今のところ、ヒロインの恋人は二人だけです。
カーランの宰相がドラゴンと一緒だったという話を聞いたアシャン国の王と貴族は驚いた。
両国が決して仲が良いとは言えないからだ。
魔法や未知なる者と力は貴族や王族、選ばれた者達に与えられたもので自分たち以外の人間、平民や亜人には不要なものだと考えるアシャンにたいしてカーランは、その反対だ。
無論、それによって弊害がないとは言えない。
カーランは何か事を起こそうとしているのではないかと、そんな危惧を抱く貴族達もいた。
「調べてほしいことがある」
呼び出されたとき、何故、自分にとカヴァルは驚いた、いい話ではないだろうと思っていたが、その予感が当たった。
剣を持って戦えといわれたなら多少は納得がいく、だが、そうではないのだ。
「宰相アルデバランの動向を調べてほしいのだ」
その言葉に内心、断れないかとカヴァルは考えた、調べろと言われても、一体何をと思う、あちらとは今、戦争をしているわけでもない。
わずかな不満が顔に出たのか、いや、察したのか、スネークは亜人だと呟いた。
「カーランの宰相と一緒にいたドラゴンの事を調べてほしいのだ」
「ドラゴン、ですか」
「どんな生き物を想像する」
カルヴァンの答えは単純だった。
大きな巨体で翼を持っている、多種族に対して好意的とは言い難く、自ら進んで接触を持とうとはしない、孤高の生き物というイメージだ。
「あちらに現れたものは随分と違うようだ、もしかしたら亜人の仲間かもしれない、だとしたら」
「向こうは、こちらほど嫌ってはいないみたいですからね」
カヴァルのは言葉に、そうだとスネークは頷いた。
「直接、聞かれたらどうですか」
「何、だと」
「あちらの宰相殿にです、面識がないわけではないですよね」
返事がないので、この際だとカヴァルは言葉を続けた、だんだんとスネークの顔色が悪くなっていくが、構うことはないと自分に言い聞かせる。
ここで頷けば後で面倒な事になるという漠然とした予感がしたのだ、それに、正直、目の前にいる男が好きではなかった。
城にいたときからだ。
ハル・サクラだな、
名前を呼ばれて振り返るとミタコトのない獣人が立っていた、それも真っ白な毛並みの、犬、狼、わからないがいかにも肉食獣という雰囲気を漂わせた相手を前にして彼女は無言だった。
「用がある、一緒に来てもらおうか」
「どこへ」
今は休暇中、それにあなたとは初めて会う、知らない相手について行くのは正直、気が進まない、そう言うと相手は笑いだした、おかしそうに。
「許可は取ってある」
「そうなの」
その声は、どこか疑っているような感じだ。
「あなたの名前は」
「シュバルツ・ノーゼン」
「そう、シュヴァルツ、いい、名前ね、でも」
「いや、私ほどではないな」
その声に女の顔が明るくなった、振り返ると、そこには赤い鱗のドラゴンが立っていた、いつのまにとシュヴァルツは相手を睨んむが、その視線をドラゴンは気にする様子もない。
手を伸ばし、女の体を抱き寄せた
「ブラッド、どうして」
「後で説明する、それにしても強引なやり方だ」
女はわずかに頭を上げてドラゴンを見上げた。
「新生代の獣人か」
「ま、待て、私は」
「何をしても許されると思っていたら間違いだな、君のやったことは公安議会に連絡すればただではすまないだろうな」
「脅す気が、私はリヴァイアとして初めて」
「関係ない」
その言葉に言葉を飲み込む、目の前の女とドラゴンの姿が割れた空間の中に吸い込まれて消える。
「くそっ」
怒りをぶつけることができず、そり眼は怒りで赤く変わっていくが本人は気づいてもいなかった。
「もしかして、ブラッド、怒っているの」
普段から物静かで落ち着いた性格、このドラゴンにしては珍しい。
部屋に戻ると女はソファーに腰掛けた、すると隣に相手も腰をおろすと腕を肩に回した。
「あの若造にだ、それより、脱いでいでくれないか」
あらあらと女は、まるで誰かさんみたいと笑った。
「奴ほど節操なしではない、私は、さあ、ベッドへ行こう」
鋭い爪がシャツのボタンをはずしていく。
「器用になったわね、でも」
「なんだい」
「緊張する、初めてじゃないのに」
「それは私もだ、しかも、ここでは二人きりだからね」
相手が服を脱ぎ始め、視線をわずかに動かすと女の視界には赤い二本の獣棒が見え、恥ずかしいと女は小声で囁いた。