転生して、カーディナルさえ検知できないチートを手に入れたから、ゲームクリアしてくる。 作:恭華
おでん。
「とりあえずそうだな……服を変えよう、服を」
辺りを見た感じではNPCしか居ないようだが、恥ずかしいものは恥ずかしい。
アイテムウィンドウをとっとと開いて装備を変更……しようにもアイテム全てが文字化けしている為装備が出来ない。
仕方ないからチートウィンドウを開き、今の自分に合いそうな装備を探しつつ、人目につかなそうな裏路地へそそくさと歩いていく。
裏路地へと足を踏み入れれば、ピンク色のお店の前で妖精というより悪魔の様な羽根を持った美女達がピンクな色香を醸し出しながら俺を手招きしている。 アインクラッドにいた時であれば誘いに乗っていたかもしれないが、今はそんな暇はない。
ごめんねー、という顔を(自分の中では)してその前を通り過ぎ、更に奥まった場所へと進んでいく。
袋小路へとたどり着けば、ようやく足を止めていつの間にか詰めていた息を吐き出す。 ふと、鏡のように光が反射している小さな窓に目を向ける。
一面の雪景色よりもなお白く、毛先が緩くドリルを巻いている腰までの長さを持つ髪、くりっとして少し釣り気味で気の強そうな碧い左目、右目には右頬をほんの少しだけ覆う、少し大きめなどんな原理でくっついているか分からない眼帯。
そんな今の自分がそこに映っていたのだ。
「今回も美少女……」
そう、美少女なのだ。 可愛いのだ。 昔の俺だったら絶対に手を出せない御令嬢で庶民のサンプルで拉致られない限り相見えることが絶対に不可能な美少女なのだ。
そんな美少女がほぼ半裸。 やべぇはやくしねぇとおとこどもにつかまってれいぷされちまうはやくにあうふくをみつけないとおっこれとかいいんじゃないかなこのまんととかいやまんとよりもはやく
「ふんっ!」
ごしゃぁっっ!! と壁に頭突きをかまし、一度思考の正常化を図る。
無論嫌な痛みは頭に来るが、それがいい感じに気付けになる。
そこからは今の体に合いそうな服をどれがいいかな、これがいいかな、と女の子の様に一喜一憂しながら着替えを始めた。
「よし、こんなんでいいだろ」
数十分前後を掛けてお腹ペコペコなお姫様風味なドレスチョイスし、色合いを黒と灰色が混ざった水色へと変更して着込んでいく。
それが終われば飛行やら魔法やらを練習しなければならない。
随意飛行、コントローラーでの飛行、2種類ある飛行方法をどちらかひとつ覚えなければ。
ユイやストレアも他の種族の初期スポーン地点で練習しているだろう多分。
早めに覚えて2人を驚かしてやろうという小さな野望を胸に抱きつつ、原作でリーファがキリトにやっていた事を思い出す。
肩甲骨あたりに意識をやって……新しい器官を感じて……
しゃりりん……と鈴の音のようなものを響かせながら、白の半透明の羽根が三対現れる。
ソレに意識を向けながら、筋肉を動かすような、無理やりくっつけた義手を操るような感覚で羽根を小さく震わせる。
それだけで足が地面から離れ、宙へと飛び立つ。
道具を使わずに人が空を飛ぶという現実ではありえない感覚に爽快感というか、快感というか、よく分からない感じが俺の中を駆け巡る。
楽しい。
アスナを助ける為に来たはずなのに、楽しんでしまっている。
原作でリーファがハマっていたのにも頷ける。
そんな飛行……浮遊体験の後、ゆっくりと体を倒し、飛行しようと試みる。 案外簡単にスピードを上げられ、簡単に飛行することが出来るようになった。
「……さて、そろそろ止まるかぶるしゅっ……!?」
ランディングの仕方を覚えていなかった事に気が付かず、そのまま飛行機が着陸するかのような体勢をとり、着地しようとしては、しっかり足を躓かせて一直線に転がっていく。
広場のど真ん中にある時計にダイレクトアタックをかまし、漸く転がるのがストップ。
舌を噛まなかっただけ良かった。
いやまぁ、この世界で舌を噛んでも舌に違和感あるだけで実際に死にはしないとは思うが……
……NPCなのかプレイヤーなのか分からないが、周りの視線が痛い……
スカートの中が見えるのもお構い無しに飛び上がり、そそくさとその場を飛び去る。
「次はもう少し人がいないところで飛ぼう……」
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「……そういえば、ここはどこなのだろうか」
原作では見たことがない都市。
シルフの首都であるスイルベーンやケットシーの首都であるフリーシア、実際原作でも見たことないが、その他種族の都市とも違うと思う。
とりあえずマップを見ようと、よそ見運転ならぬよそ見飛行をしながらメニューウィンドウを表示させる。
その中からマップを選び、タップ。
表示されたマップの端にこの名前が表示されていた。
『神都・アスガルド』
「……カミサマの都やん!?」
変な絶叫をしてしまいながら、ゆっくり降下。
特に障害になるようなものがない公園のような場所で着地を決め、座れそうな場所を探す。
広場になっている場所に複数ベンチが置いてある。 そのうちのひとつに腰掛け、頭を押さえて項垂れる。
しらないよそんな場所世界樹の所まで行くのにどれくらいかかるのというかまずユイやストレアと合流しなきゃだしまずはそうしなきゃいけない良しそうしようでもちょっと待て飛んでいくのにどれくらい時間がかかるまずここがどこに位置してるか分からないからなんとも言えないんだが鯖違いとかだったら一生会えないぞよしそうなったら……
「すー……はー……よし、落ち着いた」
いつもなら殴って変な思考を止めていたが、珍しく深呼吸だけで止めることが出来た。
「……まぁ、とりあえずは、アスガルドから出る事を第1に考えよう。
最悪チート使って抜け出すことも考えておかないとだな……」
誰に聞かせるわけでもなく、ブツブツと独り言ちりながらこれからのことを考え始める。
ユイは聞いていないが、ストレアはノーム族になるということを知っているため、まずはストレアとの合流を第1に考えよう。
そんな思考を小さく独り言で垂れ流しながら開きっぱなしにしていたアスガルドのマップをじっと見つめていれば、そのマップが拡大できることに気がついた。
今更かよ、とツッコまれそうな事柄だが、今の俺にはとてつもなく有難いことだった。
その拡大したマップ上にはしっかり施設のアイコンや施設名が記されており、自分の穴だらけな北欧神話の知識の中にある、主要な施設の名前を複数見つけることが出来た。
ならば、絶対にあるであろう施設の名前を探してみれば、簡単にその場所を見つけられた。
『虹の橋・ビフレスト』
本家の北欧神話では、ビフレストは地球のあるミッドガルドからアスガルドへと、神を送り届けるために使われた虹の橋だったらしい。
もしそれを転移門のように扱えるものであれば、豊穣神であるフレイが治めるアルヴヘイムへとたどり着けるだろう。
その期待を胸に、ビフレストのある場所へと飛び立った。
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「なんで通してくれないの!?」
「主神・不許可・汝・許可証・不携帯・故・汝・通行・不可」
「あぁもうっ! さっきから同じことばっかり……!」
マップ上でビフレストと表示されていた、世界樹並に大きな門のある場所へと到着したのだが、とある歌姫の声と発声はしっかりしているのに、単語でしか話さない機械じみた声が言い争いをしているのを見てしまった。
歌姫の方は頭を抱えながらうがーっ、と天を仰ぎ見ているが、機械(仮)は動じず歌姫を見下ろすだけだ。
そんな2人に気付かれない様に近付き、素通りしようとしたのだが……
「主神・我主・通行可・目的地・選択」
グリィッ! と首を90°曲げてコチラを見てきた機械(仮)。 その言葉に反応して更にコチラを見てくる歌姫。
やめて見ないで私を面倒事に巻き込まないでやだやだ早く妖精郷に行くのー! という自分でもよく分からない表情をしながら門の方へと走ろうとするが
「待って!」
という少女の声にピタリと止まってしまい、声のした方へと目を向けて。
「……なんでしょうか……?」
と面倒事に頭を突っ込んでしまった。
こちら側に寄ってくる青を基調とした、白と水色のアイドル衣装に身を包み、艶々の銀髪を靡かせる
本物、こんなに小さいんだなぁ、なんて(今の)自分もそれなりに小さいのに失礼なことを考えているのを見透かされたのか、じっとりした目でコチラを見上げてくる。
「……なんか、失礼なこと考えてないかしら?」
「いえ特には。 ……それより、なにか御用ですか……?」
「……単刀直入に聞くわ。 貴方、プレイヤーで、北欧神話の主神、オーディンじゃないかしら?」
本当に単刀直入だなぁ……嫌いじゃない。 というか、割とセブンも好き。
「プレイヤーなのは当たり、オーディンは半分当たり」
「半分? それって、名前がオーディンって痛い名前だったりするってこと?」
「ちゃうねんそうじゃないねん。 ……ん゛んっ……一応、種族がオーディンになっているって事」
その言葉に納得が言ったのか、セブンは、あー……という表情をしている。
「種族がオーディン……種族が神、それも神個人……この場合は個神かしら……? まぁ、それはいいとして、妖精10種族以外になるプレイヤーがいるなんて……」
ぶつぶつと独り言を続けるセブンに
「あのー……おでんだから何なんでしょうか……?」
「……ん? あぁ、ごめんなさいね、オーディンなら、主神と呼ばれていた貴方なら、あの堅物を説得して私をあっちの世界に戻してもらえるかもしれないって思ったの。 だから、門に向かっていった貴方を引き止めたって訳」
「あーなるほどそういうわけね完璧にわかったわ」
「……わかってないわよね?」
気のせい気のせい、と目を逸らしながら両手を振り。
もっとわかりやすい説明が必要かしら、とセブンに問われたが、丁寧にお断りを入れておき、「堅物を説得」というセブンの注文に取り掛かるためにヘイムダルへと向き直る。
「承認・音楽妖精族・個体名セブン・通行・許可」
「あっるぇ!? まだ何も言ってないよ!?」
「まぁいいじゃない、許可してくれるって言ってるんだから、それに乗っかっちゃいましょ?」
「いいのかそれで」
「いいのいいの」
セブンの押しに押し切られた訳では無いが、問題があったら何か言われるだろうと諦め、セブンを連れ立って門の方へ
「そういえば、名乗ってなかったわね。私はセブン、よろしくね?」
「わ……俺は、セイメイ。 訳あってオーディンなんて種族になってるけど、中身は普通の、運営側じゃない一般プレイヤーデス」
「あら、そうなのね? じゃあセイメイ、С уважением」
「え、なんて?」
「ロシア語の、"これからよろしくね"っていう言葉よ。 知っておいた方が得する時もあるから、辞書とか持っていてもいいかもしれないわよ?」
なるほどわからん。 ふふん、とナイムネを張りながらドヤ顔しているセブンに、しっかり日本語でよろしくと言ってから、ここでようやくチートウィンドウを表示。
『妖精郷に戻るために手伝ってもらったんだから、何か一つどんな願いでも叶えてあげなくてはならない』
という、バレたらやばいかもしれない強迫観念みたいなものをセブンへと埋め込む。
するとどうだろうか、鼻歌を歌いながら門へと向かおうとし始めたセブンが再度こちらを向き
「……ねぇセイメイ、私にできる範囲で、何かできることは無い……?」
なんて、少し顔を赤くした状態でこちらを向いて。
「何でも言って! できる限りの事は何でもするから!」
ん、いまなんでもって。
……なんて馬鹿なことは言わず、ただ淡々と、セブンへと、ある一言を告げる。
「なんでも……なら、セブン。 俺がキミに望むのは……」
おまたせしましたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
ほんっっっとぉぉぉぉに申し訳ない!!
大丈夫、生きてましたよ!
ネタが思い浮かばずかれこれ……何ヶ月?
まぁいいや、タルコフだとかうまぴょいしてたりとか媚薬掛けて卵産ませたりだとか色々してたけど、しっかり生きてます。
次回はえっちあり? 無し? 私にもわからん。
とりあえずはキリのいい……いいかこれ……? まぁ、そんな感じで、今回はここまで! また次回、近いうちに、お会いしましょう!
ノゲノ○みたいに2年以上間開ける、なんてことはしないように頑張る。
PS.6/10 タイトル間違えてたから修正
あ、後、最後の方のカタカナはわざとだからね。 誤字じゃないよ!