あやつり糸の切れた先 作:馬瀬
二話も家三のみになってしまいました。すみません。
こういう、弱々しい三成とか、性格歪んでる家康とか大好きです。
私の憎しみは海よりも深く・・・
あなたの意思は鋼よりも強く・・・
あなたの心は日の光よりも温かかった・・・
私の心は鋼に貫かれ、引き裂かれてしまったというのに・・・
愚かにもあなたの暖かさを求めてしまった・・・
あなたの日の光で・・・私の深い闇が照らされることを望んだ・・・
-あやつり糸の切れた先 2 -
刑部が殺された。
「これは・・・殴られた痕でござるな」
日課となりつつあった幸村との朝の鍛錬中に、三成の従者が取り乱した様子で報告した。
―刑部様っ・・・大谷様が殺されましたっ―
既視感のある台詞に眩暈がする。
何度頭の中で反復しても、言葉の意味が理解できない。
「なんとっ!?大谷殿は何処で!?」
「ご自身の自室にございます」
現状を処理できていない三成の代わりに、傍らにいた幸村が仔細を確かめる。
それだけを聞くと、立ちすくんでいる三成の腕をとる。
「!?」
「まずは刑部殿のもとへ参りましょう。石田殿」
三成が混乱していると分かっているのだろう。
幸村は答えあぐねている間にも、強引に三成の手を引き歩き出した。
「これは・・・殴られた後でござるな・・・」
幸村は吉継のそばにより、しゃがみ込み体に残された痕跡を確かめる。
その傍らには幸村の忍びである佐助が控えていた。
秀吉の時と同じように、誰の仕業か見せつけるように残された跡を一瞥し、
佐助は三成に向き直る。
「誰に殺られたか・・・あんたなら言わなくてもわかるよな?」
部屋を訪れた瞬間、その異様さに立ちすくんでしまった。
部屋にあったものが全て散乱し、殴られた衝撃で飛沫したのだろう。
血痕が床のみならず、壁、天井にも残っていた。
これまで頻繁に訪れていた部屋と、そこにいるべき人物の情景が、
あまりにも違いすぎていて、三成は吉継の部屋に入ることができなかった。
「うっ・・・っ・・・」
こみあげてきた不快感に、三成は口元を手で覆う。
そして少しの間、その場で吉継を見つめた後踵を返しフラフラと歩きだした。
「石田殿!どちらへ!?」
「一人になりたい。私にかまうな」
そう言い残して、塀を飛び越え姿を消した。
「遅かったじゃないか三成」
自分でもどうやってここまでたどり着いたのかわからない。
おそらく家康の城に侵入した際、家康の兵士に妨害されたのだろうが、
それをどう薙ぎ払ったかも覚えがない。
ただ、自らの手には刀が握られており、その刃には鮮やかな血痕が滴っていた。
自室の襖を蹴破って入ってきた三成に、家康は穏やかな口調で出迎える。
まるで来ることが初めから分かっていて、待ちわびていたかのように。
いや、予想や期待という不確かなものではなく、
家康は三成を自らのもとに来させる明確な意図があったのだ。
自分の狙い通りに事が運んだ喜びで、家康は嬉しそうに笑った。
「家康・・・?」
秀吉の時のような、真摯な眼差しではなく。
目の前の男は、刀を持って自身を殺そうとする人間の乱入を見て、
とても嬉しそうに笑っているのだ。
三成は奇妙ともいえる様子にたじろいでしまった。
家康はその一瞬の隙も見逃さず、瞬時に三成のそばまで寄り、
力任せに三成を畳の上に組み伏せる。
「また性懲りもなく儂に犯されに来たのか?三成」
「何故だ、何故刑部を殺した!!返答次第では貴様を斬首するっ!」
頭上で両腕をひとまとめにされて拘束される。
家康の片腕で押さえつけられているのに、三成の全力で抗ってもびくともしない。
それどころか手首の骨が軋むほど、更に力を強められる。
「どんな理由を言おうとも、お前は儂を殺すのだろう?理由など必要ないじゃないか。
大体今まで儂に傷一つでも負わせたことがあったか?」
「五月蠅い!答えろ家康!!何故っ・・・何故刑部をっ・・・なぜっ・・・」
知ってどうする。
起こってしまったことは変えられない、これから起こることも変わらない。
自身が何を言っても、三成の意思は変わらない。
それでも理由を求める三成に、家康はほくそ笑んで耳元で囁く。
「三成・・・お前のせいで刑部は死んだんだよ」
三成の耳元から離れ、そう告げられた表情を眺める。
今まで必死に身をよじっていたのに、瞳を大きく見開いて静かに家康を見つめていた。
「三成・・・儂はお前の憎しみが見たいんだ。
お前が儂を憎み続ける限り、お前は儂のもとに来る。
刑部を殺せば、お前の憎しみは増すだろう?
その時お前はどんな顔をするのかと思ってな・・・」
とても優しく、とても穏やかな笑みを浮かべながら家康は告げる。
とても人を殺したと思えないほどの穏やかさをたたえていた。
未知なるものを目にした三成は、知らず知らずのうちに震え、瞳から涙が落ちる。
「だから殺した・・」
家康は三成の瞳からこぼれる涙を、大事そうに舐めた。
「あぁ、可哀そうに。そんなに怯えるな。
だが、怯えた表情も美しいな・・・」
意味が分からない。
目の前の男が狂っているのか、
悪びれる様子もなく当然のように話すことを、理解できない自身がおかしいのか。
呆然として全身の力が抜けてしまった。
抵抗しなくなったのをいいことに、家康は慣れたように三成の鎧を剥いでいく。
肉付きの薄く生白い上半身を露にされ、色づいた突起を愛おしそうに食む。
「んっ・・・ぅ・・・そんな・・・、そんなことの為に刑部は・・・
刑部を、殺したというのか・・・?」
「そうだ。お前の所為で刑部は儂に殺された。」
─どうだ三成・・・儂が憎いだろう?─
初めて。三成の表情から絶望を見た家康は、心から笑った。
「あっ・・・ひっ・・・も、もぅ・・嫌だっ・・・」
身に纏っていたものは全て脱がされ、大きく脚を開かされた中心には家康の頭が覆っていた。
三成の陰茎を口に含み丁寧に愛撫している。
それだけでなく、幾度も家康の欲をねじ込まれた後孔に、
二本の指を根元まで挿入し、三成の弱い個所を捏ねる。
これまでなんの前戯もなく乱暴に体をこじ開けられていた三成は、
このような快楽だけを与えられる行為は初めてだった。
被虐心の強い三成は、自身を乱暴に扱われることにも快楽を感じていたのに、
被虐を伴わないことがこんなにも恐ろしいとは知らなった。
「あぁっ・・・やだっ、そこっ・・・もっ・・・やめて・・・」
何度も何度も吐精に導かれ、三成の陰茎は力なさげにトロトロと透明な蜜をこぼすだけだ。
細い腰は家康の指の動きに合わせて、ゆらゆらと上下に動く。
三成の蕩けた肉壁にあるしこりを執拗に責め続け、
そこだけの刺激で甘い絶頂を味わわせる。
「んんっ・・あっ・・・ひでよし・・さまぁ・・・、ぎょ・・ぶっ・・・たすけ・・・」
「辛いか?三成」
過ぎた快感で朦朧となった三成は、亡き二人に助けを求める。
助けを求めるほど信頼していた人はそれだけしかいない。
その二人もこの男に殺されたというのに。
家康は顔を上げ、涙で濡れている三成をのぞき込む。
三成を心配するかのような優しい声色だが、
後孔を刺激する指はそのままで、
己の愛撫に敏感に打ち震える三成を欲の孕んだ瞳で見下ろす。
もうやめてくれと、か細い声をあげながら、
三成は問いかけられた言葉に素直にうなずく。
「じゃあ、ここに、儂のものをくれと請え。そうすれば終わらせてやろう。」
そう言いながら、三成の後孔にある二本の指を横に大きく広げる。
「んぁ!・・・あ・・ぅ・・・、いえや・・す・・・早くっ・・・ここに、お前のものを・・・」
家康のものを受け入れてしまえば、今よりもっと辛くなるというのに、
それすら考える余裕もなく、三成はただただ言われたことに従うしかない。
「これが欲しいのだな、沢山くれてやる」
「あ・・ぁ・・・あぁんっ────!!」
指よりも大きな家康の肉棒が、三成の狭い入り口を押し広げ、
敏感なしこりを抉り、最奥まで一気に突き入った。
さんざんに解され蕩された後孔は、強烈な刺激で満たされ
一度の挿入だけで深い絶頂に達してしまった。
口を薄く開けて胸を小刻みに上下させ、必死に呼吸を整えようとしている三成をよそに、
家康は最奥まで推し進めた腰を動かす。
「あぁっ・・いえ・・やっ・・・あうぅ・・・まっ・・・て・・・」
「早く終わらせてほしいのだろ?・・・もっと早く動いてやろう」
全て自分の思い通りかのような三成の反応に、気をよくした家康は自然と腰を強める。
一突きごとに大きく体を痙攣させている三成は、
もう目の前の暴漢にされるがままになっていた。
なんて無様なのだろう。
大切な人たちの仇に、情けなく哀願し、浅ましく喘がされている。
自分の所為で友が殺されてしまった。
もしかしたら、秀吉が殺されたのも、己が原因の一部にあったかもしれない。
敵であるこの男に、何度挑んでも敵わない。
圧倒的な力でねじ伏せられる非力さ、無様さを思う。
何度も秀吉と吉継に許しを請い、己の過ちに涙がこぼれる。
「駄目だ三成・・・儂以外の者のことを考えて泣くな・・・」
自分以外のことに意識が移っていることを家康は目ざとく見つけた。
そして自らへと意識を戻すかのように乱暴に腰を進め、
また所有の証のように、三成の首筋や腕に噛み跡を刻む。
与えられる快楽や痛みに、三成は大きく嬌声をあげる。
それでも二人への懺悔は、意識を手放すまで続いた。
自らが満足するまで、三成が失神するまで抱きつぶした。
そして自らの腕で抱きかかえて運び、野に捨て置いた三成を見下ろす。
─あと少し。あと少しでお前は儂のもとに堕ちてくるのだ。─
家康は満足そうな笑みをたたえながら、自らの城へと戻った。