<南郷side>
最近、華琳に言われて、住む場所が変わった。
俺用の宮らしい。
俺の安全を第一に考えられているらしくて、四方を高い塀に囲まれているけれど、広さもあるし、窮屈には感じない。何よりも、エロ衣装に身を包んだ美人な侍女たちに甲斐甲斐しくお世話されるのは、最高だ!
定期的に華琳たちの方から来てくれるし、厳重に警備されてだけど姉妹のライブに行ったり、霞に弄ばれながら遠乗りもしているから、退屈しない。
戦争も終わったから、わざわざ、鼓舞する演説もいらないし、警備隊の隊長でもなくなったから、定期報告も受けなくていい。最高なニート生活を今日も満喫中だ!!
<華琳side>
「華琳さま、全員集まりました」
桂花の声に、ゆっくりと目を開くと、そこには、私のかわいい武将と軍師がいた。
「みんな、忙しい中、良く集まってくれたわね」
「華琳さまが、およびとあれば、この春蘭、たとえ火の中水の中、必ず参上します!!」
皆をねぎらうと、春蘭が身を乗り出して応える。凄い勢いで左右に振られる犬の尻尾を幻視してしまう。
「お兄さんとの一時があるので、早くお願いします」
皆には、忙しければ無理してこなくてもいいと伝えておいたけれど、それを言ったら、絶対に無視するであろう風にだけは「絶対に来い」と言っておいた。
いくらあなたが、閃を好きでいても、閃の一番は、わ・た・し、なの。それが分かっているから、そうやって、嫌みを言っているのでしょうけれど、痛くも痒くもないわ。
「戦も終わり、国も安定した。アレの隔離も完了した……
平和になった今、私、結婚をしようと思うの。言うまでもないけれど、相手は閃よ」
私の宣言に、驚く者、当然という顔の者、舌打ちしてこちらを睨む者、それぞれの反応を示した。
風が舌打ちするのは予想通りだけれど、あなたが私を睨むとは思わなかったわよ、秋蘭。すぐに消していたけれど、私は見逃さなかったわ。
「蜀の天の御使いの北郷が作ったという、うえでぃんぐどれすとかいうのを着て、閃にはたきしぃどとかいうのを着せようと思っているの♥」
誰も何も話さない。
春蘭や季衣辺りが「おめでとうございます!」とか言ったり、沙和がうえでぃんぐどれすの意匠を聞いてきたりするかと思ったのだけれど。
「で、相談なのだけれど……」
私はあえて、もったいぶって、タメを作ってから話す。
「……あなたたちも、私と一緒にうえでぃんぐどれすを着てみない?」
「は?」(魏の一同)
今度は、全員、目を見開いて驚いた顔になった。なかなか面白い光景に思わず、笑ってしまったわ。
「あ、あの、華琳さま、それはつまり…」
「ええ、あなたたちも、私と一緒に閃と結婚するの。当然、正妻は私だけれど、ね♪
あら? もしかして、閃以外に心に決めた相手でもいたのかしら、人和?」
私の問い掛けに、人和はすごい勢いで首を横に振った。人間ってあんなに速く首を振れるのね。そして、そんな動きをしても人和のメガネは、外れなかった。
「いるわけないじゃないですか!!」
「なら、いいじゃない」
人和が黙ると、風が一歩前に出てきた。
「単刀直入にお聞きします。この件、お兄さんは知っているんですか?」
「ええ、この場に閃も同席したいって言っていたけれど、女同士で話がしたかったから、遠慮してもらったわ」
「そうですか、ありがとうございました」
そう言って風は、元の位置に戻った。
「閃も皆との時間を作りたいって言っていたわ」
私がそう伝えると、全員が色めき立った。
「秋蘭、久しぶりにお前の料理を閃と一緒に食べたいぞ」
「ああ、わかった。何がいいか、確認しておこう」
((そして、食後には、私たちをたっぷりと食べてもらおう♥))
あら? 春蘭が私を誘うことなく、秋蘭と話している。
「久しぶりにお茶会でもしましょうか」
「私も参加してよろしいですか?」
「当然よ」
((お茶だけじゃなくて、下の口で閃(殿)のあれを♥))
あら? 桂花が、私を誘わずに凛と予定を詰め始めた。
「歌いに行きたい場所があるから、閃さまにおねがいしよーっと」
「なら、その護衛は、自分にさせてください!」
「うん、よろしくー!」
((当然、その帰りに、しっぽりと♥))
あら? 天和と凪ってそんな仲が良かったかしら?
「沙和! 沙和! 閃さまを誘って、衣装の打合せしよっ!!」
「りょーかーい! 沙和が、最っ高な衣装を用意するの!」
((そして、その衣装で、グフフ♥))
あら? 沙和と地和が、なんだから、黒い笑みを浮かべている気がするのは気のせいかしら?
「ほな、うちらは、閃さまと会場についての打合せをしよか?
じっくり、ねっとりと……」
「ええ、いろいろと試してみたこともありますし、しっかりと、徹底的にやりませんとねぇ」
((話し合うためには、お互いをもっと、ちゃぁんと知り合わないと♥))
あら? 真桜も人和も会場設営の話よね?
「兄ちゃん、仕事で大変そうだったし、気分転換にどこかにお出かけしようよ」
「じゃあ、お弁当作らなきゃ!」
((外で、兄ちゃん(兄さま)と♥))
あら? 季衣と流琉は、普通に無邪気ね。そのままでいてほしいわ。
「霞さん、今度、お兄さんも入れて三人で遠乗りに行きましょう」
「お? 風から誘ってくるなんて、どないしたん?」
「色々長く楽しむなら、自分とは違う類の人が一緒の方が、自分の良さを見せられるというモノですからぁ♥」
「なるほど、そらええ考えや♥」
((野営の準備もしておいて、たぁっぷりと楽しい時間を♥))
あら? 風と霞なんて珍しい組み合わせね。
……って、みんな、私抜きで組むなんて!?
「私も仲間に入れなさい!!」
「「「「「「「「「「「「「「華琳さまは、正妻なんだから、いいでしょう」」」」」」」」」」」」」」
「こういう時ばかり、声を揃えるな!!」
魏の天の御使い。史実ではいたとされているが、余りにも話に上がらず、他の二国に対抗するために、魏の出したデマだったのではないかっと、まことしやかにささやかれている。
その一方で、魏の天の御使いには、誰もが魅了されるほどの美貌を持っていたという記述が残されている。曹操は、それが争いの火種になることを嫌い、人目に触れぬよう囲い込んでいたとも言われている。
だが、曹操自身や魏軍の武将や軍師が、天の御使いに魅了されていたという記述は存在しない。
曹操や主な武将や軍師は、政神と呼ばれた司馬懿と結婚しており、とても仲睦まじかったという。
ただ、曹操と程昱による正妻争いは熾烈を極めたと近年見つかった手記で判明した。
以上を持ちまして“転生者夢想 踏み外す者と踏み外した者”は、終了となります。
最初に投稿した時、大批判を受けましたが、感想の中に「別で投稿すればいいじゃん」という一言を見つけ、「あ、別で投稿していいんだ」と気が付き、“転生者夢想 踏み外す者と踏み外した者”を始めました。
投稿を止めようか本気で考え始めていた時に、その一言は、天啓を受けた気持ちでした。
蜀の方でもやっていたので、アンケートをこちらでもやりましたが、評判の悪さから誰も答えてくれないのではないかと不安でしたが、答えてくれる方がいて、とてもうれしかったです。
ありがとうございました。