『美竹さんと出掛けてくる。帰りは朝になると思う』
携帯電話を操作し、俺は母さんにメールを送った。すると、程なくして連絡が返ってきた。『わかったわ』という端的な返事。やはり、母さんは俺の周りで起きていることをわかっているのかもしれない。
俺の杞憂だったようだ。思えば、母さんは海外にいる間も俺の身の回りで起きたことを知っているような節があった。おそらく情報源は燐子。というか、他にいないから間違いないと思う。
俺のハーレム生活を築く上で一番の問題点が解決されそうだ。俺はほっと胸を撫で下ろしつつ、携帯電話を近くのテーブルに置いた。
視線を正面に向けると、そこには窓から見える夜景があった。空を覆い尽くす濃紺。浮かぶ月が照らし出す街並みには人工的な光が点在している。キラキラと光ってみえる夜の景色に目を奪われてしまう。
いい景色だ。セキュリティも万全で少し家賃は高いけど、このマンションの一室を別荘代わりに借りて良かった。一軒家の自宅とは違う良さがあり、女を連れ込んでイチャイチャするには最適。ここは今、まりな名義で借りてもらっているけど、母さんに事情を話して名義変更をしてもらう予定だ。ちなみに、家賃は全てアルバイトや配信活動で得た俺の収益で払っている。
何もかもが順調。のはずだったが。
俺は背後を振り向いた。脱衣所へと続く扉は固く閉ざされている。中には美竹さんがいる。俺の後に美竹さんがシャワーを浴び始めて随分経つが、一向に出てくる気配がない。女性だから身支度に時間がかかるのは仕方ないが、それにしたって時間がかかりすぎなように思えた。
何かあったのか? さっき確認したときは『だ、大丈夫だから』と美竹さんは言っていた。本当にただ時間がかかっているだけなのか、問題が起きたのかがよくわからない。
もう一度確認してみるか。
そう思ったとき、見つめていた扉がゆっくりと開いた。
「お待たせ」
おそるおそる。扉を開いて美竹さんが現れた。薄桃色のバスタオルで胸元まで隠しただけの格好。体の線が浮き彫りになっている。そんな状態で美竹さんは顔色を赤くしていた。湯で温まったためともとれるが、俺には美竹さんが羞恥を感じて顔を赤くしているようにも見えた。
「ごめん、時間かかって」
「別にいいけど」
待つのは構わない。それよりも、美竹さんのことが心配だった。
「体調でも悪い?」
であれば無理をさせたくはない。お見合いの後、各自家に戻って普段着に着替え直してから美竹さんをこの部屋に連れてきたが、日を改めてもいい。美竹さんの都合がいいときにまた会えばいいだけの話だ。湿って艶やかさを増している黒髪や、バスタオルを巻いた体から伸びるムチムチの太股のおかげで興奮しているけど、たまには一人で自分を慰めるのも悪くはない。
「また今度にする?」
と俺が聞くと、美竹さんは逡巡していた。視線をさ迷わせ、葛藤している。だが、俺の体を舐め回すように見ると、喉を鳴らして決心した。
「いや、大丈夫……」
そう言って、美竹さんが近づいてくる。俺の前で止まると、上目遣いに見つめてくる。その赤いままの顔から感じ取れたのはやはり、恥ずかしいという感情だった。もしかして、俺を誘ったはいいものの、冷静になって自分の行動を思い返してしまったのかも。しかし、俺に興味があるのは事実なようで、視線が逸れることはなかった。
「触ってもいい、ですか……?」
「うん。あと、敬語じゃなくてもいいよ」
俺は一つ年上だけど、美竹さんはタメ口のほうが接しやすそうだった。
「あ、うん……。わかった……」
言いながら美竹さんの両手が伸びてくる。細い指先が、バスローブを羽織った俺の体に触れた。最初は手、そこから伝って二の腕へと向かう。バスローブ越しに触られるのが少しくすぐったくて俺が反応すると、美竹さんも驚いたように手を引っ込めるのがなんだか面白かった。
「うわ……」
俺の体を触る美竹さんは嬉しそうだった。段々と指先が大胆に俺の体に這い始めた。前世でたとえれば、美少女の体を触る思春期の少年といったところだ。自分の指で触れられていることに興奮し、笑みを隠しきれていない。
やがて体を這い回っていた手は止まる。美竹さんの視線は俺の顔と、股間を交互に行き来していた。美竹さんの意図を汲み取った俺が「いいよ」と一言告げると、美竹さんの右手が慎重に俺の股間へ向かい、下から包み込むように握った。
「すご……。本当に、大きい……」
美竹さんのニヤニヤが止まらない。まるで美少女の巨乳に初めて触った男子高校生のように、ぎこちないながらも手を動かす。「どう……?」と美竹さんが肉棒を揉み揉みと握りながら笑いかけてくるから、俺は素直に「気持ちいい」と頷き返した。
でも、いつまでもバスローブの上からというのでは俺にとっても生殺しだ。目の前で発情している美竹さんにもご褒美を与えようと思い、俺は縛っていたバスローブの紐を解いた。
「ちょ、ちょっと……! 心の準備がまだ……!」
俺の前で動揺し、後ずさりながら自身の目元を慌てて手で覆う美竹さん。それに構わず、俺はバスローブの前を開いてそのまま脱ぎ、近くにあった椅子の背もたれにかけた。
全裸になった俺を見て、顔を覆う両手の指の隙間から美竹さんの視線が忙しなく動く。真っ赤に色づき、驚愕に染まる表情のまま、目の前の光景を少しでも早く自分の目に焼きつけようとしていた。
「エロ……」
それが絞り出された美竹さんの感想だった。ゆっくりと両手は顔から離れ、ぼうっとしながら俺の体を視姦する。足の指先から頭の天辺まで視線で犯されているのがわかる。何度も生唾を飲み込む音が聞こえ、荒くなった美竹さんの息遣いが徐々に俺へと迫ってきた。
美竹さんが俺との距離を再び詰めた。さっきよりも躊躇のない手付きで肉棒、そして金玉を握る。口元が緩んでいる美少女の美竹さんに見上げられながら性器をじっくりと揉みほぐされる。そんなことをされて黙っている肉棒ではなく、美竹さんの手の中で少しずつ大きくなっていく。
「まだ大きくなるの……!? 確かに、モカに犯されていたときはもっと大きかったけど。うわ、どんどん大きくなっていく……」
一度始めた勃起は途中で止まることはなく、肉棒が上を向く。美竹さんの手が気持ちよく、握られながらビクン、ビクンッと痙攣して本当の大きさを取り戻した。
その頃には、美竹さんによって肉棒は揉みくちゃにされていた。隅々まで指を這わせ、金玉の皺一つ一つに至るまで触られたのではないだろうか。そうして俺の肉棒を握った手を口元に運び、深呼吸をして匂いを嗅いで恍惚に震えている。
「雄の匂いだ……」
初めての体験は全てが新鮮なのだろう。美竹さんは感情表現が苦手なように見えて、実際はそうでもない。少なくとも俺やモカよりは表情がころころと変わっている。
可愛いと思って、俺は美竹さんに手を伸ばした。
「あ……」
と美竹さんの声が耳に触れる。俺はその間に美竹さんの体を隠すバスタオルを脱がした。
生まれたままの姿が俺の目に映る。着物や、CiRCLEで見掛けた私服姿では把握しきれない美味しそうな女体。メリハリがしっかりとしていて、胸や尻の膨らみは十分豊かだ。色の白い体と、小さな乳輪を染める淡い桃色。目の保養だった。
「あたしの体を見て、こんなに興奮するの?」
美竹さんが肉棒を握りながら聞いてきた。この状況に少し適応し始めたようで、表情には余裕が感じられた。俺も美竹さんに触れようと伸ばした手で美竹さんの胸を揉み、その柔らかさと弾力を手の平で堪能しながら頷いた。
「興奮する」
「ふーん……」
素っ気ない態度の振りをしているが、美竹さんは喜びを隠しきれていない。
「んっ……!」
胸だけでなく美竹さんの股も指で触れると、美竹さんが過敏に反応した。まだ解れていないはずの陰部。陰裂が形成する縦筋に指を忍び込ませ、手探りで見つけた膣口を指で犯す。入口に少し指を埋めて擦っていくと、美竹さんの甘い声が連続して漏れた。
「っ、あっ、んっ、んっ……」
美竹さんは身を捩らせ、刺激に耐えている。俺は反応を確認しながら弄り方を変える。膣口を開くように指を押し込むのがいいか、それとも、膣肉を撫でていくのがいいか。はたまた、皮を被った陰核を積極的に攻めるのがいいか。
攻めながらとりあえず膣口付近を指で穿っていると、あまり時間を置かずに中からとろりとした液体が出てきた。透明で、指にねっとりと絡みつくそれは、紛れもなく愛液だった。随分と準備が早い。日頃からよく弄っている証拠だ。さらにこの状況下に置かれたために、体が素直になっているようにも感じられる。
「美竹さんは興奮しすぎじゃない?」
俺が愛液に濡れた指を美竹さん自身に見せると、美竹さんは悪びれもせずに言った。
「悪い? 目の前にご馳走があって、我慢できるわけないでしょ?」
美竹さんは肉棒を扱いていた手を止めると、いつの間にか肉棒から流れ出ていた我慢汁に濡れた指を見せてきた。同じことをそっくり返された。しかも、美竹さんは俺の手を握り、愛液と我慢汁をくちゅと触れ合わせた。
指を絡ませて手を握り合った状態で、美竹さんの顔が迫ってくる。
「ん……」
唇を美竹さんの唇で塞がれる。視界も美竹さんの可愛い顔で埋め尽くされた。赤い色に染まったメッシュの髪が視界の右端に揺れているのを捉えながら、俺は美竹さんの唇と舌で口内を味わい尽くされた。
「んちゅっ、ぷちゅっ、くちゅっ、ん、れろぉっ、ちゅく、ちゅぷっ、ぴちゃっ」
幸せそうな美竹さん。開いた目を笑みで細め、舌を動かして俺の口の中で暴れる。俺の舌に絡み、何度もにゅるにゅると擦りついてくる。唾液も注がれ、口内で増えすぎたそれを俺は飲むことしかできない。
俺が喉を鳴らすと、すぐに美竹さんの唾液が供給される。
飲んで、注がれて、また飲む。にやつきながら欲望の限りを尽くして俺の口を目いっぱい味わう美竹さんを支えようと、俺は美竹さんを抱き寄せようとした。しかし、美竹さんの抱擁のほうが強く俺を締めつけ、乳肉を俺の体にむにゅと押しつけながら引き続き俺の唇は美竹さんの情熱的な口づけに襲われた。
俺を犯したいと言っていたから、あくまでも主導権を握るのは美竹さんということなのだろう。俺を攻める美竹さんはさっきよりも明らかに欲望を滾らせていて、口づけの合間に漏れる息は既に乱れていた。
「ん、ふっ、ちゅっ、ぐちゅっ、ぶちゅっ、ぬちゅっ、ちゅるっ、ぬちゃぁっ」
美竹さんにとってはこれがファーストキス。いい経験をさせてあげようと、俺は反撃をすることなく美竹さんの凌辱を受け入れた。それ幸いにと美竹さんの舌が暴れ、俺の歯茎をなぞり、頬の内側をねっとりと舐め、再び舌に唾液をなすりつけてきた。
あなたはあたしのもの。そんな感情が、綺麗な瞳の奥に感じられた。