転生して、カーディナルさえ検知できないチートを手に入れたから、ゲームクリアしてくる。 作:恭華
前提条件として、SAO本編をアニメで見ているか原作読んでいるか。
もし観てなかったり読んでなかったら、今まで説明なかったから難しかったんじゃね? と思ってます。
……まぁ、多分見てない人はコレ見ない気がするけど。
15時からのBoB予選、それに勝ち残れば決勝でシノンと当たる。
彼女はE-12番、俺はE-26番。
予選決勝の2人は無条件で本戦へと登れるようだ。
……まぁ、彼女なら危なげなく登りつめるだろう。
アミュスフィアを頭から外し、体を起こす。
仮想空間とはまた違う体の重さを思い出した俺の体は、ちょっと違和感を発する。
……俺でこれなんだ。 レンはかなり違和感やばいのではないだろうか。
まぁ、まだこの時期はやってないだろうが……
それはそれとして、今日の昼……いや、昨日の昼に作り上げた新しい掌を見つめ、小さくため息を吐く。
妹ロールプレイ自体は難なくこなせるが、少しはしゃぎすぎた。
一応シノンにはお礼を渡せたからいいが……
ベッドから立ち上がり、マイナスな思考を打ち消すように頭を振りながら1階へと降りていく。
「あ、まだ寝てなかったんだ」
「GGOにダイブしてたからね」
明日奈がリビングで座っていた。
よくよく見ると膝にストレアが頭を乗せており、ユイが肩にもたれかかって眠っている。
時計をチラと見てみれば、現在2時、ということは4時間近く騒いでいたのか……?
その考えを読み取ったのか、明日奈が
「んー、1時前後にはストレアさんは寝に入っていたかなぁ。ユイちゃんも大体それぐらい」
「なんか……ごめんね?」
「ううん、大丈夫。 母親の仕事だもんね?」
「……」
明日奈には頭が上がらない。
「もう、変なことは考えなくていいよ」
「変なこととな……?」
「そう。 どうせ頭が上がらない、ありがとう、みたいなこと考えてたんでしょ。 変なこと、はさすがに言い過ぎだけど、これは私が好きでやってる事なんだし、 SAO内でとはいえしっかり結婚もしてたんだから。 母親として、あなたのお嫁さんとして、恥ずかしくないようにって、ね?」
……ええ子や……
色々煩悩に塗れててごめんなさい……
「むぅ……む、む、むぅ……」
情けない声しか出せない……ちょっと色々、むぅ……
「で、明日はどんな感じなの?」
反応が期待できなさそうな話題から明日奈が逸らしてくれた。
明日、明後日の予選、本戦の感じを軽く説明すると、ふむふむと頷いていた。
「明日はギリギリ応援できるかな。 明後日は問題ないね」
「送っていかなくて大丈夫か……?」
「うん、ストレアさんが『二日酔いなってなかったら送っていくね~?』って言ってくれたから」
それ二日酔いフラグでは?
そんな俺の心配を他所にすやすやと寝息を立てるストレア。
軽く目眩を起こしそうになりながら、ユイとストレアに拘束されている明日奈の前に行く。
「……とりあえず、2人とも起こすか運ぶかしようか」
「そうだね。 ……落とさないように、ね?」
「わかってる」
俺はストレアを、明日奈はユイを担当し、2人を寝室へと連れていく。
一応、俺たち3人の部屋、交尾部屋、客間、客間、地下と6LDK地下付きの一軒家が俺たちの家だ。
ユイの部屋は俺の部屋の隣。 ストレアは1階奥の部屋。 客間は玄関入って左だ。
お隣の桐ヶ谷さん家を思い浮かべてくれればわかるかな?
とりあえずそんな感じだ。
2人を寝かせてリビングに戻ってきた俺たちは、ソファに座って小さく息を吐き出す。
明日奈の方は少し不安と不満があるようなため息だ。
どうかしたのか、という視線に気が付かれてしまったのか、じとりとした目を向けてくる。
「またチート使って女の子手篭めにしたでしょ」
「可愛い子をコレクションしたくなる癖ですねあきらめてくださいお願いします性なんです滋賀なんです千葉」
「あーもー……千葉でも滋賀でも佐賀でもいいけど、本妻は私なんだからね?」
本妻宣言。
明日奈は明日奈で『あ、しまった』というような顔をしている。
優しいなぁ……色々したのに……やさしいなぁ……
……なんだろ、目からバブルスプレッドが……
「……愛人とか第2、第3夫人とか増やしてもいいけど、私が1番なの、忘れないでよ? 忘れないなら……まぁ、人道に反しなければ何しても……」
先細りな声でそういう明日奈。
可愛いかよ。
「とにかく! お嫁さんは私一人! 不倫してもいいけど、最後にはしっかり帰ってきてよね!」
「あぁ、分かってるよ。 例え100年、200年離れ離れになっても、俺は君の元に帰る。 沢山女の子連れて」
「せっかくカッコよかったのに最後ので台無しだよ!?」
~~~~~~~~~~~
「……はぁ……」
現実に戻ってきた。
このまま眠ってしまえば、明日のお昼前には目が覚めるだろう。
だがなんだろう、ちょっとそんな気分になれない。
ちょっと部屋が暑いからだろうか?
暖房が効きすぎているのかも。
ベッド上のテーブルに手を伸ばし、リモコンに指を押し当てて温度を2度下げる。
ちょっとだけそのままでいて、腕を引き戻してアミュスフィアを頭から外す。
「……タマモちゃん、か……」
一緒にお買い物して、カジノいって、ドライブをして、BoBにエントリーして、プレゼント……お礼をされて。
少しの間だけど、なんとなく妹みたいな感じだなぁ、なんて思ってしまった見た目少女な女の子の事が気になる。
明日は、そんな子と戦うことになる。
「本当は撃ちたくないけど、勝負するからには……」
手をギュッと握って、指を指すように前に突き出し、トリガーを引くような仕草をしてしまった。
無意識とはいえ、それをやってしまったと認識してしまえば、胃の中から酸っぱいものが込み上げてくる。
目の前が歪む。
過去の、あの映像が頭の中にフラッシュバックしそうになる。
……でも、あの顔……アルビノの少女の嬉しそうな、朗らかな笑顔が浮かび、発作が少し収まり始めている。
……強さだけじゃなくて、優しい記憶なんかも、発作に効くのかしら……?
そんなことを考える余裕すら出てきた。
「なら、新川君との……っ」
なぜか、彼のことを考えると、頭の奥が痛み、またフラッシュバックしそうになった。
……どうして?
タマモとの記憶なら穏やかになれるのに、新川君だと悪化する……
分からない、どうして……?
……いくら悩んでもその答えは出ないまま。
なら、やはり当初の目的通り、BoB参加者の全てを殺す。
そうすれば本当の強さが……
……はぁ……
タマモが私を狂わせたんだろう。
全員殺そうが何をしようが、本当の強さが手に入らないって分かってしまった。
会ってたった3、4時間しか経っていない女の子に変えられてしまった。
信念というか、柱を折られてしまった感覚。
決勝、彼女を撃てるかな……
出来ることなら、撃ちたくないけど……
「あぁもう……頭がこんがらがっちゃう……」
ベッドから起き上がり、狭いけど割と快適な部屋を抜け、廊下に設えられているキッチンへと出る。
冷蔵庫の中から水を取りだし、一気飲みしてからベッドに戻る。
枕に顔を押し付けるように飛び込み、かなり大きなため息を漏らして。
「……んっ」
くちゅ……と音を立てて指を自分の股の間に指を入れる。
彼女の顔を、笑顔を、声を、動きを思い出す。
それに合わせて指をゆっくりと前後させ、自分の膣を擦っていく。
ちゅく、ちゅぷ……と軽い水音を響かせながら、彼女との短く長い4時間を思い起こす。
「ん、ふ、ぅ……」
枕に顔を埋めたまま、枕を噛んで声を漏らさないように。
かりっ、かりっ……膣を引っ掻き、もどかしい快楽を得て、彼女との楽しかったドライブを思い出す。
「たまも……たまも……っ」
噛んでいた枕から口を離し、彼女の名前を呼びながら高みへと登っていき、膣に出し入れしている指を1本から一気に3本に増やし、じゅぽじゅぽと激しめに抽挿を続ける。
……彼女が男だったら、どれくらいのちんぽがあるのかな……
なんて変なことを考えてしまっているのに気が付かずに激しく自分のおまんこを攻める。 攻める。
「いっ……んっんんっ……!!」
カリッ、と勃起したクリトリスに親指が当たってしまい、ぷしっ……とイッてしまった。
「……お風呂、入り直さなきゃ……」
絶頂したばかりの脱力した頭の中で、そんなことが浮かんでいた。
~~~~~~~~~~~
菊岡が用意してくれた病院……所沢総合病院のカウンターにて、予約してる葉山ですー、といったら病室が案内された。
「あれ、安岐さん?」
「あ、久しぶりだね、葉山クン。 元気にしてたかい? 彼女さん……結城さんはお元気?」
このパツキンメガネ三つ編みの図書委員風味なオッパイナースは安岐ナツキ。
明日奈のリハビリを担当していたナースである。
明日奈はさんなのに、何で俺だけ君付けなのかと言うと……
……明日奈のリハビリ中に1回だけ安岐さんのおっぱいをガン見してしまったから。
男の子っぽいねぇ、なんてにやにやした笑みを見せながらたゆんたゆんと揺らしていた。 明日奈に気づかれないように。
「はい、元気ですよ。 ちょっとお嫁さん力上がりすぎてますけど」
「へぇー……? 大事な大事な人に何かあったら嫌だから、なんじゃないかなぁ?」
「……まぁ、かもしれませんね」
「ほーう……?」
そのニヤニヤやめなさい……と言いたいけど言えない。
小さく溜息を吐き
「今日明日、私の体をお願いします。 今日は17時から、明日は20時からって予定になってます」
「はい、りょーかいよ」
「それじゃあ……」
軽く頷く安岐さんに促され、病院の硬いベッドに寝転がり、アミュスフィアを頭に被る。
「リンクスタート」
いつものように、アミュスフィアを通して電脳の世界へと落ちていく感覚に体を……意識を委ねる。
軽い浮遊感の後、意識は晴明・晴美の体を抜け、タマモへと置換され、血と硝煙と砂の香りが広がる荒野に堕ちた船へと落とされる。
「……現在13時2分……予定より2分遅れたけど許容範囲だな。 さて……あわっ…」
「おっと……」
歩き出そうと振り向いた瞬間、大きめだが細身の銀髪の青年とぶつかってしまった。
「あわ、わ……ごめんなさい……」
「ぁ、こちらこそごめんなさい」
……この声、どこかで聞いたことある声だな。
ちら、と頭を下げたまま前で謝っている青年の顔を盗み見る。
整った顔立ちだが、どこか陰のあるような青年。
シノンのお友達のシュピーゲル君だ。
「ぁ、と、その……ごめんなさいでしたー!」
「あ、ちょっと!」
だだだーっと知らない青年にぶつかられて謝られてー、をされてしまった小心者少女エミュを発動し、脱兎の如く逃げる。
今あいつに顔を覚えられると色々不味い。
いや特に不味くは無いが。
とりあえず総督府周辺のショップで買い物でもしてようそうしよう。
というわけで、出てすぐ横にいた闇市おじさんに声をかける。
「らっしゃい、お嬢ちゃん。 今日は何の用だい?」
「
「……専門的すぎて分かりにくすぎる名前だけど斜めグリップってことならこれかい?」
出された物は斜めグリップ。
だけど目当てのものでは無い。
「別なものです」
「んー……それだとないなぁ……」
「そですか……」
~~~~~~~~~
いつもの浮遊感の後、私の意識はシノンへと切り替わり、シノンとしての体に変わる。
目を開けば昨日と変わらない総督府のロビーだ。
ただ、彼女の姿は無い。
「おーい、シノン!」
「っ……しゅ、シュピーゲル……」
「……どうしたんだい?」
「う、ううん、なんでもないわ、なんでも……」
「そう? 体が不調を訴えていたら何時でも僕に言ってね……?」
「え、えぇ、ありがとう……」
昨日の発作の時の影響か、新川君……シュピーゲルの顔を見れない。
いつもなら普通に接せるのに……
きょうは凄く、気持ち悪い。
「シノン、今日はしっかり応援するからね。 もちろん明日も応援するよ。 まずは目指せ、予選優勝、だよ!」
励まし、応援してくれているのだろう。 いつもの私なら、ちょっと擽ったそうにしながら笑みを返して「ありがとう」というのだろう。
なのに、それすらも吐き気がする。
いつもの発作よりは軽いが、気持ち悪い。
「ありがとう、シュピーゲル……
……ごめんなさい、今ちょっと、1人にして……」
「っ……やっぱり体調が……」
「触れないで! ……あっ……ごめんなさ……」
シュピーゲルが凄く汚らわしいものに見えてしまった。
唯一私が心を許した彼を跳ね除けてしまった。
「ううん、大丈夫だよシノン。 シノンもたまにはそういうことあるよね……。 うん、大丈夫。 とりあえず今日は離れた場所で応援してるから」
「しんか……シュピーゲル……」
離れていった彼を止めることは出来ない。
私は1度跳ね除けてしまった。
それだけで、彼を止める術はなくなってしまったのだから。
~~~~~~~~~~~
「なんだか曇らせの気配がするぞ……?」
「誰ですかあなた」
「あ、私? クレハです」
「そうですか」
唐突に出てきて何言ってんだこの頭どピンク女。
そんな表情をしつつ闇市おじさんと頭どピンクから離れる。
だが、頭どピンクの言うように、総督府の中で割と修羅場してる気配がした。
シノンとシュピーゲルが喧嘩したのだろうか。
シュピーゲルが出口に向かってかなり早歩きで向かってくる。
それを避けようとするが、小さい身体が災いしてかなりぶつかられる。
「わっ……たった……」
「おっとっと……」
頭どピンク……クレハがしっかりと支えてくれたが、シュピーゲルはぶつかったことにも気付かないままどこかへと行ってしまった。
「なにあれ、感じ悪い……」
「修羅場ァ、してる感じでしたからね。 仕方ないですよ」
自分が関連している事だとは、一切気づいていないから言える事だ。
……この状態だと声掛けにくいな……
でも行かなきゃ多分精神壊れそうだな……?
「支えてくれてありがとうございます、クレハさん」
支えたままだったクレハの腕から抜け、せっかくだからツェリスカと同じチートを使っておいて、いつでも呼び出せるようにしてから離れた。
「……シノンさん、こんにちは」
「っ……え、えぇ、こんにちは、タマモちゃん」
「どうしたんですか、顔色、すごい悪いですよ?」
「大丈夫、大丈夫よ……」
どう見ても大丈夫には見えないが、本人が大丈夫というのなら大丈夫なのだろう。
……チート使って無理やりトラウマを克服させることは出来るが、それだと意味がない。
何よりつまらないからな。
「分かりました。 でも、無理はしないでくださいね。 なんだったら相談でもカウンセリングでもしますからね?」
「……えぇ、酷くなったら、お願いするかも」
話してたらなんか顔色が少し良くなっているように見える。
わかりましたと笑みを見せると、そろそろで予選が始まるとアナウンスが入った。
「……そろそろ予選が始まります。 着替えに行きましょう?」
「そうね……」
シノンに手を貸しながら、地下の待機エリアへと向かう。
その最中に、シノンがきゅぅぅっ……と手を強く握りしめて来た。
……シノンとキリトの立場逆転してそうだなぁ……
待機エリアに着けば、そのまま更衣室へと向かう。
部屋の端の椅子にシノンを座らせれば、思いをぶつける。
「シノンさん、今からきついことを言います。 耳を塞いでもいいですし、逃げてもいいです。 なんなら決勝に立たなくてもいい。 心して聞いてくださいね」
胡乱げな表情でこちらを見つめるシノンに今この姿で出せるめいっぱいの声量で俺の思いを叩きつける。
「甘ったれるな!!」
「過去のトラウマがなんだ! 手を伸ばしてくれた友人の手を払ったからなんだ! そんなのただの言い訳だ! そんなものは逃げ道だ!」
「お前はただの弱いシノンか? 違うだろう! お前は氷の狙撃手と呼ばれた強いシノンだろう! 仮想空間だろうが現実だろうがその事実は変わらねぇ!」
「えーと……つまり……戦場で敵を倒し、笑うことが出来る強者の中身が銃を持ったり友達を軽く傷つけた程度で泣くような者じゃねぇだろ」
「ゲームとリアルじゃ、世界も、からだも、違うでしょ……」
「違わねぇ!! ゲームも、リアルも、全て本物だ! 今ここに生きている! それが全てだ! 」
思いの丈をぶつけるが、実際意見がまとめられて無さすぎて聞くに堪えない内容だろう。
だが、俺の言いたいことはなんとなく伝わっているようで、少しずつ表情に力が戻っていっているのが見て取れる。
「ゲームも現実も、それぞれにとって本物。 ゲームで何かを克服出来れば、現実でも克服出来る。
いつかは、ですが」
「……ふふっ、それもそうね」
「吹っ切れましたか?」
「えぇ、それなりには」
「なら、今はそれでいいです」
「ん、ありがとう」
「どういたしまして。 このお礼は……決勝で返して貰わねぇとな」
「望むところよ」
お互いグーパン……グータッチで拳を合わせる、なんていう男っぽいことを(片方中身男だが)する。
と、ちょうどそこでリミットだったのか、戦場へとそれぞれ飛ばされる。
吹っ切れたなら少し強くなってるかもしれないなー。
はい、シノンにブチキレ回でした。
なんでこうなった?
おーい、晴明……じゃねぇわ、タマモだわ。
なんでこうなった?
「多分あんたの眠気と深夜テンションのせいだろ」
かもしれないな! 夜勤辛い!
「寝ろ」
そんな感じなせいで支離滅裂な物言いになったりしてるかもですが、許してください。
というわけで、次回からBoB編スタートです!
多分。