※この作品はR-18です。

Fate/zero × MTG のクロスでも書こうかなと   作:栗鼠科.aka.メスガキ撲滅委員会

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今回は前回よりも早く更新できたね
まあその分、内容がちょっと残念なんだけど…

Twitter始めました→ nijisyosetu



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――夢を見ていた。

――どこか懐かしくも感じられる、しかし悲しく、そして苦しい夢を。

 

『行ってしまわれるのですね、ジョー』

 

 独り去って行こうとする男の背中を見て、女性の猫獣人(シカール)の一人が言った。

 

『……すまない』

 

 男は振り返らないまま、謝罪を返した。

 

『ウラブラスクは我々に対し無関心です。そればかりか、彼の手下でさえ、我々を襲おうとはしません。今や、この大焼炉の、焼炉層こそが、ミラディン人(ミラン)にとって一番安全な場所となりました……―――ここに居ればいいじゃないですか。どうして今更、刃砦へ向かうのですか?』

 

 シカールの言葉は至極真っ当なものだった。最早、ミラディンの全土が、ファイレクシアに侵略され尽くしたいま。安全な場所なぞ、ここ大焼炉を除いては、どこにも無いのだから。

 それでも、男には、戦わねばならぬ理由があった。

 

『……まだ戦っている者達がいる。この状況で、なおも戦い続ける者達がいる。ならば…、私が戦わなくてどうするのだ! 覇者と呼ばれた男だぞ!! 全ミランの代表として、最後まで戦わなければ、示しが付かん!!』

『ジョー…』

『戦士というのは、救援を求められたとき、戦友のためなら、危険を顧みず、命を惜しまず駆けつける生き物なのだ。……分かってくれ。行かねばならないのだ――己の誇りに懸けて…』

 

 ジョー・カディーンは戦士であるが、同時に指導者でもある。周囲の者がそうしたのだ。彼は自ら覇者と名乗ったわけではない。どの時代でも、どんな次元でも、肩書きを付けるのは周囲の者だ。それでも彼は生き残った者を集め、導き、希望を失くさないようにと、皆を纏める立場に努めた。皆がそれを求めたから、そうする者が必要だったから。

 そうして落ち延びた者達と大焼炉で暮らすある日、焼炉層の集落に、地上へと繋がる秘密のトンネルから、伝達がやって来た。『救援求ム』。地上に残った最後の基地、刃砦からの救援要請。それは、終焉の先触れだった。もはや戦う力も無くす寸前の集落にまで、救援を要請しなくてはならないほどに、切迫しているのだと。

 

 ジョーは数人のヴァルショクだけを連れて、地上へ向かった。ファイレクシアに侵略された地獄へと。

 死にに行くようなものであるが、ジョー・カディーンには、そうする以外に無かった。可能な限りを助ける。逃がせるだけを大焼炉へと送り、残った者達で時間を稼ぎ、トンネルを封印し、隠す。そのために、ジョー・カディーンは死地へ向かった。

 

 その目には覚悟があった。

 その胸には誇りがあった。

 その魂には信念があった。

 

 守るために、存続のために、一筋の希望を遺すために、ジョー・カディーンは自らの命を未来に捧げたのだった。

 

 

―――

 

 

 魂が呼応した。相棒の意志に感化され、生命(いのち)の火が再燃した。

 

――まだ死ねないっ…! 死ぬわけにはいかないんだっ!!

 

 セイバーの覚悟と誇り、そして信念が、衛宮(えみや)切嗣(きりつぐ)の魂を呼び戻した。

 

「――ッッ…!! っは…!? こ、ここは…!?」

 

 目を覚ました時、頭痛がして、喉には乾きかけた血の重みがあり、全身が激痛に軋んだが。それよりも、自分が息を吹き返したという謎と、セイバーの安否、アサシンの生死が気にかかった。どうして自分は助かったのか。死ぬ寸前だったハズだ。周囲には誰も居らず、治療をしてくれる人間なぞ望めなかったはずなのに。

 

「良かった…! 助かったんだ…!」

「っ…!?」

 

 すぐ近くから発せられた声で、ようやく、衛宮切嗣は自分の隣に誰かが座っている事に気付く。

 驚いて振り向いた視線の先には、見ず知らずの少年が居た。外国人だ。訛りから察するに、英国(イギリス)系の人間らしい。だが、少年から感じられる僅かな魔力の波動と、魔術の痕跡。聖杯戦争に参加している魔術師(マスター)の一人か、その協力者か、そこまでは容易に考えられた。そして、この少年が、応急処置を施し、治癒魔術で助けてくれた人間であるという事も。

 そこで衛宮切嗣は、視線を落として、少年の手を見た。すると、そこには予想通り、痣のように残る、令呪の痕があった。

 

――3つ全部消費したのか…?

 

 だが、使用可能は令呪は残っていなかった。あるのは使用した痕だけ。それが違和感であり、疑問であり、困惑であった。

 事実と予想の食い違いが、衛宮切嗣の思考を乱す。少年はあまりにも"らしくない"のだ。少なくとも、衛宮切嗣の目にはそう見えた。

 切嗣が思考していると、少年は腰に下げたポーチを探り、小さな瓶を取り出し、それを差し出した。

 

「飲んでくれ。安物だけど、霊薬は霊薬だ。傷の治りも早くなるし、魔力も……少しくらいは回復するはずだ」

 

 少年はどこか恥ずかしそうにして、小瓶を突きつける。

 

「……?」

 

 衛宮切嗣はその行為に疑問を憶える。消去法から、この少年がアサシンのマスターである事は明確だ。そして、アサシンが、セイバーとランサーを殺すために全力を出している事も明確。ならばなぜ、いったいどうして、少年が、敵対者である自分を助けようとするのか。

 切嗣は小瓶を受け取りつつ、素直に聞いた。

 

「……なぜ助ける」

「えっ?」

「僕は敵だぞ。どうして助けるんだ」

 

 少年が返答に窮しているのを見ながら、切嗣は小瓶を開け、臭いを一嗅ぎすると、液状の薬を口に含んだ。霊薬は「確かに安物だな…」、と思わざるを得ない物だったが、今はそれすらもありがたい。その間、少年は黙ってその様子を見ているだけで、口をつぐんだまま。

 切嗣が霊薬を飲み干し、瓶を床に置く。そして、少年の顔を見て、もう一度、同じことを聞く。

 

「どうして助けた」

 

 少年は苦しそうな表情を見せた。切嗣には理由が判らなかったが、止むに止まれぬ事情があることは知れた。

 そして十数秒の後、意を決したように息を呑んだ少年が、その訳を話し始める。

 

「アサシンを……倒してほしい…」

 

 少年は強く目を閉じたまま言った。

 

「あの虐殺の実行犯はライダー達だけど、それを命じたのはアサシンだ。僕は……僕は止められなかった…。アサシンを止められるだけの力が無かったんだ…」

 

 少年は目に涙を浮かべていた。あれは望んでやった事じゃない、そういうことだと。しかしそれは、疑い深い切嗣にさえ、すぐに納得出来る言葉だった。

 切嗣の目に映る少年は、とてもじゃないが、進んで人殺しなぞ出来ない人種(タイプ)だ。むしろ、人殺しなんてやりたくない、と言うような一般人的存在だろう。だからこそおかしいのだ。望む望まずに関わらず、聖杯戦争に参加していながら、自主敗退を選ばず残ったのに、「人殺しなんてしたくなかった」とは、随分と都合のよい言い分である。

 だが、その疑問はすぐに理解出来た―――そんな少年が、いったいどうして、殺し合いの場に、戦場に、この聖杯戦争に参加したのか。そんな根本的なところから始めて、少年の現在の姿を見て、今の現状を見て、その言葉を聞けば、全てが紐解かれる。少年は勘違いをしたまま聖杯戦争に参加してしまったのだ。まさかこうまで惨酷な、血で血を洗い、死と苦しみをぶつけあう、狂気の殺し合いだとは、考えてもいなかったのだろう。そして、少年の悲劇の始まりは、軽々と人間(ひと)の命を奪うことの出来るアサシンを召喚してしまったこと。そのアサシンは少年の命令を無視して、方々(ほうぼう)で殺戮を始めたのだと。少年の手が届かないところで、その力が及ばないところで、戦いは加速してしまったのだ。

 そして、少年が戦場に残り続けた理由も、どうして自分を助けたのかも、切嗣には察する事が出来た。

 

「何度も言ったんだ…! やめてくれって、もう殺すなって…! でも…、令呪を使っても……無駄だって…」

 

 少年は始めこそ堪えていたが、感情からか、やがて抑えきれなくなり、量を増す涙とともに、その口から嗚咽が漏れた。

 衛宮切嗣は、そんな少年の様子を見て、かつての、若かった頃の、昔の自分を見たような気がした。始まりの地、あの小村で、父を止められなかった自分を。

 

「お願いだ、アサシンを…止めてくれ…――令呪は全部、アイツを拘束するのに使った。『正々堂々と、正面から、逃げずに戦え』って、同じ命令を続けて三回。一回一回は弱くても、重ね掛けすれば効果はある。だから、アサシンは今、かなり無理をしながら戦っているはずなんだ。これなら、セイバー達で倒せるかもしれない」

「…自害は命じなかったのか?」

「僕の魔力じゃ、そこまでの強制力は無いよ…。アサシンは魔術師でもあるから…。あまり無茶な命令だと、無理矢理破棄(キャンセル)されてしまうだろうし…。だから、ベクトルを変えさせて、選択肢を狭める事にしたんだ――……それくらいしか出来なかった、ともいうけど…」

 

 衛宮切嗣は理解する、少年の言葉に嘘は無いと。そして、これが最後であると。

 

「それで十分だ」

「やれるかな…?」

「やるしかない」

 

 不安そうな声の少年に、切嗣は強い意志を見せつける。

 そして、決着をつけるために、行動を開始する。

 

「君、名前は?」

「あ…、そうだった、まだ自己紹介もしてなかったんだ。僕はウェイバー・ベルベット。……あんたはエミヤ・キリツグだよな」

「ではベルベット、治癒魔術でサポートしてくれ。僕はセイバーを助ける。魔力消費は抑えたい」

「分かった。やれるだけやってみるよ!」

 

 少年がポーチの中から道具を取り出して、治癒魔術の行使を始めようとするのを見て、衛宮切嗣が動く。

 まずは念話を繋ぎ、状況確認。

 

『……セイバー?』

 

 反応が無い。だが、回線(パス)は繋がったままであり、そこからセイバーの状態が、意識はあるが、辛そうであること、恐らく負傷している、という事は判る。

 切嗣は続けて念話を送る。

 

『無事か? ……セイバー?』

 

 一拍置いて、返事が返ってくる。

 

『切嗣!? 切嗣なのか!? 今までどうしていた!? 無事なのか!?』

『僕は無事だ。助けられた。命の心配は無くなったよ』

『助けられた…? いったい誰に?』

『それはいい。今重要なのは、アサシンを倒さなければならない、という事だ。現状を報告してくれ』

 

 セイバーからの念話には苦々しい感情が含まれており、苦しい状況に置かれている事が窺えた。

 

『私は負傷している。腹に穴を開けられてな…。ランサーも負傷した。重傷だ。辛うじて戦えるのは、私だけだ』

『アサシンは?』

『ダメージはあるが、私ほどではない。むこうの方が有利だ…』

 

 報告されたのは難しい状況だった。現場を見なくても、このままでは、セイバーとアサシンが殺される事は容易に知れた。

 

『どうする? もう最終手段しかないと思うが?』

『プランCは無駄だろうしな…』

『ああ。奴は武器の宝具を持っていない。奪った宝具で金属術の発動条件を満たすのは不可能だ。かと言って、ランサーから槍を借りるのも、また難しい。ランサーの魔術はあの槍を起点に発動されている。それを奪ってしまえば……』

 

 そこまで聞いて、衛宮切嗣は目を閉じた。

 諦めたのか? そんな不安が過ぎり、ウェイバーは衛宮切嗣の顔を覗きこんだ。

 

「大丈夫…なのかい…?」

 

 聞いてはみたが、それは確認に過ぎない。ウェイバーが覗き込んだ衛宮切嗣の顔には、不安や恐怖といったものは見えず、確かな覚悟しか見えなかったからだ。

 そして、猶予の無い状況が、衛宮切嗣に決断を下す。

 

「我が傀儡(セイバー)よ、汝が主、衛宮切嗣が令呪を以て命じる」

『……ああ、やってくれ』

 

 切嗣の右手にある令呪が輝き、その一画が起動される。

 

「最大宝具の使用を許可する。清純の旗の下、敵を殲滅せよ」

 

 

―――

 

 

 令呪の後押し(ブースト)を受けて、セイバーが宝具を使う。それを察したアサシンが魔術を放ち、妨害に出る。

 セイバーは飛来する黒い爪の様な鉄片を斬り払い、真名解放のため、宣言を開始する。

 

「共に戦った英雄達よ! 今ここに集え!」

「させるかっ!」

 

 続けて放たれるアサシン攻撃魔術。セイバーは真名解放に集中しながらも、最小限の動きでそれらを避け、受け流す。

 

「喊声を上げよ! 白の太陽が昇る時の如く、雄々しく吼えよ!」

 

 セイバーは空に向けて戦争と平和の剣を掲げた。その二つ刀身が光り輝くと、そこからマナの風が生じ、それはすぐに暴風の如くとなった。

 

「喊声を上げよ!! 赤の太陽が昇る時の如く、血気に従え!!」

 

 ランサーはその様を見て、やはり、最初に感じた、黄金夜の刃の天使たちと同じ、正義のために戦う者であると再確認する。風に乗って荒れ狂うは、神々しい白き魔力と、荒々しい赤き魔力。ランサーは、それらからどこか懐かしくも思える空気を感じた。

 

「くっ…、この魔力は…!?」

 

 戦争と平和の剣から生じたマナの風は勢いを増し、それはアサシンを寄せ付けないほどにまでなった。

 令呪の強制力によって逃走という選択肢を奪われたアサシンは、荒れ狂う魔力の暴風を耐えるしか出来なかった。

 そして、切嗣(マスター)から送られる魔力と、戦争と平和の剣に内包される魔力と、自らが持つ魔力を使い、宝具の真名解放に必要な分が揃う。

 戦争と平和の剣が更に光り輝き、やがて、何も見えなくなった。白一色になり、目を開けていられなくなる中、宣言が終わる。

 

「清純なるミラディンを取り戻すべく立ち上がった戦士達よ! 覇者の声が導くままに、集え!! いま再び! 我らは戦場を共にする!!」

 

 そして、光が止んだ時――

 

「ここは…」

 

 ――そこは異次元(ミラディン)だった。金属の大地。所々に銀の草が生えた、砂鉄が風に舞う平原だ。

 そして、軍靴を踏み鳴らす音が聞こえ、そちらに目を向ければ、そこに見えるは、そこにそびえるは、ジョー・カディーンが最後に戦った場所、『刃砦(やいばとりで)』があった。

 

「っ……!!」

 

 アサシンは自分の立ち位置が大きく変わっている事に気付く。十メートルも離れていなかったはずなのに、見れば、その倍以上も離れた位置にセイバー達が居た。

 その軍勢は、アサシンの目から見ても、かなりの実力者揃いであることが判った。強大凶悪なファイレクシア軍と戦い続けた者達、最後まで残った古参兵(ベテラン)達だ。強いのは当然だ。

 そして当然、その先頭に立つのは、覇者、ジョー・カディーンである。

 

「また貴方と轡(くつわ)を並べて、共に戦える日が来るとは…。実に嬉しい限りです」

 

 馬のような四足動物に乗った女性が進み出て、ジョー・カディーンの右手に立ち、そう言った。

 

「戦士は勝利を収め、栄光に浴(よく)する」

 

 大きな象獣人(ロクソドン)がジョー・カディーンの背後に立ち、周囲を鼓舞する言葉を述べる。

 

「ジョー、やっとこいつを渡せる時が来たな。今度こそ使ってやってくれよ」

 

 鎧姿の騎士がジョー・カディーンの左手に立ち、手にした剣を差し出し、そう言った。

 

「ああ、使わせてもらおう」

 

 ジョー・カディーンが左手で剣を受け取る。それは戦争と平和の剣に似た、二枚の刃を持った二色の剣―――前時代、ミラディンの管理者メムナークと、メムナークに対抗するべく集まった全ミランとの、第一次世界大戦時に創られた武器。聖なる刃、悪しき刃、光と闇、正と邪、反発する二種の属性を一本の剣に収めた神秘の一振り。「光と影の剣」である。

 

 右手には戦争と平和の剣、左手には光と影の剣。そして胸には清純のタリスマン。全てが揃った―――オーリックの神秘、金属で溢れたミラディンならではの、アーティファクトから力を引き出す魔術、『金属術』の発動である。

 あと必要なのは、開戦の合図だけ。ジョー・カディーンが二本を掲げると、それに従い、軍の全員がそれぞれの武器を掲げた。

 

「ではゆくぞ、アサシン…。刮目せよ!――――全軍………突撃ィィッ!!!」

 

 覇者の号令と共に、清純の軍勢が進軍を開始した。

 

 

 




やっぱり話が進まないなあ…
完結までの道筋は見えてるんだけどねえ

 ~楽屋裏ネタ~

アヴァシン「ウチの騎士にさあ、サリアって娘が居るんだけど」
ジョー・カディーン「うん」
アヴァ「その娘さあ、『ゴブサーの姫』とか呼ばれてるのよね」
ジョー「……へ、へえ…」
アヴァ「ゴブサーって何の事か知らない?」
ジョー「いや…知りませんね……(大嘘)」
アヴァ「そっかぁ…」
ジョー「(ランサーの世界のゴブリンは人間相手で異種姦するのか…)(困惑)」
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