Fate/zero × MTG のクロスでも書こうかなと 作:栗鼠科.aka.メスガキ撲滅委員会
とか言っても「前書き自画自賛兄貴」ってコメントがつかないのが悲しいね…
そして真昼間に投稿する勇気
厄介事は手早く片付けるに限る。誰だってそう思うだろう。もちろん、
続けて三回、
うつ伏せに倒れていたバーサーカーのマスターは、幸せな事に、死んだ事にも気付かないまま、逝ってしまった。
「初日から一組撃破とは、幸先がいいじゃないか」
死体から令呪が消えていくのを確認し、衛宮切嗣は、無表情ながらも、喜びを溢した。
衛宮切嗣は、手柄を奪ったとは思わない。二人はチームだ。互いに連携し、互いの穴埋めをし、補完し合うのがチームだ。セイバーがバーサーカーに致命傷を負わせてくれたおかげで、後詰めの衛宮切嗣が、楽に狙撃を行えたのだ。だから、手柄は二人の物だ。
それは、セイバーも同じ考えだった。だが、思うところが無いかと言われると、そうでもなかった。バーサーカーのしぶとさは異常だった。数値上の計算ならば、バーサーカーは、あの一撃で完全に倒せていたハズだった。Aランクの限界値である筋力で、A+ランクの神秘性を持つ剣を揮い、鎧を切り裂いて完全に叩きこんだのだ。しかも、『戦争と平和の剣』が持つ誘発能力までもが、確実に発動していた。それでも、バーサーカーは消滅しなかった。
全ては自身の力不足が原因、セイバーはそう考えてしまう。「横槍が入ったから」などというのは、ただの言い訳だ。自分がバーサーカーを仕留め切れなかったばかりに、
それが、銃声を聞き、振り返り、なにが起きたのかを理解した、セイバーの後悔だった。
―――――
沈黙が流れる。なにが起きたのか理解出来ていないランサーも、セイバーの表情と驚き様を見て、大方の事情は把握していた。そしてセイバーも、背と腹から血を流しながら、今死んだばかりの死体を見つめ、声を出せずにいた。
今夜の戦いは終わった。セイバーチームの勝利という形で。手に入った情報は多い。確かな戦果もある。だが、後味の悪い、寒い勝利だった。
重たい沈黙を破り、ランサーが声を掛けた。
「…私は、死者を弔いましょう。ですがその前に、貴方の治療をしなくてはいけません」
例え、最後には戦う定めであっても。怪我人を見過ごせはしないのが、天使である。ここは
「せっかくだが、丁重にお断りさせていただく。この程度の傷ならば、自前の装備でなんとかなる。それに、マスターの許可も無く、サーヴァントの助力を得たとあっては、問題も生じよう。そちらはどうなのだ? 天使殿。そちらのマスターは、それを許可したか?」
「…いえ」
「では、今日はここまでだろう。弔う手伝いが出来ないのは心苦しいが、
「そんな事はありませんよ。死者を
平行線の会話が続く。確かに、セイバーには、傷を癒す装備がある。『清純のタリスマン』。マナを生み出す魔力炉であり、同時に、癒しの力を放出して傷を癒してくれる、ミラディンのアーティファクト。それがある限り、セイバーに過度な助力は必要ない。それに、セイバーの言は正しい。協力関係を築くのは悪くないが、それは、お互いのマスターの言葉があって初めて成立するものだ。今はまだ、僅かな時間共同戦線を張っただけの、敵同士なのだから。
セイバーの言葉が正しいと分かっていても、それでもランサーが引かないのは、ひとえに、"感謝の気持ち"からである。
「ですが…! ……どうお礼をしたものか、考えつかないのです」
ランサーは残念そうに
そこに、セイバーが助け船を出した。
「なら…、まずはこの者達を弔ってやってほしい。私が助けられなかった者達だ。私の力不足が招いた結果でもある」
「それは…、私も同じです…」
「だからこそ、助けてやってほしい。行き場を失った魂に、安息を与えてやってほしい。私に礼をしたいというのなら、それは彼等を導くことで、決着としてもらいたい」
ランサーは、なにか気付いたような表情をして、セイバーの言葉に頷いた。
そして、セイバーが見守る中。大天使が放つ浄化の光が、11人の魂を導いた。
―――――
繁華街に溢れる優しい光を浴びながら、そこまで考えたところで、衛宮切嗣は振り返った。
「そこに居るのは分かってる。気付かれないとでも? 出て来い…」
銃を構えつつ、落下防止用のフェンス以外は何も無い方向に向かって、衛宮切嗣は声を掛けた。するとカチカチという金属音がして、フェンスの向こう側、垂直な壁しかない場所から、一人の男が現れた。
金髪、白い肌、外国人である事は見ただけで分かった。そして、魔術師の証拠でもある、足場にしていた液体金属製の魔術礼装。既に写真でも確認していた聖杯戦争の参加者の一人、優勝候補として名前が上がる有望株でもある、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトその人であった。
「…銃か。フ、なるほど、貴様がアインツベルンに雇われたとかいう傭兵と見て、間違いないな。そうか、流石はアインツベルン。見事
衛宮切嗣本人の事は、まるで脅威と見ていない。セイバーを敵に回す事の辛さは分かっているだろうに、まったく気構えない態度だった。
ジロジロと衛宮切嗣を見定め、分かった様な顔をして、一度鼻で笑うと、ケイネスは喋り出した。
「銃を下ろせ。戦いに来たわけではない。むしろ、助けてやろうと言うのだ」
組んでいた後ろ手を離し、ひらひらとこれ見よがしに左手を振って、大胆不敵に言ってのける。その余裕はいったいどこから来るのだろうか。実際、実力はあるのだろう。だが、未知数の敵を前にして、むしろ凄いと言わざるを得ない態度だった。
これだから魔術師ってヤツは。衛宮切嗣はそんな事を考えつつも、魔術師という人種をしっかりと理解しているため、嘘はついていないと判断し、黙って銃を下ろした。
「…それでいい。では、本題に入ろう。今、下ではサーヴァント同士が仲良くやっているようだが…」
話というのは、なにも難しい事ではなかった。ようするに、同盟の提案。協力関係を築かないか?、という誘いだ。
セイバーを有するアインツベルンとランサーを有するケイネスが組めば、間違いなく最強の組み合わせだ。ケイネスはロードの位を得ている程の魔術師だ。その力を借りれるというのなら、切嗣にとって、確かに頼りになる存在となるだろう。しかし、切嗣側には理由が無かった。旨みはあれども、わざわざそうするまでもないのだ。それはケイネス側にとっても同じ事であるハズだった。セイバーも、そしてランサーも、共に強力過ぎる程のサーヴァントなのだ。協力しなくても、それぞれが自分達でやっていける。それだけの力があった。
しかし、問題があるのだ、とケイネスは言う。
「お前も見ただろう、あのバーサーカーを。あれは間違いなく反英霊だ。それも、反英霊の極致と言っても差し支えないような、悪意の権化とも言うべき存在だ。そしてあの乱入してきたサーヴァント…。あれもまた反英霊である事は、想像に
「…なにが言いたい?」
「異常なのだよ、傭兵クン。この聖杯戦争。英霊を召喚し、使い魔として戦わせるという、魔術師同士による決闘の場という印象でしかなかったが。これはあまりに異常だ。こんなにも反英霊ばかりでは、運営にも支障が生じるはず。それに、我々としても、最早四の五の言っている場合ではないのだよ。こんな街中で、一般人の真っ只中でサーヴァントを実体化させるなぞ、魔術の秘匿という考えが欠落している者ばかりだ」
「………」
「これでは、うるさいランサーを抑えて、一般人が避難し終わるまで待った私が馬鹿みたいではないか。まったく…。そちらは支障が無さそうだな? あのマスクはどうかと思うが、あの格好なら実体化していてもサーヴァントだとはバレるまい。しかしあのランサーめは…」
察しろと言わんばかりの説明だった。つまり、問題が起きているからお前も手伝え、というのだ。そして、話すべき事は話したと言わんばかりに、ケイネスはだらだらと自分のサーヴァントに対する愚痴を溢している。
随分と勝手な意見だが、衛宮切嗣にも、納得のいく話だった。これ以上反英霊に暴れられて、民間人を殺されては、聖杯戦争どころではなくなる。魔術協会から直々にお叱りが飛んでくるだろうし、聖杯戦争の監督役を派遣している聖堂教会からも、強い圧力を掛けられるに違いない。そうでなくても、今夜の一連の騒動。事態の収拾のために、いったい何人の記憶を調整しなければならないのか。10人分の死体の処理は? 繁華街に来るまでに、バーサーカーが他に殺人を犯していないか、調べるための人員と費用は? もう既に、聖堂教会の連中は大慌てで駆けずり回っていることだろう。手が足りなくなのは、自明の理。こうなっては、マスターの何人かが、魔術の秘匿を手伝うなりなんなりしなくてはならなくなる。
バーサーカー一人が暴れただけで、この始末なのだ。あの乱入者のサーヴァントも同じ様に暴れたら? 他にも反英霊が居たら?
考えただけで、衛宮切嗣は頭が痛くなった。
「返事を聞かせてもらえるかね?」
いつの間にか愚痴を溢すのをやめていたケイネスが、衛宮切嗣の動きを待っていた。
厄介事は早めに片付けるに限る。衛宮切嗣が出した答えは、賛成だった。
「…いいだろう、その提案に乗る。そちらにはまず、監督役が居る教会へ向かってもらい、相談した上で、出来る事を確認してもらう。ランサーのあの姿なら、容易く信用してもらえるだろう。任せても構わないな?」
「もちろんだ。だがその前に、下を整理してくるぞ。結界を張って、処理班が来るまでの時間を稼ぐ。どうせ、君には出来ない事だろうからな」
思いっきり下に見ているナメた嫌味だったが、衛宮切嗣はまるで反応せず、さらりと流した。
その会話と、これまでの騒動を、全て監視していた者が居る。セイバーも、ランサーも、そして二人のマスターも。誰一人として、その存在に気付いてはいなかった。
誰にも気付かれないまま全てを見ていた男は、赤黒いローブを着ていた。
魂食いしてた訳じゃなくて「ただ遊びで殺してただけ」というスラクジムンダール兄貴のアホの子っぷりに涙を禁じ得ない
そしてちゃっかり龍ちゃんの魂まで浄化して導いてあげるアヴァシン姉貴の女神っぷりに涙がで…でますよ…
しっかしこのセイバーつまんねぇな…、優等生すぎるっしょ。やっぱあれかね、あの台詞を言わせなきゃいけないかね。
「なぁ…スケベしようや…」
あっ、ダメだこれ。これやったら終わるわ。アカンてアカンて。
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