二人の口から放たれたとんでもない提案に、俺は驚きのあまり返す言葉を失っていた。
「……駄目かしら?」
それを見て、友希那が微かに不安げな様子を見せた。いや、決して駄目というわけじゃない。美少女二人、それもどちらもクールな性格の子からの提案とは思えず、少しびっくりしてしまっただけだ。
「駄目じゃないよ」
むしろ、ペット扱いしてほしいのなら望むところだ。純粋に愛玩目的で可愛がるのでもいいけど、わざわざ今日の夜から翌朝の時間を指定してきたということは、二人とも性的に可愛がってほしいのだろう。
「そう。良かったわ」
「ペットになった二人をベッドで徹底的に可愛がればいい?」
「え、ええ、そうしてもらえると助かるわ」
「……話が早すぎる。さすが勇希」
詳しい事情を聞いていないのに乗り気な俺に、逆に二人のほうが圧倒されているようだった。友希那と蘭が互いの意思を確認するように、目配せし合っていた。
そうして、二人は最終的な決断を終えたらしい。
「着替えるから、部屋で待ってて」
やっぱり恥ずかしそうな蘭に言われて、俺は頷きながら股間を膨らませた。
二人を脱衣所に案内し、俺は二階の自室に移動した。ベッドに腰掛け、少しソワソワする。風俗店で待っているときのような心境。初対面の相手と違って、相手は恋人だけど。一緒に部屋に入ってベッドインするときとはまた違った高揚を感じた。
二人はどんな格好で来るのだろうか。ペットプレイといっても幅が広い。でも、友希那がいるからある程度は予想がつくが。いずれにしても、二人は攻められたいのだろう。クール系美少女を手玉に取ってベッドでアンアン鳴かせるのが楽しみで、股間に熱が集ってくる。
待ちきれずに股間を弄っていようかと思ったところで、扉がノックされた。
「勇希、入るわよ?」
「どうぞ」
友希那の声に応じると、扉がゆっくりと開かれた。
廊下から部屋に入ってくる二人。
その二人は、色違いのお揃いの衣装に身を包んでいた。
ふさふさとした猫耳のカチューシャ。両手に嵌めた肉球グローブ。毛で覆われたオーバーニーソックス。おそらく、アナルに入れて装着するタイプの猫の尻尾。そして、首に嵌めた首輪と、マイクロビキニ。
友希那は黒い首輪で、白猫のコスプレ。
蘭は赤い首輪で、黒猫のコスプレ。
以前に、友希那には黒猫のコスプレをさせたことはあった。だが、今回の衣装は自前で用意したのだろうか。マイクロビキニも含めて以前とは細部が異なっている。より雄に媚びるような衣装で着飾った二人は、破壊力抜群だった。
「にゃあ」
「え」
猫の手で手招きしながら可愛く鳴いた友希那。それを、友希那とは比べ物にならないほど顔が真っ赤に茹で上がった蘭が驚愕の眼差しで見つめていた。
「え、じゃないわ、美竹さん。あなたもやるのよ」
「……本気ですか? 口調まで変えるなんて聞いてなかったんですけど」
「仕方ないわね。それなら語尾を変える程度でも構わないわよ。さあ」
「う……」
友希那に促され、それでも踏ん切りがつかない様子の蘭。らしくなくもじもじし、俺のほうにチラチラと視線を送ってくる。
俺はそんな蘭と、友希那の体をジロジロと観察する。普段服に隠れてわかりづらいけど、豊かな起伏のある蘭の女体。強く抱き締めれば壊れてしまいそうな、華奢な友希那の女体。身に着けたマイクロビキニからは二人の乳首や秘所が透けて見ることができる。それに加えて猫のコスプレだ。裸よりも恥ずかしい格好で、蘭は落ち着かなそうだった。
「逃げたいのなら、逃げても構わないわ」
「……は?」
その言葉に、蘭が眉を顰めて友希那のほうを振り向いた。
「その場合、今回の勝負は私の勝ちということになるわね。じゃあ、事前に決めていた通り、勇希とのツインボーカルの交渉権は私たちRoseliaが得ることに――」
「何言ってるんですか? やってやりますよ」
友希那に煽られた蘭がそう言い放った。なんという煽り耐性の低さだろうか。たった一言で羞恥をだいぶ振り払えたようで、蘭がズンズンと俺に近づいてくる。
というか、ツインボーカルの交渉権ってなに? 初耳なんだけど。それでどうしてコスプレをすることになったのか。二人の間で起こったやり取りが本当に気になってきた。
俺の前に立った蘭はまだ逡巡していたが、やがて決心したようだ。
「……にゃ、にゃあ」
肉球グローブをつけた手で手招きをし、呟くように言う蘭。
たったそれだけ。それだけで、俺の欲望が一時的に理性を振り切るのに十分だった。
「えっ……ちょ……!」
俺は蘭の手を乱暴にならない程度に軽く引っ張り、ベッドに押し倒す。急なことに気が動転している蘭に覆い被さって、俺はがっつくように蘭の唇に自分の唇を押し当てた。
「むぅっ!? んっ! ぐぢゅっ! ぬちゅっ! ぐっちゅっ! ぬちゅぐちゅっ!」
口の中に舌を入れて、蘭の舌と絡ませる。ちょっとだけ暴れていた蘭はすぐ大人しくなって、俺に舌を委ねてくる。気が緩んだように表情はぼうっとし、目はとろんとしていた。それを見て余計に肉欲が湧いてきて、唾液が溢れてくる。
「ぶちゅっ! ぐっちゅっ! ぢゅるぅっ! ぐちゃっ! ぐぢゅぢゅぢゅぅっ!」
舌で擦り合い、唾液の音を響かせる。そうやって欲望を発散し、瞬間的に昂ってしまった興奮を鎮めると、蘭の顔が目に映る。
これまでの俺との交尾で快楽を教え込まれた蘭。キス一つでスイッチが入って、酔ったように赤い顔に堪らない悦びを浮かべている。俺が口を離すと、蘭は大きく口を開けて唾液の溜まった口内を見せ、舌を伸ばしてくる。
「にゃぁぁ……」
雌猫の媚びた声に我慢ならず、俺は再び蘭と舌を擦りつけた。
「く、ぷぅ、ぬちゃぁっ、ぐちゅっ、ぬぢゅぢゅっ、ぐっちゅっ、ぶぢゅぢゅるるぅっ!」
自分から積極的に舌を絡ませてきて、蘭の猫の手が俺の肩を軽く掴む。
「ぢゅぢゅぢゅぅっ、くぷぅっ、ぬっちゅぅっ、くぷぷっ……!」
俺の舌が蘭の口に咥えられ、舌を性器に見立てたフェラが行われる。
「ぬぢゅぅうっ、ぐっぷぅぅっ、ぢゅろろろろぉっ!」
本当に幸せそうに舐めてくれる。俺と交わるときにしか見せてくれない、蘭のレアな素顔。コスプレという非日常な体験が後押ししているのか、いつもより甘えたがりなようで、蘭の手が俺の肩を撫でるように叩く。
「にゃ……勇希ぃ……んちゅぅっ、ぐぢゅぢゅ、ぢゅるるるぅっ!」
俺の舌から唾液を根こそぎ奪い取って、唾液でいっぱいになった口の中を披露する。そこへ俺が舌を伝わせて唾液の塊をぼとりと落とすと、蘭は目を笑みの形に細め、口を閉じて咀嚼し始めた。
「ぐぢゅっ、ぬぢゅっ、ごっくんっ……。んぁぁぁ~、にゃぁあ……」
嚥下し、唇を開いた蘭の口内には唾液はない。伸ばした舌も乾いていて、俺の前でれろれろと左右に揺れている。それがまたいやらしくて、俺はまだ残っていた唾液を落とし、蘭に舌の器で受け取らせた。
「私が後押しする必要はあったのかしら? ……そろそろ私も混ぜてちょうだい」
そう言って友希那もこちらに近づいて、ベッドに上がってくる。
這い寄ってきた友希那を、俺は優しく抱き寄せた。友希那もまた俺の体に両手を回してくる。尻を撫でられ、掴まれ、握られながら首筋に唇を当てられる。
「ちゅぅ、れるぅっ、くちゅ、くちゅ、ちゅぅうっ……!」
首に吸いついて、舌で舐め回して、また吸引する。何か所もマーキングするみたいに。次々とキスマークが作られていく。明日、外出するときに人に見られてしまうくらいには、接吻痕が量産されていった。
「友希那」
「にゃ……ぁ、んんぅっ、ぁ、にゃぁあ……」
お返しとばかりに、今度は俺が友希那の首にキスを放つ。くすぐったそうに、それでも嬉しそうに微笑む友希那。体から漂う甘い香りを吸い、指通りの良い長い髪を手で梳きながら、白い首に赤い痕を刻みつける。
「首にキス……。いいな……」
蘭の呟きを聞きながら、独占欲を互いの体に塗りたくる。
そうして、首回りだけキスマークだらけになった俺たちは、示し合わせたかのように舌を伸ばした。
「ぬちゃっ、ぬりゅっ、ぬちゅっ、ぐっちゃぁ……」
舌先をコツンと何度も接触させてから、ぬるりと表面を撫でて握手をする。友希那と視線を正面から重ね合って、穏やかに笑い合って、相手の尻を揉み合う。友希那の尻尾の根元はやっぱりアナルに挿入するタイプらしく、奥に押し込んでみると、友希那は悦楽の吐息をこぼした。
「にゃぁぁあ……」
熱を内包した声が耳に吹きかけられる。耳がかなり弱い俺は、友希那の声に鼓膜を揺さぶられると同時に、理性を揺るがされる。いよいよ抑制が利かなくなってしまい、蘭の横に並べるように友希那もベッドに押し倒す。
「にゃん、にゃん」
「にゃあ、にゃあぁあ……」
随分と乗り気な白猫の友希那と、火照りきった顔を緩める黒猫の蘭。俺を誘うように揃って手招きしてくる。あまりの可愛さに俺は自然と携帯を取り出し、カメラのシャッターボタンを押した。
色違いのマイクロビキニ猫コスプレをしてベッドに並んで仰向けになる二人。そんなレアな景色を撮影し、アルバムにまた写真が追加される。それを眺めて多少の満足感を得た後、被写体である二人に目線を戻す。
「それじゃあ、本格的に可愛がるから」
誘ってきた二人を満足させてあげようと、俺は二人に向けて手を伸ばした。