「駆逐ちゃんいますか~?」
木で作られた戸をソウーッと開け、小さくしぼんだような角をリビングにそっと滑り込ませる。猫のように細めた目をしながら様子を慎重に伺いつつ戦艦悽姫が顔を出す。部屋の中には少女1敵1が認められる。
「いませんよ」少女が4人がけのテーブルの前にあるイスに腰掛けながら答える。「いたいた~」彼女はあまり怒ってないようだと、角を膨らましたかのように大きく見せながら少女に抱きついた。少女の薄紫色の髪が鬱陶しそうに揺れる。
大陸棚の日の届くまだ浅い側面に切り開かれ、アリの巣のように彼女たちの住み家が存在する。地上暮らしを続ける者も多くいるが、こちらは艦娘の嫌がらせが酷くしょっちゅう損壊させられている。
【【艦娘の登場以来こちら側の行動は、向こうの“潜水組”に追尾されてある程度察知されている。深海の住居も大まかな位置が特定されたため、やつらは対潜爆雷や潜水魚雷の定期便をせっせと送り付けてくる。もっとも、お互いにガス抜きの要素が強くこちらはその程度で壊れるものでもないが。
ひっそりと暮らしていた彼女たちの海底基地の場所を露呈“させてしまった”事により海底基地を中心に暫定的に“深海前線”が発生している。この前線は事実上彼女らの領海であり、これは日により伸び縮みする。つまり超長波に乗せられた彼女らの声を検知できる範囲。水平線前後の距離一周が領海として存在する。
この近辺。
特に領海内部は彼女らの狩場となる。船団や民間商業船ですら贔屓なく攻撃される。艦娘の護衛付きであればこの航路を通過できるが、武装集団が闊歩往来する街を大量の金塊を持って民間警備会社に護衛してもらって通過しているような状況だ。彼女らの機嫌を著しく損ねたり、ワイロ的な物が足りなければ結果は火を見るより明らかとなる。】】
「もうお昼か?」
飛行場姫は、感情を失くしたような無機質な瞳でキスを強制されている少女を、少し羨ましそうに眺めながら言った。タコのように絡み付くバカを少女からひっぺがし、無理やり着席させる。
日に二回。
ここにはデイリーと称して海軍の存在意義を示すかのように、嫌がらせ攻撃が行われる。時間はだいたい、正午近辺と日没近辺だ。彼女の件以降バカみたいに膨れ上がった鎮守府の数が連日の嫌がらせを実現している。
「しかし飽きもしないでよくもやる」
飛行場姫とあるように陸上型の彼女がなぜ深海に居るのかと言えば、理由は単純だ。連日の焼夷弾攻撃で髪を焦がされる事に嫌気がさしたからである。彼女の件の後、何かと標的にされるか弱い北方棲姫もつれて移住してきた。
【【ここは潜水組の水中港だったが、地上戦が激化したために地上組が過ごせる設備を新設したのだ。移動の際には人側から鹵獲した小型潜水艇を潜水組にけん引させる。人より深く長く潜水できるが、この深度までの素潜りは酷な話である。
警戒行動中は小さなボンベを持ち単身警戒を行うが、楽が出来るに越したことはない。彼を捕獲した飛行場姫もまた、潜水艇のハッチを閉めただけで、潜水タクシーで帰宅したのだった。】】
「駆逐ちゃん」戦艦悽姫は生気が抜け、長い黒髪を垂らして疲れ果てたように、テーブルにワカメのようにニョロニョロ両手を乗せ伸ばす。「ご飯作って欲しいの」少女を目にした際の空元気も切れ幽霊のように深い声でドヨドヨと言う。
「ちょっと疲れちゃった」少女はそっと、横向きに角を転がす彼女の口元に、平べったい食器に乗るパンを近づける。「彼のも、いいかしら」彼女は器用に舌でパンを口に引きずり込み、早いペースで長いパンが鉛筆削りのように消えていった。
「姉さま」少女はイスに座りながら、淡白にサバサバと続ける。「朝の情事は上手くいかなかったのですか?」彼女のその姿はまるで骨折り損のくたびれ儲けを体現しているかのようだ。
彼女が得意とする能力の一つに、通常の声と同時に低周波による声を重複して発声して、より良く、より早く、より深く、彼女の声を直接脳へと刷り込むことが出来る。ただ、同時に事を行うことは彼女自身への負担も大きい。
「萎んでたのよ」力なく言う彼女の言葉を聞き、飛行場姫は手に持つ、飛行場姫の顔が掘られた木製のカップに入る野菜スープを口から噴き出した。「あによ?」彼女は鋭い視線で飛行場姫を見るが、たまに粘着気質な彼女が陥る墓穴だ。
「姉さまがしつこすぎるからじゃないですか?」少女も見も蓋もないことを続けて、飛行場姫をさらにむせかえらせた。「すまない、台ふきんを取ってくる」テーブルに広がる水気を、少女が紫に黄みがかったバイカラーの瞳でジッと眺める。
山賊が洞窟に作った様な広いドーム状の場所に、潜水艇により分解して持ち込まれた簡素なキッチンがある。ガスの利用を想定していないので、調理には火力の乏しいエタノールを使っている。
その手前に飛行場姫が暇つぶしに作った大きな木のテーブルと椅子があり、いつもそこで彼女ららしい食事を行っている。
「どうせ」少女は彼女の胸元だけ濡れたワンピースのシミをイライラとしながらチラリと見る。「気持ち悪い授乳プレイでもしていたんですよ」シトリンのような瞳を覗かせながら、テーブルの上にあるパンに手を伸ばし大きくかじった。
「ちぃがうってばぁ」彼女はパタパタと手を振りながら「もう、違うの」耳まで顔を赤らめる。思い出すと乳首の先端がチクチクと少し疼く。「何?駆逐ちゃん」
少女は椅子から立ち上がり、少しキツイ面持ちで彼女のよれた黒いワンピースのスカートを捲り上げる。彼女の表情がエッチな期待を膨らませて少し柔らかくなる。
「姉さま」時間が立ち黄色いシミで湿らせている彼女の白い下着に顔を近づけた。「とても、匂います」そこは、エビやらカニやらをそのまま長時間煮込んだ時のような濃い磯の匂いがしている。
「・・・わかった」彼女は見えない耳が垂れているかのようにしょんぼりとし「わよ・・」背中を丸めながらシャワー室へとトボトボと歩いて行く。
【【海底での真水は貴重品かと言われると、彼女達にはちょっと節約しようか程度の認識で十分すぎる。余剰した潜水組の艤装が、海水からせっせと酸素を作り続ける際の排熱を利用して、できた蒸留水を常時タンクに貯めているからだ。
建設したのは地上組の奴らだが、気圧も内部の工夫と設備に管理され何とか1.5気圧以下には抑えられている。蒸留水で蒸気機関のように発電される電力の大半は3重式の海底ゲートの開閉に使用され、残りは施設内の照明に使われている。
問題なのは温水で、排熱利用では発電力が弱くガスも使用しないため、電力節約のため主にシャワーは常温水になる。氷点下に近い海水を全裸でも泳げる彼女たちではあるが、温かいお湯でシャワー位浴びたいというのが本音だろう。】】
「どっちが」飛行場姫は布巾を持ち、テーブルの上で長く手を伸ばしながら続ける。「姉だかわからんな」彼女は節分の鬼のような、サイドにつく小さな角を左右に振った。
「姉さまは」少女は腰に両手を付け少し早口になる。「姉さまに決まっているじゃないですか」少女はドカッとイスに座り、小さなバスケットに入る長いパンを手に取り勢い良くかじる。「当たり前です」
「ほう」彼女は少し面白くなさそうに答える。「アレがねぇ」彼女もまた少女と対面するかのようにイスにどっかりと腰かけた。大きめの胸の前で腕を組みため息をつく。「もう少し、理性的になれんもんかね」
「なんですか」少女の瞳が黄色さを増し光るような鋭い眼差しになる。「たかだかバンカーバスターくらいでガタガタ逃げ出すくらいの分際で。降り注ぐ徹甲弾の雨の中をヘラヘラとホッポちゃん連れて歩き回る姉さまを悪く言うなどと」
「わかった」彼女はやっちまったと、首を引きつらせながら言う。「私が悪かったわ」目には少し涙が浮かんでいる。「勘弁して」
「だいたい、あなたも日曜大工ばっかりやってて何ですか。陸上型だからとか言って大して出撃しないわ、尋問したらしたで意味もなく快楽貪って殺すわ、後始末までホッポちゃんにやらすわ。もっとしっかりして下さい」
「あの・・」
彼女の視界が霞んでいく。どうやらやぶ蛇であった。なにか知らないが、少女には過大なストレスが溜まってたらしい。飛行場姫は少し後悔した。滝のように少女が怒濤の勢いで言葉を続ける。
「その角ドリルなんなんですか。電撃も出せないくせに。普段俗物めみたいなこと言ってる癖に、実際は気が小さいし。やわらか戦車ならぬやわらか飛行場ですか。ここでひっそり戦後まで生き延びててくださいね」
「ほっぽー!」彼女はついに耐えかねて立ち上がった。「くちくがいじめるー」彼女は韋駄天のごとく駆け出した。リビングに一人、少女が残される。
「さて、いなくなりましたね」
少女は気を静め澄んだ紫色の瞳で、テーブルの上の空の食器をジッと見つめる。農園から適当に摘んできた山菜を食べさせるとたまに死人が出ることもあり、少女は何を食べさせるかとツインテールを傾ける。
北方悽姫に知恵を借りたいところだが、潜水組の後方を支えているため、あいにく彼女はまだ戻っていない。飛行場姫は今ごろ、拗ねたようにちょっとお尻をいじっているところだろうか。
少女は小さくため息を付くと、キッチンのエタノールコンロに火を入れた。ポワポワと青い炎が出るのを眺めながら、少女は黒く短いセーラー服の上に、テーブルクロスを再利用して割烹着のような形にした布を着る。
「ねぇ駆逐ちゃん」
彼女は冷水シャワーから戻ってくると、リビングの木の扉に手をかけて、体を斜めに傾斜させながら言う。
「何ですか姉さま」少女はキッチンで、コンロに乗りコトコトと動く鍋の蓋を眺めながら答える。少女はツンツンとした表情でゆっくりと歩き回り作業を続ける。「やだ、こっち、み・て・よ」彼女は甘く震える声で囁く。
「ダメです」
少女は薄い丸型の食器の上に、コールスローサラダのように加工した、野菜のような塊と、塩で茹でた芋を盛り付けながら冷淡に答える。
「もう」全身黒くピチピチの服。極めて短いタイトスカートで白い脚をたっぷりと出した、いわゆるボディコン服だ。洗濯中のワンピースの代わりである。「ほらまた、いやらしい格好して」
少女が顔を向けると、彼女のパテントのように僅かに光沢ある黒いハイヒールの足元から、白い脚が続く。軽く開いた脚が短いスカートを押し上げ、僅かに、彼女の毛並みの良さそうな黒く太い体毛をこぼれ出させる。
ピチピチとする服の胸元は、ノーブラでバスタオルでも巻いているかのごとく、大きな胸の上半分を白く露出させている。少女に向かい少し歩くだけで、窮屈な谷間が大きく振動し彼女の自信のほどが伺える。
「パンツはどうしたんですか?」
火を消すと、薄紫色で丸みを帯びたミドルヘアーをふわふわと揺らしながら、少女に近寄る彼女を、壁際まで威圧的に押し戻す。少女は彼女の冷たいホホに手を付け、優しく手のひらを彼女のからだに沿ってなぞらせていく。
冷たい首筋にサワサワと少女の指が流れ、冷えきった谷間に人差し指をかけると、反り返らす二つの乳首を暴き出しながら素早く彼女の太ももまで降下する。彼女の上半身は壁と少女の胸部に力強く挟まれた。
「パ・ン・ツ」少女のももが彼女の片足を乗せ持ち上げる。彼女のハイヒールのかかとが左右に揺れる。「どうしたんですか?」至近距離に少女の顔が彼女の顔に近寄りながら少女が問い詰める。彼女の軸足におねだりするように蜜が伝う。
「全・部・・」顎下から覗き上げる少女に、緊張から唇を舐めると言葉を絞り出す。「洗・って・んんぅぅぅ」少女は無表情で彼女の両足の付け根に腕を差し込み中心を無慈悲に掴んだ。「のっよぉ・・」
「剃ったんですか」スカートを手の甲で持ち上げていきながら、指二本でたてがみのように生える毛を挟む。毛穴に爪を引っ掻けるように上下に動かす。「変態姉さま」
「違うのよ」彼女は期待するように切ない表情で否定し始めた。「ちがっの」少女は鼻をナイフのように彼女の顎に押し当てながら、凍える瞳で彼女を見つめる。「違いません」少女の冷たい声に彼女の子宮がギチギチと収縮を繰り返す。
「すけべ豚」
少女はももをさらに上げ、彼女の脚が腰付近まで一瞬で持ち上がった。壁に押さえつけられた片足は膝を降り曲げプラプラと揺れる。剥き出され少女の上半身に押し潰された彼女の胸は、少しでも刺激を求めようと先端を高く膨らませる。
「おまんこ見せつけたかったんですよね?」少女は指二本を彼女の中に突き刺した。「ちぃが」彼女は胸を膨らませて息を吐きながら岩肌の残る天井を虚ろに眺める。
「見せびらかしたくて、剃りました?」指が根本まで差し込まれる。
「わざわざ短いスカート穿いて」少女指三本を入れ、彼女の中の口を爪でかき回す。「見られるの想像して」サクサクと指が動き彼女の汁を掻き出す。「しょり。しょり。しょり」粘っこい水音が、少女の指の激しい動きから生まれる。
彼女は興奮した犬のように言葉なく浅く息を吐き続けて、軽く達するたびに片足のハイヒールがキラキラと羽上がる。彼女は乱れて流れ込んだ黒髪を僅かに唇で噛みながら小さく声を漏らし始めた。
少女は、彼女が静かになるまで追い詰めた。両手から力を抜いた彼女の体を乾燥している床に優しく寝かせる。
「くさい、でしょう?」
小さく息を吐きながら彼女は呟くように言う。少女は彼女の両足を開かせると、フワフワとした薄紫色の髪を片手で押さえながら、ゆっくりと顔を落としていく。
「まだ少し匂いますけど」舌を伸ばして太ももから付け根に向かい、彼女の軸足にしていた白いももの光る水後を進んでいく。「別に、嫌いでもありませんし」かぐわしい中心にも舌を付け、刺激を与えないように猫のように舐める。
「ねぇ駆逐ちゃん」彼女は立ち上がると、僅かにシワの残る締め付けのきついスカートを元の位置までと下げた。「なんですか姉さま」少女も立ち上がり、彼女の湿り気を帯びた黒いセーラー服のスカートをパンパンと払っている。
「あれ、全部駆逐ちゃんが作ったの?」彼女はテーブルの上の二人分の食事を朗らかな顔で指差す。「そうですけれど、何か」首を傾け片方のツインテールを指でときながら少し不機嫌そうに少女が答える。
「あ。り。が。と」
彼女は両手で少女の顔を抑えると、膝を曲げて身長を少女と素早く合わし、唇と唇を勢い良く重ねた。彼女の長い黒髪が反動で少女のホホに僅かに覆い被さる。
「もうなんなんですか突然」少女は深く澄んだ紫色の瞳を大きく広げ、僅かにホホを赤らめた。「油断してると角があたっていたいんですよ」どこか照れ隠しのように少女の素顔を覗かせながら、語気を強め口早に少女が言う。
「ね、え」彼女はゆっくりと片手を少女のホホになぞらせトロトロと囁く。「今度それ、私にも食・べ・さ・せ・て?」彼女は口元をモジモジとさせながら言うと、少女の耳に軽くキスをした。
「ダメです」少女はすぐにいつもの無表情さを取り戻す。「姉さまには姉さまの分がありますから」鬱陶しそうに彼女の顔を手で押し戻した。彼女は少し寂しそうにテーブルの横にある木製の席に付いた。
少女は彼女用と、人間のエサ用に分けられた食事の盛り付けを手早く終わらせる。そのまま少女はイスに座る彼女の膝の上へと、スカートのお尻を丸めるように手で押さえながら座った。
彼女は背中側から、大きな人形を抱き抱えるように少女の腹の前でギュッと両腕で抱き締める。少女は気にも止めない無表情で、テーブル上のパンを取り、上半身を半回転させながら、彼女の口へ消えさせていく。
「はぁ、駆逐ちゃん分が充足されていくわ」食事を終え、彼女の満ち足りた顔と対照的に、脇腹に鈍い痛みを与えられている少女の表情はどこか険しかった。「早くもってって、食べさせて来てくださいよ。バカな姉さま」
「ふふ」彼女の膝イスから下りて、プルプルとツインテールを振る少女を見ながら、彼女は嬉しそうに笑う。「なに笑ってるんですか」少女は食器をトレーに乗せると彼女にグイと押し付けた。「早く行ってください」
万力のような力で締め付けられた少女は、少し深いため息を吐きながら、彼女の嬉しそうな背中を見送る。残された痛みに、嬉しいような心底嫌気がさすような複雑な気分で短いセーラー服の間、白い肌の見える脇腹を手でさすった。
「さて、姉さまの下着さんは、と」
少女は気を取り直しパタパタと洗い場の区画へ移動する。横に掛かるロープ状の物に干されて、石床に水を垂らしている下着を数枚見つけた。黒いワンピースやグレーの男物の下着もある。彼の下着は男臭いので廃棄することに決めた。
「あら、お花さん」
香水代わりに使ったのだろう。桶の中にすりつぶされた“駆逐ちゃん農園”から採取されたであろう生花が数個浮かんでいる。幸い“ココの管理人は寛大”で、乱獲さえしなければ、特に使用の許可は求めない。
「やっぱりいい加減ですね」
少し力を入れて絞ると、僅かにネズミ色の液体が石床に広がった。
【【彼女たちは洗剤代わりに、種火としても利用した乾燥させた海藻の灰を利用する。初めのうちは、何となく海水と真水で洗っていたのだが、あるとき北方棲姫が灰を水に混ぜて服を洗っていたところ、意外と汚れが落ちていた事が分かり、それ以降はこれをよく利用している。
洗濯機の存在に気付いた後でも、これを続ける理由は、節電と節水の為である。また、洗剤を搬入するくらいならその分を北方棲姫のために果物でも積んで来いという意見が多いのも理由の一つか。】】
「全部洗い直しますか・・・」
ワンピースからなにやらを一律引き下ろすと、ジャバジャバと手洗いで洗濯をし直す。
【【廃水を道なりに併設される側溝へ流すと、最下層バラストタンク部へと緩やかに流れて行った。溜まった汚水や不要物は、複数あるバラスト槽の手前に溜まり、空になっているバラストに適当に振り分ける。
そして潜水艦のように海水を引き込んでは、海に吐き出すのだ。まき散らされる物には人の骨やら服やらも含まれているが、今日まで近隣水生生物から抗議活動が行われていないことは幸いである。】】
「あっ、エタノールの様子も見に行かないと」
少女はハッと思い出すと、足をぎこちなく動かしながらパタパタと更に下層へと下りて行った。岩肌から変わり、ブロック塀のようなもので補強された通路の見える下層へ向かうと、冷え込んだ冷気が体に差し込む。
【【ここら一帯にはやはり潜水組の艤装が桶の上にあり、トロトロと液体を垂らしている。日常で排出されるCO2が緩やかに下層へと流れ溜り、艤装がCO2をエタノールに分解しているらしい。
水中施設の全ての部屋が逆ツリー型で、マヤ遺跡のように一定の傾斜をもつように増築されている。水は側溝を伝って自然に下層へと流れ溜まる。
空気さえ作れば居住に問題ないと、当初は彼女たちは認識していたため、水中艤装に空気を産出させて、居住区からバラストタンクを経由してゆっくり海水を排水した後ここへ移り住んだ。
移り住んでみると下層部で意識を失う者が続出した。初期は敵の嫌がらせを疑ったが、調べ始めてみると、初めて地上組がCO2の存在に気付いたのである。潜水装備を持ち、倒れた者の救助に向かうが、この時、重量の関係で水中艤装を一部下層の通路脇に放置することになった。
この一連の騒動の後、地上組は再び外の世界へと追い出される事になる。コツコツと5、6年の工期を費やした一大事業だったにも関わらず、残念な結果に終わったと落胆していた時、施設を暫定的に管理していた潜水ソ級達から、艤装が燃える液体を作っていると極低周波音声により海中から急報が入った。
通路脇に置かれた艤装から、水溜まりが出来ていて海水もないのに不思議に思い回収したら運搬中に燃え上がったらしい。
適当に捕まえた気の毒な科学者達から得た情報によると、どこかの国がCO2からエタノールを作る事を実験的に行っている。きっとそれではないか、と。お願いしたら、簡易的なCO2計測器も譲ってくれた。
お礼に泊地水鬼が機密保持のため全員を気持ちよく昇天させてあげる事にした。
エタノールを回収し一定量を冷蔵補完つつ、CO2の濃度を見ながら数週間後には、彼女たちは再び別荘を取り戻したのである。更に、生活用燃料としてエタノールが自給できる事は嬉しい誤算になった。
後に、戦艦棲姫と駆逐棲姫が移住して来てからは、駆逐棲姫が事実上の管理者のように施設全体を見回りしている。】】
前方からトイレ100基が排水したかのような音が重低音で反響して聞こえてくる。薄暗い通路から聞こえるこの音は、何度聞いてもなれないもので少女は一瞬ビクッと体を動かす。下層に設置されるバラストタンクに注水が始まったようだ。
「随分溜まってますね」小型のポリタンクを取り換えた。「ちょっと歩きづらいですが、まぁいいでしょう」冷え込む通路をよろよろゆっくりと上って行く。紫色の髪が左右にゆらゆらと揺れ動く。
【【無限に湧くエタノールは大変都合がいい。燃料にするも、捕虜の消毒に使うも、地上組の水鬼達に酒として飲ませてやるのにも使える。
しかし、自然発火の危険もあるので、深層の冷え込む貯蔵庫に普段は貯蔵してある。面倒ではあるが必要な分を彼女達はキッチンの冷蔵庫まで運び出すのだ。】】
「一応、今日は多めに持っていきますか」
もしかしたら、消毒用にでも必要になるかもとポリタンクに少し多めに液体を移し替えると、ポリタンクを引きずるようによろよろと下りて来た道を帰っていく。
<<アンケート結果はお知らせの話の前書きで時々更新!!>>
つ´・ω・`) ヒロインだろと 思う子
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駆逐ちゃん
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戦艦棲姫
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飛行場姫
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提督さん
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その他