多分、自分は長くはないのだろう、医者の顔を見ればわかる、あとどれくらいかとかと聞いて煩わせるつもりはない。
妻は結婚して数年で亡くなった息子を授かったが幸いだ。
だが、こうして今。何故か心残りがあると思ったのは夢を見たせいかもしれない、だが、どんな夢だったか、思い出せない。
窓から差し込む太陽の光と風の匂いのせいだろうか。
「今朝は随分とお顔の色がよろしいですな」
世辞ではないか思った、だが、何故か、このときに限って医者の言葉を信じて床から起きあがった、少し庭を歩いてみたいと。
太陽が暖かく、風も気持ちがいい、しばらくして、そろそろ、戻りましょうと言われて部屋に、城の中に足を踏み入れた時、大勢の人の騒がしい声が聞こえてきた。
兵士達が周りを囲むようにして剣にてをかけているが、それを抜こうとしない。
その様に老人は視線を向けた、ドラゴン、いや、リザードマンだ、人ではない種族の者に対する畏怖の現れだろう、だが、それだけではない。
リザードマンの隣には女が立っている、人ではない種族のそばに、女が立っている、
目が離せなかった。
突然、この場に現れた王の言葉、その行動は驚き以外のなにものでもなかった。
宰相のスネークは勿論だが、周りの騎士達も唖然とし見守っていた、いやゆねそうする事しかできなかっ、王の命令は絶対だからだ。
「何かしたのか、あの者達は」
「いいえ、まだです、しかし、何かあってからでは、それに、あの女はドラゴンと」
その言葉に、王、いや、老人は頭を振ると視線をゆっくりと向けた。
乾いた唇がわずかに開き、言葉が漏れたが、あまりにも小さく誰も気づかなかった、その夜、アシャン国の王は亡くなった。
「ここ最近は、眠れない日もあり、お体の具合も良いとはいえなかったのですが、何故か昨夜はとても主治医の言葉に宰相のスネークは不可解な顔をした、理由がわからなかったからだ。
家に戻ると彼女を持っていたのは叱責だった、といっても黒豹のノアールからは笑われた、目を細めて笑うのだ、クスリと。
一見、怒っているようには見えない、だが、彼女は分かっている、だから、顔を合わせるなりごめんなさいと素直に謝ったのだ。
「殊勝な態度だが、正直、頂けない、いや、嬉しくない」
いつもとかわらない声に、怒っているのと尋ねた。
「君にじゃない、あのリザードマンにだ」
自分の予想が外れたことに女は、そんなに怒る事と尋ねた。
「仲がよいとはいえないんだ、あの二人は
「でもブラッドとは兄弟でしょう、種族は違っても」
「だからこそだ、あの男と君がベッドを、一緒になんてことを想像したら、げんなりだ」
「ふーん、その前にアルデバランさんから話を聞いた」
ああと黒豹は頷いた、ほんの少し前もこの国の王子から呼び出しがあったのだ。
「宰相殿の奥方のことについて話が聞きたいと言ってきたが、君も一緒にということだ。
「病気が治って不審がられているとか」
「そんなことだろう、で、どうするかと考えているところなんだか」
呼び出しを無視する訳にはいかないでしょう、宰相と妻に尋ねたところで納得のいく答えなど出ないだろうし、その言葉に黒豹は確かにと頷いた。
「面倒ごとはごめんだ、だが、ここは住み心地は悪くない、多少不便な事はあるが」
でも、それも楽しいわよと女の言葉に確かにと黒豹は頷いた。
体を寄せてくるので、抱きとめると少し睡いと女が顔を胸元に埋めてくる金色の目が窓の外を見ると日は傾きかけていた。