にかけのランサーは眼中に無く、そのマスターたるケイネスすらもを無視して、聖杯か衛宮切嗣を狙っていた。ライダーでは絶対に、セイバーには勝てないと分かっていただろうに。それでもセイバーの所に向かわせたのだ。恐らくは、"ライダーに死んで欲しくて(・・・・・・・・・・・・)"。

 そして、分身を扱えるというのなら、本体は未だアーチャーの姿を取っているに違いない。ライダーが死に、聖杯の実体が表面化した事で、アイリスフィールの下へ、分身を向かわせたのだろうが。しかし、それはセイバーに阻まれた。となれば、残る本体か、もしくは他の分身が、手負いのランサーか孤立したマスター達を狙うはず。アーチャーの死線があれば、一度致命傷を負ったランサーなら、遠距離から、難なく仕留められるのだから。

 数多の手を持つアサシン、これはもう、間違いなく、誰もが認める、最悪の敵である。そんな脅威に立ち向かわなければならない苦難、しかし、二人の眼に、不安の色は無かった。

 だが、セイバーは、ひとつだけ、気がかりを溢した。

 

「あまり長々と話し合っている時間も無いが、ひとつ、天使殿の意見を窺いたい」

「なんでしょう?」

「奴(アサシン)は…、本当に、聖杯が狙いだと思われるか…?」

 

 残るサーヴァントは三騎、セイバー、ランサー、アサシン、この三体である。聖杯完成は間近となった、既に、セイバーもランサーも、そしてアサシンも、その顕現の波動を実感している。ならば、それを確かめたくはなる。だが、そのためだけに、危険を犯してまで、分身を城に向かわせるだろうか? あのアサシンが、今まで沈黙を貫き、正体を隠し、暗躍し続けたサーヴァントが。

 

「判りません…。こればかりは…、なんとも…」

「そうですか…。――では、私は行きます。…御武運を」

 

 セイバーは振り返りながら言い、返事も聞かず、そのまま走り去った。聞かずとも、その信頼は絶対であるからだ。

 ランサーも同じだった。その場を走り去るセイバーの背に向けて、聞こえるかどうかは関係無く、励ましの言葉を送った。

 二人は察していた。これが、この戦いが、聖杯戦争の終わりであると。

 

 

 




ケイネス先生が本気見せたのにも理由が……あったりするんでしょうか?(無責任)



それはそれとして、タルキール楽しみですね。
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