目を覚ますと、全身がチョココロネになっていた。
「夢……」
という夢を見た。
体を起こし、窓の外に視線を移すと明るい空。時計が指し示す時刻は朝の六時。いろいろと奇妙な夢を見ていたが、体に疲れはない。軽く腕を回して体を解す。
「ん~……」
すぐ横から少女の声。目を向けると、モカがぐっすりと眠っていた。シーツで体を隠しているが、中は全裸だ。チラリと覗く白い肩や胸元、太股に視線を吸い寄せられる。少し触っても起きないよな、と思いながら手を伸ばした。
女子高生の柔らかい太股。滑らかな肌触りと、手の平に吸いつく感触。最高だった。
頬擦りもしてみよう。
「変態みたいですよ~?」
と思った矢先に、モカが起床した。むくりと起き上がり、面白いものを見た、とでも言うようにニマニマと笑っている。これから行おうとしたことがばれ、ばつの悪さを感じた俺だったが、欲求には逆らえなかった。
太股に顔を近づけ、頬を擦りつける。柔らかい。そして、温かい。
「んむっ……」
堪能していると、モカの足がゆっくりと上がり、俺の顔を両方の太股で挟み込んだ。ぐにぐにと太股の弾力をお見舞いされ、体温で包まれ、興奮した様子のモカに見下される。これは、なかなかいいかもしれない。
「格好良くて、女性に負けないくらい変態的で、本当に理想的な男性ですね~」
モカはそう言って、しばらく俺を眺めていた。足を使って俺を攻め、ぞくぞくと身を震わせている。モカにはSな気質があるのかもしれない。攻めも受けもどちらも好きな俺は、モカをその気にさせる言葉を吐いた。
「俺のこと、犯してみる?」
直後、予想通り挑発に乗ったモカが俺を襲った。
「お言葉に甘えてー、モカちゃんがたっぷり、犯しちゃいますね~?」
仰向けにした俺に跨り、膣で肉棒を咥える。もう挿入は手慣れたものだった。ずぷぷっと膣肉に揉まれながら奥へと迎え入れられた肉棒が、ぬぷっ、ぬぷっと濡れた膣内で味わわれている。
口角を吊り上げ、元気よく腰を振りながら俺を見下ろすモカ。
いい構図だ。揺れる美乳を観察しながら、俺は大の字になってモカの好きにさせた。
顔や首筋、そして口に何度もキスを放たれる。独占欲を示すように、首には吸いついた痕が残された。キスマークを作った張本人なのにモカは感情を昂らせたようで、俺の股間に尻を振り降ろす動作が荒々しくなった。
たんっ、たんっ、ぐちゅっ、ずぷっ、ぱちゅっ、ぐちゅっ、ずぷんっ!
賑やかな音と、降り注ぐモカの愛の囁き。
どぴゅっ、どくっ、ぶびゅるっ、びゅるるっ、どくんっ、どくんっ、ぶびゅっ!
セックスに嵌った美少女を眺めながらの射精は、骨の髄まで快感を運んだ。
二発、三発と射精回数を重ねる。勢いよく噴き出した精液の全てをモカは子宮で受け止め、そのたびに表情を恍惚に染めた。昨日は散々俺と交わったはずだが、朝からこれほど元気とは、やはりモカの性欲は強いようだ。俺ほどではないが。
「ご馳走様でしたー」
モカが迫ってきたかと思うと、俺の唇に再びキスを落とした。
朝から軽く戯れ、俺たちは浴室へと向かった。順番にシャワーを浴び、途中で我慢できずに交わりつつも、昨夜からの性交による汚れを清めた。
「気持ちいい朝ですねー」
食卓の席に着いたモカが頭にタオルを乗せ、マグカップに入ったホットミルクを喉に流す。ほぅっと息をついたとき、濡れた髪の毛先から水滴の一滴が食卓に垂れた。俺は席を立ってモカの背後に回り、タオルで頭を拭いてあげた。
「ああ~、そこそこ~」
小さな子供の世話をしているような気分。
子供ができるって、こんな感じなのだろうか。
「どうかしましたかー?」
「何でもない。痒いところはない?」
「耳の裏をお願いしまーす」
「うん」
こんな風に子供を可愛がる。そんな未来が少しだけ想像できた。
朝の緩やかな時間。二人でゆっくりと過ごしていると、モカが席を立った。
「そろそろお暇させてもらいますねー?」
「用事?」
「今日はバンドの練習があるので~。あと、あまり長居するのもご迷惑かと。って、あ」
「なに?」
「昨日の動画とか、送ってくれませんか~?」
「了解」
モカに言われ、俺は携帯を取り出した。昨日取った動画や写真をモカに送る。モカがそれを確認し、「ありがとうございま~す」と言って携帯を操作し始めた。何をしているのか。気になったが、聞く前にモカが玄関へと向かった。
「それではまたー。予定が合えば、いつでも呼んでくださいね~」
「わかった」
「では~」
モカは手を振り、開いた扉から外へと消えていった。
静かになる家の中。
さて、今日は何をして過ごそうか。やりたいことはいっぱいあるが、まずは音楽だろうか。一日中防音室に引きこもって作詞や作曲に没頭するのもいい。一人で外に出かけて美味しいものを食べに行くのもいい。
とりあえず居間のソファーに座り、テレビを見ながら考えようと俺だったが。
ポケットの中で携帯電話が突然着信を告げた。携帯を手にし、画面に目線を落とす。
『母さん』
画面に表示された登録名を目にし、俺の中で時が止まった。
しかし、ほんの一瞬だけだ。俺は通話ボタンに触り、耳に受話口を当てた。
「もしもし」
『もしもし。そっちは朝よね? おはよう、勇希』
「おはよう、母さん」
『休みだけど、ちゃんと起きているわね』
「うん」
『睡眠は勿論、食事もちゃんと取っているわよね?』
「うん」
『最近何か変わったことはあったかしら?』
母さんの確認に、俺は少し思案した。
母さんが前触れもなく連絡をしてくるのは珍しくない。そして、近況報告を促してくる。ただ、これはわざとなのか、母さんの聞き方は漠然としている。母さんが思う『変わったこと』と、俺にとっての『変わったこと』が一致するとは限らず、毎回悩んでしまう。
毎週、複数人の美少女とベッドでセックス三昧。俺にとってそれは普通の生活であるため、報告する必要はない。そう思う一方で、普通ならば報告すべき事柄であることは自覚しているが、報告することでどうなるのかが怖い。
「特にない」
『毎回返事が妙に遅れるわね』
「気のせいだと思う」
『まあ、いいわ』
俺の返答に、母さんは嘆息した。
『とにかく、元気みたいで良かったわ』
母さんの定期連絡は短く、だいたいこれくらいのやり取りで終わる。
今回もこれで終わりだろう。気を抜きかけた俺に、母さんの声が届く。
『それで、ここからが本題なのだけど』
あれ? と思う俺を他所に、母さんはその本題とやらを切り出してきた。
『あなたに縁談の話が来たわ。実はもうお見合いの日程は決まっているの』
予想もしなかった展開。俺の思考は遂に完全に停止した。
昼過ぎ。昼食を終えた俺はパソコンを起動した。
そして、お世話になっている動画・音声共有サイトを開く。このサイトは動画の投稿は勿論、生配信という形で視聴者に生の声を届けることができる。俺はいつも収録した歌を動画という形にして投稿することが多く、滅多に生配信はしない。
だが、今日は動画という形ではなく、誰かに歌を聞いてほしかった。
それくらい俺は不満を溜め込んでいた。原因は勿論、母さんだ。俺に確認もせずに縁談を受けた。既に日取りも決まっていて、相手方も準備を進めているはずだ。この段階になってしまっては、俺の一存で断ることもできない。
行き場のなくなった感情を晴らすべく、今日はオリジナル曲もカバー曲も交えての長時間配信をする予定。初の試みだ。
事前の告知もないゲリラ配信。しかも開始して数分で、まだ声も出していない待機状態だというのに、既に視聴者の数は数万人にまで昇っていた。俺のチャンネルを登録している人に配信開始の連絡が行き、それを見た人たちが続々と集まっているのだろう。
配信で何を歌うのかなど、あらゆる準備が中途半端だ。整っているのは歌いたいという想いだけ。
「今日は長時間歌います。一曲目、聞いてください」
マイクスタンドの前に立った俺は、流れるBGMに歌声を乗せた。