Fate/zero × MTG のクロスでも書こうかなと 作:栗鼠科.aka.メスガキ撲滅委員会
久々の二話連続更新です
久々なので初更新です
もうそろそろ終わりですねー
ああそれと、アヴァシン様の魅力をもっと知ってもらいたいので、
↓こんなの書いてみました
――――――
全盛期のアヴァシン伝説
アヴァシンが魔法を放つと、次元の全土にまでそれが及んだ。
そのまま数百年間、魔法の波動が残り続けている。
生まれてから一千年の間、完全無敗。
槍の一振りで、山がひとつ消し飛んだ。
並の吸血鬼が相手なら、一撃で100体は殺せた。時にはその倍も。
説法をするだけで、悪魔が泣いて謝った。灰と化す吸血鬼も。
不滅の悪魔を封印しまくった。しかも、その方法は自分で編み出したもの。
アヴァシンが悪魔を封印し過ぎたので、悪魔祓いの仕事が無くなった。
あまりにも強すぎるので、唯一神と同じ扱い。
あまりに絶対的過ぎるので、人類がアヴァシンに依存してしまう事態が発生。
――――――
↑の九割くらいはホントの話
(最下位の負け馬に、有り金全部つっこんだような気分だ…)
切嗣は賭け事を好かないので、普段は競馬場など見向きもしないが。この時ばかりは、まるで、負けの見えている対象に金を落としたような気分になった。残っているのはアサシンだけではない。ライダーを失ったが、それでもまだ、言峰綺礼は戦うつもりのようだ。言峰綺礼は元々、ライダーと離れて、単独で城に突入して来ていた。目的はどうあれ、言峰綺礼は、独りでも戦うつもりである事は、容易に考えられた。
言峰綺礼の追及を避けつつ、周囲への警戒を怠らず、随時、トラップを仕掛けながら後退し、後衛の二人からの連絡を待つ。それはもう、神経が磨り減るだとか、そういう類の話ではない。今にも切れそうな糸の上を歩く綱渡り、または、地雷原を真っ直ぐに走り抜けるといった、命知らずがやることだ。計算と作戦と慎重さで生き延びてきた衛宮切嗣からすれば、この状況は、追い詰められたも同然であった。
死の脅威と隣り合わせ、焦りに悩まされ、意識が朦朧としそうな状況で。ついに、救いの一報とも思える通信が入った。
「切嗣! ランサーが"奴"を見つけました! 三階北廊下、マダムの近くです!!」
衛宮切嗣は、その通信を受け取った瞬間、焦りで掻いた熱い汗が、一気に冷えていくのを感じた。『なぜだ!!』、そう叫びたくなる気持ちを抑え殺し、震える体を静めるように、ゆっくりと息を吐く。そして、通信機を強く握り直し、
「いえ、それが…、
衛宮切嗣は、今度こそ、理性が焼け切れ、精神のブレーカーが飛ぶのを感じた。そして、次の瞬間には叫んでいた。
「セイバァーッ!! 今すぐ城に戻るんだッ!!」
その手にある令呪の最初の一画、それが光り輝き、発動した。次の瞬間、衛宮切嗣の目の前に、返り血を浴びたセイバーが立っていた。
感覚共有により常にある程度の情報を受け取っていたセイバーは、
「奴はどこだっ!?」
「三階北側の廊下! アイリのすぐ近くだ!! 言峰綺礼は僕がなんとかする! 行け! 行ってくれ! セイバー!!」
まくし立てるように、叫ぶように、衛宮切嗣は言い切った。セイバーはその言葉をしっかりと聞き、マスターの決意を確かめるように頷き、目にも留まらぬ速度で走り去った。その場に残った切嗣は、決して、不安や恐怖に折れる事はなかった。壁を背にしていた切嗣には、その音が聞こえていたから。
(言峰…綺礼…! 何を勘違いしているのかは知らないが、お前の気持ちには答えられないぞ)
ゆっくりとした歩調、しかし力強く、重たい歩み。廊下に響く足音、執行人が迫ってきていた。
ここで、衛宮切嗣は武器を確認する。
「そこに居るのか」
聖堂教会が認める現代最高の素質を持つ代行者、若くして危険な任務に就き、勝利し、生き延びてきた戦士、言峰綺礼の声。衛宮切嗣は壁から離れ、声の方に向かって、銃を構える。壁板一枚を隔てて、二人は向き合った。
「ライダーは…、彼女は死んだ…、死んでしまった…。残っているのは、我々だけのようだ」
「我々?」
「そう、私達だけだ。――私にはやらねばならない事ができた。では、衛宮切嗣、お前に問う。お前には、どんな意志がある?」
切嗣は質問の意図を掴みかねたが、どういう考えからか、それに答えてしまった。
「聖杯を手に入れ、願いを叶える。…それだけだ」
「願い…か。お前の願いとはなんだ?」
「それを聞いてどうする」
切嗣の言葉は拒絶も同然だった。言峰綺礼は、その返答を聞き、数秒の間を置いて、どこか納得したような息を吐いた。
「『言葉は無粋』というわけか、それもいいだろう。ならば…! その体に聞いてやるッ!!」
言い終わるよりも早く、言峰綺礼の黒鍵が、壁を切り裂いた。
―――――
陸上選手を越える、凄まじい速度の、激しい全力疾走だった。
『
切羽詰った状況となった今、最早、傷がどうだの、宝具がどうだのと、四の五の言っている場合ではない。あのアサシンが、アーチャーへの変身を解き、アサシンとして動いている以上、実体を晒し、正体を見せた今、それを叩かねばならない。千載一遇の好機、これを逃せば、勝利は無い。故に、ランサーは交戦の意思を示した。マスターであるケイネスを安全な場所に移し、全力で魔力を送ってもらい、治癒の光で
そのために、ケイネスは走った。時計塔のロードは、研究室に篭りがちでいるとも、洗練された魔術が足りない身体能力を補う。生まれ持った"風と水の二重属性"、神童と呼ばれし者、ロード・エルメロイの魔術の一端。その走りは、一般的な空力学を完全に無視したものだった。空気抵抗を追い風へと変え、自身の体に掛かる重力を軽減し、血中の酸素濃度の調節、呼吸で得る酸素量の調節、筋肉に溜まる乳酸の自動分解、その結果が、突風となって街中を走り抜ける、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトの全力疾走だった。魔術の秘匿も完璧だった、周囲の空気を操作し、厚い空気の膜を纏い、光の屈折を変化させ、光学的に一般人の目には映らないようし、魔術に対する抵抗力を持たない脳への、認識阻害の魔術も同時に行使している。
ケイネスは、早くも、仮の拠点、ハイアット・ホテル前に到着する。そこで、ケイネスは空を飛んだ。風を集め、空気を集め、破裂させることにより、爆風を作り、それに乗って飛び上がったのだ。しかし、いくら空気抵抗を軽減できるとはいえ、それだけでは、最上階には届かない。
ケイネスはここでも、何の躊躇も無く、奥の手を切った。服の下に仕込んだ大量の水銀、ケイネスが誇る最強の礼装、『
「到着した! 魔力炉を私の体に繋げるのに、30秒は要る! 待てるか!?」
「待てません!!」
「わかった! 15秒でやる!」
全てが異常な会話だった。部屋に転がり込むと同時に、即座に魔術防備の状態を把握する、その時点で、超一流の魔術師たる認識速度であるというのに。そのうえ、魔力炉から抽出したマナを、変換機を通さず、直接、自分の魔術回路に繋げると言い。さらに、それを、たったの30秒で完了させると言ってのけ。また、ランサーは30秒では遅いと無茶を言い。そうすると、今度は、半分の15秒でやってみせると言い切った。
だが、ケイネスはその無茶を可能にした。僅か15秒で、フロア各所に設置した全魔力炉を一時停止、自分の体、魔術回路へと繋ぎ、それが完了すると同時に再起動し、過剰に注ぎ込まれるマナをオドへと変換してみせたのだ。
「
その命令と同時に、ランサーは光に包まれた。
―――――
切り刻まれ、燃え上がり、砕け散る床。まさか、階下の真下から、廊下の床を破壊して、無理矢理
セイバーはその隙を見逃さなかった。
「逃がさんぞッ! アサシンッ!」
「くっ!? 貴様…!」
足首を掴まれ、引き寄せられ、アサシンの体勢が崩れた。
飛び上がるようにして三階廊下に到着したセイバーは、アサシンの足首を掴んだまま、全力で
「ぬぅううあああ!!」
「ぅぉおおおおっ!?」
窓に叩きつけられ、壁に叩きつけられ、最後には床へ、全力で振り落とされた。しかし、そこはサーヴァント、ダメージはあるが、死には至らない。だが、死んだも同然である。まるでボロ雑巾のようになってしまったアサシンは、抵抗の意思を見せるどころか、最早、立ち上がる事すら困難な程で、虫の息という有様である。次の一撃を避ける事なぞ、不可能でしかない状態。
躊躇は無かった。セイバーの闘志に呼応するかのように、『戦争と平和の剣』が強く光り輝き、熱く燃え上がった。そして、セイバーは剣を振りかぶる。
…が、そこで、セイバーは異常に気付く。それと同時に、背後に向かって剣を振った。
「そこだァッッ!!」
「フッ…」
だが、"
(アサシンが2体か…! どうりで、異様に弱く感じる訳だ。最初の奴が気配を晒していたのは、挟み打ちが目的か!)
歴戦の戦士、覇者、ジョー・カディーン。その観察眼と洞察力、そして数多の戦場で積み重ねられた経験、それはまさに覇者と呼ぶに相応しいだけのものであり、それらが、早くも、アサシンの策略を見抜いた。分裂か、分身か、何にせよ、
「ぐっ…ぬ…!」
しかし、セイバーがそれに気付こうとも、アサシンの目論見はとうに完遂されていた。振り返りざまの一撃を避けたアサシンが、右手に持つ大振りのナイフを、セイバーの腹へと突き刺した。そして、先程まで倒れていたアサシンが、いつの間にか体を起こしており、膝立ちの状態で、セイバーの右
二体のアサシンの行動は素早かった。刺し込んだナイフを即座に引き抜き、またも突き出す。前後からの挟み打ち、連続攻撃、一度目は行動阻害を目的とした刺突、二度目は急所狙いの一撃、相手が規格外の強敵であると見た上での、本物の暗殺者の手腕である。いくら最優と恐れられしセイバーであろうと、完全に密着した零距離で、前後からの、急所狙いの二段攻撃を前にしては、成す術が無かった。
が、それでも、アサシンは敗北する。アサシンは見誤ったのだ、相手が人間の英霊に過ぎないと思い込んでいた為に。
「なっ!?」
二体のアサシンが、同時に、驚愕の声を漏らした。ゼロ距離で、正面から、右肺を狙い、鎧の隙間を通し、確実に突き刺さったハズのナイフ。それが、硬い金属音で弾かれてしまった。零距離で、背後から、左肺を狙い、鎧の隙間を通し、確実に突き刺さったハズのナイフ。こちらも、硬い金属音を立てて弾かれた。確実に殺せたハズの一撃を弾かれ、アサシン達は隙を晒してしまう。アサシン達はここで、もう一度、驚愕に見舞われた。
赤黒いフードごと後頭部を掴み、強烈な頭突き。悶絶などという表現では生易しい、確実に、人が死ぬ威力だった。頭蓋を砕き、脳髄を損傷させ、衝撃によって目玉が飛び出る。眼孔、鼻孔、そして口からも、頭突きの着弾と同時に、血が噴出した。二体目のアサシンは膝から崩れ落ちた。そこに、追い打ちの、剣の柄での殴打が振り下ろされる。今度こそ、完全に頭蓋を粉砕され、二体目のアサシンは倒れ臥した。脳の大部分を破壊されたのだ、活動不可能を通り越した、まぎれもない即死である。
今の今まで瀕死も同然だった一体目のアサシンは、膝立ちのまま、逃げることも叶わず、なす術無く殺される。セイバーは振り返りざま、一撃で、二体目のアサシンの左の膝を踏み抜いた。そして、絶叫の如き悲鳴を上げる筈であったが、それよりも先に、首元を刺し貫かれた。体の内側から焼かれつつ、引き切るように振り抜かれた事で、首が落ちる寸前にまで切断され、一体目のアサシンが死んだ。
合計しても一秒に満たぬ連続攻撃であった。最優の称号は伊達でも酔狂でもないと、ここでまた証明された。
ラヴニカの暗黒街の長と言えども、全く別の次元の、生まれた時から体の一部に金属を持つ人間など、知る筈が無かった。それが決め手だった。セイバーの胴鎧の隙間の下には、黄金色の金属の肌が存在したのだ。優れた短剣使いならば、鎧の隙間を狙って当然。セイバーはその常道を利用し、逆手に取った。これは戦争であり、殺し合いである。鬼謀、奇策は武将の
「2体だけということはあるまい、他にもいるな…」
「それに、本体もです」
セイバーは、消える様に消滅していくアサシン達を眺め、悩ましいという表情で、先行きの不安を溢した。その不安の言葉を引き継いで、割れた窓ガラスの向こうから、戦線に復帰したランサーが現れる。
セイバーも、ランサーの気配は覚えていたし、それが近づいているのは知っていた。だが、まさか戦闘態勢を取っているとは思っておらず、驚いた様子で詰め寄った。
「天使殿!? 傷は…!?」
「心配御無用、
「しかし…! アサシンが分身を扱えると分かったいま、不意の奇襲の危険は計り知れない! ――止めはいたしません…。ですが、注意だけは怠らぬよう…」
「もちろん。それはお互い様ですよ」
ランサーは優しく微笑み、セイバーの心配を杞憂と笑うかのように、安心させた。しかし、その微笑みもすぐに消え、真剣な表情へと変わる。
「ライダーという手駒を失った以上、アサシンが次に狙うのは、マスター達でしょう」
「しかし、奴には火力が無い、一撃の重みを持たない。そのための
「ええ、しかしそうなると、今度は火力過剰となる。ならば、"マスター達は後回しでも構わない"。直接、手負いのサーヴァントを狙うのが最善。"狙われるのは私達のどちらかです"。しかし、私が回復しているとなると、アサシンは一手、遅れた事になる」
「奴の分身が、"先の2体だけだった"、というのであれば…、ですが…」
二人のサーヴァントは同じ事を考えていた。すべては、『アサシンが、2体の分身の他に、まだ奥の手を隠しているかどうか』、そこに行き着く。
セイバーを連れて歩くケイネスに、ライダーを当てたところから見ても、本体より劣る分身を、わざわざ城に忍ばせたところから見ても、ライダーの役目は陽動と足止めであり、アサシンの目的は、アインツベルンが所有する聖杯か、
そして、分身を扱えるというのなら、本体は未だアーチャーの姿を取っているに違いない。ライダーが死に、聖杯の実体が表面化した事で、アイリスフィールの下へ、分身を向かわせたのだろうが。しかし、それはセイバーに阻まれた。となれば、残る本体か、もしくは他の分身が、手負いのランサーか孤立したマスター達を狙うはず。アーチャーの死線があれば、一度致命傷を負ったランサーなら、遠距離から、難なく仕留められるのだから。
数多の手を持つアサシン、これはもう、間違いなく、誰もが認める、最悪の敵である。そんな脅威に立ち向かわなければならない苦難、しかし、二人の眼に、不安の色は無かった。
だが、セイバーは、ひとつだけ、気がかりを溢した。
「あまり長々と話し合っている時間も無いが、ひとつ、天使殿の意見を窺いたい」
「なんでしょう?」
「
残るサーヴァントは三騎、セイバー、ランサー、アサシン、この三体である。聖杯完成は間近となった、既に、セイバーもランサーも、そしてアサシンも、その顕現の波動を実感している。ならば、それを確かめたくはなる。だが、そのためだけに、危険を犯してまで、分身を城に向かわせるだろうか? あのアサシンが、今まで沈黙を貫き、正体を隠し、暗躍し続けたサーヴァントが。
「判りません…。こればかりは…、なんとも…」
「そうですか…。――では、私は行きます。…御武運を」
セイバーは振り返りながら言い、返事も聞かず、そのまま走り去った。聞かずとも、その信頼は絶対であるからだ。
ランサーも同じだった。その場を走り去るセイバーの背に向けて、聞こえるかどうかは関係無く、励ましの言葉を送った。
二人は察していた。これが、この戦いが、聖杯戦争の終わりであると。
ケイネス先生が本気見せたのにも理由が……あったりするんでしょうか?(無責任)
それはそれとして、タルキール楽しみですね。