「たのもー!」
少女の快活な声が響いてきた。来客だろうか。それにしては何故か道場破りのような掛け声だが。俺が不思議に思っていると、種付けする俺を抱き締めながらリンコがくすりと笑いをこぼす。
「来たみたいですよ……。魔王様の新しい下僕候補の女の子たちが……」
下僕候補?
リンコの言葉に疑問を抱いていたとき、俺の思考を遮るように扉をノックする音が響いた。今度は何かと思う俺を他所に「入ってください……」とリンコが入室を許可し、扉が勢いよく開いた。
現れたのは髪が長く、こめかみの辺りから黒い角を生やした少女。血のように濃い赤色の線が幾つも走る黒いバイザーを装着していて、目元を隠している。素性を隠す目的なのだろうが、確認できる範囲の顔立ちと女体は俺がよく知る少女のものだった。
「お楽しみ中失礼いたします」
声を聞いて、少女が紗夜だと確信に至った。その身に闇色の騎士甲冑を装備し、剣を収めた鞘を腰に携えている。一見したところでは彼女の職業は黒騎士なのだろうと判断できるが、装備をじっくりと観察していると本当にそうなのかと勘繰りたくなる。
紗夜の甲冑姿はやけに露出が多かった。可動域の関係で関節部分が甲冑に覆われていないのはわかるが、白くふんわりとした乳房や臍周り、秘所が肌を晒している。禍々しさすら感じさせる造形の甲冑であるのだが、所々大胆に防御を削ることで淫靡な雰囲気のほうが勝ってしまっている。
悪堕ちした騎士。そんなイメージを紗夜に抱いた瞬間、俺の脳裏にあるはずのない記憶が過ぎった。
それは、白銀に染まる全身甲冑を身に着け、俺やリンコと対峙する紗夜の姿。とある国の聖騎士として、俺が今いるらしい魔王城に部下を連れて乗り込み、剣と敵意を向けてきた勇敢な正義の味方。
しかし、紗夜もといサヨは俺に傷一つつけることなく、リンコに敗れた。
捕縛されたサヨは、リンコの魔法による洗脳と調教、俺による強制交尾を味わわされた。サヨにも最初、必死に抵抗し、俺たちを強く睨みつけるだけの気力と理性はあった。だが、日を追うごとに侵食する快楽に蝕まれて敵意は霧散していき、代わりに俺への忠誠心と仕える喜びを植え付けられ、サヨは堕ちた。
身も心も悪に染まり、種族も魔族へと変えられ、彼女が纏っていた白銀の甲冑も闇色のドスケベなそれに変わったのだ。もう彼女は戻れない。人一倍正義感が強かった聖騎士だった頃の自分を過去のものとし、愛する故郷の国とそこに置いてきた聖騎士である双子の妹を捨てた。
黒騎士として俺に仕え、喜んで俺に股を開き、俺に歯向かう人間と敵対する生き方を選んだ。
そんなサヨの過去を、今の俺は実際に体験したかのように把握することができた。つまりはそういう設定ということだ。さすがは夢の世界。なんでもありだ。
「魔王様、リンコ様。勇者カスミと名乗る侵入者の一行が現われました。ご命令を」
片膝を突き、ベッドで繋がったままの俺たちに報告をするサヨ。
バイザーによって視線の向き先は確認できないものの、サヨの白い頬が紅潮し、吐く息は荒くなっている。ここに来るまでに走ってきたからというよりは、俺とリンコが絡み合う様を見て発情したといった様子だ。
その証拠に、サヨの陰裂からとろとろと透明な蜜が垂れ、床に敷き詰められた絨毯に染みを作っている。それはリンコにも確認できているはずで、「ふふ……」と楽しげに吐息を漏らしたリンコが命令を下す。
「侵入者は全員捕縛しましょう……。大事な魔王様への捧げものですから……」
「はい」
「サヨさん以外の四天王の皆さんはちょうど出払っているので加勢は望めませんが、今回の相手はサヨさん一人でも対応できます……。私たちもすぐに向かいますので、それまでは足止めをお願いします……」
「かしこまりました。それでは、迎撃に向かいます」
立ち上がったサヨはぷるっと弾ませた胸を張り、深々と一礼をすると、甲冑の金属音を立てて部屋を出て行く。その姿を見送って遠ざかっている足音を聞きながら、俺はリンコに耳元で囁かれた。
「後で、サヨさんにもご褒美の子種をあげてくださいね……? 魔王様……」
「勿論」
今もリンコの膣内でぎゅうぎゅうと揉まれ、精子を搾り取られる肉棒がビクリと震えた。あの悪堕ち姿のサヨを抱くことが今から待ちきれない肉棒を宥めるように、リンコが俺の腰に巻き付けた足をぐいぐいと押し込み、チンポを深く挿入させた。
「もう一発だけ、発散してから行きましょうね……?」
いいのかなと思いつつも、リンコに促された俺は腰を振り始める。ぬぷっ、ぐちゅっ、ぐぷぷっと精液まみれの膣内を掻き回す音を何度も響かせ、一発だけ精液をびゅーびゅーとぶちまけた後、ようやく俺たちは部屋を出たのだった。
「はぁッ……!」
俺とリンコがエントランスに向かったとき、気合の入った少女の声が聞こえてきた。見れば、軽鎧を身に着けた少女が一人、サヨに向かって剣を振るっていた。サヨはそれを自身の手にある黒い剣で受け止め、軽々と押し返している。
幾度かの剣戟によって、金属がぶつかり合う音が響く。最初は勢いに乗った攻撃を繰り返していた少女だったが、全く動じずに剣で受け止め、綺麗に払うサヨに対してたじろぐ様子を見せ始めた。
「この程度ですか?」
「うぅっ……! このままじゃ……」
サヨと鍔迫り合う少女は、猫耳のような髪型をしていた。見覚えのある少女だと思っていたが、あの子は前に少しだけ話したことのある戸山香澄さんだった。勇者カスミというのは彼女のことのようだ。
「カスミッ! 一旦下がれ!」
「アリサ……! で、でもっ……!」
エントランスにはカスミ以外にも複数人の少女たちがいた。今カスミに声を掛けたツインテールの気の強そうな少女。鍔の広い黒い三角帽子を被り、魔女を思わせるローブを羽織っている。見た目通り、魔法を使う後衛の役割を担っているのだと思う。
「いいからっ、立て直すぞ!」
アリサが握っていた杖を掲げ、杖の先端に集まっていた火球が大きく膨れ上がりながらサヨに向かって放たれる。サヨが飛び退って回避したのを見て、カスミがアリサの傍まで後退していく。
カスミとアリサを中心とし、そこへ三人の少女が集う。
「ごめんね、カスミちゃん……。私が対応できなくて……」
「ううん、りみりんは悪くないよ!」
カスミからりみりんと呼ばれたショートヘアの少女は、申し訳なさそうに眉根を下げていた。気が弱く、心優しそうな感じだ。しかし、その体を覆う防具はカスミよりも重厚で、手には剣と盾を握っている。本来は、この少女が敵の注意を引きつける役割なのだろう。
「あの騎士の人、強いね。私が放った弓矢が全部弾かれちゃった」
「仕方ない。おたえはしばらく待機してくれ」
ショートパンツとへそ出しの軽装をした、黒髪ロングの少女、おたえ。大きな弓と矢筒を携えている姿は紛れもなく狩人だ。獲物を狙う側のはずだが、どういうわけかその頭には兎耳のカチューシャが装備されている。何か特別な効果でもあるのだろうか。
「とりあえず、皆回復するよ」
そんな彼女たちの最後方にいた白い修道服姿の少女が両手を伸ばした。すると、仲間たちの全身が柔らかな光で包まれた。体にできていた小さな切り傷などがたちまち治っていく。
「ありがとう、サーヤ!」
「どういたしまして」
お礼を伝えるカスミに向けて、穏やかな微笑みを向けるサーヤ。
いいパーティーだと思う。
だからこそ崩して、パーティー丸ごと俺のハーレムに加えたくなった。
俺はリンコを伴って、城の二階からエントランスに伸びる階段を下りていく。さっきまでは俺の存在は気づかれていなかったようだが、さすがにこうも堂々と現れれば、全員の注目を浴びることになった。
「おい、あれって……おたえ!」
「うん!」
アリサに応じたおたえが矢を番えて弦を引き絞り、放つ。大気を切り裂いて突き進む矢が真っ直ぐ俺へと向かってくる。
「させません……」
突然のことに俺は反応できず、ただぼうっと突っ立ってしまったが、そこは隣のリンコが対応してくれた。俺と自分を守るように透明な壁を作り出し、攻撃を防ぐ。
「駄目だよ、やっぱり私の矢は効かないみたい」
「マジか……。おたえの矢は大型の魔物も一撃で仕留めるっていうのに……」
矢の一撃を受けても壁は無傷で、俺とリンコを守り続けている。如何なる攻撃も食らうことはないとわかりきっているのか、リンコは俺の腕に抱き着いてきた。胸の谷間に俺の腕を迎え入れてむにゅむにゅともてなしてくれる。
そんなリンコを侍らせて戦場であるエントランスに立った俺は、全員の顔を順繰りに見回す。警戒心を滲ませる勇者一行。それぞれの武器を油断なく俺たちに向けているが、この場においてもっとも警戒すべき相手は俺たちではないはずだ。
「あなたがたの相手は魔王様ではありませんよ?」
「ぁ……くぅっ……!?」
矛先を変えていたカスミ目掛けてサヨの振り下ろした一撃が襲い掛かる。寸でのところで剣身で受け止めるが、重い一振りを受け止めたことで剣の柄を握る手が震えている。ぐっと押し込むように前に踏み出したサヨに押されてカスミが後ずさる。
「カスミちゃん――きゃっ……!」
「な、なんで……」
「おい、嘘、だろ……」
カスミに加勢しようとした仲間たちだったが、突然背後から伸びてきた光の鎖に全身を絡め取られ、その場から身動きが取れなくなっていた。
背後からの奇襲。伏兵を予想していなかったこともあるだろうが、それ以上に彼女たちの表情は驚きに染まっていた。その一部始終を見ていた俺ですら状況を掴みかねているのだから、彼女たちの心中は酷く乱れていることだろう。
なにせ、仲間たちを光の鎖で縛ったのは、他ならぬ彼女たちの仲間の一人なのだから。
「ごめんね、皆」
「サー、ヤ……?」
サヨの攻撃を食い止めて余裕のないカスミが、それでも顔を向けて、その光景を目の当たりにする。
仲間のはずのサーヤが、突き出した手の平の先に展開した魔法陣から無数の鎖を伸ばして、仲間たちを拘束している。これ以上攻撃できないように。
「でも、敬愛する魔王様に手を出した以上は、仲間でいられる自信がないから……」
サーヤが呟いた瞬間、手元に展開していた魔法陣と鎖が黒く染まり、そこから浸食するように修道服が黒く染まっていき、形状を大きく変える。神に仕える聖職者の服装から、夜会に赴くような艶やかで妖しい漆黒のドレスに。白い肩は露わになって、束ねていた髪が解けて肩に掛かる。
そして、ただの人にはないねじれた黒い角が、こめかみの辺りから伸びていた。形状は多少異なるが、サヨと同じ魔族としての証なのだろう。
姿を一変させたサーヤは、仲間たちを嘲笑うように薄く冷笑を浮かべた。
「これが私の、魔王様直属四天王の一人、サーヤの本当の姿」
どうやら彼女は俺たちの仲間だったらしい。俺の頭に今度はサーヤに関する記憶が広がっていく。サヨと同じく善良な人間だったサーヤもまた、俺とリンコによって悪の道に堕とされた者だったのだ。
「いったい、いつから……」
思わず漏れてしまったようなアリサの呟き、サーヤは何てことないように答えた。
「うーん、いつからって言うのは、裏切ったタイミングのこと? 勿論、最初からだよ。私は皆と出会うずっと前から魔王様と、魔王様のおチンポに堕とされてたの。人間から魔族に生まれ変わって人間を裏切って、やがて魔王様にあだなすかもしれない新米勇者のカスミに同行して、仲間集めも手伝って。それで、皆がまだ未熟なうちに、魔王城まで送り届けることができた」
そこまで言って、サーヤの鎖がまだ抵抗しようとする仲間たちを完全に捕縛する。
「あぁっ……!?」
唯一サヨと張り合っていたカスミが弾き飛ばされ、床に倒れた隙を狙うように伸びた黒い鎖が手足を縛る。ギリギリと強く締めつけてカスミの手から剣を落とさせ、わずかな希望も奪い去らんと鎖で武器を雁字搦めにする。
「体の自由を奪われて、武器もなくして、これでもう本当におしまいだね。今まで冒険お疲れ様。これからは、魔王様の下で一生懸命働いてもらうから。魔王軍の戦力として、魔王様の肉奴隷として。身も心も捧げてもらうからね?」
愉快げに笑うサーヤと、もはや敵なしと剣を鞘にしまったサヨ。
安全になった戦場に俺が足を運ぶと、二人が揃って跪いた。
「魔王様。お久しぶりです、サーヤです。ご命令いただいた任務を無事に完遂いたしました」
「これで、将来的に邪魔になりそうな勇者の一翼を堕とすことができそうですね。もう少しちゃんと鍛えてからここに来ていれば、魔王様やリンコ様には勝てなくても、四天王全員を相手取るくらいにはなれたでしょうに。馬鹿な子たち」
こうなるようにサーヤが扇動したのだろう。正面から堂々と城にやってきたのがその自信の現れだ。まんまと罠に嵌った勇者カスミ一行は皆、絶望した様子だった。四天王の一人にすら敵わぬ状況で、さらに仲間にさえ裏切られてしまっては無理もなく、もはや無駄な抵抗は起きなさそうだった。
「さあ、魔王様……。準備はできましたよ……」
隣のリンコが俺に語り掛けると同時に、サーヤの鎖がカスミたちを宙に浮かせる。磔にされたような恰好で体を晒す美少女四人。怯えた視線が俺とリンコに集中する中、リンコはズボンに包まれた俺のチンポを揉むようにまさぐってきた。
「美少女勇者のパーティーを、丸ごと召し上がれ……」
食べてもいいのだと悟ったチンポが震え上がり、俺は、欲望を晴らすために行動に出た。